企業の業務効率化を実現するRPAですが、RPAツールの提供を受ける際、どのタイプ 選べばいいのか分からない担当者もいることでしょう。「安く導入できるクラウド型をとりあえず導入しよう」と考えている担当者がいるかもしれませんが、導入が情報漏洩のきっかけを招いてしまう恐れもあるため、提供タイプ選びは慎重に行う必要があります。
今回は現在提供されているRPAツールの提供タイプを3つに区分し、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。自社に合ったRPAツールを選ぶことができれば、デメリットもメリット同様に捉えることが可能なため、ぜひRPAツール選びの参考としてみてください。
RPAの種類
RPAはRPA提供会社からの提供タイプによって3つに分類されます。
・クラウド型
・オンプレミス型
・インストール型
3つの提供タイプのうち、最も大量のRPAロボットを作成でき、一括管理しやすいのは「オンプレミス型」となります。自社でサーバーを保有し、その中にRPAを導入するという形式です。しかし、高機能であるために導入コストに数百万、月額コストで数十万かかってしまうことも多く、導入ハードルが高いのが実情です。
「クラウド型」や「インストール型」は比較的安価で導入が可能ですが、情報漏洩の問題や処理速度がパソコンのスペックに依存するといった問題も抱えています。
クラウド型のメリット・デメリット
クラウド型RPAのメリット・デメリットは以下の通りです。
・運用ストレスが少ない
・情報漏洩のリスクがある
クラウド型RPAはWebサービスとして提供されているRPAを利用するため、ベンダー側が自動で機能改善や機能追加を行ってくれます。その一方で業務を自動化するために情報をアップロードする必要があり、情報漏洩のリスクが残ってしまいます。
運用ストレスがない
RPA運用では社内のRPAロボットの管理体制を構築したり、定期的なメンテナンスを行ったりする必要がありますが、Webサービスとして提供されるクラウド型はベンダー側が管理・保守業務を行ってくれます。
もちろん自社でもRPAロボットが動作エラーを起こした際の対応フローなどを決めておく必要がありますが、ロボットの復旧作業をベンダー側で行ってくれる場合も多いため、運用ストレスが少ないのがメリットといえます。
情報漏洩のリスクがある
クラウド型RPAのデメリットは情報漏洩のリスクがあることです。クラウド型RPAの特性上、自社のパソコンのローカル環境にあるデータなどが操作しにくく、一度クラウド上へアップロードする必要があります。
インターネット上にアップロードされた情報は何らかのきっかけで漏洩するリスクがあるため、クラウド型RPAを利用する際は「アップロードしても良い情報」と「アップロードすべきでない情報」を分けることが重要です。
サーバー型のメリット・デメリット
サーバー型RPAのメリット・デメリットは次の通りです。
・大量のRPAロボットを作成・管理できる
・高機能なため導入費・維持費が高額
サーバー型(オンプレミス型)RPAは自社設備内にあるサーバー上にRPA環境を構築することで利用することができます。多数のRPAロボットを同時に稼働させることに長けており、自社設備内で完結するため情報漏洩のリスクもありません。
大量のRPAロボットを作成・管理できる
サーバー型RPAの特徴はRPAロボットを大量に保有し、一元管理できることです。クラウド型やインストール型と違って処理容量も大きいため、複数稼働との相性も良いとされています。
近年ではサーバー型(オンプレミス型)のクラウド型も登場しており、RPAベンダーが用意したデータセンターにRPA環境を置くようなタイプも選択することができます。
高機能なため導入費・維持費が高額
サーバー型RPAのデメリットは導入費・維持費が高額である点です。導入費用で数百万、毎月の維持費が数十万かかることも珍しくなく、大企業の資金力でなければとても導入できないという企業も多いことでしょう。
インストール型のメリット・デメリット
インストール型RPAはパソコン1台ごとに導入するRPAのことを指していますが、メリット・デメリットは以下のようになっています。
・管理が容易
・組織的な共有などに不向き
インストール型RPAはインストールしたパソコンに依存するため、管理が容易であることがメリットです。また、RPAロボットもパソコンに依存して動作を行うため、セキュリティ面の心配もありません。ただし、RPAロボットの組織的な共有には向かないため、自動化する業務を見定めた後で利用を決める必要があります。
管理が容易
インストール型の最大のメリットは管理が容易な点です。インストールしたパソコンに依存するため、パソコンの持ち主がRPAロボットの持ち主だとすぐに紐付けることができます。
また、個々のパソコンにインストールするため、動作に関するセキュリティもパソコンの設定に依存するメリットがあります。
組織的な共有などに不向き
インストール型RPAのデメリットは組織的な共有に不向きである点です。個々のパソコンで行う小規模な作業処理に長けているため、組織的に利用することも難しいでしょう。
また、インストール型RPAの処理速度はインストールしたパソコンのスペックに依存するため、Excelマクロで膨大なデータ処理を実行した時のように動作が重くなってしまう可能性もあります。
RPAツールの選び方
RPAには3つの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがありましたが、自社に合ったRPAツールの選び方も合わせて覚えておきたいところです。
・自社用にカスタマイズする必要性
・自社の業務規模に合った機能・価格
・継続的な運用が可能
RPAツールを選ぶポイントは、自社がRPAに対して期待する効果や、自社の業務規模によって分ける必要があるということです。「どのような業態の企業にもクラウド型RPAが良い」というわけではなく、自社に適したRPA提供タイプなのかを判断することが重要といえます。
自社用にカスタマイズする必要性
RPAツールにはカスタマイズ性が高いものと低いものがあります。カスタマイズ性が高いものはあらゆる業務に合わせて機能を変更できますが、有効活用するためには専門知識が必要となる場合もあるのです。自社用にカスタマイズする必要性があるかを判断した後で、分野特化型のRPAツールを選ぶなどの工夫が必要といえるでしょう。
自社の業務規模に合った機能・価格
RPAツールの利用範囲を明確に定めた上で、自社の業務規模に合ったRPAツールを選びましょう。また、比較的安価に導入できる「クラウド型」や「インストール型」も、業務自動化によって得られる効果から選ぶようにすると、経費コストの削減につなげることができます。
継続的な運用が可能
RPAツールは導入して運用を行い、継続的なメンテナンスが必要となるツールです。したがって、自社にRPAの分野に明るい人がいなければ、RPAベンダーのサポートを受けて機能調整・新規ロボットの開発を行うのがベストプラクティスといえます。
まとめ
RPAには3つの提供タイプがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。デメリットといわれる部分は業務規模や業務内容によってメリットとして捉えることもできるため、自社に合ったRPA選びが必要不可欠です。RPA運用を成功させるためにも、RPAツール選びは時間をかけるべきフェーズといえるでしょう。