勤怠管理とは?おすすめの方法とツール導入のメリット│コボットLAB

勤怠管理とは?おすすめの方法とツール導入のメリット

勤怠管理

勤怠管理とは、出退勤時刻や実労働時間、有給休暇の取得状況など、従業員の勤怠データを正確に管理する業務です。従業員の健康保護や正確な給与計算など、さまざまな目的を達成するために行います。

しかし、従来のタイムカードやExcel(エクセル)を活用したアナログ管理では、データの客観性と正確性の担保が困難です。では、どのような管理方法が適しているのでしょうか?

今回は、勤怠管理の概要やおすすめの管理方法などについて詳しく解説します。

勤怠管理とは

勤怠管理とは、出退勤時刻や労働時間、有給休暇の取得状況など、従業員の勤務データに関して記録と管理をすることです。労働基準法に反した働き方をしていないか、正確な賃金が支払われているかなど、正確な労務管理を実施する上で必要不可欠です。

特に、時間外労働や深夜残業、休日労働に関する割増賃金の未払いや支払い遅延は、従業員とのトラブルに発展しやすいため、正確な集計と計算が求められます。

また、近年は働き方改革推進や長時間労働是正に向けた取り組みが多くの企業で求められている背景もあり、勤怠管理の重要性が今まで以上に高まっています。

労働基準法に定められている労働時間と休憩時間

では、労働基準法や厚労省のガイドラインを参照しつつ、労働時間や36協定、休憩時間に関する定義をおさらいしましょう。

労働時間

労働時間は、企業と雇用契約を結んだ労働者が企業のために働く時間を指します。労働時間には、法定労働時間と所定労働時間の2種類が存在します。

法定労働時間は労働基準法第32条に基づき、労働者の労働時間を1日8時間、週40時間を上限と定める制度です。法定労働時間以上の労働を命じることは、原則的として禁止です。

一方、所定労働時間は、企業が就業規則で定めている始業時刻と終業時刻から休憩時間を除いた時間を指します。企業によって所定労働時間は異なりますが、法定労働時間を超えないように設定することが一般的です。

36協定

36協定は、時間外労働や休日労働に関する協定のことです。

時間外労働は法定労働時間以上の労働を命じる場合を指し、22時〜5時までに労働を命じた場合は深夜労働と呼びます。また、法定休日や所定休日での労働は、休日労働として区別します。

いずれの場合も、基礎賃金に最低25%以上の割増率を掛けた割増賃金を支払わなくてはなりません。また、従業員に法定労働時間以上の労働を命じるためには、労働基準法第36条に基づく労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ協定内容を提出する必要があります。

36協定を締結すると、時間外労働が月45時間、年360時間を上限と定めます。臨時的な特別な事情がない限り、上限を超えて労働を命じることはできません。上限以上の労働を命じた場合、法律違反に該当します。

同様に、36協定の締結と申請を行わずに時間外労働を命じた場合も法律違反に該当し、30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役が科せられることには注意が必要です。月45時間、年360時間以上の労働を命じる場合は、特別条項を締結する必要があります。

特別条項は、大規模なクレーム対応や決算業務、システムメンテナンスなど、臨時的で特別な理由がある場合のみ、36協定の原則的な上限以上の時間外労働を命じられます。ただし、特別条項を締結した場合も、次の規定をすべて満たさなければなりません。

特別条項の適用条件

  • クレーム対応や納期のひっ迫など明確な理由が必要
  • 適用回数は年6回まで
  • 時間外労働は年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働の合計は1ヶ月100時間未満
  • 時間外労働と休日労働の平均時間は2~6か月平均で80時間以内

休憩時間

休憩時間は、労働者が業務から完全に解放されている時間を指します。疲労回復や心身のリフレッシュに向け、一定の休憩時間を与えなければなりません。

労働基準法では、「労働時間が6時間を超える場合少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間を労働時間の途中に与えること」と定義しています。

なお、来客や電話に備えてオフィスに残っている状態は手待ち時間に該当するため、休憩時間とはみなされません。

勤怠管理で管理すべき項目

勤怠管理で管理すべき項目を下の表にまとめました。

厚生労働省のガイドラインに「使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること」と規定されています。従業員一人ひとりの勤怠データを正確に把握するため、以下の項目は必ず管理してください。

参照元:労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

表:勤怠管理で管理すべき主な項目

管理項目目的
・労働時間
・始業・終業時刻
・休憩時間
・正確な給与計算
・過重労働防止
・厳格な労務管理
・時間外労働
・深夜残業時間
・休日労働時間
・割増賃金の計算
・36協定の遵守
・出勤日
・欠勤日
・早退や遅刻の時間数及び回数
・休日出勤日数
・休日の取得状況を確認
・休日労働があった場合の代休や振替休日の取得状況を可視化
・従業員の健康保護
・早退や遅刻が多い場合は、配置転換や業務指導を検討
・有給取得日数
・残数
・有給取得率向上
・年5日有給取得義務化対象者の有給取得状況を把握

勤怠管理を行う必要のある事業場

勤怠管理を実施しなければならない事業場は、労働基準法第4章の規定が適用されるすべての事業場が対象です。天候による影響を受けやすい農業や漁師などを除いた大半の事業場が対象となります。

また、労働者50人以上を抱える事業場の場合、産業医の採用と従業員の勤務状況や健康状態などの情報提供を行う必要もあります。

管理対象となる従業員

管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者を除いた全ての従業員が管理対象です。労働基準法第41条によると、管理監督者は工場長や部長など、労務管理に関して経営者と一体的な立場にある者を指します。つまり、労働時間や休憩時間、休日などの規定を受けず、業務量に応じて労働時間を調整できる存在です。

労務管理を適用される立場ではなく管理する立場にあり、一般労働者へ適用する労働時間の規制対象からは外れます。

一方、みなし労働時間制は、「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3種類が存在します。各労働形態の概要を下記の表にまとめましたので参考にしてください。

表:みなし労働時間制の概要

事業場外みなし労働時間制専門業務型裁量労働制企画業務型裁量労働制
概要・労働時間の把握が難しい外回りが中心の職種に対し、あらかじめ決めておいた労働時間を働いたとみなす制度・業務遂行方法に関して上司から具体的な指示を受けず、労働時間と共に労働者に裁量を委ねる方法・事業運営の企画、立案、調査、分析を行う労働者に限定した制度
条件・労働時間の算出が困難
・オフィス外の業務が中心の職
業務の専門性が高い19職種に限定・本社や本店が事業場
・事業運営に大きな影響を及ぼす決定を行う事業場
・本社や本店の指示を受けず、独自の企業運営や営業戦略に関する決定を行う事業場
対象・営業職
・添乗員
・出張中の労働者
・研究者
・アナリスト
・コピーライター
・ゲームクリエイター・弁護士など
・経営企画
・人事戦略や採用計画を立案する人事担当
・営業企画
備考・SFAや社内システムでスケジュールが把握できる場合、適用は不可
・電話やメールで管理職から指示を受けられる場合、適用は不可
・法定労働時間に囚われず、労使協定で合意した労働時間分を働いたとみなせる労働形態・本社や本店の指示を受けて、営業活動を行う場合は適用不可
・高度な業務に携わる職種に限定
・労働時間の長さと仕事の成果の関連性が低い職種に適用

勤怠管理の目的

続いて、勤怠管理を行う目的について解説していきましょう。目的は主に次の4点です。

  • 正確な労務管理の実現
  • 過重労働防止
  • 働き方改革の推進
  • コンプライアンスの遵守

正確な労務管理の実現

従業員一人ひとりの勤怠状況を正確に把握することが、勤怠管理を行う最大の目的です。極端に残業や休日出勤が多い従業員がいた場合は、配置転換や業務量削減を行い、過重労働を未然に防げます。

また、従業員へ払う給与を正確に算出することが可能です。特に、残業代は時間外労働や深夜労働、休日労働など、残業の種類によって割増賃金の算出率が異なります。正確に勤怠管理を行うことによって、割増賃金の未払いや不足による従業員とのトラブルを回避します。

過重労働防止

従業員の労働時間や残業時間を正確に把握し、過重労働を防ぐことも勤怠管理の重要な目的の一つです。

過重労働によって疲労回復の時間が十分に取れないと、病気や精神疾患につながる可能性が高くなります。月60時間以上の時間外労働は過労死ラインと呼ばれ、脳や心臓疾患のリスクが通常の2〜3倍高くなるとの研究結果が、算出されています。

近年、過労死ラインに満たない労働時間でも過労死に至るケースが散見されており、各企業は従業員の健康保護に細心の注意を払わなければなりません。また、睡眠不足によって精神的に不安定な状態に陥ると自律神経失調症や不眠症を招き、仕事を続けられなくなります。

従業員の健康保護や過労死を防ぐためにも、従業員の勤務データを正確に把握し、残業時間削減や有給休暇取得を促す取り組みを行うことが重要です。

働き方改革の推進

働き方改革は、多様な働き方の実現に向け、労働力不足解消や業務効率改善を目指す取り組みです。少子高齢化の加速で慢性的な労働力不足に悩まされている企業が多く、従業員へ長時間労働を強いるケースが増えています。

一人ひとりがこなすべき業務量が多いと、集中力が散漫になり、業務効率悪化や成果物の品質低下につながります。長時間労働に伴う仕事へのモチベーション低下や離職を防ぐためにも、労働時間を正確に把握することが重要です。

極端に残業が多い従業員がいた場合は、仕事の振り方や業務体制を見直し、残業時間の削減やプライベートな時間を確保してください。また、就業場所を問わず出退勤時刻や労働時間を把握できる体制を整えられると、在宅勤務を導入できます。

従業員が育児や介護をしながら仕事を続けられる環境を整えられるだけでなく、居住地に囚われない人材採用を行うことが可能です。優秀なスキルを持った人材を確保できる確率が高まり、他の従業員の業務負担を軽減できます。

コンプライアンスの遵守

働き方改革関連法の施行に伴い、時間外労働の上限明確化や5日間の有給休暇取得が義務化されました。上限以上の時間外労働を命じた場合や5日間の有給取得が達成できない場合、コンプライアンス違反に該当します。30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役が科せられる可能性があるため、正確な勤怠管理を徹底するようにしてください。

また、時間外労働に関しては法改正に伴い、時間外労働の上限と罰則が明確化されました。

従来は、特別条項付き36協定を締結すれば、無制限に時間外労働を命じられました。規定以上の時間外労働を命じた場合でも法的規制や罰則が無く、行政指導に留まっていたからです。「業務上の都合」や「慢性的な人手不足」を理由に特別条項を適用し、年間1,000時間以上時間外労働をこなす従業員がいたとしても、罰則は科せられませんでした。

しかし、2019年からの法改正に伴い、上限以上の時間外労働を命じると、罰則が科せられます。さらに、時間外労働が60時間を超過した場合、超過時間分の割増賃金率が引き上げられました。基礎賃金に50%以上を掛けた割増賃金を支払わなくてはなりません。

今までと同じように残業を命じていると、倍以上の人件費が掛かります。2023年4月1日からは中小企業にも適用が決まっており、残業時間削減に向けての取り組みが各企業には求められています。

一方、年10日以上有給休暇を付与されている従業員を対象に、年5日以上の有給休暇取得が義務付けられました。達成できないとコンプライアンス違反に該当するため、従業員ごとの有給休暇取得状況を正確に把握する必要があります。

勤怠管理の方法

勤怠管理

続いては、勤怠管理の方法について解説していきましょう。勤怠管理を行う主な方法には、次の3種類があります。

  • タイムカード
  • Excel(エクセル)
  • 勤怠管理システム

低コストで豊富な機能を搭載していることから、クラウド型の勤怠管理システムを導入する企業が増えています。

タイムカード

タイムカードを利用した勤怠管理は、タイムレコーダーにタイムカードを入れて、出退勤時刻をカードへ打刻する方法です。中小企業で多く利用されています。

タイムカードを利用するメリットは、操作や運用が簡単な点です。タイムレコーダーにタイムカードを入れれば、出退勤時刻が打刻されるため、他に作業を行う必要はなくなります。

さらに、打刻したタイムカードを一斉に集計すれば勤怠データを入力できるため、運用に特別なスキルは必要ありません。

一方、デメリットとしてはタイムカードの集計や入力、保管などに一定の作業工数が発生します。Excelやシステムにデータを打ち込む際は、ミスが発生する可能性もあります。

また、営業マンが直行直帰する場合や在宅勤務として働いている場合、出退勤時刻を打刻できません。オフィスワークしている従業員しか打刻できないため、在宅勤務やサテライトオフィスワークを導入する場合、勤怠管理の方法を変えなければなりません。

表:タイムカードのメリットとデメリット

メリットデメリット
内容・操作や運用が簡単
・コスト削減
・一定の作業工数が発生
・社外勤務時は打刻不可
・入力ミスの発生
・打刻漏れや不正打刻が発生
・法改正へ非対応

Excel(エクセル)

出退勤時刻を入力すれば労働時間や残業時間を自動的に算出できるよう、Excel上で数式を組んで勤怠データを管理する方法です。

Excelを使うメリットは、コストを削減できる点です。インターネット上に勤怠管理用の無料テンプレートが豊富に用意されており、ダウンロードすればすぐに運用に活用できます。

一方、タイムカードと同様に従業員が手入力を行うため、入力ミスの可能性が生じます。同様に、不正打刻やデータ改ざんも避けられず、勤怠データの客観性確保を担保できない点が大きなネックです。

また、Excelにエラーが生じた場合、原因を突き止めるのが困難なだけでなく、修正作業に多数の手間が生じます。

表:Excelのメリットとデメリット

メリットデメリット
内容・コスト削減
・無料テンプレートが豊富
・数式設定で勤怠データの自動算出が可能
・入力ミスや不正打刻が発生
・勤怠データから客観性が喪失
・エラーの原因把握が困難
・法改正のたびに数式の再設定が必要

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、出退勤時刻や労働時間、有給休暇の取得状況管理など、労務管理に必要な各種データを一括管理できるシステムです。手作業で行っていたデータ入力や集計をシステムへ一任できるため、正確な勤怠管理と業務のスピードアップが望めます。

勤怠管理システムは、次の3種類から自社に合った導入形態を選択することが可能です。

  • クラウドタイプ
  • オンプレミスタイプ
  • タイムレコーダータイプ

近年は低コストで運用負担も軽減できることから、クラウドタイプの勤怠管理システムを導入する企業が増えています。

クラウドタイプ

クラウドタイプは、ベンダーが提供している勤怠管理システムをサービスとして利用する形です。ベンダーが設定している料金を支払えば、すぐに利用できます。システム構築やソフトウェアのインストールは必要ありません。

初期費用はほとんど掛からず、ランニングコストも低コストに抑えられます。また、アップデートやメンテナンスはベンダー側が対応するため、従業員が作業を行う必要はありません。さらに、インターネット環境さえ整っていれば、場所を問わず利用できます。

一方、既に完成されたサービスを利用する形になるため、自社でカスタマイズできる余地はほとんどありません。

表:クラウド型のメリットとデメリット

メリットデメリット
内容・コスト削減
・スムーズな導入を実現
・メンテナンスやアップデートをベンダーが対応
・テレワークと好相性
・カスタマイズの範囲は限定
・セキュリティレベルはベンダーによって左右

オンプレミスタイプ

オンプレミスタイプは、自社サーバーに勤怠管理システムを構築する形です。社内ネットワークを利用するため、高いセキュリティ性を確保できる点がメリットです。さらに、カスタマイズ性にも優れており、自社の就業形態に応じて機能面を追加できます。

一方、サーバー手配やシステム構築が必要になり、多額の初期費用が発生します。運用やメンテナンスも自社で行わなければなりません。導入と運用に多額のコストが掛かる点がオンプレミスタイプの大きなネックです。

表:オンプレミスタイプのメリットとデメリット

メリットデメリット
 
内容・強固なセキュリティ対策を実施
・優れたカスタマイズ性
・自社の就労形態に合わせてシステムを構築
・従業員数が多い場合、コストカットを実現
・多額の初期費用とランニングコストが発生
・計画的な導入が必要
・メンテナンスやシステム障害からの復旧作業は自社対応

タイムレコーダータイプ

タイムレコーダータイプは、出退勤時刻のみを打刻できる勤怠管理システムです。指紋認証やICカード、静脈認証など、多彩な打刻方法を搭載しており、データ改ざんや不正打刻のリスクを抑えられる点がメリットです。

一方、残業時間や有給休暇の取得状況などは、別の形で管理しなければならず、勤怠管理全般の効率化にはつながりません。

表:タイムレコーダータイプのメリットとデメリット

メリットデメリット
内容・不正打刻や改ざんを防止
・コスト削減
・記録できる内容は出退勤時刻のみ

勤怠管理の主な課題

アナログ管理で勤怠管理を行っていた場合、次の4点が主に課題となります。

  • 勤怠データの集計が大変
  • 割増賃金の計算や法改正への対応が大変
  • 事務作業の負担が増大
  • テレワークへ移行する場合は管理方法の変更が必要

今後、テレワークの導入を検討している場合、勤怠管理システムの導入を検討する必要があります。タイムカードの場合は出退勤時刻を打刻できず、勤怠データを取得できません。一方、Excelでは管理職の負担が増大し、通常業務に支障をきたす可能性が生じます。

勤怠データの集計が大変

タイムカードやExcelで勤怠管理を行っていた場合、勤怠データの集計作業に手間が掛かります。労働時間の把握や給与計算、残業時間の集計など、管理しなければならない項目が多数あるからです。

さらに、有給休暇の取得状況や割増賃金が正確に支払われているかといった点も、チェックしなければなりません。また、従業員数が多い場合は、月初に多くの作業をこなさなければならず、業務負担やミスの増大につながります。

割増賃金の計算や法改正への対応が大変

アナログ式で勤怠管理を行っていると、割増賃金の計算や法改正への対応への業務負担が増大します。

割増賃金の計算に関しては、時間外労働や深夜残業、休日労働など、残業の種類によって割増率が変動する点がポイントです。時間外労働と深夜残業が重なった場合は、基礎賃金に割増率50%以上を掛けた割増賃金を支払わなければならないなど、細かなルールの把握が求められます。割増賃金の未払いや支払い遅れはトラブルに発展しやすいため、慎重な対応が必要です。

一方、長時間労働是正やワークライフバランス改善に向け、ここ数年さまざまな法改正が行われています。今後も定期的な法改正が予想されますが、アナログ式で勤怠管理を行っていると、法改正が起きるたびに対応しなければなりません。

事務作業の負担が増大

勤怠データの把握や給与計算以外にも、勤怠作業に必要な事務作業が多々あります。

たとえば、シフト制を採用している場合、アナログ管理の場合はExcelで毎月の勤務予定を作成する必要があります。調整作業に多くの労力が掛かり、本来注力したい業務を行うための時間を捻出できません。

また、従業員一人ひとりの勤怠データを資料として作成する場合、データ集計から図表作成まで一から作成しなければならず、多大な手間が生じます。

テレワークへ移行する場合は管理方法の変更が必要

これまでタイムカードで勤怠管理を行ってきた場合、テレワーク移行時には別の勤怠管理の方法を検討しなければなりません。タイムカードによる勤怠管理は、あくまでオフィスワーク実施時に活用できる方法です。

遠隔操作で出退勤時刻を打刻できるわけではないため、在宅勤務やサテライトオフィスワークでは使えません。また、Excelの場合は、上司にメールやチャットで出退勤を報告する形が想定されますが、運用や管理が大変になるため現実的とはいえません。

勤怠管理システム導入によって得られるメリット

勤怠管理システムの導入で得られるメリットは、主に次の4点です。

  • 労働時間の正確な管理
  • 業務効率化
  • コスト削減
  • 法改正への対応

リアルタイムの情報を反映した勤怠データを勤怠管理システムが自動集計するため、業務効率化やコスト削減が望めます。また、法律の改正が発生するたびにベンダー側がアップデートを行うことで、対応漏れに伴うコンプライアンス違反や罰則を避けられます。

労働時間の正確な管理

勤怠管理システム導入によって得られる最大のメリットは、従業員の労働時間を正確に管理できる点です。勤怠管理システムが従業員ごと勤怠データを自動集計するため、リアルタイムでの情報を把握できます。

データ集計から分析まで勤怠管理システムへ一任できるため、業務効率改善とミスの削減が望めます。さらに、スマートフォンアプリやGPS、生体認証など、多彩な打刻方法を搭載しており、テレワークへもスムーズな移行が可能です。

また、残業時間や有給休暇の取得状況も併せて管理できるため、コンプライアンス違反を防げます。

業務効率化

勤怠管理システムを導入することで、労務管理全般に関わる作業のスピードアップを図れます。出退勤時刻や労働時間、遅刻や早退の回数など、さまざまな勤務データを勤怠管理システムが自動で集計するからです。

時間外労働や深夜残業、休日労働の時間数も一元管理できるため、割増賃金も正確かつスピーディーに算出可能です。他の作業に割ける時間を捻出し、残業時間削減や業務効率改善につなげられます。

また、有給休暇や残業、休日出勤に関する申請と承認をシステム上で完結できるため、複数人の承認が必要な申請作業の効率化が望めます。

コスト削減

勤怠管理システムを単体使用ではなく、複数のシステムと連携して使うとバックオフィス全般の作業を効率化できます。たとえば、給与ソフトと連動していれば、給与ソフトへのデータ入力や転記、計算を勤怠管理システムへ一任可能です。

勤怠管理システムが、従業員の雇用形態や労働時間を正確に反映した勤務データを算出しているため、計算ミスを心配する必要はありません。割増賃金の算出も含めて給与計算を簡略化でき、業務負担とコストを削減できます。

また、人事管理システムと連携している場合は、入退社の手続きや雇用契約などの作業を効率的に進められます。

法改正への対応

法改正への素早い対応が実現できる点も、勤怠管理システム導入によって得られるメリットの一つです。法改正の内容に対応したアップデートをベンダー側が対応するため、対応漏れに伴うコンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えられます。

勤怠管理システムを選ぶ際の注意点

勤怠管理システムは、従業員の勤怠データを正確かつ効率的に集計できるシステムです。近年は多くのシステムが市場に登場しており、選択肢が増えています。

ミスマッチを防ぐためには、次の5つを意識しておくことが重要です。

  • 「クラウド型」と「オンプレミス型」の適当な方を選択する
  • 打刻方法は豊富に搭載されているか確認する
  • 従業員が利用しやすいかどうか確認する
  • 他システムとの連携性に優れているか確認する
  • 自社の就業形態に対応しているか確認する

一つひとつ注意点を確認しておくことで、自社に合った勤怠管理システムを選択できるでしょう。

「クラウド型」と「オンプレミス型」の適当な方を選択する

勤怠管理システムは、「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類から選択できます。

クラウド型は、全体的にコストを抑えられることがメリットの一つです。システムを導入する際、ソフトウェアのインストールやインフラ環境構築は必要ありません。

また、初期費用やサポート代を無料と設定しているベンダーも多いです。オプションを利用しない限り、選択したプランの月額料金を毎月支払う形であるため、コスト管理も楽になります。メンテナンスやアップデートもベンダーへ一任できます。

一方、オンプレミス型は、カスタマイズ性に優れていることが特徴です。システムの設計やインフラ環境構築を自社で対応するため、機能性を最大限追求できます。基本的に社内ネットワークからの利用を想定しており、情報漏洩のリスクを抑えやすいことも魅力です。

クラウド型とオンプレミス型のどちらの形態が自社に多くのメリットをもたらすか、導入の際には見極めることが重要です。

そして、メリットのみならず、デメリットについても認識しておきましょう。クラウド型とオンプレミス型のメリット・デメリットは下の表のとおりです。

表:クラウドとオンプレミスの比較

メリットデメリット
メリット・初期費用とランニングコストを抑えられる
・導入後すぐに利用できる
・外部からもアクセスがしやすい
・メンテナンスやアップデートをベンダーへ一任できる
・拡張性に優れる
・カスタマイズ性に優れる
・セキュリティレベルに優れる
・ベンダー都合による利用停止の心配がいらない
デメリット・カスタマイズ性に乏しい
・セキュリティレベルは、ベンダーによって大きく変わる
・ベンダーの都合次第で、利用停止の恐れがある
・多額の初期費用が必要になる
・長期的な計画が必要になる
・外部からアクセスがしづらい
・インフラ環境構築や障害復旧は自社で対応しなければならない
・システムに精通した人材を確保できない限り安定した運用は難しい
・サーバーがダウンすると使えなくなる

打刻方法は豊富に搭載されているか確認する

打刻機能が豊富に搭載されているシステムを選ぶと、多様な働き方にも対応できます。近年は、通勤の負担軽減やワークライフバランス改善を実現するため、テレワークを導入する企業も増えています。

しかし、テレワークを導入する場合、タイムカードやExcel(エクセル)では勤怠管理が行うことが難しいでしょう。GPSやWebブラウザ、パスワード認証など、就業場所を問わず出退勤時刻を打刻できる環境整備が求められます。

モバイル端末から簡単に出退勤時刻を打刻できれば、外回りや現場仕事が多い従業員の勤怠管理も正確に把握できます。一人ひとりに貸与したスマートフォンやノートPCから打刻するため、代理打刻が起きる心配も要りません。

また、静脈認証や顔認証など、生体認証を搭載していれば、盗難や紛失の心配もなくなります。打刻方法の選択肢が豊富な勤怠管理システムを選択し、働き方の柔軟性を高めましょう。

従業員が利用しやすいかどうか確認する

ユーザビリティやユーザーインタフェースに優れた勤怠管理システムを選択すると良いでしょう。

他のシステムと異なり、勤怠管理システムは事業場に所属する従業員全体が毎日利用するシステムです。出退勤時刻の打刻や残業申請など、一つひとつの作業に手間が掛かると、かえって作業効率が悪化します。また、従業員のモチベーションも低下し、無駄な費用となる可能性が高くなります。

ミスマッチを避けるためには、無料トライアルを積極的に活用することが重要です。無料トライアルは、2週間〜1ヶ月間などの一定期間、勤怠管理システムを無料で利用できる制度のことです。

そのため、コストを掛けずに機能性や操作方法、サポート体制の充実度などを確認できます。自社と合わなかったとしてもコストがかからず、大きなダメージにはなりません。

他システムとの連携性に優れているか確認する

勤怠管理システムは、外部システムとの連携性に優れたものを選ぶと良いでしょう。

勤怠管理システムは単体で使用するよりも、複数のシステムと連携した方が多くの業務を効率化できます。特に、給与計算システムや労務管理システムは、勤怠管理システムとの関連性が高いといえます。

これらのシステムと連携できれば、バックオフィス業務全般を効率化できます。選定の際に既存システムとの互換性も含め、連携性に優れているか確認することが重要です。

また、バックオフィス業務関連のシステム全般を提供するベンダーを選択することも一つの選択肢だといえます。システム間のデータ連携がスムーズにできるよう設計されており、ミスマッチを避けられるでしょう。

自社の就業形態に対応しているか確認する

通常と異なる就業形態を採用している場合、就業形態に応じた機能の有無を確認しておく必要があります。

自社の就業形態に必要な機能を搭載していないと、結果として勤怠管理システムを活用することができず、無駄な費用を支払うことになってしまいます。勤怠管理システムを選定する際、どのような就業形態に対応しているのかしっかりと確認しましょう。

また、就業形態に応じて所定労働時間や勤務スケジュールを画面上でどのように設定するのか、事前に確認しておくことも重要です。たとえば、フレックスタイム制を導入している場合、コアタイムの設定有無や清算期間の選択肢を確認しておきましょう。

一方、変形労働時間制の場合は、1日の所定労働時間や出勤予定日、休日の設定方法に関して把握をしておきます。

人事労務管理なら「人事労務コボット」がおすすめ

人事労務コボット

複数のシステムと連携可能な勤怠管理システムを選ぶと、多くの分野で業務効率化が期待できます。しかし、既に勤怠管理システムを導入している場合も少なくないでしょう。

労務担当者の業務負担を軽減するには、当社ディップ株式会社の「人事労務コボット」を導入するのがおすすめです。

人事労務コボット」を導入すると、新たな労働者を雇用した際に発生する入社手続きを最短即日で完結できます。雇用契約書や身元保証書、内定承諾書など、労働者からの署名が必要な書類の作成〜締結をオンライン上で完結できます。

給与の振込先や運転免許証のコピーなど、個人情報はwebフォームから収集するため、書類を作成する必要はありません。一方、労働者側もスマートフォン上で契約内容の確認や署名が行えるため、手続きをスムーズに進められます。

人事労務の業務負担増大にお悩みの方は、当社ディップ株式会社の「人事労務コボット」導入をご検討ください。

人事労務コボットの導入事例

最後に、当社ディップ株式会社が提供する「人事労務コボット」の導入によって、業務効率改善やコスト削減に成功した企業事例を3社紹介します。

  • 泉屋株式会社
  • 株式会社サイプレス
  • 株式会社ビーエムエス

泉屋株式会社

泉屋株式会社は、仏壇や仏具、墓石などを販売している企業です。同社は人事労務コボットの導入によって、入社手続きの工数削減に成功しました。

以前は入社手続きをオフィスで行っており、担当者は手続きに対応するため、業務の調整を強いられていました。また、入社手続きに必要な書類の作成〜回収も紙書類で行っており、業務負担やコストが増えやすい傾向にありました。

しかし、人事労務コボットの導入により入社手続きをデジタル化したことで、業務効率が大幅に改善されました。記載内容にミスがあったとしても、システム上で修正が行えるため、労働者と何度もやり取りを重ねる必要がなくなりました。

また、他社のサービスに比べて導入価格が半額以下であったため、全体的にコストを抑えることにも成功しています。

株式会社サイプレス

株式会社サイプレスは、レストランやフードコート運営などを手掛ける企業です。労働力不足を解消するため、月間150名の採用を目標に掲げ、パートとアルバイト採用を実施しています。

同社は「人事労務コボット」の導入によって、ペーパーレス化促進に成功しました。導入前は入社手続きに必要な10枚前後の書類をすべて紙で発行しており、管理コストの増大を招いていました。

しかし、人事労務コボットを導入してからは、入社手続きをオンライン上で完結できる体制が整いました。そのため、印刷費や管理コストなどを大幅に減らすことに成功しています。また、手続きに掛かる時間も短縮し、雇用契約完了から勤務に至るまでのタイムラグも少なくなりました。

株式会社ビーエムエス

株式会社ビーエムエスは、回転寿司店や居酒屋などを運営する企業です。年間500名以上のパートとアルバイト採用を実施しています。

同社は、「人事労務コボット」の導入によって管理コスト削減に成功しました。オンライン上で入社手続きが完了する体制が整ったため、紙書類を発行する必要がなくなりました。ペーパーレス化によって入社手続きが簡素化し、店舗業務に集中できる体制を整えることに成功しています。

まとめ

勤怠管理は、正確な給与計算と法令を遵守するために重要となる業務です。

給与計算は、時間外労働や深夜残業、休日労働の時間数を正確に管理しなければ、残業代の支給漏れにつながります。割増賃金の算出に必要な割増率が労働の種類ごとに異なるため、労働時間を正確に管理する必要があります。

一方、法令遵守に関しては、働き方改革関連法の施行に伴い、残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化などが定められています。規定違反となった場合は、罰則を科せられる可能性があります。労働基準法違反に該当しないよう、勤怠データを厳重に管理することが重要です。

従業員一人ひとりの勤怠状況を効率的かつ正確に管理するには、勤怠管理システムの導入が効果的です。

勤怠管理システムは、出退勤時刻や労働時間、有給休暇の取得状況など、勤怠データを自動で集計するシステムです。GPSやWebブラウザなど、スマートフォンから出退勤時刻を打刻できる機能も多数搭載されています。

また、勤怠管理システムは、労務管理システムや給与計算システムなどと連携すると、多くの業務を効率化できます。しかし、労務担当者の負担を軽減するため、既に勤怠管理システムを導入している方も多いでしょう。次の対策にどのような方法を取るべきかわからないという場合も少なくありません。

人事労務担当者の負担を軽減するためには、当社ディップ株式会社の「人事労務コボット」の導入がおすすめです。

人事労務コボット」を導入すると、入社手続きを最短即日で完結できます。雇用契約書や誓約書など、労働者からの署名が必要な書類の作成〜締結は、オンライン上で完結できます。個人情報はWebフォームで収集できるため、書類を用意する必要はありません。

一方、労働者側もスマートフォンで署名や入力を行えるため、スムーズに手続きを終えられます。労務管理の工数増大にお悩みの方は、ディップ株式会社の「人事労務コボット」の導入を検討してみましょう。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽に当社ディップ株式会社までお問い合わせください。

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