【2022】源泉徴収簿とは?書き方・源泉徴収票との違いを解説

給与所得の源泉徴収票

企業が適切な源泉徴収を行うためには、源泉徴収簿の利用は欠かすことはできません。なぜなら源泉徴収簿を利用することで、適切な源泉徴収はもちろんのこと、スムーズな対応も可能になるからです。

一方で、源泉徴収簿には法的効力がないため、国税庁が発行しているフォーマットを活用している企業もあれば、自社独自のフォーマットの運用を行っている企業もあります。

今回は、源泉徴収簿の概要から、作成方法、作成時に注意しておきたい点などを解説します。

源泉徴収簿とは

源泉徴収簿とは、企業が従業員の年末調整を行う際に、源泉徴収票をきちんと発行するために用いられるものです。源泉徴収簿には従業員一人ひとりの給与や賞与などの所得から、社会保険料や雇用保険料の控除額などが記載されています。

なお、従業員は正社員などに限られてはおらず、アルバイトやパートなど雇用契約を結び、給与所得を得ている人がすべて対象になります。この源泉徴収簿を活用して、従業員それぞれの正しい所得税額を算出させることが目的です。

なお、源泉徴収簿には法令で定められている帳簿はありません。そのため、自社の運用でわかりやすいものがあれば、国税庁が提供している書式を利用しなくても問題なく運用が可能です。自社でわかりやすい書式等がなければ、国税庁の「給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿」の書式を活用するのが便利です。

源泉徴収票との違い

「源泉徴収簿」と「源泉徴収票」はまったく役割が違うものです。

源泉徴収票とは、法令で定められている所得税証明書のことで、企業は雇用している従業員に対して1年分の給与や賞与、源泉徴収額を集計、計算し交付することが求められています。

企業側はこの源泉徴収票を、翌年1月末までに従業員に対して発行を行うことが、義務付けられています。また、退職者が出た場合でも同様に、退職後1ヶ月以内に発行することが義務付けられています。

一方で、源泉徴収簿には法的効力はありません。源泉徴収簿の役割は、源泉徴収票の発行に伴い、年末調整を行うあらゆる計算や処理を正確に行うためのものです。

そのため、源泉徴収票を発行するために、前段階として用いられるものが源泉徴収簿です。なお源泉徴収簿は法的効力がないため、従業員や国税庁へ提出する義務もありません。

このように、源泉徴収票と源泉徴収簿はそれぞれ役割が異なります。

源泉徴収簿が必要な理由

源泉徴収簿が必要な理由は、従業員が過不足なくきちんとした所得税を不備なく納めるためです。

繰り返しになりますが、源泉徴収簿は従業員一人ひとりの所得から、社会保険料などの控除額をきちんと正確に行うために必要です。源泉徴収簿を適切に運用することで、適切な所得税を納付することにつながります。

被雇用者は源泉徴収があることによって、安心して所得税を自身で意識することなく納めることが可能になります。

源泉徴収簿がなければ、所得税の計算の正確性が失われてしまいます。曖昧なまま計算を行ってしまっては、正確な源泉徴収を行うことは不可能であり、従業員から企業に対しての信頼も落ちてしまいます。

また、税収をする側からも適切な運用ができていないと、行政処分を受けてしまう可能性もあります。こうした正確な計算を行い、すべての従業員の所得税を適切に納めるために、源泉徴収簿は必要なのです。

源泉徴収簿の書き方の手順

源泉徴収票

実際に源泉徴収簿の書き方を進めていくためには、次の手順を丁寧に進めていくことが大切です。

  • 源泉徴収簿へ個人情報を記述する
  • 給与情報と賞与を記入する
  • 給与所得控除後の給与等の金額を算出する
  • 扶養親族の情報を参考に控除額を計算する
  • 保険料控除申告書の情報を記載する
  • 本年度の算出所得税額を計算する
  • 本年度の税額を計算する

それぞれの手順で具体的には、どのようなことに注意しながら進めていくかを解説していきましょう。

源泉徴収簿へ個人情報を記入する

まずは、源泉徴収簿の個人情報記入欄に、対象となる従業員の個人情報を記載していきます。個人情報の記入欄には、「所属」「職名」「住所」「氏名」「整理番号」の欄があるため、内容を確認しつつ、それぞれ記入を進めていきます。

なお、「整理番号」とは、確定申告の際に税務署から割り当てられる番号のことです。番号を記載しておくことで、より詳細な情報になりますが、源泉徴収簿は提出の義務はないため、記入しなくても問題はありません。

企業側が源泉徴収簿に個人情報を記入していく際は、税務署から割り当てられる番号ではなく、社員番号などを割り当てておくと管理面では効率的になります。自社が運用しやすいように、工夫を行うと良いでしょう。

給与情報と賞与を記入する

続いて、対象の従業員の給与や賞与などの情報を記入していきます。給与は毎月の支払い月ごとに細かく記載していくことが大切です。

たとえば、国税庁のフォーマットでは、各月に2行分の記入欄があります。そのため、給与以外にも通勤手当や残業代など、追加で従業員に支払った金額も記載し、分けておくことが可能です。

「賞与」の欄には、従業員のボーナス金額を記載していきます。なお、賞与の時期がズレていたり、これから賞与を支払うことになっていたりするなどの場合は、支払い予定分の金額を記載していきます。

加えて、従業員それぞれの支給額に応じた社会保険料などの控除額、従業員それぞれの控除額後の支給金額も記載していきます。給与情報の欄にきちんとした金額が記載されていないと正確な数字を算出できないため注意が必要です。

なお、こうした給与金額は給与明細から確認ができるため、きちんと転記していくことが求められます。また、月ごとの納めている所得税が明確になるため、計算もしやすくなります。

給与所得控除後の給与等の金額を算出する

年度末には、給与所得控除後の給与等の金額を計算し記入していきます。なお、給与所得控除額は収入によって異なるため、対象の従業員に合わせることが必要です。

また、金額を算出する計算額は、年度によって異なることがあるため注意が必要です。たとえば、平成29年から令和元年分の計算式と令和2年分の計算式は異なっています。そのため、必ず対象の年度の計算式を確認することが必要です。

国税庁のホームページには年度ごとの計算式が記載されているため、きちんと確認して対応することが大切です。

扶養親族の情報を参考に控除額を計算する

対象の従業員に扶養親族がいる場合には、扶養親族の情報を記載していきます。具体的には、源泉徴収簿の「扶養控除等の申告」欄に申告の有無を記入します。

続いて、控除の対象となっている親族の「控除体操者の種類」と「人数」を記入していきます。なお、「給料・手当等」を記入する欄にも、月ごとに扶養親族等が何人いるかなどの情報を記入していきます。その後、「算出税額」が記入できるようになります。

算出税額は給与情報と同様に、給与明細に記載があるため、きちんと確認することが大切です。また、年度末には扶養控除の合計額を計算することも求められるため、きちんと計算していきます。記入欄は「配偶者(特別)控除」とその他控除の合計を分けて記入することになるため、それぞれが一目で分かりやすい形になっています。

保険料控除申告書の情報を記載する

続いて、保険料控除申告書の情報を記載していきます。保険料控除申告書とは、給料を支払う際に引かれている社会保険料はもちろん、従業員が任意で加入している生命保険なども対象になります。

年末調整で利用する「保険料控除証明書」に記載されている金額は、ここで源泉徴収簿にも記載していきます。

なお、生命保険の他にも地震保険なども対象となり、いずれの保険の場合でも項目ごとに金額を記入する欄があります。それぞれの欄に従業員から提出された「保険料控除証明書」の控除金額を確認して、記載をしていきます。

本年度の算出所得税額を計算する

これまでの手順で記載した内容で、控除額はすべて明確になっています。そのため、記載した控除額から課税給与所得金額を求め、さらに算出所定税額を計算していきます。

手順としては、「扶養親族の控除額」と「保険料控除額」を「所得控除額の合計額」の欄に記入していきます。単純なたし算になりますが、計算間違いをしていないかを今一度確認しておくことが大切です。

この所得控除額の合計額が計算できたら、「給与所得控除後の給与等の金額」からこの「所得控除額の合計額」を引いていきます。この計算で出た金額が課税給与所得金額になります。

そして、所得税は課税所得金額によって、税率や控除額が異なります。そのため、算出した金額に対して対応している税率を掛け合わせることが求められます。

該当の税率を掛け合わせて、ようやく「算出所定税額」が求められます。なお、所得税率については、国税庁のホームページで確認することができるため、計算前にきちんと確認しておくことが大切です。

本年度の税額を計算する

ここまで「算出所定税額」まで求めてきましたが、実際に所得税として納める金額は、算出所定税額ではありません。この算出所定税額に加えて、10.21%の金額が上乗せされます。この上乗せされた金額をもって、本年度の税額が決定となります。

この上乗せした金額を源泉徴収簿の年調年税額の欄に記入すれば完了です。

源泉徴収簿の作成で注意すること

実際に源泉徴収簿を作成する際には、次の点に注意して進めていくことが大切です。

  • 必要な情報と書類をきちんと準備する
  • 個人情報の扱いには注意する
  • 記入漏れが起きないようにする
  • 作成した源泉徴収簿は7年間保存する
  • 作成時に迷ったら税理士に相談する

それぞれの注意点について、解説していきます。

必要な情報と書類をきちんと準備する

源泉徴収簿を作成する際には、事前に必要な情報と書類を準備しなければなりません。きちんとした金額がわからなければ納税額を計算できないことに加え、従業員からの信頼も落ちてしまいます。

そのため、次のものを用意することが大切です。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書(扶養控除等申告書)
  • 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
  • 最新の税額表

源泉徴収簿は従業員一人ひとりのものを作っていく必要があります。そのため、全従業員の個人情報が記載されている資料や、毎月の給与が分かるものなどが必須となります。

また、繰り返しになりますが、所得税法は年度に対応したものでなければなりません。税制の改正は毎年のように行われているため、最新のものを用意するようにしてください。

個人情報の扱いには注意する

言わずもがなかもしれませんが、個人情報の取り扱いは慎重に行うことが大切です。なぜなら、個人情報を万が一外部へ流出してしまった場合、重大なインシデントとして社内だけでなく、自社の社会的な信用も落ちてしまうからです。

源泉徴収簿には氏名から住所、給与の金額までさまざまな情報が記載されているため、取り扱いのルールを制定し、徹底した運用を行うことが必要です。

記入漏れが起きないようにする

記入漏れが起きてしまった場合、正確な金額を計算することができなくなってしまいます。そのため、記入漏れがないかをきちんと確認することが大切です。

特に、扶養控除の金額や社会保険料控除の金額などは、漏れが起きやすい部分です。ダブルチェック体制を整えるなど、対策を施して対応することが求められます。

作成した源泉徴収簿は7年間保存する

源泉徴収簿には7年間の保存が求められています。なぜなら、源泉徴収簿を根拠として、年末調整が行われるからです。従業員の扶養控除等申告書などと同じく、保存しておくと良いでしょう。

繰り返しになりますが、源泉徴収簿には個人情報が記載されているため、保管にはきちんとしたセキュリティ対策が必要です。また保存期間が過ぎた後、速やかに処分をする必要もあるため、運用体制を整えておくことも大切です。

作成時に迷ったら税理士に相談する

源泉徴収簿の作成時に迷うことがあったら、自社の担当の税理士に相談することが大切です。税理士は文字通り、プロフェッショナルなため、安心して作成を進めることが可能です。自力で解決ができない場合には、税理士に相談することも忘れずに覚えておくと良いでしょう。

まとめ

税金に大きく関わる源泉徴収簿は、法的に提出する必要がないとはいえ、非常に重要な書類です。そのため、きちんとした運用を行い、適切な税を納めるようにする必要があります。

また、年末にすべてを行うのではなく、毎月末にそれぞれ記入を進めていくなど、計画的に運用することを意識していくと良いでしょう。

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