新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、営業活動の手法が大きく変わってきています。これまで対面が当たり前だった営業活動が、オンラインを活用した非対面の営業活動も一般化していきています。
さらに注目されているのが「電話」を活用した営業活動です。これまでも電話を活用した営業手法を採用している企業は多くありましたが、改めて電話による営業活動に力を入れてきた企業が増えてきました。
中でも手法として取り入れられているのが、「テレマーケティング」です。テレマーケティングは効率的な売上向上の手法として、多くの企業が取り入れ始めています。
今回は、テレマーケティングとはという概要から、導入するメリットやデメリット、成功させるためのコツなどを解説していきます。
テレマーケティングとは
テレマーケティングとは、その名のとおり電話を活用して顧客とコミュニケーションを図り、営業活動や顧客対応を行うことです。既存顧客、見込み顧客問わず、営業活動のフォローとして行う、ニーズや課題をヒアリングして、自社製品やサービスの説明を行うことが目的です。
他にも市場調査や顧客からの苦情対応、問い合わせ対応などもテレマーケティングに含まれます。
テレアポとの違い
テレマーケティングと似た手法として「テレアポ」が挙げられます。テレマーケティングとテレアポの大きな違いは、行う「目的」です。それぞれの目的は次のように分けられます。
<それぞれの目的>
- テレマーケティング :ニーズや課題をヒアリングして、電話口で営業活動を行い、製品やサービスの成約まで持っていくこと。
- テレアポ:あくまでも「アポイント」を取ること。商談の場に繋げられるように約束を取り付けること。
つまり、テレマーケティングはその場で成約までを目指し、営業活動を完結させることが目的ですが、テレアポはあくまでも「次」につなげることが目的です。それぞれの目的の違いが、テレマーケティングとテレアポの違いです。
テレマーケティングの種類
テレマーケティングの種類は、次の2つに分けられます。
- インバウンドマーケティング
- アウトバウンドマーケティング
それぞれが、テレマーケティングでどのようなものなのかについて解説します。
インバウンドマーケティング
インバウンドマーケティングとは、顧客から自社に対しての電話に対して行う手法のことです。自社製品やサービスについての質問から受注業務、クレーム対応などが主なものとして挙げられます。
たとえば、保険会社は多くが「相談窓口」として、電話番号を掲載して、電話をかけてきた顧客に対して現状の確認やニーズをヒアリングした後に、自社の商品の説明から購入までを促すような手法を取っています。他にも相談窓口として特化し、顧客満足度の向上につなげることに注力している場合もあります。
インバウンドマーケティングのメリットは成約率が高いことです。なぜなら、電話をかけてきている時点で、顧客は商品やサービスについて興味関心があるからです。そのため、より具体的な提案が行いやすくなり、成約に至りやすくなります。
アウトバウンドマーケティング
アウトバウンドマーケティングとは、自社から既存顧客、見込み顧客に対して電話営業を行う手法のことです。営業リストに記載されている顧客へ向けて、電話をかけていき自社製品やサービスの購入に至るようにしていきます。
アウトバウンドマーケティングのメリットは、効率的に営業活動が行える点です。移動時間等がなくなるため、コスト削減にも貢献できます。一方で、アウトバウンドマーケティングで成果を上げるためには、オペレーターの教育などのコストがかかります。
押し売り営業という印象を持つ顧客もいるため、相手に好印象を与え、成約に至るスキルが求められます。
テレマーケティングで得られるメリット
企業がテレマーケティングを行うことで得られるメリットには、次の4点が挙げられます。
- 営業活動の効率化
- 生産性の向上
- 顧客満足度の向上
- 新規顧客や見込み顧客へのアプローチが可能
それぞれのメリットについて解説していきます。
営業活動の効率化
テレマーケティングを採用する最大のメリットが、営業活動の効率化を実現できることです。
テレマーケティングは営業リストに記載されている企業に対して、一件一件電話をかけていくだけで営業活動ができるため、飛び込み訪問など移動する時間などがかかりません。
新規開拓などを行いたい場合は、営業の工数を大幅に削減できることに加え、電話を用意するだけで遠方の顧客ともやり取りが可能です。多くの企業にアプローチをすればするほど、テレマーケティングによる営業活動は、効率化の効果が大きくなります。
生産性の向上
テレマーケティングによって営業活動の効率化が実現できるため、自ずと生産性向上にもつながっていきます。足を使って稼ぐ営業手法よりも、顧客と成約に至るまでのコストが大幅に削減されます。
たとえば、顧客の場所まで移動する電車賃やガソリン代などです。他にも出張の場合は、宿泊費などが発生する可能性もあります。こういったコストがテレマーケティングでは、電話代のみのコストで済みます。
優秀なオペレーターを育成ができれば、コストを抑えながら売上の向上が期待できるため、生産性向上につながっていきます。
顧客満足度の向上
テレマーケティングの良い点としては、顧客と直接のコミュニケーションをリアルタイムでできることが挙げられます。そのため、テレマーケティングを行い、顧客からの問い合わせに丁寧に答えることで顧客満足度の向上につながっていきます。
直接的フォローができるため、良い対応が行えれば、自然と自社や製品に対してのファンになってくれる人が増えていくでしょう。
また、クレームがあった場合でも、その不満やニーズを集計して全社的に共有をすることで、次の商品開発に活かす営業活動に活かすなどができます。テレマーケティングによって多くの顧客の声を聞き、内容を蓄積し改善を繰り返すことができるようになります。
新規顧客や見込み顧客へのアプローチが可能
新規顧客向け、見込み顧客向け、それぞれにアプローチを効果的にできるのも大きなメリットです。たとえば、新規顧客に対してアプローチを行う際は、すぐに成約に至る可能性は低くなるでしょう。
しかし、自社の認知度向上や製品やサービスの認知度向上、顧客の現状や課題などをヒアリングできれば、次へのアプローチにもつなげられます。
また、すでに見込み顧客として抱えている顧客に対しては、顧客の課題に応じて商品やサービスを紹介し、課題解決の道筋や不安を取り除くことができれば、一気に成約まで運んでもおかしくはありません。こういった新規顧客、見込み顧客それぞれにアプローチを効率的にかけられることがメリットです。
テレマーケティングのデメリット
テレマーケティングのデメリットには、主に次の3点が挙げられます。
- 事前準備に時間がかかる
- オペレーターの育成にコストがかかる
- ノウハウの蓄積に時間がかかる
それぞれのデメリットについて解説していきましょう。
事前準備に時間がかかる
テレマーケティングはすぐに始められるものではありません。入念な準備のうえで行わなければ、失敗してしまう可能性が高い手法です。そのため、きちんとした事前準備が必要です。
インバウンドマーケティングで行うのであれば、顧客が興味を引くような広告を打ち出す、DMを打ち出すなどの施策が求められます。アウトバウンドマーケティングで行うのであれば、ターゲットを絞った営業リストの作成は欠かせません。また、営業リストの更新についても、取り決めが必要です。
他にも効果的にテレマーケティングを進めるために、トークスクリプトの作成や通話内容のデータ化を行う準備などが必要です。このように、事前準備に時間がかかってしまうのがデメリットといえます。
オペレーターの育成にコストがかかる
テレマーケティングを成功させるためには、オペレーターの質が必要になります。電話口で「相手に好印象を与え、商品の購入を行ってもらう」ことは、非常に高いスキルが求められます。
基本応対はもちろんのこと、話し方やテンポ、商品やサービスに関する知識、顧客からの質問に正確に答えられる対応力など、一つでもスキルが欠けてしまうと成約する確率は下がってしまいます。
こうしたオペレーターを自社で用意するためには、コストをかけて育成を行う必要があります。テレマーケティングはスタートしてしまえば、コストはかかりませんが、事前準備にコストがかかってくることを押さえておくことが大切です。
ノウハウの蓄積に時間がかかる
テレマーケティングは長期的な視点から行うことが大切です。なぜなら、短期ではスキルや経験値不足から安定的な成功にはつながらないからです。
そのため、長期的な視点からノウハウを蓄積し、オペレーターのスキルの向上はもちろん、問い合わせ内容や購入履歴のデータの有効活用の方法などを向上させることが求められます。
ノウハウが蓄積してくれば安定的な営業活動につながりますが、そこに至る道のりには時間がかかってしまうのがデメリットといえます。
テレマーケティングを成功させるコツ・ポイント
テレマーケティングを自社で成功させるためには、次の3つのポイントを押さえながら継続して取り組むことが求められます。
- 自社の目的を明確化する
- 事前準備と自社の体制を万全にする
- データは全て蓄積させPDCAサイクルを回す
それぞれのポイントについて解説していきましょう。
自社の目的を明確化する
まずは「自社の目的を明確化する」ことが挙げられます。テレマーケティングに限らず、企業として施策を打つ際には、「なぜやるのか」「どんなことを達成したいのか」「目標をどのように置くのか」などが明確になっていなければ、成果の判断や改善にはつながっていきません。
商品をいくつ売ることが目標という企業もあれば、顧客満足度の比率を上げて自社のイメージアップを目指すのが目標という企業もあるでしょう。組織として共有した目的を持ち、KPIなどを設定することで具体的な行動に移すことが可能になります。
まずは、なぜテレマーケティングを行うのかの目的を明確化していきましょう。
事前準備と自社の体制を万全にする
前章で解説したように、テレマーケティングをスタートするには事前準備が必要です。この事前準備を怠ってスタートしてしまうと、大きな失敗につながってしまいます。
トークスクリプトの作成やオペレーターの育成はもちろん、データを有効活用するためのデジタルツールなども場合によっては必要です。
改めて、テレマーケティングを行う目的は、自社の売上向上を図るためです。闇雲に電話をかけても意味がないため、CRMやSFAなどのツールを準備して効率的に進めていくことが求められます。こうした事前準備と自社の体制を万全にすることが大切です。
データは全て蓄積させPDCAサイクルを回す
テレマーケティングで取得したデータはすべて有効活用できるものといっても過言ではありません。今は興味がないといわれ、ほとんど話をできなかったとしても、そのデータを共有していれば、時間を置いて改める、営業の優先順位を下げるなど、次へつなげることができます。
こうしたデータを社内で随時共有し、PDCAサイクルを回すことで、テレマーケティングの精度が上がっていきます。データはオペレーターや営業が個人で持っていては、自社全体の利益にはつながっていきません。必ず共有できる体制を整えると共に、報告しやすい雰囲気作りも求められます。
テレマーケティングサービスの選び方
テレマーケティングサービスを自社で導入する際には、次の4つのポイントを押さえて選んでいくことが大切です。
- 自社の目的に適しているか
- 費用対効果は優れているか
- セキュリティ対策は万全か
- 実績は十分にあるか
それぞれのポイントについて解説していきます。
自社の目的に適しているか
自社に合ったテレマーケティングサービスを選ぶには、自社の目的に適しているかを確認することが大切です。自社の売上向上のためには、製品やサービスについての深い知識が求められます。
また、オペレーターの質にも左右されるため、社内の教育体制は万全かなども非常に重要です。テレマーケティングサービスの代行会社は、特定の業種に強みを持つものも少なくありません。いくつかの候補を選出して、自社の目的と照らし合わせていくと良いでしょう。
費用対効果は優れているか
テレマーケティングサービスは、料金体系もさまざまです。対応範囲や規模感、対応する業種によっても変わってくる場合があるので、自社の予算感と達成したい目標を照らし合わせて、費用対効果に優れているかを見ていくことが大切です。
テレマーケティングサービスの料金体系は、主に「固定報酬型」「成果報酬型」「従量課金型」の3パターンに分かれています。それぞれにメリット、デメリットがあるため、どの方式が自社に適しているかを考えていくと良いでしょう。
セキュリティ対策は万全か
外部サービスに委託することで、顧客情報が外部に流出してしまう懸念もあります。ひとたび外部流出を起こしてしまうと、重大なインシデントとして社会的信用も落ちてしまいます。
そのため、テレマーケティングサービスのセキュリティ体制はどのようになっているか、顧客情報の管理はどのようになっているかなどについて確認することが大切です。
実績は十分にあるか
実績も大事なポイントです。特に、自社の業界に強みを持っているかを確認すると良いでしょう。
全体の実績が多かったとしても、自社の業界に対しての実績が少なければ、ノウハウがあまり貯まっておらず、マッチしない可能性もあります。
テレマーケティングサービスの中には、業界に特化しているものもあるため、自社の業界での実績はどうかを確認することが大切です。実績が十分にあれば、信頼ができる指針にもなります。
おすすめのテレマーケティングサービス5選
ここでは、おすすめのテレマーケティング サービスを5つ紹介します。自社でテレマーケティングを導入する際には、次の5つのサービスを軸に比較検討してみてください。
日本トータルテレマーケティング株式会社
日本トータルテレマーケティング株式会社は、インバウンドマーケティング、アウトバウンドマーケティングの両方に対応しており、顧客リストの価値最大化をコンセプトにサービスを提供しています。
また、売上促進のためのデータ分析も行えるため、効果的な施策を打つことも可能になります。
料金プラン:
- 要問い合わせ
公式サイト:
株式会社ベルテック
株式会社ベルテックはテレマーケティングに加えて、メール代行業務も行えるサービスです。
ベルテックでは独自のオペレーター研修システムを採用しており、質の高いオペレーターの育成に定評があります。人材も豊富なため、クライアント企業に合わせた人材を派遣することが可能です。
料金プラン:
- 要問い合わせ
公式サイト:
株式会社スタジアム
株式会社スタジアムは法人営業支援やSaaS営業支援が行えるテレマーケティングサービスです。3人1チーム制となっており、3人で1商材を担当する形を採用しています。大手クライアントへの実績も豊富なため、安心してお願いができるサービスといえます。
料金プラン:
- 要問い合わせ
公式サイト:
トランスコスモス株式会社
トランスコスモス株式会社は、アジア最大級のコールセンターを持っているテレマーケティングサービスです。国内の拠点数は33箇所を誇っており、全国どこでも対応が可能なのが嬉しい点です。
官公庁から金融業界まで多くの分野で実績が豊富であるため、幅広い対応が可能です。
料金プラン:
- 要問い合わせ
公式サイト:
株式会社NTTマーケティングアクトProCX
株式会社NTTマーケティングアクトProCXは、NTT西日本のグループ企業として代行サービスを展開している会社です。最先端のICTテクノロジーを活用したオペレーションによって、質の高いサービスを提供しています。
全国200拠点、年間1億コールのノウハウを有しているため、豊富な実績に裏付けされたサービスを受けることが可能です。
料金プラン:
- 要問い合わせ
公式サイト:
まとめ
テレマーケティングを有効活用することで、自社の売上拡大が大きく期待できます。しかし、テレマーケティングを成功させるためには事前の準備や長期間に渡ってPDCAサイクルを回し続ける必要があります。
テレマーケティングサービスを利用する際も、自社の目的に合っているかなどをきちんと確認しなければ成果は得られないでしょう。今回お伝えした内容を参考に自社に適したテレマーケティングを推進してみてください。
当社ディップ株式会社では、テレマーケティングにも利用ができる「HRコボットfor営業リスト」や「HRコボットforアポ獲得支援」を提供しています。
テレマーケティングを行う際には、質の高い営業リストが求められます。HRコボットfor営業リストでは13の媒体から、クライアントに適した営業リストの作成を行います。
加えて専属のオペレーターによるテレアポ支援も行えます。そのため、営業リストの作成からアポの獲得までワンステップでの利用が可能です。テレアポの支援までを考えている場合は、お気軽に当社ディップ株式会社までお問い合わせください。