有期雇用とは?契約時の注意点やトラブル防止のポイント

2022/05/16 コボットコラム
有期雇用とは

有期雇用契約は、6ヶ月や1年など、期間を定めて労働者側と雇用契約を結ぶことです。業績や業務量、自社リソースに応じて、雇用を調整できる点が特徴です。ただし、一度有期雇用契約を結ぶと、企業側は簡単に社員を解雇できません。

無期雇用契約を締結している従業員よりも強い法的拘束力が働いているからです。有期雇用契約を締結する場合、どんな点に注意したら良いでしょうか?

今回は、有期雇用契約締結時のルールや注意点、ポイントなどについて、解説していきます。

有期雇用とは

有期雇用契約とは、6ヶ月や1年など、特定の期間を定めて従業員と雇用契約を結ぶことです。契約社員やパート、アルバイトなどが有期雇用契約者に該当します。

有期雇用契約は労働基準法に基づき、1回の契約で最大3年と定められています。ですが、年収1075万円以上を誇るシステムエンジニアやデザイナー、不動産鑑定士など、高度な専門知識を活用する職種に就く方とは5年の雇用契約を締結可能です。

また、60歳以上の方を採用する場合も5年単位で雇用契約を結べます。近年は企業に占める有期雇用契約者の割合も増えており、正社員との格差改善を目指した動きも増えています。

有期雇用と試用期間の違い

試用期間は、無期雇用を前提に期限を設定されている点が、有期雇用との大きな違いです。

企業側にとって、試用期間は採用した従業員と今後無期雇用契約を締結するかどうか判断する「テスト期間」として位置づけられます。試用期間中に業務を任せ、業務遂行に必要な能力を持っているか、他の従業員とトラブルを起こさずに上手くやっていけるかを確かめます。

新卒採用や中途採用を問わず、入社した労働者全員に設けられるケースが多く、期間は1ヶ月〜6ヶ月ほどです。

試用期間で業務遂行能力や協調性に問題がないと企業側が判断した場合、無期雇用契約を締結します。また、能力不足に伴うトラブルの多発・勤務態度の悪さ・経歴詐称が試用期間中に発覚した場合は、合理的な理由に該当するとして従業員を解雇できます。

試用期間中は「解約権留保付労働契約」を従業員と締結した状態になっており、他の従業員に比べ解雇のハードルが低くなっているからです。客観的に見て合理的な理由や社会通念上相当な理由があれば、試用期間中の解雇及び本採用拒否を行えます。

一方、有期雇用の場合は民法や労働契約法で、やむを得ない理由がない限り契約解除や解雇はできないと定められています。

試用期間と有期雇用契約の比較

項目 試用期間 有期雇用
趣旨 ・無期限雇用への移行が前提
・採用した社員に業務遂行能力があるかを判断
・職場の同僚や上司と上手くやっていけるかを判断
・特定の仕事を任せるために社員を採用
・会社の業績や業務量に応じて雇用調整を実施
・人件費削減
期間 ・1ヶ月~6ヶ月
・最大1年まで延長可能
・6ヶ月または1年単位で契約更新
待遇 ・本採用時より給与を低く設定可能
・労働保険、社会保険には試用期間中から加入
・契約内容の労働条件遵守
解雇へのハードル ・低い
・能力不足、勤務態度の悪さ、経歴詐称などを理由に解雇可能
・高い
・民法や労働契約法に基づき、やむを得ない理由が無い限り期間途中での契約解除は不可

改正労働契約法に基づく有期雇用契約のルール

2013年4月から施行されている改正労働契約法によって、次の3点の内容が有期雇用契約において明確化されました。

  • ・有期雇用の無期転換化
  • ・雇止め法理の法定化
  • ・不合理な労働条件の禁止

有期雇用の無期転換化

有期雇用契約の無期転換がルール化されました。有期雇用契約を結んでいる従業員との通算契約期間が5年以上となり、従業員側から無期転換への申請があった場合、企業側は無期雇用契約へ転換しなければなりません。

改正労働契約法第18条によって定められ、全業種の企業が対象です。従来の法律では有期・無期雇用契約を決める焦点は、従業員と企業側の合意のみとされてきました。

無期転換に関する具体的なルールが無かったため、5年以上勤務する経験豊富な従業員と有期雇用契約を継続的に締結できる状態でした。

ですが、改正労働契約法によって通算の有期雇用契約が5年以上を経過し、従業員側から申請があった場合、企業側は無期雇用へ切り替えないといけません。安定した雇用の保証によって、従業員のモチベーションアップや優秀な人材の流出防止が望めます。

ただし、正社員への転換や待遇改善を必ずしも保証しているわけではありません。トラブルが起きないよう、対象の従業員と必ず話し合いの場を設けてください。

無期雇用転換に伴うメリットとデメリット

従業員 企業
メリット ・雇用の安定
・職場を転々とする不安の軽減
・賞与や昇給を獲得
・仕事へのモチベーションアップ
・長期的なキャリア形成を実現
・優秀な人材の確保
・業務効率改善
・成果物の品質向上
・助成金を活用可能
デメリット ・正社員への転換や待遇改善は所属企業の対応次第
・業務への責任が重大
・無期契約社員を選んだ場合、正社員へのステップアップは困難
・人件費の増大
・雇止めが困難
・勤怠管理の複雑化
・トラブルのリスク増大

雇止め法理の法定化

雇止め法理の法定化によって、雇止めに法律上のルールが課されました。

有期雇用契約の更新を3回以上行っている場合や1年以上働いている従業員に対し、契約期間満了によって次回の契約を締結しない場合、期間終了30日前までに契約更新をしない旨を伝えなければなりません。

また、従業員との面談後は、契約満了に伴う雇用契約解消の同意書を締結してください。そもそも、契約期間満了に伴い次回契約を更新しない雇止めは違法ではありません。

ただし、過去に何度も契約更新が行われ事実上無期雇用契約と変わらない場合、企業側の雇止めは無効と判断される可能性があります。

改正労働契約法第19条によって、従業員側が契約更新を希望している場合、「客観的にみて合理的な理由や社会通念上相当な理由」が無い限り、雇止めはできなくなったからです。

従業員側が突然仕事を失い、収入減や生活苦に悩まされるのを防ぐためです。有期雇用契約を何度も更新していると、従業員側は「次も契約を更新してもらえる」と企業側に期待を持ちます。

契約更新を期待させる発言の回避や契約管理を徹底し、トラブルのリスクを最小限に努めてください。

不合理な労働条件の禁止

不合理な労働条件の禁止は雇用形態の違いを理由に、正社員と有期雇用契約者の間で著しく労働条件に差を付けることを防ぐルールです。

改正労働契約法第20条によって賃金や労働時間、業務内容など、労働条件に理不尽な差が生まれないよう企業側へ対策を求めています。交通費や労災保険、食堂の利用など、福利厚生に関する部分も正社員と同様の待遇を提示しなければなりません。

正社員とパートでは業務内容や責任範囲も異なるため、業務量の違いによる待遇面の差は認められています。ですが、合理的な理由も無く労働条件に大きな差をつけると、従業員側から説明を求められた場合、反論できません。

基本的には雇用形態による待遇格差を無くすため、政府が示している同一労働同一賃金の原則に従うことが推奨されています。

有期雇用契約を結ぶ際のポイント

雇用契約期間満了予告通知

有期雇用契約を結ぶ上で重要なポイントは、次の5点です。

  • ・契約期間や更新の意思表示を明確化
  • ・就業規則の整備
  • ・労働条件を文書で締結
  • ・契約した雇用期間の遵守
  • ・社会保険への加入を必ず実施

契約期間や更新の意思表示を明確化

有期雇用契約を結んでいる従業員に対し、契約期間や更新の意思表示を明確化してください。従業員とのコミュニケーションが不足していると、トラブルに発展するからです。

特に、契約更新回数が多く在籍期間が長い従業員ほど、次回契約更新への期待も高まるため注意が必要です。入社時にあらかじめ文書やメールで、契約期間や契約更新の有無に関する内容を提示しておくと良いでしょう。

従業員側から合意を得た証拠を形として残しておかないと、トラブルになった場合に契約手続きの正当性を証明できません。さらに、契約更新をしない場合、労働者の勤務態度や業務遂行能力、担当している業務の進捗状況など、契約更新をするかどうかの判断基準を明確化してください。

また、期間限定の仕事に対し人材を募集する場合、業務内容や業務量を事前に特定しておくと、雇用止めによるトラブルのリスクを最小限に抑えられます。

契約更新を行わない判断基準

  • ・業務遂行能力
  • ・勤務態度
  • ・業務量
  • ・担当していた業務の進捗具合
  • ・契約期間での成績や成果物の質
  • ・企業の経営状況

就業規則の整備

有期雇用契約者向けの就業規則を別途設ける必要があります。正社員と有期雇用契約者では給与や有給休暇、退職金など、労働条件で異なる面も多いからです。

同じ就業規則を適用した場合は、正社員と同じ労働条件に揃えないといけなくなります。また、契約期間を記載していない場合、「定年まで継続的に雇用してもらえる」と従業員側が誤った認識を持つ恐れがあります。

雇止め予告や契約更新の判断基準、契約期間中の解雇などとともに就業規則へ記載し、契約期間の上限や判断基準を明確化してください。

労働条件を文書で締結

入社時に労働時間や業務内容、賃金など、労働条件を記載した雇用契約書を文書で締結しておいてください。入社時に労働条件が明確に開示されていれば、雇止め時のトラブルリスクを最小限に抑えられるからです。

特に、契約期間や契約更新回数の上限が記載されていないと、トラブルに発展するリスクが高まるため、忘れずに文書に盛り込んでください。

また、契約満了に伴う雇止めを行う場合でも、従業員との協議内容を文書でまとめてください。双方合意の上で契約解消に至ったと証明するために必要です。

契約した雇用期間の遵守

派遣社員や契約社員と雇用契約を締結した場合、合意した契約期間を全うするのが基本的なルールです。契約期間中の契約解除は基本的に認められていないからです。

有期雇用契約は無期雇用契約よりも強力な法的拘束力を持っており、従業員を簡単に解雇できません。ただし、商品ニーズの急激な低下に伴う事業縮小や経営悪化など、やむを得ない理由で解雇せざるを得ない場合があります。

予定日の30日前に解雇勧告を行う他、解雇理由や業務内容、賃金などを明記した退職証明書を発行してください。

社会保険への加入を必ず実施

従業員が入社した初日から社会保険に加入する義務が生じます。社会保険に未加入だった場合は健康保険法第208条に違反し、50万円以下の罰金や6ヶ月以下の懲役が科せられますので、注意してください。

ただし、週の所定労働時間および月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3未満、雇用期間が2ヶ月未満に限定されている場合は、例外として扱われます。

一方、週の所定労働時間が20時間以上で31日以上の雇用を見込んでいる労働者に関しては、雇用保険に加入させなければなりません。

社会保険未加入によって生じる罰則

  • ・50万円以下の罰金
  • ・6ヶ月以下の懲役
  • ・過去2年分に渡る社会保険料未納分を徴収
  • ・ハローワークに求人掲載不可

有期雇用契約締結時の注意点

有期雇用契約締結時は、次の4点に注意しなければなりません。

  • ・原則として契約期間中の途中解雇はできない
  • ・1年以上勤務している従業員は条件付きで退職可能
  • ・自動更新は企業にとってリスクが大きいことを理解しておく
  • ・一定条件を満たせば育休や産休の取得も許可

契約社員や派遣社員と契約した場合、契約途中の解雇は基本的にできません。やむを得ない理由が無い限り、雇用契約を維持する必要があると民法第628条と労働契約法17条に明記されているからです。

また、契約の自動更新は従業員側に期待を与え、雇止めがしづらくなるデメリットが発生します。

原則として契約期間中の途中解雇はできない

有期雇用契約者と一度雇用契約を結んだ場合、やむを得ない理由が無い限り契約途中で解雇ができません。民法第628条と労働契約法17条に規定が明記されているからです。

やむを得ない理由が該当するのは、自然災害に伴う事業継続が困難なケースや従業員が就労不能になった状態などで、正社員よりも解雇へのハードルが高く設定されています。

過去に、従業員の能力不足や勤務態度の悪さを理由に、有期雇用契約者を契約期間中に解雇した事例がありました。しかし、いずれも解雇は無効とされています。現時点で最もトラブルを回避できる方法は、契約期間の遵守です。

契約期間満了に伴う雇止めが、従業員と円満に契約終了を図れる確実な方法です。ですが、契約期間中に手厚いサポートを重ねても、勤務態度や業務遂行能力、職場の人間関係が改善されず、契約解除に踏み切りたい場合もあるでしょう。

上記の場合は、2つの方法が考えられます。

退職勧奨

1つめは退職勧奨です。解雇通知が企業からの一方的な通知であるのに対し、退職勧奨は従業員自らの意思での退職や双方合意に基づく契約解除を目指す行為です。

就業規則に基づき退職届を従業員に提出してもらい、契約解除を行ってください。ですが、退職勧奨に応じる義務は無いため、従業員が拒否する可能性も十分考えられます。

解雇処分

退職勧奨による同意獲得が難しい場合、解雇処置を検討してください。

解雇予定日の30日以上前に従業員へ解雇通告を行うか、30日分の解雇予告手当を払った上で即日解雇を行うかです。企業側が従業員に対し能力不足や勤務態度の悪さを指導した証拠を提示できれば、解雇の有効性が認められる可能性は高まります。

いずれにしても、法律で守られているため有期雇用契約者の契約解除や解雇は非常に難しいのが現状です。ミスマッチにならないよう、採用段階でスキルや人間性を慎重に見極めてください。

1年以上勤務している従業員は条件付きで退職可能

同じ企業に1年以上勤めている派遣社員や契約社員など、有期雇用契約者は特別な理由が無くても退職できます。労働基準法によって定められているからです。退職日の2週間前までに企業側へ申し出るよう、従業員へ周知してください。

また、1年未満の場合でも以下の条件に当てはまれば、退職は可能です。特にハラスメントが原因で退職に至ると裁判に発展する可能性があるため、社員教育の徹底やコンプライアンス規定見直しを行ってください。

勤務年数が一年未満でも退職できるケース

  • ・怪我や病気によって就労不能
  • ・家族の介護
  • ・職場のハラスメント
  • ・話し合いによる円満退職

自動更新は企業にとってリスクが大きいことを理解しておく

有期雇用契約者に対する雇用契約の自動更新は推奨できません。業務負担軽減につながらないだけでなく、かえってトラブルになるリスクが高まるからです。

何度も雇用契約の自動更新を繰り返すと更新手続きが形骸化し、無期雇用契約と変わらない状態になります。また、従業員からは「次回も更新してもらえる」と期待が大きくなり、スキルや勤務態度に問題があったとしても雇止めをしづらくなります。

有期雇用契約者に対して自動更新を行っても企業にとってほとんどメリットがないため、自動更新は避けてください。

一定条件を満たせば育休や産休の取得も許可

産前産後休業や育児休業の取得に関して、条件を満たしている有期雇用契約者に関しては取得を許可してください。産前産後休業や育児休業は労働者側の権利だからです。

近年、少子高齢化解消に向けて国も法改正や環境整備に積極的に取り組んでおり、企業側もワークライフバランス改善に向けた取り組みが求められています。従業員とのトラブル回避や取得率向上に向け、まずは法律への理解向上が重要です。

出産予定日の6週間前から取得できる産前休暇は、従業員が取得のタイミングを自由に決められる点が特徴です。一方、産後休業は取得が義務付けられており、出産から8週間が経過するまでは就業を命じられません。

一方、育休に関しては2022年4月から取得要件が緩和され、子どもが1年6ヶ月になるまで契約終了が明らかとされていない有期雇用契約者は、育休を取得できます。妊娠や休暇利用を理由に減給や契約解除、雇止めなど、従業員側へ不利益となる対応を行った場合は法律違反に該当し罰則が科せられるため注意してください。

まとめ

有期雇用契約を結んで通算5年以上が経過した従業員から無期転換への申請があった場合、無期雇用契約へ切り替えなければなりません。改正労働契約法第18条によって定められています。

契約期間中に業務内容や責任範囲以外の理由で、正社員と労働条件で理不尽なほど差をつけた場合、法律違反に該当するので注意してください。

さらに、従業員が突然仕事を失って経済的不安に苦しまないよう、契約満了に伴う雇止めを行う場合は契約終了30日前に通告を行い、同意書の締結をしてください。

また、一度有期雇用契約を結んだ場合は、簡単に契約解除できません。有期雇用契約者を守るため、強力な法的拘束力が働いているからです。事業継続が困難な場合や経営悪化で解雇する場合も、30日前の解雇通告と退職前までの退職証明書発行を必ず行ってください。

有期雇用契約は、契約期間や雇止め、社会保険の未加入など、さまざまな原因でトラブルが起きます。有期雇用契約を結ぶ際は、今回紹介したポイントや注意点を参考に手続きを進めてください。

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