【2023】年末調整のネットでのやり方は?ネット申請のメリットと企業が準備すべき項目│コボットLAB

【2023】年末調整のネットでのやり方は?ネット申請のメリットと企業が準備すべき項目

年末調整のネット申請とは、年間所得税の計算や源泉徴収表の作成、各種書類の提出など、一連の業務をオンライン上で完結することです。年末調整のネット申請によって、手作業で書類作成や計算を行う必要が無くなり、業務の効率化が望めます。

ただし、今まで紙書類で年末調整を行ってきた場合、どのような準備をするべきかわからない方も多いでしょう。そこで今回は、年末調整のネット申請に向けて準備すべき内容やポイントなどについて解説します。

年末調整のネット申請とは

年末調整のネット申請とは、保険料計算や各控除申告書作成、役所への提出など、一連の手続きをオンライン上で行うことです。年末調整のネット申請は、業務効率化やペーパーレス促進、入力作業の簡略化など、企業と従業員双方に多くのメリットをもたらします。

ただし、ネット申請を実現するためには、年末調整ソフトの導入や給与計算システムの改修など、さまざまな準備が必要です。所轄の税務署長へ提出した申請書が承認と認められない限り、ネット申請は行えないため、計画的に準備を進めておかなければなりません。

また、年末調整関連の書類は、7年間の保管が義務付けられています。ソフト上で保存したデータを期限前に破棄しないよう注意が必要です。

年末調整でネット申請が認められている書類

ネット申請が認められている年末調整の関連書類を表にまとめました。2020年から基礎控除申告書や所得金額調整控除申告書のネット申請も認められたため、さらなる業務効率改善効果を期待できます。

表:電子データで提出できる書類

年末調整申告書関係控除証明書等関係
・扶養控除等申告書
・配偶者控除等申告書
・保険料控除申告書
・住宅ローン控除申告書(2019年以降に居住)
・基礎控除申告書
・所得金額調整控除申告書
・保険料控除証明書(生命保険料(新旧両方)、個人年金保険料(新旧両方)、介護医療保険料、地震保険料)
・住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
・年末残高等証明書(住宅ローン残高証明書等)

年末調整のネット申請移行によって得られる企業側のメリットは、主に次の3点です。

  • 年末調整業務の効率化
  • ペーパーレス化の促進
  • 人事労務担当者の業務負担の軽減

煩雑な書類作成や計算業務を年末調整ソフトに一任できるため、手続きをスピーディーかつ正確に進められます。提出状況の確認や差し戻し、再回収もソフト上で行えるため、人事労務担当者は他の業務にリソースを割けます。

また、ペーパーレスを促進できる点も、年末調整のネット申請移行によって得られるメリットの一つです。ソフト上で業務に必要なデータを保存できるので、保管スペースの確保や整理整頓を行う必要もありません。

年末調整業務の効率化

年末調整の手続きを効率的に進められることも、年末調整のネット申請によって得られるメリットです。控除額計算や書類作成、控除判定など、工数の掛かる業務を年末調整ソフトに一任できます。作業を自動化でき、業務の正確性とスピードを高いレベルで保つことができます。

提出状況はソフト上に可視化されるため、細かく進捗状況を追いかける必要もありません。また、差し戻しや回収業務もソフト上で行えるので、人事担当者は別の作業に時間と労力を割けます。

ペーパーレス化の促進

年末調整の手続きをネット上で行える環境が整うと、ペーパーレスを促進できます。書類作成に必要なデータは、ソフト上に保存できます。一連の手続きがソフト上で行えるため、従業員一人ひとりに書類を配布する必要はありません。

ペーパーレス化によって、紙代や印刷代、OA機器のメンテナンス代を削減できます。また、広大な保管スペースを確保しておく必要もありません。ソフト上で過去のデータを簡単に検索できるため、保管コストや整理整頓の手間を削減できます。

人事労務担当者の業務負担の軽減

年末調整の手続きをオンライン上で完結できると、人事労務担当者の業務負担を軽減できます。工数の掛かる各種データ取込や控除額計算、書類作成はソフトへ任せられるため、作業のスピードアップと正確性向上を実現できます。

作成した書類に不備があった場合も、年末調整ソフトにはヘルプ機能が搭載されており、従業員と何度もやり取りを重ねる必要はありません。また、修正依頼のメール送信〜書類回収まで、一連の業務をソフト上で行えるので、コア業務にリソースを集中できます。

年末調整のネット申請によって得られるメリット:従業員側

年末調整のネット申請によって従業員側が得られるメリットは、主に次の2点です。

  • 手続きの簡略化
  • 控除証明書データ等の紛失リスクの回避

アンケートに回答した内容が、ソフト上に自動反映されるため、手続きに掛かる工数を大幅に削減できます。紙書類のように、すべての項目を手作業で入力していく必要はありません。ヘルプ機能も搭載されており、疑問点が生じても素早く解決できます。

また、控除証明書データ等も電子データで受け取れるので、紛失するリスクも回避できます。

手続きの簡略化

年末調整のネット申請によって従業員が得られるメリットは、手続きの簡略化です。アンケートに答えていけば、回答内容がソフト上に自動反映されます。紙書類と異なり、各項目を手作業で埋めていく必要はありません。

また、年末調整ソフトにはヘルプ機能が搭載されており、提示された内容に沿っていけば、スムーズに書類を作成できます。手続きに掛かる時間を大幅に削減でき、自身の業務に集中して取り組めます。

控除証明書データ等の紛失リスクの回避

年末調整のネット申請によって、保険会社や金融機関から取り寄せる控除証明書データ等の紛失を回避できます。従来は紙書類で受け取っており、提出までに紛失する可能性がありました。

しかし、ネット申請に移行すると、電子データで受け取れるため、紛失のリスクを最小限に抑えられます。仮にデータを消去したとしても、ホームページからダウンロードできるため、再発行の手間を大幅に削減できます。

年末調整のネット申請に向けて準備すべき内容

年末調整のネット申請を行うため、準備すべき内容は主に次の3点です。それぞれについて解説しましょう。

  • 年末調整ソフトの導入
  • 給与計算システム改修の必要性の確認
  • 従業員への周知

年末調整ソフトの導入

年末調整の手続きをネット申請で済ませるためには、年末調整ソフトの導入が必要です。年末調整ソフトは、国税庁と民間企業が提供しているソフトの2種類から選択する形になります。

国税庁が提供している年末調整ソフトは、無料で利用できる点がメリットです。控除申告書作成や控除額計算、控除判定など、手続きに必要な業務を無料で効率化できます。入手方法は、国税庁の公式サイトやMicrosoft Store、App Storeからインストールする形です。

参考:年末調整手続の電子化に向けた取組について(国税庁)

一方、民間企業の年末調整ソフトは、多機能性が魅力です。提出状況を可視化し、手続きが遅れている従業員にはアラートを発し、提出を催促します。

書類に不備があった場合は、差し戻しの連絡をメールで一斉送信できるため、個別に従業員とやり取りを重ねる必要はありません。また、クラウド型は、アップデートやメンテナンスをベンダーに一任できるため、ランニングコストを大幅に削減できます。

ソフトをインストールする必要もなく、スムーズに導入できる点も魅力です。コストと機能性、どちらを重視するかによって判断は異なります。総合的に判断すると、民間企業の年末調整ソフトの方が、業務効率化や修正作業の工数削減など多くのメリットが望めます。

給与計算システム改修の必要性の確認

既存の給与計算システムが、年末調整のデータ取り込みに対応しているかを確認してください。年末調整の計算や書類作成を行うためには、データの取り込みに対応していることが前提になります。

所得金額調整控除の計算も含め、データ取り込みに対応している場合は、改修する必要はありません。ただし、対応していない場合は、給与計算システムを改修し、年末調整機能を追加する必要があります。

近年は、年末調整業務に特化したクラウド型の年末調整ソフトも多数市場に登場しています。初期費用や運用コストは低価格に設定されているため、それほど大きな負担にはならないでしょう。

従業員への周知

年末調整の手続きをスムーズに進めるためにも、従業員へ周知する場を設けてください。伝えておくべき内容は2点あります。

年末調整ソフトに関する周知

1点目は、年末調整ソフトに関してです。

民間企業の年末調整ソフトを導入する場合、アクセス方法や使い方など、基本的な情報を伝えれば問題ありません。一方で、国税庁の年末調整ソフトを利用する場合、ソフトをインストールしなければなりません。

マイナポータルを開設する必要もあるため、控除証明書等データの入手方法も含めて、早い段階で伝えておきましょう。

問い合わせ窓口に関する周知

2点目は、疑問点が生じた場合の問い合わせ窓口です。

控除証明書等データの取得方法や年末調整ソフトの使い方など、疑問点が生じた場合に従業員が相談できる窓口を用意しておいてください。従業員への周知を年末調整の2〜3ヶ月前に行うと、トラブルにも余裕を持って対処できます。

控除証明書等データの取得

控除証明書等データを取得するためには、従業員自身が作業を行う必要があります。マイナポータルか保険会社のホームページから控除証明書等データを入手できますが、どちらで取得を命じるか、事前に決めておいてください。

従業員に任せると問い合わせの回数が増え、人事担当者の業務負担が増します。マイナポータルを利用すると、複数の控除証明書等データを効率的に取得できます。ただし、マイナポータルの開設とマイナンバーカードの取得が必要です。

一方、保険会社のマイページからデータをダウンロードする場合、マイナンバーカードは必要ありません。複数の保険会社と契約をしている場合は、作業負担が増しますが、一部の従業員に限られます。

年末調整のネット申請を行う前に把握しておくべきポイント

ネットでの年末調整の申請

年末調整のネット申請を行う準備を始める前に、把握しておきたいポイントは主に次の3点です。それぞれについて解説しましょう。

  • 年末調整特化型or他システム付随型のメリットを把握する
  • マイナポータルの利用はハードルが高い
  • 年末調整関連の書類は7年間保存が必要

年末調整特化型or他システム付随型のメリットを把握する

年末調整のネット申請を行う場合、自社のシステムがデータ取得に対応していなければなりません。対応していない場合、年末調整特化型や他システム付随型の年末調整システムを導入する必要があります。

年末調整特化型は、控除申告書作成や控除額計算、提出状況の可視化など、年末調整に必要な機能だけを搭載したシステムです。導入コストを抑えつつ、年末調整業務を効率化できることがメリットです。既存の給与計算システムと連動して利用する場合に選択します。

一方、他システム付随型は、給与計算システムや労務管理システムに年末調整機能が搭載されている形です。1台導入すれば、バックオフィス業務全般を効率化できる点がメリットです。

給与計算システムや労務管理システムの導入を検討している場合、追加費用の発生を抑えられます。自社の状況に応じて、どちらを選ぶかを選択してください。

マイナポータルの利用はハードルが高い

控除証明書等データの取得にマイナポータルを利用する場合、従業員から同意を得なければなりません。

マイナポータルは、政府が運営するオンライン上の行政サービスです。マイナポータルを利用すると、複数の控除証明書等データが一度に取得できます。

ただし、マイナポータルの開設やマイナンバーカードの取得が必要です。特にマイナンバーカードは個人情報が漏洩するリスクを秘めており、取得に抵抗を覚える方が少なくありません。

マイナンバーカードを取得している従業員が多ければ、マイナポータルの利用もスムーズに進められますが、取得している従業員が少ない場合は、保険会社や金融機関から控除証明書等データを取得するよう指示が必要です。

年末調整関連の書類は7年間保存が必要

各種控除証明書や申告書類は、7年間の保存が義務付けられています。同様に総勘定元帳や現金出納帳など、帳簿関係も7年間保存しなければなりません。税務調査の対象年数が最大7年に設定されていることから、長期間書類を残しておく必要があります。

期限前に書類の電子データを破棄すると、税務調査に対応できません。どのくらいの期間過去のデータを保存できるかも、年末調整システムを選択する上での、判断基準としてください。

まとめ

年末調整をネット上で申請できると、業務効率改善や人事労務担当者の業務負担軽減が望めます。工数の掛かる計算や書類作成はソフトへ一任できるので、他の業務にリソースを割けます。

提出状況も画面上ですぐに確認できるため、細かく進捗具合を追いかける必要はありません。また、年末調整ソフトは単体使用よりも、給与計算システムや労務管理システムと連動して利用した方が、多くの業務を効率的に進められます。

ですが、既に給与計算か労務管理、どちらかのシステムを導入している場合も多いでしょう。年末調整特化型システムの場合、他システム付随型ほど業務効率改善効果は望めません。

当社ディップ株式会社が提供する「人事労務コボット」を併せて導入すれば、入社手続きに関する工数を大幅に削減できます。

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