営業活動で最も重要な業務の一つが、見込み客との関係構築を進め、自社のクライアントとなってもらえるようさまざまな取り組みを進めていくことです。中でもアポ取りは、そんな営業業務でもスタンダードな施策として定着しており、見込み客とのコミュニケーション機会を増やし、自社商品に興味を持ってもらえるよう取り組まれています。
今回は、そんなアポ取りの精度を人材派遣会社に特化して高め、成約につながる施策を展開していく方法について、解説していきます。
アポ取りとは
そもそもアポ取りの「アポ」は、アポイントメント(Appointment)の略称です。日本語に訳すと「約束・予約」となるので、商談やプレゼンの機会を約束するための活動のことをアポ取りといいます。
自社の商品やサービスをより多くの人に購入してもらうためには、まず商品についての理解を深めてもらう必要があります。とはいえ、話を聞いてくれる人を探さなければ、自社商品の魅力を発信することさえできません。
アポ取りというのは、そんな商品紹介の機会を確保したり、顧客のニーズをさぐったりするために行われます。その人がどんな商品を欲していて、どれくらいの価格であれば購入してくれるのかなど、相互にコミュニケーションを取るための時間と場所を確保します。
もちろん、商品の販売形態やサービス内容によっては、アポ取りを行わなくとも売り上げを伸ばしていくことは可能です。しかし、単価が高い商品や顧客ニーズに合わせてカスタマイズが必要な商品などでは、アポ取りを行い、日程調整を済ませた上でコミュニケーションを取ることが欠かせなくなってくるでしょう。
アポ取りにおいて注目されているインサイドセールスとは
従来、アポ取りは電話を使って営業活動を行うテレアポや、訪問営業といった手法が一般的でした。しかし、これらの方法はアポイントメントの獲得率が低く営業担当者の負担が大きく、その上見込み客を失ってしまう可能性もあるということで、近年は下火になりつつあります。
人材派遣会社はアポ取りに強い業界であるとされおり、保険や不動産業と同様、優れた営業担当者が育ちやすい業務環境が整備されています。そのため、確実にアポイントメントを獲得し、成約に結びつけている企業では、効果的なアポ取りのノウハウが確立されているだけでなく、担当者を支える仕組みも整備されています。各社はそれぞれの強みを生かして効果的なアポ取りを進められるよう、営業活動の抜本的な見直しが求められています。
そのような時代で注目を集めるようになったのが「インサイドセールス」です。インサイドセールスとは、主にデスク上で完結する営業活動に焦点を当てた施策を特徴としています。Webメディアの運営やSNSの活用、ウェビナーの開催などを通じて、見込み客に対して主体的に関心を抱いてもらう手法です。
インサイドセールスと対比的な存在として、屋外活動を軸とする訪問営業は「フィールドセールス」と呼ばれています。
従来の営業活動ではフィールドセールスを主体としてきた傾向があり、人材派遣業界においても好んで採用されてきました。近年はリモートワークも主体となりつつあるため、飛び込み営業ではなく、Web会議ツールなどを使ったリモート営業も実施されています。
対面でのプレゼンや接客が必要な機会もまだまだ健在ですが、インサイドセールスは顧客との接点を増やし、長期的な関係を築いていく上で、非常に重宝されています。
フィールドセールスとは?インサイドセールスとの連携のポイント
インサイドセールスは、アポ取りにおいても有効です。Webからの問い合わせフォームに直接打ち合わせの申し込みを行ってもらったり、定期開催のウェビナーに参加してもらったりと、テレアポなどよりもはるかに効果的な結果が得られます。
アポ取りの主な3つの方法
アポ取りにおいて、現在は次の3つの方法が一般的であるとされています。それぞれについて解説しましょう。
電話
アポ取りの代表的なツールといえるのが電話です。
電話は問い合わせ窓口としては広く普及しているため、さまざまな要件で活用できる点が強みです。人材派遣会社も電話を使ったテレアポ・テレセールスを多用しており、さまざまな業界に向けてアプローチを続けています。
見込み客リストを使って営業の電話をかけるテレアポなどはその代表格ですが、近年は不動産や保険などの限られた業界でのみ用いられているため、汎用性のある手法であるとはいえません。
しかし、電話が営業活動においてまったく役に立っていないというわけではありません。前述のインサイドセールスにおいても電話は頻繁に活用されていますが、ここでの電話の役割は、顧客とのコミュニケーションにあります。
電話のメリットとして、顧客と直接会話が行えるというところにあります。簡単な質問や困りごとにも口頭で回答できるため、カスタマーサポートの向上やアンケートに答えてもらうための手段としても活躍します。
今後は、電話+αというセールスの形式が主流となるでしょう。
メール
2つ目の獲得方法がメールです。今では、メールも電話同様に世界的に普及している連絡手段であるため、誰に対しても効果的なアプローチが行える方法です。
一昔前はインターネット環境がなかったり、PCや携帯電話の使い方がわからなかったりする高齢者の方も多くいましたが、今では問題なくこれらのツールを使える人が増えたため、問題なく運用ができます。
特に日程調整などの相談をする際、メールはテキストでやり取りができるため、ミスなく意思疎通を取りやすい手段でもあります。
メールから自社サイトに遷移したり、クーポンを配布したりとさらなる自社サービスの活用にもつなげられるため、汎用性の高い手法です。
Web
アポ取りの新しい形として注目されているのがWebです。自社サイトやアプリのお問い合わせフォーム、あるいは予約申し込みフォームなどから個人情報や希望日程を伝えてもらい、円滑なアポイントメント獲得を促進できることが特徴です。
ただ、問い合わせフォームを設置しているだけでは、アポ取りを効率良く進めることはできません。魅力的なコンテンツの発信や、頻繁なSNSの更新によって注目度を高め、気軽に相談してもらえるようになることが理想です。
アポ取りの具体的なプロセス
次に、アポ取りの具体的なプロセスについて確認していきましょう。特に、インサイドセールスが主流となった現代では、顧客との関係性を考慮したセールス活動が重視されています。
以下の工程を意識し、アポ取りのプロセスを見直しましょう。
顧客との接点を創出する
一つ目のステップが、顧客との接点創出です。従来のように見込み客リストを参照し、いきなりアポを取ろうとするのでは、なかなかアポ獲得に貢献することは難しいものです。
そのため、まずは顧客が自社に興味を持ってもらえるよう、さまざまな媒体を通じて発信を進めていくことが大切です。ブログやSNS、動画などを使って情報発信に努め、見込み客の関心を集められるよう施策を進めていきましょう。
人材派遣業界のようなBtoBを扱う分野においても、サービスの認知度向上や問い合わせ増加に向けてWebの活用を進めています。自発的にアポ獲得へと動くことができれば、より接点を増やし、成約へとつなげやすくなります。
見込み客と直接的なコミュニケーションを行う
自社に関心を持ってもらうことができたら、次は見込み客とのコミュニケーションです。ウェビナーに参加してもらったり、見積もりなども兼ねてコンタクトをとってもらったりすることで、関係を深めていくことができます。
人材派遣業は元々対面営業の多い業界であるため、直接的なコミュニケーションについては得意とする傾向にあります。インサイドセールスなど新しいアポ取りの形を組み込みたい場合には、どうやって対面に持ち込めば良いか考えることが重要です。
直接的な対話を積み重ねることで、自社商品を購入してもらえる確度は非常に大きくなります。相談に対して丁寧な対応を心がけ、問題解決に向けたアプローチに取り組みましょう。
日程を調整し時間を確保する
基本的な関係を見込み客と築けた後は、自社商品を提供するためのアプローチを本格化していきます。一対一での対話機会を増やし、成約につなげられることが理想です。
その際、スムーズに日程調整できれば、競合に見込み客を奪われてしまうリスクを抑えられます。
どれだけ見込み客と関係を深めていても、競合よりも日程調整が遅れてしまうと、自社で成約を取ることが難しくなってしまいます。早いタイミングでアポ取りを行い、成約に結びつけましょう。
アポ取りにおける懸念点
アポ取りは顧客獲得に貢献する一方で、実施にあたってはいくつか懸念される項目もあります。たとえば、次のようなことが考えられます。
日程がうまく合わせられない
一つ目のトラブルが、日程調整の難航です。お互いにいくつかの日程候補を提示しているものの、うまく都合の良い日や時間を合わせることができず、実際にアポが取れるまでの期間が延びしてしまうことです。
電話であれメールであれ日程調整が難航してしまうケースは珍しくなく、調整がうまくいかないまま接点が途切れてしまうということもあり得ます。
顧客とのコミュニケーションがうまくいかない
2つ目の問題が、円滑なコミュニケーションがうまくいかないという点です。うまく顧客ニーズに応えようとしても、なかなか見込み客から悩みを引き出せなかったり、うまく自社の強みをアピールできなかったりと、関係値を高めていくことに苦慮する問題です。
関係が築けていないタイミングでアポを取ろうとしても、獲得できる見込みは低いため、別の対処法を心がけたいところです。
ダブルブッキングが発生する
3つ目の問題が、ダブルブッキングです。多くのアポが獲得できる機会に恵まれると、できるだけそれらのニーズに応えたいものですが、注意しておきたいのは日程が別の予定とかぶってしまうことです。
一度決定した日程を後から修正するというのは、自社だけでなく見込み客にも面倒を与えてしまうため、できる限り回避したいところです。不快な思いをさせて心象を悪くさせるのは、成約率にも悪影響を及ぼします。
最大限魅力的なセールスを実現するためにも、ダブルブッキングは優先的に回避したいところです。
アポ取りがうまくいかない営業マンの共通点
ここでは、アポ取りへ熱心に取り組んでいるのにも関わらず、なかなか成果につながらない営業マンの特徴について解説します。
アポ取りはがむしゃらに取り組めば良いというものではなく、ある程度試行錯誤を意識して実行しなければ成果にはつながりません。人材派遣会社のように、営業慣れしている相手にアポイントを取る必要があるとなると、なおさら手をかける必要があります。
アポ一件に対して時間をかけすぎている
営業マンによく見受けられるのが、アポひとつを獲得するのに時間をかけすぎてしまうというパターンです。確かに懇切丁寧に将来のクライアントとなり得る相手に対してアプローチをかけるということは大切ですが、とはいえ必ずしもアポを取り成約に結びつくとは限らないものです。
そのため、アポ取りの際に心がけるべきは、誠意と合理的判断のバランスを自分なりに見つけるということです。イチから見込み客を探し求めるのではなく、データベースから見込みのありそうな連絡先をピックアップし、効率よく良い関係を築けそうな相手を探しましょう。
実際にコミュニケーションを取る際にも、要点をうまく伝え、返事をもらえるようになれれば、成約率とアポ獲得の数の両方を伸ばすことができるようになります。
トークスクリプトを読むだけの営業をしている
二つ目のパターンが、トークスクリプトを読むだけの味気ない営業です。トークスクリプトを事前に用意し、バリエーション豊かな会話を展開することはテレアポにおいて重要ですが、ただスクリプトをそのまま読むだけでは効果はありません。
特に人材派遣会社のような日々営業を行っている組織では、アポ取り営業担当者のあしらい方についても熟知しています。「数をこなそうとすると、どうしても質が疎かになってしまう」という意見ももっともですが、時間負担を軽減する上で、見込み客とのコミュニケーションを疎かにするというのは最も回避すべき事態です。
スクリプトのバリエーションが少ない
トークスクリプトは事前に用意しておくと便利ですが、一本のシナリオだけですべてのアポ取りに対応できるとは限りません。担当者と直接話す前に、受付や部署内の異なる人物に担当者と代わってもらったり、担当者の習熟度によっても伝えるべき情報は異なったりします。
豊富なシチュエーションに対応するためにも、あらかじめ複数のシナリオを想定してスクリプトを作成しておきましょう。
見込み客とのコミュニケーションが成立していない
アポ取りは、必ずしもこちらが伝えたい情報を伝え切れば成約につながるというものではありません。アポ取りにおいて重要となるのは、相手とのキャッチボールを意識したコミュニケーションであるため、一方通行な情報伝達は控えたいところです。
営業トークの中で、相手がどんなことに困っているのか、どんな情報を求めているのか、不審に思われていないかなどを確認しながら、温度感を調節しつつアポ獲得に向けてシナリオを展開していく必要があります。
アポ取りを成功させるためのポイント
このような懸念点を解消する上で有効なのが、次のようなポイントを押さえておくことです。自社で取り組むことができているか、確認しておきましょう。
レスポンスはできる限り迅速に行う
1つ目は、素早いレスポンスの実践です。日程調整がうまくいかない理由として、日取りの確定前に予定が入ってしまい、アポ取りが前に進まないというものです。
そのため、アクションがあった際にはすぐに返信し、迅速に予定を埋めてしまうことが大切です。日程調整を面倒と捉えず、すぐに日を押さえる習慣を定着させましょう。
見込み客との関係性を考慮する
2つ目のポイントは、あくまでも双方向のコミュニケーションを意識し、見込み客との関係構築に努めることです。
近年注目を集めているインサイドセールスは、受け手の関心度を高め成約に結びつけるという手法です。まずは魅力的なコンテンツを発信し、見込み客に「ぜひ話を聞きたい」と感じてもらえるよう促しましょう。
成約につながるアポ取りを進めたい場合は、どの見込み客がどれくらい自社に関心を持っているのかなどをスコア化し、優先順位の高い人に向けてアプローチできる体制を整えることが理想的です。
見込み客との関係値が高くなればなるほど、難易度が高いとされている会社や業界に対してテレアポを行った際も、好意的な反応を示してくれるようになります。まずは効果的に関係性を深められるよう、接点を増やす取り組みに力を入れましょう。
スケジュール管理体制を見直す
3つ目のポイントが、スケジュール管理体制の見直しです。
アポ取りを効率的に行うためには、担当者がアポ取りに時間をかけられるよう、余計な負担を軽減してやる必要があります。営業担当者間でお互いにスケジュールを可視化できる取り組みを行い、誰がいつ対応可能かを迅速に判断できるよう整備しましょう。
個人でスケジュール管理を行っていると、組織的にアポ取りを行い、柔軟に対応することが難しくなります。思い込みでダブルブッキングが発生する可能性もあるため、リアルタイムで管理できる仕組みの整備が重要です。
アポ取りに活躍するおすすめのツール
最後に、アポ取りにおいて活躍が期待できるツールを3つ紹介します。自社ニーズに合わせて最適なツールを導入しましょう。
ノリスケ日程調整
ノリスケ日程調整は株式会社N2iが提供しているツールで、Googleカレンダーと連携してスケジューリングを行うことができます。アポの所要時間や移動時間などを入力すれば、自動でスケジュールに合わせて最適な日取りを自動で算出してくれます。
ダブルブッキングのリスクを防ぎ、迅速な調整を実現します。
料金プラン(1ライセンスあたり)
- 無料
公式サイト
GeAIne
GeAIneは、エッジテクノロジー株式会社が提供するサービスで、AI技術を活用し新規開拓営業をサポートしてくれます。ダイレクトメールの送信や、問い合わせフォームから案内を送信する作業を自動化できるため、効率良くアポ取りを進められます。
成約に直結する決裁者の開封率向上に最適なアプローチを自動的に選択してくれる機能も有しており、アポ獲得の精度を高めることにも役立ちます。
料金プラン(1ライセンスあたり)
- 40,000円~/月(2,000件~/月)
公式サイト
ListA
ListAはエコノス株式会社が提供するアポ取りツールで、自動でリスト作成を行ってくれるため、新規顧客開拓の効率化を実現できます。Web上に散在するデータを自動収集してくれるため、リサーチ業務の負担を軽減することが可能です。
ターゲットを正確に絞り込むことで無駄な作業を削減し、非効率なDMの送信なども回避できるため、成約率の向上に貢献します。
料金プラン(1ライセンスあたり)
- 11,000円/月(20,000/件数)
- 44,000円/月(件数無制限)
公式サイト
まとめ
アポ取りにおける問題点や、アポイントメント獲得の効率を高めるための手法について解説しました。
アポ取りは今も昔も変わらない有用性がある一方、そのアプローチについては少しずつ変化を遂げています。インサイドセールスが台頭する昨今のトレンドも踏まえ、効率的な手法を開拓していきましょう。
当社ディップ株式会社では、人材派遣業界の営業DXを支援する「HRコボットfor営業リスト」と「HRコボットforアポ獲得支援」を提供しています。
「HRコボットfor営業リスト」は、新規開拓営業の中で非常に重要な営業リストの作成を効率化するサービスです。複数の求人媒体から得た市場の80%を網羅する情報を用いて、細かい検索条件で絞り込むことで効果的な営業リストを作成します。
検索機能が優れているうえに、初めての方でも使いやすい操作性を備えており、最短1分で最適な営業先をリストアップすることが可能です。リストアップ作業が効率化することにより、その他の営業活動等の重要業務に専念できるようになります。
また、「HRコボットforアポ獲得支援」は、人材派遣業界に精通したスタッフが、質の高いアポイントの獲得を行うテレアポ代行サービスです。過去の実績に基づいたアポ率が高いトークスクリプトを用いてテレアポ業務を行い、アポに至らなかった見込み客に対してもヒアリングを実施し納品します。
そのため、今後の営業活動にも活かせる新規開拓のノウハウを蓄積でき、長期を見据えた新規顧客開拓の支援が可能です。
新規開拓営業はなかなか成果につながらず、苦手としている従業員も多くいます。しかし、企業が持続的に成長するためには、新規開拓営業は欠かすことはできません。
営業活動を効率化したい・最適化したいと考えている場合は、自社で取り組みを行うよりも営業支援サービスを利用した方が費用対効果が高い場合もあります。「HRコボットfor営業リスト」や「HRコボットforアポ獲得支援」に少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽に当社ディップ株式会社までご連絡ください。