RPAは雇用を奪わない!デジタルレイバーと創る未来の労働環境とは│コボットLAB

RPAは雇用を奪わない!デジタルレイバーと創る未来の労働環境とは

  • 2020年10月6日
  • 2022年10月11日
  • RPA

RPAは業務を自動化する便利ツールとして注目を集めていますが、同時に「RPA=人の雇用を奪う存在」と一部で大きな誤解が生まれている現状があります。
デジタル化が進み、「あらゆる仕事がAIに奪われてしまう」という言説が世の中に広がっている中、企業のRPA導入は本当に雇用を奪う選択となるのでしょうか。

今回は「RPA」と「雇用」に焦点を当て、RPA導入によるロボット創出のメリット・デメリットを解説し、想定される将来の「人とデジタルレイバーの協働体制」について説明していきます。

RPAは雇用を奪うのか?

結論からいうと、RPAが雇用を奪うことはありません。RPAは従来人間が行っていた「単純作業」や「ルーチン作業」を自動化しますが、適用できる業務範囲には技術的限界があり、企業全体の業務で担う業務範囲は約1~2割に留まります。RPAが自動化する業務は「人間の判断が要らないルーチン作業」と定義されるように、企業における業務プロセスの中でも導入可能な工程は限られるのが現状なのです。

RPAの本質は「人とデジタルレイバーの協働」

RPAツールを導入・開発すると、指示した作業を24時間休まずに実行するロボットが誕生します。

RPAによって作られたロボットは「デジタルレイバー(仮想的労働者)」とも呼ばれ、人間がこれまで担ってきた知的業務をこなす重要な労働力であり、人と協働することによって大きな成果をもたらします。

デジタルレイバーは労働人口の減少でサービスパフォーマンスの低下が懸念される将来の企業・自治体を支える労働力として注目を集めていますが、あらゆる業務を任せるにはロボットを開発する専門的な知識と労力が必要となります。

つまり、RPAツールで開発したロボットは指示された動作を正しく実行するだけの自動化ツールに留まっているため、ある業務プロセスの一部をロボットが行い、残りの部分は人間が行う、といった協働体制が必須となるのです。

また、RPAは「業務効率化を実現する魔法のようなツール」と誤解されることがありますが、実際は「ルール変更の少ない単純作業の処理速度を速める自動化ツール」となります。つまり、ルールにない(指示されていない)作業は処理できず、人による判断・処理が必要となるのです。

デジタルレイバーのメリット

RPAで自動化できる業務範囲は限られますが、いくつかのメリットがあります。

・24時間休まずに働き続ける
・指示された動作をミスなく実行する

デジタルレイバーはソフトウェアとして既存のシステムやパソコンで導入・運用されるため、24時間休まずに働き続けるメリットがあります。また、デジタルレイバーが担当する業務は「単純で膨大な量の処理を必要とする業務」となります。したがって、デジタルレイバーは社員数名がかりで対応していた事務作業を休まずにミスなく代行してくれる存在となり、人間はデジタルレイバーのおかげでコア業務に集中することが可能になるのです。

デジタルレイバーのデメリット

デジタルレイバーにはソフトウェアならではのメリットがある一方で、デメリットもいくつか存在します。

・動作停止による業務停止リスクが高まる
・自動化した業務のノウハウが失われる

デジタルレイバーはルール変更が少ない業務の処理を得意としていますが、一度ルール変更があると途端に処理を停止してしまう特徴があります。デジタルレイバーが特定業務の処理を中断した際に、社内で特定業務のノウハウが失われていた場合は業務自体が停止してしまう恐れもあるのです。

デジタルレイバーによって業務を自動化する場合は業務内容や手順を常に把握しておき、動作が停止した際に「人間が代わりに実行できるような体制」を構築しておくことが重要です。

近い将来、人はデジタルレイバーのまとめ役になる

RPAの導入が人の雇用を奪うことはなく、人とデジタルレイバー(RPAロボット)の協働体制をメリット・デメリットの視点から解説していきましたが、近い将来の人とデジタルレイバーは「上司と部下」のような関係になると推測されます。なぜなら、RPAがAIとの連携によって機能拡張を遂げている現状があり、今後RPAを適用できる業務範囲が拡大していくからです。

RPAで自動化できる業務範囲が拡大することで、人間は必然的に「RPAが適正に動作しているか」を管理する側に役割を移すことになります。現在の企業における「RPA担当者」が様々な部署に存在するようになり、さらにRPA担当者らを統括する監督者が各企業に複数人存在する体制が構築されることでしょう。

また、人とデジタルレイバーの「上司と部下の関係」は遠い未来の企業に求められる理想の働き方ではなく、総務省がDXレポートで指摘した「2025年の壁問題」のように、近い将来で実現されるべき課題となります。つまり、RPAの導入を考える企業は、5年後に照準を合わせてRPAの導入・デジタルレイバーとの協働体制を考えていく必要があるのです。

人とデジタルレイバーの協働体制を実現するためには、まず社内の業務をRPA導入によって自動化し、徐々に適用できる業務範囲をAIとの連携によって拡大していくことが重要となります。デジタルレイバーが完全に人から離れるのはまだ先の話ですが、「上司と部下」のような協働体制は近い未来に待っていることを覚えておきましょう。

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