経営者の立場から見ると、優秀とされる人材ほど手放したくはなく、可能な限り長く所属してほしいものです。しかし現代においては自分のキャリアパスを優先に考え、それに合わせて転職をすることが一般的になっています。
本記事は優秀な人ほど見切りが早いとされる理由や、貴重な人材の離職を防ぐための対策を紹介します。
環境改善を行って、優秀な人に長く働いてもらえる会社づくりをしていきましょう。
優秀な人ほど見切りが早い理由
まずはなぜ優秀な人ほど見切りが早いとされているのか、その理由から解説していきます。
どのような観点で見切りをつけているかを知ることで取れる対策もありますので、把握しておきましょう。
行動力と決断力が高い
優秀な人の特徴として、まず行動力と決断力の高さがあります。
自分や周りの環境がどのような状況下にあるのかを的確に判断することができ、それに対して迅速に決断を下す力を持っているのが優秀とされる理由のひとつです。
また、一度判断を下したら、実際に行動に移すまでにも時間をかけません。
企業の中でも重要なプロジェクトなどを任されるような人材は、この行動力や判断力を必要とされています。ビジネスを成功に導ける人材は、重要な決断が早くすぐに行動できる人たちです。
つまりそれは自らのキャリアに関しても迅速かつ大胆な決断を下せるということに繋がるのです。
明確な目標とキャリアプランを持っている
今後自分がどうなりたいのか、どのような成長を望んでおり、それを叶えるにはどうするべきなのか。優秀な人は自分の明確なキャリアプランを持っています。
所属している企業で得られるスキルや経験などから自分の目標が達成できるかどうかを逆算して考えており、そこから逸脱するようであればすぐに転職などの判断をします。それは、目標達成できない企業に長居する理由がないからです。
優秀な人は目の前の利益だけを追ったり、楽しみだけを考えたりはしません。自分のキャリアがどうであるか、冷静に判断しています。
そのため目標を達成することでもすぐに見切りをつけ、転職活動を始めることも特徴です。
成長できる環境を求めている
優秀な人は明確にキャリアプランを持っていることから、常に成長できる環境を求めている場合が多いです。
スキルや経験などを向上させ自分自身を成長させることが重要と考え、今の職場がそれに見合っているのか常に考えています。
成長するために何が必要か、どんな環境であることが望ましいかなどの理想があり、日頃から現状を比較しています。
優秀な人は、現状に満足するのではなく、常に新しい目標を設定しそれを達成する喜びを強く感じています。そのため成長が停滞するような環境であったり、成長の機会がないなどと判断した場合は、早期に見切りをつけ、新しい環境を求めて離職してしまうこともあります。
時間を無駄にすることを嫌う
時間は誰にとっても平等に流れているもの、だからこそ優秀な人はタイム・イズ・マネーの考えを人一倍持っています。
20代や30代というそれぞれの世代で、その時にしか得られない経験やスキルがあることを強く意識しており、目標を達成するまでの具体的な期限を明確に持っています。
つまりそれが達成できないと判断した場合や、望んでいない場所で現状維持することは時間の無駄であるという考えになり、結果として転職活動につながっていきます。
過ぎてしまった時間は取り戻せないということは誰しもが理解していることですが、優秀な人ほどその時間をしっかり自分に使えるように行動するのです。
変化を恐れない
優秀な人の多くは、環境の変化によって多くの成功体験をしている傾向にあります。
環境が変わればそれまで培ってきたノウハウは全てリセットされてしまうので、環境の変化には前向きになれないのは当然です。変化したことで悪い状況になることも避けたいと思うのが一般的でしょう。
ですが、優秀な人は変化そのものをポジティブにとらえており、今の職場が良い環境といえなければ別の職場へ移ることで変化させるということを恐れません。
仮に転職した先の環境が今よりも悪くなる状況になったとしても、また転職すればいいと考えるほどのポジティブな思考の持ち主です。
転職することによるリスクよりも、変化が起きず同じ場所に留まり続けることをリスクと考えています。
優秀な人が辞めることによる職場への影響
どんな職場であっても、優秀な人が転職などで辞めてしまうと大きな影響を与えることになります。優秀な人が辞めると、職場にとって具体的にどのような影響があるのかを解説していきます。
職場の雰囲気が悪くなる
優秀な人が会社に見切りをつけて辞めてしまったり転職してしまった場合、まず考えられる影響が職場の雰囲気が悪くなってしまうことです。
優秀な人という評価を受ける人材は、職場のでも責任のある立場にあり、大きな仕事を任されていることが多いです。そういった人物が抜けることは、職場に与える影響力も総じて大きくなります。
たとえ辞めた本人の理由がポジティブであっても、優秀な人材が抜けることは、多くの人にとってネガティブに感じられることが多いです。
辞めた人材が戻ることは望めないですし、すぐに代わりとなる人が現れるか不明な状態は、職場の雰囲気が悪くなりモチベーション低下の原因となるのです。
生産性が低下する
優秀な人であるからこそその人が持っているスキルは大きなものです。それが失われるということは、そのまま生産性が低下することを意味しています。
人員が減るということだけでも生産性を重視するような会社であれば痛手となりますが、それが優秀な人であった場合はさらに大きく低下させてしまいます。
優秀な人の能力を優先的に上げることが生産性向上や効率アップの施策とされていることを考えると、そういった人物の離職というものは会社にとって損失です。
また影響力の話でも触れましたが、優秀な人が辞めたことで職場の雰囲気が悪くなるとそれだけでモチベーションが下がり、そのまま生産性の低下につながってしまいます。
優秀な人が逃げる会社の特徴
優秀な人が辞める要因は色々ありますが、それらが会社側にあることも把握しておくべきです。
どのような会社が優秀な人を逃してしまうのか、その特徴を解説していきます。自社が当てはまらないか、確認していきましょう。
成長機会が少ない
優秀な人は明確なキャリアプランを持っており、常に成長できることを望んでいます。そのため成長機会が少なく、キャリアアップにつながらない会社は見切りをつけられてしまいます。
特に変化のない決まった仕事ばかり与えられていると、新たなスキルや経験が得られず、自身の成長を実感できなくなります。そうなると優秀な人が転職を考えるのは時間の問題です。
成長できない環境は優秀とされる人にとってはモチベーションの維持ができません。
キャリアプランがはっきりしており先を見据えているからこそ、現状でどれほど成長できるのかを常に気にしているという認識をもっておくべきでしょう。
評価制度が不透明・不公平
きちんとした評価制度はどんな企業や会社であっても求められるものです。適正な評価を受けられない、評価制度そのものが不透明で不公平と感じられる職場は優秀な人に限らず人材を逃してしまう会社と言えます。
公正な評価が受けられないということは、どれだけ貢献したとしても給料や賞与に反映されないということです。そのような職場に長く勤めようと思う方が少ないでしょう。
優秀な人は自分に必要な給料や、能力に見合った評価を受けられる環境の大切さを深く理解しています。業務の成果がどのように評価されており、それがどんな形で反映するのかは会社として明確にしておかなければすぐに見切りをつけられてしまうでしょう。
長時間労働が常態化している
現代では労働のあり方が問題視されていることもあって、極端な長時間労働は少なくなってきました。
しかし依然として長時間労働が当たり前になってしまい、常態化している会社が全くないとも言い切れないのが実情です。
そうした会社は優秀な人にとってはただ時間を浪費することもあり、少しでも時間を無駄にしたくない人からは見切りをつけられる要因となります。また、長時間労働は単純に従業員のモチベーションを下げてしまいます。
そのうえ、長時間労働が常態化しているような職場環境では労働時間に見合った対価が支払われていないことも多く、健康面でも悪影響のため早期に見切りをつけられてしまう環境と言えるでしょう。
職場環境が旧態依然している
昨今では働き方改革などもあり、会社そのものの在り方も多様性が受け入れられるようになってきました。そのような時代の流れに合わせられず、職場環境が旧態依存してしまっている場合も優秀な人を逃してしまいます。
今では多くの会社が取り入れるようになったリモートワークが検討すらされていなかったり、会社の飲み会への強制参加などは既に時代遅れです。
大きく時代が動いている時に、会社が追いついていないと他社との差が明確に出てしまいます。それは必ず転職時に比較される要素となります。
職場の環境が旧態依存したままの会社に、優秀な人が将来性を見出せないことは当然です。
職場の人間関係が悪い
職場の人間関係はときに、業務内容以上に大きなストレスとなります。
社員同士のコミュニケーション不足やパワハラ・セクハラなどのハラスメントの問題は転職を考えるきっかけに直結します。
職種にもよりますが、仕事は基本的に個で動くものではありません。情報共有をおこなったり、連携して進めていくべき業務が多く存在します。コミュニケーション不足はそのような問題を引き起こしてしまい、優秀な人にはよりストレスに感じてしまいます。
ハラスメントなどの問題が横行している職場も劣悪な環境であり、そのような職場から優秀な人が離れていくことは避けられないでしょう。
人間関係が原因で優秀な人材の転職などあった場合、それに続いて離職者が出ることも多いので注意すべき特徴です。
優秀な人が辞める前兆
優秀な人が会社に見切りをつけ辞めようと判断した際にどのような変化があるでしょうか。
ここからは優秀な人が辞める前兆を解説していきます。以下のような特徴の従業員が自社にいないか確認してみましょう。
定時退社するようになり有給休暇の消化が増える
優秀な人が辞める前兆として、転職活動の時間を確保するため有給休暇の消化が増えたり、残業などせずに定時で帰るという傾向があります。
転職活動は面接や試験を受けるなど、まとまった時間を必要とします。それまでの頻度に比べて有給休暇の取得が増加した場合は、転職活動のための時間を確保していると考えていいでしょう。
そうでない場合は、既に次の転職先が決まっているということも考えられます。
また転職すると決めた、もしくはその予定がある場合は会社への貢献度も低下していきます。
残業などの時間の浪費も極力抑えるようになるため、定時退社が目に見えて増えるのも前兆と言っていいでしょう。
会議で発言しなくなる
優秀な人は会議の場でも積極的に発言し、チームを引っ張っていく存在です。しかし会議での発言・発信が明らかに減っている場合は転職の前兆と見ていいでしょう。
意見を出すということは、まだその人の中で発言することで会社や環境を変えようという意思が働いている状態です。
ですが転職を決めてしまうと、いくら発言したところで改善が見込めないという諦めの状態になり、結果として会議での発言が減っていくこととなります。
またこの段階で転職を決めていないとしても、発信をせずに静観することで周りの状況を確認している可能性も考えられます。
以前に比べて発信が減ったなと感じる人がいる場合は注意すべきです。
コミュニケーションを避けるようになる
会社に所属していると組織の中での人間関係は、良くも悪くも必ず付きまとう要素です。
当然その中で飲み会やイベントも行われますが、そのようなコミュニケーションの場を避けるようになったら辞める前兆の可能性があります。
優秀な人は辞めると決めた会社で親交を深める必要性を感じておらず、最低限のコミュニケーションしか取らなくなります。冷たく感じるかもしれませんが、そもそも変化を恐れず次のステップを見ている人だからこその兆候です。
同僚や部下だけでなく、上司や会社に対しても同様で愚痴や不満すら言わなくなっていきます。
転職の相談なども基本的には社内の人間には行わないこともコミュニケーションが減る理由のひとつです。
優秀な人の離職を防ぐために会社がすべきこと
ここまで紹介してきたように、優秀な人は自分の中の基準を明確にもっており、そしてその前兆もはっきりしている場合が多いです。
優秀な人の離職を防ぐために会社がするべきことをまとめましたので、参考にしてみてください。
評価制度を見直す
まず優秀な人は自身の評価に敏感です。転職を決める理由にも起因しているように、客観的で透明性の高い評価制度を確立させることが重要です。
従来の評価制度に固執していては改善も難しいので、そのような場合は人事評価システムの導入も検討しましょう。
また、人事評価システムは、人材情報を一元管理するなどして業務の効率化を実現するためのシステムで、導入することで精密で公正な評価を行うことが可能となります。
システムを導入することで、先入観や親近感といった人事評価エラーを抑えられ評価基準がブレることがなくなります。
優秀な人を逃さないためには、従業員を正しく評価できる制度を作り上げましょう。
職場環境を改善する
働きやすい職場環境であればそれだけで離職を防ぐことも可能です。現状の職場環境を改善し、柔軟な働き方がしやすい環境を構築することを意識してみましょう。
コロナ禍もあり多くの会社で導入されることになったテレワークは、落ち着いた今でも継続して行なっている会社は多いです。
古い体制にこだわって強制的に出社を呼びかける会社も稀にありますが、現代には合わないと感じる方も多いでしょう。
また育児や介護などを抱えている人も考慮し、ワークライフバランスの見直しを図ることも離職を防ぐための重要なポイントです。
他にもハラスメントが横行していないか、長時間労働が常態化していないかなど職場全体の問題を総ざらいし改善してみましょう。
採用活動を見直す
優秀な人は見切りが早いとされるのは、やはり入社後のミスマッチなどによって早期離職となってしまう問題も含まれています。こうした早期離職を防ぐためには、採用活動そのものや人材育成施策を見直すことが重要となります。
入社後のフォロー面談をおこなったり、OFF-JTやOJTに力を入れることも大切ですが、それ以前の採用活動の段階で求職者の求める情報をしっかりと提示し、ミスマッチを防ぐこともポイントです。
現状の採用活動に悩んでいるようであれば、「採用ページコボット」のようなツールが役立ちます。プロが監修することで求職者が欲しい情報を的確に伝える採用サイト製作をサポートしてもらえます。
採用工数も削減できるのでコスト削減にも貢献します。
まとめ：優秀な人材の離職を防ぐための対策は極めて重要
優秀な人は常に会社や周りのことを、そして自分自身の立ち位置をよく把握しています。兆候も比較的わかりやすいので、早めの対策を打ちましょう。
会社にとって大きく貢献してくれる人材を逃さないためには、職場環境の見直しや採用活動に力をいれていくことが大切です。
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