休眠顧客の掘り起こしの電話営業は、新規開拓営業よりも確度が高く、アプローチがしやすいことがメリットとしてあげられます。電話をかける前に顧客リストを作成したり、最新情報を収集して分析したりといった作業が必要です。
本記事では、休眠顧客の掘り起こしに電話を活用するメリット、電話営業前の下準備やコツ、重要ポイントについて解説します。
そもそも休眠顧客とは
休眠顧客とは、過去に取引のあった顧客や連絡が途絶えた顧客を指します。
休眠顧客の扱いは商品やサービスによって異なりますが、定期購入や利用が停止してしばらくたった時点で休眠顧客と認定されるのがほとんどです。
とくにBtoBビジネスは契約金額が大きいため、顧客の購買行動も慎重になります。検討期間が長くなることで優先順位が低下して休眠化してしまうのです。
よほどのことがない限り、休眠化した案件が掘り起こされることはありません。しかし、一度は検討したきっかけがあるため、新規顧客の獲得よりも効率的に見込み顧客として育成できるチャンスがあります。
また、休眠顧客の掘り起こしは自社のサービスや販売体制を改善するためにも非常に重要です。休眠顧客にアプローチするときは「なぜ前回は契約できなかったのか」「顧客のターゲット層はどこか」など、さまざまな視点で分析しなければなりません。
分析をもとにサービスの質や営業フローを改善できれば、休眠顧客を減らせるだけではなく、成約件数の増加も期待できます。
関連記事:休眠顧客とは?効率の良い掘り起こしのポイントとアプローチ方法
休眠顧客の掘り起こしに電話を活用するメリット
休眠顧客の掘り起こしに電話を活用するメリットを4点ご紹介します。
- 電話番号さえわかれば営業ができる
- 相手のリアクションを把握できる
- マーケティングリサーチにつながる
- コストを抑えられる
1. 電話番号さえ分かれば営業ができる
休眠顧客は過去にやり取りがあった顧客のため、名刺やメールなど連絡につながる情報が残っています。
メールでアプローチする方法もありますが、ほかのメールに埋もれてしまう可能性も少なくありません。電話ならリアルタイムで担当者とやり取りができます。
新規顧客とは異なり、一度やり取りをしているため、自社で保有している情報が多く、アプローチしやすい点がメリットです。
2. 相手のリアクションを把握できる
休眠顧客の掘り起こしに電話を使用するメリットは、電話で顧客と直接会話ができるため、顧客のリアクションを確認しながらアプローチを変えられるところです。
顧客が強く興味を示した内容について、深い説明ができればそれだけで大きな信頼を得られます。
リアクションから現状の課題もくみ取ることができるため、自社サービスで解決できればすぐに提案も可能です。
こうした柔軟な対応がとれるのは電話の大きなメリットといえるでしょう。
3. マーケティングリサーチにつながる
電話で休眠顧客と直接話をすることで、顧客が抱えている不満や要望を把握できるメリットがあります。
自社サービスへの不満を直接伝えてくれる顧客は少ないものです。アンケートなどで顧客の声を集める方法もありますが、実施にはコストがかかります。
休眠顧客への電話で一緒に聞くことができれば、もし成約や取引につながらなくても、自社サービスへのフィードバックとして、サービスの改善に役立てることが可能です。
4. コストを抑えられる
電話はメールや訪問営業と比べてコストを抑えられるメリットがあります。
営業担当者やオペレーターなどの人件費や電話代などコストがかかりますが、ダイレクトメールの郵送や訪問営業よりもコストはかかりません。
また、休眠顧客は一度接点があるため、新規開拓を目的とした電話営業よりも担当者と会話ができる可能性が高いメリットがあります。サービスの導入もしやすく、コストを抑えたアプローチが可能です。
休眠顧客の掘り起こしに電話を活用するデメリット
休眠顧客の掘り起こしに電話を活用することはメリットだけではありません。そもそも電話営業は警戒されやすく、架けても担当者につながるとは限らないからです。
また、担当者と直接話ができたとしても、成約が保証されているわけではないため、架電にかけた時間が無駄になってしまう可能性があります。
休眠化した理由が自社サービスへの不満であった場合、電話をかける行為は迷惑に思われる可能性もあります。理由が明確でない場合は、アプローチ方法を慎重に検討しなければなりません。
また、担当者の氏名や部署など顧客情報が整理されていないと、工数がかかるため効率よく電話を架けることができないといったデメリットがあります。
休眠顧客の掘り起こしに電話を活用する前の下準備
電話で休眠顧客の掘り起こし営業をするときは、効率よく電話を架けるためにも休眠顧客のリスト作成や情報分析、トークスクリプトの作成が必要となり、ポイントを3点ご紹介します。
1. 休眠顧客のリストを作成する
休眠顧客へ電話を架けたときに、必ずすべての顧客の担当者と話ができるわけではありません。効率よく電話を架けられるように架電リストを作成しておくことが大切です。
まずはどの顧客を休眠顧客と認定するのか明確な基準を設けて、セグメントしていきます。もし、新サービスなどを訴求したいターゲットがあれば、対象顧客のみリストアップしていきましょう。
リストを作成するときは、休眠前の使用期間や購買回数などの情報も含めておくと、電話営業時に役立ちます。
2. 休眠顧客の情報を集めて分析する
つぎに休眠顧客が休眠化した理由を調査します。以前の取引履歴から休眠化した理由や休眠期間、休眠前の利用状況を確認してください。
休眠した理由によって、アプローチ方法を検討しなければなりません。価格や他社商品の比較、担当者と相性が悪いなどサービスから離れた原因はさまざまです。
休眠した理由がわからなければ、現状の顧客の状況を調査します。
コーポレートサイトやSNSの企業アカウントなどのオウンドメディアで発信している情報や、展開している商品やサービスの変化などを調査してどのようなアプローチなら効果が得られそうか分析します。
3. トークスクリプトを作成する
休眠顧客へ電話を架ける前にトークスクリプトを作成しておきましょう。トークスクリプトとは、電話営業用の台本です。
あらかじめどのような内容を話すのか決めておくため、営業経験が少なくてもスムーズに話せるメリットがあります。トークスクリプトの内容が身につけば会話に集中できるので、顧客のトーンの変化などリアクションが把握しやすくなるメリットがあります。
また、トークスクリプトは、顧客の状況にあわせて訴求内容を変えることが大切です。顧客の属性にあわせて作成しておくことで、より成果につながりやすくなります。
関連記事:営業力向上のための「トークスクリプト」作り方とは?押さえるべきポイント
休眠顧客の掘り起こしで電話する際のコツ
休眠顧客の掘り起こしのため電話をかけるときのコツを3点ご紹介します。
- 明るい声ではっきりと話す
- 相手に合わせた時間帯に電話する
- 相手の話をしっかりヒアリングする
1. 明るい声ではっきりと話す
休眠顧客へ電話をかけるときは、少しでも印象が良くなるように明るい声ではっきりと話すのがコツです。人の印象は電話を受けてから、3~5秒で決まるといわれています。電話では音声のみでコミュニケーションをとるため、声質や話し方が重要です。
最初の挨拶から明るいトーンを意識するのがコツです。相手には見えませんが、背筋を伸ばして口角を上げることでトーンが明るくなります。早口にならないように、一つひとつの言葉をはっきりとていねいに伝えるように心がけましょう。
2. 相手に合わせた時間帯に電話する
休眠顧客へ電話をかけるときは、相手がゆとりのある時間帯にかけるのがコツです。相手が忙しい時間帯に電話をかけるときちんと話を聞いてくれない可能性があります。
おすすめの時間帯は、午前中の早い時間帯や夕方ごろです。本格的に仕事が始まる前と落ち着いた時間帯なら、比較的ゆとりがあるため相手も話を聞いてくれる可能性が高まるでしょう。
昼休みや営業時間外にかけるのはビジネスマナーとしてよくありません。どうしても担当者がつかまらないときは、営業時間内に伝言をお願いするといった方法もあります。
3. 相手の話をしっかりヒアリングする
電話営業のコツは相手の話をしっかり聞くことです。
こちらが言いたいことを一方的に伝えても、相手が興味を持ってくれるとは限りません。また、最初からこちらの言いたいことばかり伝えてしまうと、ただの営業電話だと思われて切られてしまう可能性もあります。
いかに興味を持ってもらえるかが大切なので、相手の言うことを受け入れつつ、反応を見ながら質問を返したり、話題を変えたりしながら話を進めていきましょう。
傾聴の姿勢を意識することで、相手との信頼も生まれてうまくアプローチにつなげることができます。
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休眠顧客の掘り起こしで重要なポイント
休眠顧客の掘り起こしをするときは、普段からの顧客管理が大切です。いくつかのアプローチ方法を用意しておくことで顧客の状況に応じたアプローチができるようになります。
休眠顧客の掘り起こしで重要なポイントについて解説します。
普段から顧客管理を徹底する
休眠顧客の掘り起こしを行うには、顧客情報の活用が欠かせません。顧客情報が最新のものではない場合、情報の調査や整理などが必要です。
最新情報の入手はもちろん、過去の取引情報なども見直して改善するといった手間が発生します。
スムーズに電話をかけられるように、普段から顧客管理を徹底することがポイントです。
企業の顧客管理にはCRMツールが便利です。CRMツールには顧客管理に欠かせない機能が備わっており、営業業務の効率化を実現できます。
関連記事:顧客管理とは?導入のメリットとおすすめの管理システム・ツール
さまざまなアプローチ方法を実施する
休眠化した理由は顧客ごとに異なります。ひとつのアプローチ方法に固執せず、さまざまなアプローチ方法を実施することも重要です。
同じアプローチ方法の使いまわしは、相手にも伝わるので注意しましょう。不快な気分にさせないように、必ず状況に応じてカスタマイズしてください。
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電話以外で休眠顧客を掘り起こす方法
電話を使う以外の休眠顧客を掘り起こす方法は、紙DMやメール、イベントの開催などがあげられ、ポイントを3点ご紹介します。
1. 紙DM(ダイレクトメール)を活用する
休眠顧客の掘り起こしには紙DM(ダイレクトメール)も有効です。
電話番号やメールアドレスがわからなくても、住所を把握していればアプローチできます。ノベルティやサンプルなどを送付して、相手のアクションを待つという手法です。
DMはデザイン料や郵送料などコストがかかります。また、電話でヒアリングができないため、顧客の状況にあわせたアプローチはできません。
しかし、開封率や閲読率は高いというメリットがあるため、質の高い休眠顧客を対象にすることで効果を期待できます。
2. メールを送る
メールアドレスはフォームからの問い合わせや名刺交換など、入手経路が豊富なため、比較的すぐにアプローチしやすい方法といえます。
トークスクリプトのように、事前にアプローチに使用する文面を用意しておけば、一斉送信が可能です。電話と同じようにコストを抑えて休眠顧客の掘り起こしに使えます。
ただし、メール営業はほかのメールに埋もれやすく、見てもらえない可能性も高いアプローチ方法です。件名を工夫するなど、開封してもらうための工夫が求められます。
3. セミナーや交流会などイベントを開催する
休眠顧客を掘り起こすには、セミナーや交流会などイベントを開催する方法もあります。参加してもらうには顧客のニーズをふまえて、現状の課題を解決できるような内容にしなければなりません。
イベント開催のお知らせは休眠顧客へ連絡をする口実としても有効です。
DMなどで先に開催のお知らせを伝えて、電話で再度開催のお知らせと参加の確認をとることで、効果が期待できます。
まとめ:休眠顧客の掘り起こし電話は支援ツールの活用がおすすめ
眠顧客の掘り起こし電話は、電話番号がわかればすぐに実践できるうえに、一度扱っている商材に関心を持ってくれているためアプローチがしやすいメリットがあります。
電話営業をするときは、普段から徹底した顧客管理が大切です。
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