物事にはいずれも目標があるものですが、ただ漠然と目標を立てるだけでは、必ずしもそれを達成できるとは限りません。目標設定は計画的に行うことで、確かな成果を得られやすくなります。
今回は、目標設定で重視すべき考え方や、実践的な目標設定の手法について紹介します。
目標とは
目標を端的に解釈すると、「自分が欲している、理想としている未来の姿」と言い換えることができます。ビジネスやプライベートを問わず、目標設定を節目に行う人は多いものですが、ビジネスの現場でも目標設定は重視されています。
目標設定を具体的に行うことで、目指すべき方向性を固め効率的に業務を行うことが可能となりますし、目標の達成を促進してさらに高いレベルを目指すこともできます。
高いレベルの理想や成長を求める人ほど、丁寧な目標設定を行い、確実にステップアップする必要があるでしょう。
目標設定で期待できる効果
目標設定によって、具体的にはどのような変化が日々の業務活動に訪れるのでしょうか?ここでは、目標設定から期待できる効果について解説します。
時間とリソースの有効活用
目標設定は、時間とリソースの有効活用に最適な取り組みです。
漠然とした人生の目標であれば具体性が問われることはありませんが、企業の活動は決められた時間の中で結果を残さなければなりません。そのため、人的資本や予算を効率良く活用することが大切です。
目標設定を丁寧に行うことで、目標達成に必要な業務にリソースと時間を集中し、短期間での目標達成を促進できるようになります。予算や人材に余裕がない企業ほど、目標設定の重要性は高くなるでしょう。
進捗管理の効率化
目標設定をプロジェクト開始前に行っておけば、進捗管理を効率化することができるようになります。具体的な目標が定まっていないと、日々のマネジメントも何を基準として是正すれば良いのかわからず、働き方の方向づけに支障をきたしてしまいます。
目標設定をあらかじめ行っておくことで、日々の業務を目標の達成に集中させられるようになります。目標と比較して、現在はどれくらいの進捗度合いにあるのか、今のペースで目標達成が期限内にできるかどうかなど、比較検討や業務改善の目安として活用ができます。
高い水準でのモチベーション維持
目標設定が上手く行っていると、自分も含め社員が高いモチベーションを持って業務に取り組むことができます。「期日までに目標を達成しなくてはならない」という意識が芽生えることで、無期限の業務に取り組むよりも、高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。
日々の業務がマンネリ化してしまうと、労働のモチベーションが下がり、望むような結果を得にくくなってしまいます。目標設定によって日々の業務にゴールが現れることで、働きがいが芽生えたり、目標達成の喜びを与えさらに高いゴールを目指せるようになったり、意欲の改善が可能です。
KGIとKPI
目標達成における指標の一種として、「KGI」と「KPI」が多くの企業で採用されています。
KGIは「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」と呼ばれています。企業活動における大きな目標として設定されるゴールがKGIに当てはまり、KGIを最終的に達成するべく日々の活動を積み重ねることが求められます。
KGIを前提とした、小目標として設定されるのが、「KPI」と呼ばれる指標です。「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。
日々の活動における具体的な行動指針として設定され、KPIを達成できているかどうかによって、KGIにどれだけ近づけているかを客観的に分析できるようになります。
KGIとKPIはどのように活用すべきか
KGIとKPIは、セットで活用することがベターとされています。
会社やプロジェクトのゴールとしてKGIを設定し、KGIを達成するためにどのような過程が必要かを明確にします。この必要過程をクリアするために設定されるのがKPIで、日々の業務はKPIの達成を目指しながら改善を繰り返すことが必要です。
企業活動における目標設定では、このKGIとKPIの考え方が非常に重要視されています。明確なゴールを業務に設定したい場合は、積極的に採用しましょう。
目標設定が上手くいかない原因
さらなる成長を実現するべく、気合いを入れて目標設定に取り組んでも、必ずしも期待していたような成果が得られるとは限らない場合もあります。せっかく立てた目標を達成しても成果につながらないばかりか、そもそも目標を達成できないのにはどのような理由があるのでしょうか?
設定した目標が定量的ではない
目標設定がうまくいかない1つ目の理由は、定量的ではない目標を設定してしまうことです。
「ミスを犯さないよう頑張る」「売り上げを増やせるよう努力する」など、「どうなれば目標を達成したと言えるのか?」ということが明らかでない目標を設定してしまうと、目標達成に向けたモチベーションを維持するのが難しかったり、ゴールに到達したという感覚をいつまで経っても得られなくなったりしてしまいます。
定量評価を第三者からでも行えるような指標を設けなければ、目標設定による恩恵を受けることが難しくなることは押さえておきましょう。
設定した目標が現実的ではない
気合いを入れて目標を設定することは悪いことではありません。しかし、あまりにも理想が高すぎる目標を定めてしまうと、非現実的なあまり目標達成のビジョンが見出せず、モチベーションの維持が難しくなります。
目標を設定する上では、いきなり非現実的な目標を目の前に定めてしまうのではなく、「ギリギリ達成できるかどうか」というレベルの目標を設定することが大切です。先ほどお伝えしたように、いきなりKGIとなるような大きい目標をすぐに達成することは避け、KGIにつながる小目標、つまりKPIの達成を促すよう設定しましょう。
そもそも事業の成長と直接関係がない
目標達成は心地の良い経験ですが、企業活動の根本にあるのは事業の成長です。そのため、事業の成長とは関係のない目標を設定しても、目標設定が持つ求心力を発揮することはできません。
「これは会社に必要だ」と自信を持っていえる、根拠が明らかな活動に基づく目標を設定することが、目標設定のメリットを最大限活かすためのポイントです。
成果につながる目標設定のポイント・コツ
目標設定における落とし穴を回避しながら、確かな成果を獲得するためにはどういった点に注目する必要があるでしょうか?ここでは、成果につながる目標設定のポイントやコツを3つに分けて解説します。
具体性のある目標を定める
先ほども少し紹介したように、定量的で具体性のある目標を設定することは大いに有意義な結果をもたらすため、第一に意識すべきポイントです。
第三者から見ても判断できるような具体性のある目標を定めることで、社員は「何をすれば良いのか」「どこを目指せば良いのか」という問いに対して答えを持てるようになります。「売上120%達成」「月間100件の成約」など、KGIにつながる目標設定を実現し、事業を前進させるための推進力を獲得しましょう。
また、具体的な数値目標を立てられるような業務が発生していないという場合には、業務をデータ化するところから始めてみると良いでしょう。見える化されていない情報が日々の業務の中で数多く発生していると、データを活用した業務効率化の妨げともなります。
業務の見える化を推進し、具体的な目標設定ができる活動へと生まれ変わることが必要です。
目標達成までの期限を定める
目標を設定する場合は、単に目標を単体で決めるだけでなく、いつまでにその目標を達成するかという期限も明らかにしましょう。
目標達成の期限を定めておかないと、「そのうち達成できれば良いだろう」となり、モチベーションの低下を招いてしまったり、目標が形骸化したりしてしまう可能性があります。目標を設定する際には、目標のスケールに合わせた期限をあらかじめ決めておき、時間的なプレッシャーを与えながら運用することが求められます。
目標達成までのプロセスを明らかにする
設定した目標を達成するため、どのような手順を踏めば良いのかということも合わせて考えておくことが理想です。漠然と「売上を2倍にする」と目標を定めても、実際に売上を2倍にするための施策がまとまっていなければ、達成は難しいでしょう。
「この目標を設定した場合、どのようなシナリオを組めば良いのか」ということを念頭に置きつつ、目標達成に向けて行動するフェーズになった際、あらかじめ用意したシナリオに基づいて動けば良いという状態で業務に取り組めることが理想です。
さらなる目標達成に向けた改善施策も忘れない
目標を達成した後、あるいは目標が未達に終わってしまった場合も、期間内の活動を振り返り、後のアクションに生かしていくことが必要です。
ただ目標を達成できただけでは、何が功を奏して目標達成につながったのか、改善できる余地はあるかということを把握できません。目標が未達成の場合はなおさらで、何が原因で目標を達成できなかったのか、具体的に分析することが大切です。
改善点を発見して今後に活かすことができれば、引き続き高いモチベーションを維持できるだけでなく、さらに高い目標を達成することに役立つでしょう。
目標設定に使える2つのフレームワーク
目標設定を効率化する上では、ある程度フレームワークに沿って実行することが大切です。目標設定に役立つ2つの方法を紹介します。
ベーシック法
ベーシック法は、基本的な目標設定の方法として普及している方法です。
- ・目標項目
- ・達成の基準
- ・達成期限
- ・達成計画
の4つを定めることで、目標達成を促してくれます。
特徴は、目標設定の段階で目標のカテゴライズを実施する点です。現状からさらなる強化を図るための目標なのか、現状抱えている課題を改善あるいは解消するための目標なのか、現状を維持するための目標なのか、新しくプロジェクトを立ち上げるための目標なのかということを決定します。
今からどのような目標に向けて動き出すのか丁寧に分析してから実行へと移るため、ゴール地点が単なる数値目標にとどまらず、組織や事業にどういった結果もたらす目標なのかを具体的に頭に描けるようになることが強みです。
SMARTの法則
SMARTの法則は、目標を明確に表現するために必要な5つの要素を抽出したものです。
- ・誰が見ても理解ができる具体性(Specific)
- ・目標の達成レベルが数値化されているという測定可能性(Measurable)
- ・希望的観測ではない達成目標の確実性(Achievable)
- ・自身が所属する部署の目標、ひいては会社の経営目標に即しているかという関連性(Related)
- ・期限内に目標を達成することを明らかにした時間的制約性(Time-bound)
をまとめて表現しています。
SMARTの法則に基づいて目標設定を行うことで、目標設定の際に起こりがちだったトラブルをあらかじめ回避し、有意義な目標を定められるようになります。SMARTの法則を頭に入れて自然と設定できるようになれば、成果につながる目標達成がより身近になるでしょう。
まとめ
目標を設定して行動するということは、幼少期からなんとなく教えられてきた活動の指針ですが、いざ実践しようとすると意外と上手くいかないことが少なくはないものです。
これは、目標設定者の意志の弱さなどよりも、そもそも目標設定のプロセスに問題があることがほとんどです。上記の設定方法を参考にしながら、成果につながる目標設定が行えるよう、一度設定の方法を見直してみると良いでしょう。
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