給与明細の「電子化」とは?作成方法や補完におけるメリット

2022/02/15 コボットコラム
給与明細

給与明細は、社員のスキルや労働時間、役職等に応じて会社から支払われた給与を明記したものです。労働基準法に基づき3年以上の保管が義務付けられていますが、紙やエクセルでの管理は正確性に課題を抱えています。

給与計算には豊富な知識が問われるため、誰もが簡単にできる業務ではありません。業務量が増えるとミスの確率も高くなり、余計なコストが増えます。

給与明細を電子化することによって、業務負担軽減とミスの削減を両立することができます。今回は、給与明細の記載内容・アナログ管理が抱える課題・電子化のメリットなどについて解説します。

給与明細の記載項目

給与明細の記載項目は、主に「支給」「控除」「勤怠」の3種類に分けられます。控除は所属企業や年齢、居住地によって金額が異なります。ここでは、詳しい内容を解説していきます。

支給額

会社から得られる給与は、在籍年数やスキル、年齢によって算出された基本給に加え、残業代と手当が加算されます。

残業代は法定時間内残業(1日8時間、週40時間)の場合、次のように算出されます。

  • ・残業代=時給×1.25(割増率)×時間数

深夜残業は、割増率1.5として計算します。法定時間外の残業発生時も割増率1.5で計算されますが、36協定を締結する必要があることには注意が必要です。

また、社員の会社内でのポジションやライフスタイルに応じて、役職手当や家族手当、住宅手当などが支給されます。

控除額

控除には、「法定控除」と「協定控除」の2種類があります。

法定控除は、健康保険料や介護保険料、厚生年金など、法律によって給与からの控除を認めた税金や保険料です。一方、協定控除は労使協定に合意した内容のみ控除され、社宅費や財形貯蓄、組合費などが該当します。

今回は法定控除に絞り、具体的に内容をお伝えしていきます。

健康保険料

健康保険料は毎月の給与額に応じて算出され、会社と社員で折半して払う保険料です。支払率は所属する企業の規模によって異なります。

中小企業に勤めている場合は、会社を通じて協会けんぽ(全国健康保険協会)に加盟し、都道府県ごとの保険料率に応じて支払額を算出します。少子高齢化の影響で年々保険料率は上がっており、令和3年時点で全国平均は約10%(会社:5%、社員:5%)に達しました。

一方、中堅企業や大企業に勤めている場合は企業ごとに設立した健康保険組合に加入し、保険料を支払います。平均は9.2%となっていますが、福利厚生の一環で企業側が多く支払っているケースもあります。

介護保険料

介護保険は40歳以上の方は自動的に加入が義務付けられ、毎月の給与から差し引かれる税金です。毎年4月〜6月分に得た給与額を平均し、報酬区分に当てはめた額を会社と折半します。

注意しなければならないのは、支払いが始まる時期です。たとえば、2月1日生まれの方は社会保険の計算上、誕生日前日から年齢を一つ重ねると見なされるため、誕生月の給与から支払いがスタートします。1日生まれの方のみ適用されるので、事前のアナウンスが重要です。

雇用保険料

雇用保険料は、病気や育児、介護等によって失業や休職した際、再就職に至るまでに受け取れるお金です。生活に必要なお金を確保しながら、就職活動や職業訓練に励めます。

厚労省が発表した令和3年の雇用保険料率では、労働者の負担は3/1000(または4/1000)となっています。

厚生年金

厚生年金は、会社員を対象にした公的年金です。公的年金の支払いで、国民年金も同時に納めたと見なされます。

保険料は、月給と賞与を同じ掛け率で換算し、会社と折半する形です。

  • ・月額保険料=標準報酬額×18.3%×0.5
  • ・賞与時の保険料=標準賞与額×18.3%×0.5

また、厚生年金を支払うと、老齢厚生年金や障害厚生年金、遺族厚生年金を得られます。

所得税

所得税は、仕事で得た所得に対する税金です。1年間で得た総収入から社会保険料や経費を引き、一定の税率を適用して所得税を算出します。

累進課税制度により、収入が多い方ほど所得税は高くなり、最高で税率45%に至る金額を納付しなければなりません。また、失業手当や育児休業給付金、遺族年金等は非課税対象として扱われるため、混乱が起きないよう事前のアナウンスが重要です。

住民税

住民税は、都道府県が提供する公的サービスの質を維持するために住民が負担する税金です。居住地に応じて負担額は異なります。

前年に得た所得を計算し企業が支払いを代行しますので、社員の方が申告する必要はありません。また、入社1年目の社員は課税対象の給与がないため、2年目から支払い義務が発生します。

勤怠

勤怠の項目に関しては、労働時間や残業時間、有給消化数、有給残日数等が明記されます。

毎月の給与額に大きく関係してくるのは残業時間です。時間外労働の時間数に応じた支払いが行われているか、社員に給与明細を受け取った後必ず確認を行うよう指導が必要です。

給与明細の保管期間

3年分の給与明細は保管しておく体制を取りましょう。労働基準法において、賃金台帳の保管は3年と決められているためです。

さらに、2年以内に退職した社員から失業給付金や残業代の支払い請求があった場合、すぐに給与明細を破棄していた場合は対応できません。管理不十分で罰則が課せられるとパブリックイメージの悪化につながりますので、注意が必要です。

また、副業を認めている場合は、社員の確定申告作成資料に給与明細が必要になるため、5年分の保管が必要です。

最低3年分保管が必要

退職した社員からの要望と労働基準法へ対応するために、最低3年分は保管が必要です。失業給付金や残業代の未払い請求は2年分請求できるため、結婚や出産で退職した女性社員から支払いを要求されるケースがあります。

パート・アルバイトや派遣社員の方も雇用保険に入っていれば適用されるため、注意が必要です。また、労働者名簿・タイムカード・賃金台帳などは労働基準法第109条で3年分の保管が決まっています。違反すると罰金を課せられることには注意してください。

働き方の多様化で最長5年分まで保管がベスト

副業を許可している場合、社員が確定申告の書類作成に使用するため、5年間の保管が必要です。経費控除や所得税の還付は5年分請求できるからです。

ブログ運営やWebライティング、FX等、副業で年間20万円以上の収入を得た方は雑所得として確定申告が必要です。

また、本業のみで2,000万円以上の収入を得ている方は年末調整が行われず、配偶者特別控除や住宅ローン控除も受けられません。源泉徴収に不備があると税務署から指導を受けることになりますので、自ら確定申告を行う必要があります。

副業以外にも、確定申告を行う必要があるケースには次のようなものがあります。

確定申告が必要な場合

  • ・不動産を売却した場合
  • ・投資等で20万円以上の収入を得た場合
  • ・2ヶ所以上の企業から給与を得ている場合
  • ・転職前に源泉徴収を実施しなかった場合

給与明細を紛失した社員への再発行は可能な限り対応

社員の中には、給与明細を紛失する方もいます。

再発行は法的に義務付けられておらず、各企業の判断に委ねられていますが、給与明細の再発行自体は可能です。労働基準法に基づき、賃金台帳は最低3年保管しなければならないからです。

3年を待たずに破棄している場合は法律違反に該当しますので、管理方法を見直さなければなりません。

給与明細の保管方法

最もポピュラーな方法は、ファイルやバインダーに保管する方法です。初期費用やランニングコストが最小限で済み、手軽に保管できます。

一方、電子データで保存する場合は紛失や盗難を回避でき、個人情報が漏れるリスクを最小限に抑えられます。

ファイリング

ファイリングは、ファイルやバインダーに保管しておく方法です。導入コストが安く済むだけでなく、年度別に保管しておけば探す時間も最小限で済みます。

契約書類とは異なり、発行枚数は1枚なので、専用スペースを設けても邪魔になるリスクを抑えられます。

電子データ

社内システム上にPDF化して保管することで、スマートフォンやPCからいつでも給与明細を確認できます。紛失や盗難の心配もせず、保管スペースを取ることもありません。

また、セキュリティ対策に優れたクラウドサービスにデータを管理しておくと、個人情報の漏洩リスクを最小限に抑えられます。

給与明細作成における課題

給与計算

紙やエクセルで管理している場合、担当者の業務負担は大きなものです。給与業務は煩雑な計算を多く伴うため、誰もがすぐに対応できるわけではないからです。

特に、月末・年末調整・法改正時は優秀な社員に業務が集中し、残業時間が増える傾向にあります。

経理や総務担当者の負担増大

紙やエクセルで管理しておくと、正確性の担保が難しくなります。通常業務に加えて人事異動や年末調整が重なると手が回らず、ミスのリスクも大きくなるからです。

データの誤入力に気付かず給与明細に印字した場合、修正作業に対応しなければなりません。さらに、給与計算における知識やノウハウを習得するには時間が掛かるため、特定の担当者に負担が集中します。

コスト増大

紙で給与明細を発行している場合は、従業員数が多いほど印刷や封入、発送費用がかさみます。紛失をした社員に対しても再発行の手続きを行わなければならず、手間が増えます。

法改正のたびに変更が必要

労働基準法改変や税制改正に応じた対応が求められるため、管理者の負担が大きくなります。2018年と2020年に配偶者控除・配偶者特別控除の改正が行われ、所得が1,000万円以上の世帯は配偶者控除を適用できなくなりました。

一方、配偶者特別控除を望む場合、配偶者の収入が201万円以下まで適用対象として扱われます。元々、配偶者が専業主婦であることを前提としている控除です。しかし、正社員の賃金停滞が長引き、多くの方がパートやアルバイトで働いています。

今回の改正で、配偶者控除の所得が「48万円以上133万円」と「103万円以上201万円以下」に設定され、どちらかを選ぶ形になりました。トラブルが起きないよう共働きの従業員には説明を行うなど、細心の配慮が求められます。

また、「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」の分割提出が求められ、書類作成の手間が増えました。

個人情報の管理

紙で給与明細を発行している限り、セキュリティ面での不安はつきまといます。社員が通勤時や外出先で給与明細を紛失する可能性があるからです。

給与明細が第三者に渡ると、個人情報が漏洩し悪用される場合があります。そのため、社内や自宅での確認に限定するなど、紛失リスクを抑えるための配慮が求められます。

また、在宅勤務の社員に給与明細を送る場合、住所を間違えると個人情報漏洩につながります。

給与明細電子化のメリット

システム上でデータの作成や保存、管理を一元化できることで、給与業務を効率的に進められます。複雑な計算業務を自動化できるからです。業務フローの効率化で、人事異動や年末調整での負担を最小限に抑えられます。

また、ペーパーレス化によってコストカットや在宅勤務の導入も実現できます。

担当者の業務負担軽減

給与明細の業務フローを効率化できるため、担当者の負担を大幅に削減できます。給与計算や源泉徴収、年末調整等、煩雑な業務をシステム上で処理できるからです。

時間の掛かる計算業務を自動化し、ヒューマンエラーの削減と作業効率改善が期待できます。さらに、源泉所得税率や厚生年金の保険料率変更があった場合でも自動的に対応するシステムも多く、法改正に伴う業務負担の増大を最小限に抑えられます。

コストカット

給与明細の電子化によって印刷や封入、発送等の作業を行う必要がなくなり、印刷代や郵送代を削減できます。システム上で各社員の給与明細をアップロードできますので、印刷ミスやプリンターの故障に伴う作業遅延に悩まされる心配も要りません。

業務の集約によって人的リソースを確保し、ワークライフバランス改善や仕事のモチベーションアップを実現できます。

在宅勤務の導入

時間や場所を問わない働き方が実現できます。給与業務をシステム上で完結できるため、必ずしも出社して仕事を行う必要がなくなるからです。

在宅勤務の導入により、通勤ラッシュに伴う心身の消耗を抑えられるだけでなく、社員一人ひとりが自分のペースで仕事に励めますので、集中力アップが期待できます。

また、自宅で仕事に励める環境を整備することで、結婚・出産・育児に伴う女性社員の退職を防げます。優秀な人材の確保・離職率低下・パブリックイメージ向上など、企業にとっても多くのメリットが望めます。

在宅勤務で得られるメリット

社員 企業
・通勤での心身への負担軽減
・通勤時間の有効活用
・新型コロナウイルス対策
・生活拠点の選択肢が拡大
・多様な働き方を選択可能
・優秀な人材の確保
・地域に囚われない採用を実施
・オフィス賃料や交通費を削減
・社員の健康保護
・パブリックイメージ改善

給与明細を電子化することにより、スマートフォンやノートパソコンから好きなタイミングで給与明細を確認できるようになります。自宅や移動中、外出先等いつでも確認できる他、紛失や盗難の心配も要りません。

好きなときに給与明細を確認可能

さらに、システムログイン時にパスワード設定を課すると、仮にメールで誤送信が起きた場合であっても、個人情報の漏洩を防げます。給与明細の電子化によって、場所を問わず閲覧可能な体制とセキュリティ対策強化の両立を図れるのです。

まとめ

給与明細の記載内容やアナログ管理で直面している課題などに触れてきました。今後は業務効率改善やコスト削減を目指し、給与計算システムを使った電子データでの保存が増えると予想されています。

ただし、給与計算システムを導入する前に自社が抱えている課題を可視化するようにしてください。導入目的が曖昧のまま選定作業を進めると、ミスマッチが起きる可能性が高くなります。

また、併せて在宅勤務を導入すると、ワークライフバランス改善が期待できます。

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