介護業界の人手不足がやばいって本当?現状や企業ができる対策

人手不足で職場が崩壊する悪影響は?職場崩壊を回避する方法

人手不足で職場が崩壊する悪影響は?職場崩壊を回避する方法

人手不足の職場は組織の崩壊につながりかねません。企業が存続するためには、早い段階で対策をすることが大切です。

人手不足だと業務量が偏りやすく、従業員にも大きな負担がのしかかります。これにより、モチベーションの低下からサービスの質も落ちてしまい企業の評価も下がってしまうのです。

しかし、対策するための人材もいないのに、どうすればよいのかわからないというケースもあるでしょう。
この記事では、人手不足による職場崩壊を回避するための対策について解説します。具体的にどのような対策をしたらよいのかわからない方は、ぜひ参考になさってください。

職場の組織崩壊とは?

職場崩壊とは、組織の機能が正常に動かなくなった状況を指します。機能不全に陥った組織は、目標達成はおろか、従業員のパフォーマンスの低下などさまざまな悪影響を及ぼす恐れがあるのです。

こうした組織崩壊は唐突に起こるものではありません。以下のような前兆があり、少しずつ崩壊していきます。

  • モチベーションの低下による業績悪化
  • 離職率の向上による人材不足
  • 内部対立やパワハラなどの問題
  • 信用度が低下して取引先が離れていく

企業の規模を問わず、こうした前兆があらわれ始めた時点で、組織は崩壊に向けて動き出しているのです。前兆の時点で改善に取り組むことができれば、職場の組織崩壊を避けることができます。

人手不足で職場が崩壊する前兆

人手不足が原因で職場が崩壊する前兆として、離職者の増加があげられます。特に優秀な社員や若手社員が離職していくのは、見逃してはいけない重要な兆候のひとつです。

優秀な社員は、企業が組織の問題点を放置していることに気が付きます。また、企業そのものに将来性が感じられないとモチベーションが低下して、他企業へ意識が向いてしまうのです。

意識が外に向いてしまうことで、仕事における改善や他者とのコミュニケーションなども積極的に行わなくなり、退職を決意してしまいます。

残された従業員は問題とあわせて、業務量も増えることから、心身ともに負担が大きく疲れが取れない状況で働くことになるのです。

このような状況では社内のコミュニケーションがうまく取れません。当然、社内の雰囲気は悪くなるでしょう。若手社員は経験も少ないため、こうした雰囲気は耐えられず退職してしまう可能性が高まります。

人手不足による職場崩壊が及ぼす悪影響

人手不足になると、一人ひとりの業務量が増えて今をこなすのが精いっぱいの状況になります。

そのため、企業の成長を考えたり、モチベーションを維持したりするのが難しくなるのです。ここでは、人手不足による職場崩壊が及ぼす悪影響について紹介します。

従業員が休めず残業や休日出勤が続く

人手不足の職場は、従業員が1人では対応できない業務量を抱えています。例えば、従業員1人につき1.5人分の作業が振られているような状況です。

当然、1日の労働時間内で終わるものではありません。そのため、残業や休日出勤が常態化しています。終業後や休日に休むことができないため、体調不調に陥りやすくなるのです。

心身に疲労が蓄積された状況では、正常な判断は難しくなります。ミスが増えて、自己嫌悪に陥った結果、過労死という最悪の事態になる恐れも考えなければなりません。

従業員や管理職の退職が続く

残業や休日出勤が常態化すると、残された従業員は耐えられなくなります。管理職も辞めていくような状況だと、現場を指揮するものも不足している状況です。

退職者が増えると、残された従業員の負担は重くなり、また退職者が出るなど人手不足の深刻度は増していきます。

また、適正な評価制度がないことも離職理由のひとつです。どんなに努力をしても、評価につながらないことからモチベーションが低下して退職を決意するといったケースも少なくありません。

提供するサービスの質が低下する

人手不足に陥っている職場は、これまで通りに働くことが難しくなっているため、提供するサービスの品質が低下していきます。

顧客や取引先が満足するサービスを提供できなかったり、迷惑をかけたりしてしまうことが続くと信頼性を疑うようになり、依頼する仕事量を減らされたり、打ち切られたりする恐れがあります。

これにより、取引先の減少や顧客離れが進むことで、企業の成長力も低下し、市場における優位性を保つことができなくなってしまうのです。

従業員のモラルが欠落して社内の雰囲気が悪くなる

従業員や管理職がどんどん辞めて人手不足に陥ると、業務の多忙さから気持ちにゆとりをもつことが難しくなります。

仕事に対する愚痴や文句が増えるだけではなく、パワハラやセクハラなどが横行しやすくなるのです。こうした従業員のモラルが欠落した職場は、新入社員が入ってきてもすぐに辞めてしまいます。

通年で募集をかけていると中途採用の応募も来なくなり、ますます残された従業員の負担が増えてしまうのです。

これらを改善するには、従業員の意見をもとに改善策を考えなければなりません。意見を伝えやすいように、匿名アンケートなどを実施するとよいでしょう。

労働環境の悪評が広がる恐れがある

人手不足による職場崩壊は内部だけの問題ではありません。顧客や取引先からの信用は、企業の継続的な経営に大きな影響を及ぼします。

一度失った信用を取り戻すのは非常に困難ですし、求職者に悪評が届いてしまう可能性も少なくありません。

近年は現職者や退職者が企業の評価を口コミとして、転職サイトなどに掲載することができます。求職者は就職や転職活動のなかで、こうした口コミを見て判断することが多いのです。

口コミから職場環境が伝わり、企業のブランドイメージに悪影響を及ぼす恐れがあります。こうなるといくら募集をかけても、求職者からの応募が集まりません。人手不足そのものの解決が難しくなるのです。

会社が倒産する

人手不足が深刻化すると、従業員の負担が増えます。管理職や優秀な人材の退職が続くと、残された従業員の業務が通常通りに回らなくなります。

人手不足のなかでどうにかサービスの質を維持するには、それなりにコストがかかるものです。確保できる予算もなくなると、市場での競争力も低下します。

こうなると企業の衰退は止まりません。顧客離れが起こり、売上も減少し、企業が倒産する可能性も高くなります。

企業が存続するためには、問題の本質を見極めて、適切な改善を行うことが重要です。

人手不足の責任は会社にある

人手不足に陥る原因として、退職者の増加や応募者の減少などがありますが、どれも根本的な責任は会社にあるのです。ここでは、人手不足の責任が会社にある理由について解説します。

雇用のミスマッチがある

人手不足を解消するには、人員を補充しなければなりません。

しかし、多くの応募者を集めるために募集要項で会社の良い面ばかりを伝えていては、入社後のギャップが大きく、早期離職につながる恐れがあります。

求職者を獲得することは重要ですが、採用活動をやり直すほうが会社にとって損失が大きいのです。これは会社に期待して応募した求職者にとっても損失となります。

募集をかけるときは、どんなに不都合な事実でも隠さずに伝えることが大切です。有給休暇や産休育休の取得率、求めるスキルなどを正確に提示することで、雇用のミスマッチを防ぐことができます。

採用が間に合っていない

既存社員の年齢構成比によって、人手不足のリスクは変わってきます。例えば、団塊世代が多い職場の場合、一定数の従業員が一斉退職することで、人手不足に陥りやすいのです。

近い将来、一斉退職の可能性が考えられる場合は、早急に対策を進めなければなりません。

理想的な従業員の年齢構成比として、「ピラミッド型」があげられます。「ピラミッド型」は、若い従業員の比率がもっとも大きく、年齢が上がると人数が減少する構成です。

しかし、若い世代は経験が少ないこともあり、あまりにも多く採用するとサービスの質が低下する可能性があります。そのため、若手やベテランまで比率を大きく設けない形状を検討しなければなりません。

また、今後労働人口の減少が進むと、若い人材を求める企業は増えていきます。早期離職をさせないために、適切な評価制度の導入やベテラン従業員のマネジメント研修など、組織全体の刷新も検討することが大切です。

採用コストの予算を確保できていない

正社員の求人募集を出す場合、1人あたり約100万円の採用コストがかかるといわれています。人手不足で収益もないなかで、採用コストの予算を確保するのは困難です。

気軽に求人募集をかけることができないために、現場の人手不足に拍車がかかり、従業員に負担がかかってしまいます。

悪化していく職場環境を放置していると、残された従業員も退職を決めてしまうでしょう。

こうした状況は会社に責任があります。経営陣はどうにかして採用活動のための予算を確保する姿勢を見せることが大切です。

残業が多く有休も取りづらい環境になっている

有給休暇の取得は労働者の権利であり、残業代の支給は会社の義務です。有給休暇が取得しづらい環境や、残業代を支給しないといった環境は改善しなければなりません。

また、有給休暇とは別で最低でも105日の年間休日の設置が必要です。

年間休日には、労基法で定められた法定休日と企業が独自で設定する法定外休日も含まれます。法定休日は、夏季休暇・年末年始休暇などのことです。

労働時間の上限週40時間も踏まえて逆算すると、以下のように年間休日は最低105日になります。

365日÷7日×週の所定労働時間40時間=2085.7時間

2085.7時間÷所定労働時間8時間=年間の所定労働日数260日

365日-260日=105日

年間休日の最低ライン105日を下回る場合、労基法違反として罰則が科せられるため注意が必要です。

「令和5年就労条件総合調査」によると、1企業あたりの年間休日総数の平均日数は110.7日、労働者1人あたりの平均は115.6日です。

引用:令和5年就労条件総合調査

年間休日120~129日で設定している企業が多いことから、従業員の満足度や求職者からの応募を集めるには、有給休暇の取得推進や残業代の適正な支給、平均的な年間休日の設定が求められます。

特に人手不足が深刻な業界

労働人口の減少により人手不足の業界は多くありますが、特に人手不足が深刻な業界を紹介します。

医療・福祉業

医療・福祉業界は、少子高齢化の影響を受けて需要の増加により、人手不足が深刻化しています。特に介護職は労働内容に対して賃金が低く、夜勤対応など負担の大きさから離職率も高い職種です。

医療従事者は高度な専門知識が求められるうえに、肉体的・精神的な負担が大きく、長時間労働や研修期間の長さから人員の確保が難しい職種といわれています。

2025年には団塊世代が後期高齢者となるため、医療・福祉業界の人手不足解消は急務です。

国は新たな介護職員を確保するため、労働環境や賃上げなど環境の改善に取り組んでいることから、働きやすい環境の整備が期待されています。

運送業

運送業も人手不足が深刻です。現役のドライバーは高齢化が進んでいます。長時間労働が常態化していたため、2024年4月より時間外労働に上限が設けられました。

ドライバーはもともと給与水準が高い職種ではありません。長時間労働や荷役作業など肉体的にもハードな環境のため、若い人材が不足している業界でした。

しかし、時間外労働が制限されたことで手当が減少し、ドライバーの収入は減少してしまいます。生活を支えるためにドライバーを辞めてしまう人が増えてしまうかもしれません。

ドライバーの人手不足は輸送能力の低下を招く恐れもあることから、ICTを活用した業務効率化などが推進されています。

建設業

建設業は、肉体的にハードな職種であるため、若い世代からの関心が低く、かつベテラン労働者の減少により人手不足に陥っている業種です。

人手不足の要因は休日の取りにくさ、過酷な労働環境、雇用の不安定さがあげられます。特に施工に携わる技能労働者のなり手は減少が進んでおり、高齢の技能労働者の退職も迫り、労働力の確保が急務です。

建設業も2024年4月より、時間外労働に上限が設けられました。さらにスキルアップの機会の提供と現場の安全管理の徹底など、労働環境の見直しと改善が行われています。

製造業

製造業は高度な技術が求められる職種が多いものの、若い世代の関心の低さやベテラン人材の退職などが原因で人手不足に陥っている業種です。

企業側としては原材料の高騰などもあり、採用するための予算を確保できないこともあげられます。

製造業の人手不足を解消するには、従業員の育成・能力開発に取り組める環境の整備や労働環境の整備が重要です。

情報サービス業

業務DXの推進など、さまざまな業界でDX化を担う人材が不足しています。一見、意外に思われますが、IT需要が急激に拡大したことと、少子高齢化による最先端のIT知識をもつ人材が不足しているのです。

特に人手不足が深刻な業界は、業務効率化を目的にICT(情報通信技術)の活用が推進されています。

しかし、高度な技術に対応できる人材の不足が懸念されており、確保するためのあらゆる施策が講じられているのが現状です。

IT人材は建築業や医療・福祉業、製造業、教育業界などほぼすべての業界で求められています。最先端の技術を身につけて活躍してもらうためには、能力開発やキャリア育成などの時間を提供することが大切です。

飲食・サービス業

飲食・サービス業も長時間労働や休日の少なさ、低い賃金により人手不足に陥っている業種です。

低い賃金であるにも関わらず高いレベルの接客が求められるといった労働条件の厳しさ、季節や時間帯によって需要が変動しやすいことも理由でしょう。

また、長期的な雇用を前提に働く人が少ないのも飲食・サービス業の特徴です。離職率が高く、不安定な労働環境から若い世代の業界離れが加速しています。

人手不足による職場崩壊を回避するために会社がすべきこと

人手不足による職場崩壊を回避するためには、アウトソーシングやICTの活用、職場環境の改善、適正な評価制度の導入などがあげられます。すべて会社が主導で取り組めることです。

具体的な取り組み方法について解説します。

アウトソーシングや自動化の活用

残っている従業員だけでは業務を回せない場合、アウトソーシングの活用がおすすめです。

アウトソーシングとは、業務の一部を外部の企業へ委託する方法を指します。バックオフィス業務などノンコア業務を外部へ委託することで、コア業務に専念できるというわけです。

人材派遣のように専門スキルをもつ人材を採用する方法もあります。

こうした仕組みを構築することで、本来の業務に集中できるため、サービスの質の低下を防ぐことが可能です。

従業員の負担軽減には、ICTツールの導入など業務のDX化も欠かせません。ルーティン業務を自動化することで、少ない人数でもこれまで通りの業務を遂行することができます。

働きやすい環境に改善

従業員の離職を防ぐためには、働きやすい環境づくりが重要です。近年はワークライフバランスが重視されるようになり、特に若い世代は働きやすい環境を求めています。

まずは、テレワークやフレックスタイムを導入して働き方そのものに選択肢を与えましょう。ライフスタイルにあわせた働き方を用意することで、多様な人材からの応募が期待できます。

つぎに福利厚生の見直しです。従業員のモチベーションに関わるため、既存の従業員の声をもとに必要な手当や制度の導入を検討します。

社内風土はおもに人間関係や労働環境の部分です。特に人間関係は離職理由の上位に入るため、改善点を洗い出して、一つひとつ対処していきます。

適正な評価制度の導入

どんなに仕事を頑張っても、評価されないと感じるとモチベーションは下がってしまいます。適正な評価制度を導入することで、従業員のモチベーションを向上させ、退職を防ぐことが期待できるのです。

例えば、目標管理(MBO)やコンピテンシー評価があげられます。

目標管理(MBO)は目標の達成度を評価する方法で、具体的な目標にもとづいて定量的に評価できます。評価内容も明瞭なため、従業員もモチベーションを維持しやすいのが特徴です。

コンピテンシー評価は、行動から生み出した結果にもとづいて評価します。従業員の能力や問題を解決するための思考、コミュニケーション力などを定量的に評価する方法です。

導入する評価制度が決定したら、従業員に納得してもらうことが大切です。人事や上司から評価制度の内容を説明する機会を設けましょう。

社内の人間関係を構築

働きやすい職場をつくるには、良好な人間関係の構築は欠かせません。社内のコミュニケーションを活性化させましょう。

良い雰囲気の職場は心理的安全性が高く、従業員の退職を防げる効果が期待できます。

コミュニケーションを深める方法として、上司と部下で面談をする「1on1」や、後輩の抱える悩みや問題解決をサポートする「メンター制度」などが効果的です。

こうしたコミュニケーションで信頼関係が築かれていると、業務負担が増えたりトラブルが発生したりしても、協力しあって乗り越えられるようになります。

ほかにも、気軽にコミュニケーションがとれるように、休憩スペースやリラックススペースなど、オフィスインテリアの見直しも検討しましょう。

多種多様な人材の採用の増加

人手不足を解消するには、採用人数を増やして対応できる体制を整えることが重要です。しかし、募集を出したからといって、求める人材からの応募が集まるわけではありません。

そもそも、これまで採用人数が少なかった原因はなんでしょうか。

採用フローが長い場合、他社で採用が決まり面接辞退などが起こりやすくなります。面接が1次~3次まであるなら、2次面接で決定するなど採用フローを見直しましょう。

また、採用条件が厳しいことも応募者数が増えにくい要因です。求めるスキルが高すぎないか、担う業務内容は明確なものなのか、配属予定の部署長とも相談をして決めます。

こうして決めた内容は募集要項に明示することが大切です。会社の都合が悪いことがあっても隠さずに伝えることで、信用度が高まり、応募につなげることができます。

まとめ:人手不足による職場崩壊を回避するために会社の環境と人材の採用を見直そう!

人手不足による職場崩壊は、企業の衰退を意味します。最悪の場合、倒産の可能性も高まるため、予兆の段階で対策を講じることが大切です。

人手不足を解消するには、職場環境の改善と合わせて人材の採用も進めていきましょう。採用工数を抑えながら、求職者へアピールするには「採用ページコボット」の活用がおすすめです。

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「欲しい人材が応募してこない」「応募者が少ない」といった課題を解決できます。応募者の管理や求人情報の修正も簡単にできるため、スムーズに求める人材を採用することが可能です。

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