年末調整の電子化のやり方は?メリット・デメリットと準備の方法│コボットLAB

年末調整の電子化のやり方は?メリット・デメリットと準備の方法

年末調整で社員から提出される書類の管理に、頭を悩ませている企業の担当者も多いのではないでしょうか?実は、年末調整の作業については電子化が可能で、電子化を導入することでこれまで年末調整にかかっていた労力を大幅に削減できます。

今回は、年末調整の電子化について、メリットやデメリット、導入するための準備方法などを徹底解説します。年末調整のわずわらしさから解放されたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

年末調整の電子化とは

年末調整の電子化とは、その名のとおり年末調整の作業を電子化し、紙ではなくデータで管理することです。

年末調整とは、簡単にいえばその年の税金を確定させるための最終調整のようなものです。税金を過剰に払っていれば還付され、足りなければ徴収されます。企業は、年末調整を終えることで、はじめて納税を完了させるのです。

従来の年末調整では、企業が年末調整で必要な各種書類を用意し従業員に配布した後に、再び従業員が記入し終えた書類を回収するという流れでした。年末調整は必要書類の準備や回収、回収後の書類の確認作業など、とにかく時間と手間がかかることが特徴です。毎年12月の年末調整の時期が来るたびに、頭を抱えている総務や経理担当の方も多いでしょう。

年末調整の電子化を導入すれば、会社側と従業員側の双方の負担が大幅に軽減されます。年末調整の電子化で具体的にどういったメリットがあるのか、会社側と従業員側のそれぞれについて解説します。

年末調整の電子化によるメリット:会社側

年末調整の電子化によるメリット(会社側)は、次の3つです。

  • ペーパーレス化で作業の手間が省ける(会社側)
  • 書類保管によるコストがかからない(会社側)
  • 控除額の確認作業が不要になる(会社側)

それぞれについて詳しく解説します。

ペーパーレス化で手間が省ける

年末調整の電子化によるメリット1つ目は、ペーパーレス化で会社側の作業の手間が省けることです。

従来の年末調整では、まず企業側は対象となる従業員分の書類を用意する必要がありました。必要書類を用意したら対象となる従業員に書類を配布し、期日までに従業員に書類を記入してもらいます。

その後、記入し終えた書類を回収し、1枚1枚間違いがないかを確認し、間違いがあれば修正手続きを依頼するといった流れでした。特に、従業員の数が多い大企業の場合、膨大な数の書類の配布や回収が必要となるため、多くの手間と時間がかかります。

年末調整を電子化すれば、書類の配布や回収といった作業がなくなるため、大幅な効率化が可能です。また、控除証明書の添付漏れといった人的ミスもなくなるため、確認作業の手間も大幅に省けます。

書類保管によるコストがかからない

年末調整の電子化によるメリット2つ目は、書類保管によるコストがかからないことです。

大企業の場合、年末調整の対象となる従業員の数も多いため、大量の書類を保管するスペースが必要となります。さらに、年末調整の書類は個人情報が記入された機密書類になるため、厳重なセキュリティのもと管理しなければなりません。

企業によってはセキュリティ性の高い保管スペースを用意し、管理している場合もあるでしょう。一方、年末調整の電子化でペーパーレスになれば、保管スペースの確保は必要なくなります。

スペースの確保にかかっていたコストを削減したり、空いたスペースを有効活用したりすることでオフィスの整理整頓にもつながります。

控除額の確認作業が不要になる

年末調整の電子化によるメリット3つ目は、控除額の確認作業が不要になることです。

年末調整の作業で特に大変なのが、従業員から提出された書類に記載された「控除額」の確認作業です。添付された控除申告書の金額と、書類に記入された金額に間違いがないか確認した上に、計算が間違っていないか検算する必要もあります。

当然のことながら、記入間違いや計算間違いなどがあれば従業員に修正依頼を出さなければならず、その度に手間と負担が発生します。

一方、年末調整を電子化すれば、控除額の検算や集計作業はすべてソフトウェアでの自動化が可能。担当者の負担が大幅に軽減します。手作業よりも正確さが向上するため、従業員への修正依頼や記入内容の問い合わせといった負担の軽減にもつながります。

年末調整の電子化によるメリット:従業員側

年末調整の電子化による従業員側のメリットは、手書き作業による煩わしさがないことです。

従業員が年末調整の書類を作成する場合、手書きでの作成に加え、電卓などを使い自分で控除額を計算する必要がありました。手作業で作成するため、書き間違いや計算間違いによる二度手間が発生することもあります。そのため、書類の作成自体を煩わしく感じる従業員も少なくありません。

一方、年末調整を電子化すれば紙ではなくデータでの提出が可能となり、手作業による煩わしさから解放されます。また、生命保険の控除証明書なども、データで簡単に確認できます。紙のように書類をなくして再発行の手続きをするといった手間もありません。

年末調整の電子化によるデメリット:注意点

年末調整の電子化によるデメリットは、主に次の2つです。

  • ネット環境を整える必要がある
  • 電子化のルールやシステムの統一が必要

それぞれについて解説しましょう。

ネット環境を整える必要がある

年末調整の電子化によるデメリットの1つ目は、ネット環境を整える必要があることです。

年末調整の電子化を導入するためには、まず社員がスムーズに電子データの作成ができるようにネット環境を整備しなければなりません。中には、PCやスマートフォンの操作に慣れていない社員もいるでしょう。そういった社員へ向けてのサポート体制の構築も重要です。

電子化のルールやシステムの統一が必要

年末調整の電子化によるデメリットの2つ目は、電子化のルールやシステムの統一が必要だということです。電子化へ向けての社内ルールを整備しておかないと、いざ電子化がスタートした際に戸惑う社員が続出する可能性があります。

「よくわからないから紙に戻してくれ!」といわれ、結局これまでどおりの年末調整に戻してしまえば本末転倒です。導入前にしっかりと全社員に対して説明し、ルールを策定しましょう。

また、導入後にはいつでも相談できるようなサポート体制を構築しておけば、より安心です。さらに、人的な課題だけではなく、使用するソフトウェアと自社システムをどのように掛け合わせるかといった、システム面での課題も考えておく必要があります。

当然ながら、電子化導入の際には、システム改修面での追加業務が発生する可能性があります。業務負担の影響も考慮しつつ、電子化を進めるべきか検討しましょう。

年末調整の電子化で準備すべきこと:会社側

年末調整の電子化で準備すべきこと(会社側)は、主に次の2つです。

  • 給与システムへの反映作業
  • 従業員への周知徹底

それぞれ詳しく解説します。

給与システムへの反映作業

会社側が年末調整の電子化で準備すべきことの1つ目は、給与システムへの反映作業です。

年末調整の電子化を導入するためには、会社側は社員から受け取る年末調整の申告書や控除署名書などのデータを、給与システムに反映させなければなりません。従業員から提出された電子データを給与システムへとインポートし、正確な年税額を算出するためのシステム改修が必要です。

従業員への周知徹底

会社側が年末調整の電子化で準備すべきことの2つ目は、従業員に対しての周知徹底です。年末調整の電子化がスタートすれば、会社側だけではなく従業員側も事前の準備等が必要になります。

また、会社側が従業員に対して周知する際には、次の3つのポイントを重点的に説明しましょう。

  • 年末調整申告書のデータを作成するためのツールを準備すること
  • マイナポータルとの連携で控除証明書のデータを取得できること
  • 各保険会社のマイページなどからも、控除証明書のデータを取得できること(マイナンバーカードない場合)

年末調整の電子化で準備すべきこと:従業員側

年末調整の電子化

年末調整の電子化で準備すべきこと(従業員側)は、次の2つです。

  • データ作成用のソフトウェアを取得する
  • 控除証明書などのデータを取得する

それぞれについて解説しましょう。

データ作成用のソフトウェアを取得する

従業員側が年末調整の電子化で準備すべきことの1つ目は、データ作成用のソフトウェアを取得することです。取得するソフトウェアについては、会社側が指定してきたものを取得しましょう。

ちなみに、国税庁が提供する「年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア」を使う場合は、事前にPCへのインストールが必要になります。また、民間企業のソフトウェアを利用する際も、事前にIDやパスワードなどの設定が必要です。

どちらを利用するにしても、会社側に指示された方法で準備を進めましょう。

控除証明書等のデータを取得する

従業員側が年末調整の電子化で準備すべきことの2つ目は、控除証明書などのデータを取得することです。控除証明書などをデータで取得する場合、「マイナンバーカード」の有無で取得方法が変わります。

保険会社のマイページなどから取得する

マイナンバーカードを所有していない場合は、保険会社のマイページなどから控除証明書のデータを取得します。基本的には、控除証明書は契約者専用のマイページなどからデータを取得できます。

取得方法がわからなければ、各保険会社のサポートに問い合わせてみましょう。

マイナポータルで取得する

マイナンバーカードを所有している場合は、マイナポータルと連携することで一括して控除証明書のデータを取得できます。マイナポータルを利用するには、「マイナンバーカード」「マイナポータルアプリ」「スマートフォン(マイナポータルアプリ対応機種)」が必要です。

ちなみに、マイナポータルアプリ対応のスマートフォンの機種は、マイナポータルの公式サイトにて確認できます。マイナポータル上で加入している保険会社の証券番号などを入力することで、控除証明書がマイナポータル経由で取得できるようになります。

年末調整の電子化Q&A

年末調整の電子化について、よくあるQ&Aをまとめました。年末調整の電子化を導入する際には、ぜひ参考にしてみてください。

電子データで提出できる書類は何ですか?

2022年9月時点で、電子データで提出できる書類は次のとおりです。

電子化が認められている書類電子化が認められている添付書類
・給与所得者の基礎控除申告書
・給与所得者の扶養控除等申告書
・従たる給与についての扶養控除等申告書
・給与所得者の配偶者控除等申告書
・給与所得者の保険料控除申告書
・給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
・退職所得の受給に関する申告書 ・所得金額調整控除申告書
・公的年金等の受給者の扶養親族等申告書  
・生命保険料控除証明書
・地震保険料控除証明書
・特定口座年間取引報告書
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
・寄附金の受領証
・寄附金控除に関する証明書(特定事業者発行用)

参照元:令和3年分 年末調整のしかた|国税庁

2022年4月以降は、これまで年末調整の電子化に必要だった税務署長への届け出も不要になり、ますます電子化がしやすくなりました。政府が年末調整の電子化を積極的に進めているため、電子化が可能な書類の種類も大幅に増加しています。

電子化された場合の手続きの流れは?

年末調整が電子化された場合の、基本的な手続きの流れは次のとおりです。

  1. 保険会社の控除証明書などのデータを取得する(従業員)
  2. 取得したデータと年末調整控除申告書作成用のツールを利用して、年末調整申告書を電子データで作成する(従業員)
  3. 従業員が作成した年末調整申告書の電子データおよび控除証明書などの電子データを受け取る(会社)
  4. 提供された電子データを給与システムなどに反映させて、年税額を計算する(会社)

年末調整が電子化されれば、面倒だった書類の配布や回収といった作業がなくなるため、業務効率が大幅にアップします。

「年調ソフト」とは?

年調ソフトとは、国税庁が無償で提供している「年末調整に関わる申告書の作成アプリ」です。国税庁のホームページからPCやスマートフォンへのインストールが可能で、年末調整の申告書の作成に役立ちます。

無償で使えるため便利ですが、住宅借入金等特別控除が正しく算出されないなどの不具合も発生しています(現在は解消済み)。

利用する際は国税庁のホームページを確認し、不具合などが発生していないか定期的に確認しておきましょう。

まとめ

年末調整の電子化について、電子化することで得られるメリットやデメリット、電子化するための準備方法などについて解説しました。年末調整が電子化すれば、ペーパーレス化で作業の手間が省けたり、控除額の検算が不要になったりするなどのメリットがあります。

ただし、年末調整の電子化を導入するにあたっては、社内システムの構築と従業員の周知徹底が重要となります。

社内業務のペーパーレス化で役に立つのが、当社ディップ株式会社が提供する人事労務コボットです。

「人事労務コボット」は、入社手続きや雇用契約に関わる書類をペーパーレス化し、作業時間を大幅に短縮できるツールです。従業員の承諾が必要な雇用契約書や誓約書などの作成や送付、締結といった一連の流れをオンライン上で完結させます。

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人事労務コボットの導入後は、ディップのカスタマーサクセスチーム(CS)が専任でクライアントに対応します。情報管理や浸透状態を把握し、人事労務コボットの活用を徹底的にサポートすることで、導入を成功に導いています。

今回お伝えした内容を参考に、年末調整の電子化と併せて社内業務のペーパーレス化を検討してみてはいかがでしょうか?

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