飲食店が効果的に新規顧客・既存顧客を集客し、売り上げをアップさせるには「販促(セールスプロモーション)」が不可欠です。しかし、さまざまな販促方法・ツールがある中で、店舗に合ったものを選んで成果をあげるのは容易なことではありません。
この記事では、飲食店が販促方法・ツールを選ぶときのポイントと、おすすめの販促アイデアを紹介します。
飲食店における「販促」の必要性
飲食店において、「販促」は売上アップのカギを握る重要なマーケティング活動の一つです。なぜなら、顧客ニーズやサービスの多様化が進む現代において、おいしい料理を提供しお客さんの来店を待つだけでは、他店との競争で生き残ることは難しいからです。
新規顧客およびリピート顧客を集客し、売り上げアップにつなげるためには、戦略的な販促が必要です。オリジナリティある販促を行うことはもちろん、販促の目的やターゲットに合わせて、効果の高い販促を積極的に実施していきましょう。
販促方法・ツールを選ぶポイント
飲食店で販促を実施するにあたっては、自店舗にとって効果が高い方法・ツールを選ぶことが欠かせません。ここでは、飲食店が販促方法や活用ツールを選ぶときのポイントを3つ紹介します。
販促の目的
まず、販促を実施する「目的」を明確にし、「その目的を果たせるかどうか」を基準に販促方法を選ぶことが大事です。というのも、「売上をアップしたい」という目標一つとっても、新規顧客の売上を上げたいのか、既存顧客の売り上げを伸ばしたいのかでは、取り組むべき施策は異なるからです。
目的が曖昧な状態では、間違った販促方法を選んでしまいかねません。自店の目的達成に効果のある販促に限られたリソースを割き、しっかり成果を得られるように、目的を明確にした上で販促方法を決めるようにしましょう。
販促にかける予算
販促方法を選ぶ際は、販促にかける予算をあらかじめ決めておきましょう。当然ながら、販促にはある程度の費用が必要です。かけるべき費用額は、店の規模や時期などによって異なるものの、一般的には「売上額の3%〜5%ほど」が相場といわれています。
あらかじめ決めた予算の範囲内で、最も高い効果が期待できる販促方法を選べるように、年間を通してどのくらいの費用を充てるのか、予算計画を立てましょう。
店舗のターゲット層
店舗のターゲット層に合った販促方法を選ぶことも、大切なポイントの一つです。新規顧客または既存顧客のどちらをターゲットとするかはもちろん、年代や性別などで絞ったターゲット層に効果的にアプローチできる販促方法を選ぶことが大事です。
たとえば、若い世代をターゲットとする店と、シニア世代をターゲットとする店では、効果の高い販促方法が異なるのは明白でしょう。若い世代をターゲットとするなら、SNSやホームページ、グルメサイトなどを活用した販促活動が最適です。
このように、販促方法を選定する際は、店舗のターゲット層やペルソナを明確にすることが大切です。ターゲット別の具体的な販促アイデアについては、次章で詳しくお伝えしています。
飲食店の販促アイデア:新規顧客編
新規顧客の獲得に効果的な販促アイデアは、次の4つです。
- ・ホームページの作成
- ・グルメサイト・アプリへの掲載
- ・折込広告・チラシのポスティング
- ・SNSを使った宣伝
どのような飲食店向けの販促方法なのかを確認しながら、それぞれのアイデアを順に説明します。
ホームページの制作
現代では、インターネット上で飲食店の情報を収集する人が多いことから、オンラインでの集客が欠かせません。中でも、お店の「看板」のような役割を果たすホームページは、飲食店の販促活動において有利に働きます。
ポイントとしては、店舗のことを気になっているお客さんにお店の雰囲気やメニューを魅力的に感じてもらえるホームページを制作することです。また、SEO対策をしたり、リスティング広告を出したりするなどして、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで見込み客に見つけてもらいやすいようにするとより効果的です。
お店の看板としてふさわしい魅力的かつSEOに強いホームページを作り込みましょう。
グルメサイト・アプリへの掲載
販促アイデアの二つ目は、グルメサイト・アプリに店舗情報を掲載する方法です。主要グルメサイトはすでに多くのアクティブユーザーを抱えていることもあり、効果的に新規顧客にアプローチできます。
また、グルメサイトに掲載することで、口コミを集められるというメリットもあります。「一度利用してみたい」と思ってもらえる口コミを集めることで、新規来店のハードルをぐっと下げられます。
ただし、グルメサイトによっては、月額掲載料金が高かったり、ユーザー層が店舗のターゲット層と合わなかったりすることもあります。複数のグルメサイトを比較して、自社に合ったサイトを選ぶと良いでしょう。
折り込み広告・チラシのポスティング
折り込み広告は、店舗周辺地域に住むお客さんの来店意欲の促進に適した「地域密着型」の販促アイデアです。古典的な方法でありながら、ファミリー層やシニア層に効果的にアプローチすることができます。
魅力的な料理の写真を載せたり、お得に利用できる初回クーポンを店舗したりするなど工夫を施すことで、より高い販促効果が期待できるでしょう。
ポスティング業者へ依頼するハードルが高く感じる場合は、店舗周辺や駅前などでチラシを直接配る販促方法もおすすめです。予算やターゲット層などに合わせて、配布場所や時間を工夫しましょう。
SNSを使った宣伝
SNSは、新規顧客の獲得と非常に相性が良いツールの一つです。中でも、写真や動画などの投稿に特化したSNS「Instagram(インスタグラム)」は、飲食店の販促に最適です。
というのも、最近ではInstagramを使って、行ってみたいお店や“インスタ映え”するメニューがあるお店などを探しているユーザーが増えています。Instagramで店内や料理の魅力的な写真を投稿することで、若年層に効果的にアプローチすることが可能です。
飲食店の販促アイデア:リピート顧客編
続いて、リピート顧客の獲得や顧客の常連化に適した販促アイデアを紹介しましょう。
- ・ポイントカードの導入
- ・割引クーポンの配布
- ・ダイレクトメールの送付
- ・LINE公式アカウントの運用
これから説明する内容を参考にして、自社にあった販促方法を見つけてください。
ポイントカードの導入
ポイントカードやメンバーズカードの導入は、既存顧客のリピート率向上に最も効果的な販促方法の一つです。3〜5回の来店ごとに「ドリンク1杯サービス」や「1品無料」など魅力的な特典サービスを設けることで、再来店を促すことができます。
最近では、スマホ一つでポイントの付与・管理ができるポイントカードアプリも多く登場しています。ポイントカードアプリは、紙や印刷代などの費用が不要のため、費用を抑えてポイントカードを導入・運用できることがメリットです。飲食店が手軽に取り組める販促方法としておすすめです。
割引クーポンの配布
割引クーポンの配布は、新規・既存を問わず来店のきっかけ作りに効果的な販促アイデアです。
「次回から使えるクーポン」や「会員限定クーポン」、「季節限定クーポン」など、さまざまな種類のクーポンを目的やターゲット層などに合わせて発行することで、効果的に再来店につなげられます。
ダイレクトメールの送付
ダイレクトメールの送付も、既存顧客のリピート率向上に効果的な販促アイデアの一つです。会員登録やWeb予約などを行ったユーザーに対して、飲食店を再アピールするための情報が載ったダイレクトメールを郵送形式などで送付します。
ダイレクトメールは、既存顧客の中でもとくに「休眠客」の掘り起こしに有効なアプローチ方法です。誕生日などに合わせて特別感のあるダイレクトメールを送付するなどして、再来店を促しましょう。
ただし、郵送形式で送るダイレクトメールは、他の販促方法と比較してまとまった費用がかかる点に注意が必要です。また、頻繁に送付したり、お客さんにとって不利益な情報ばかり記載していたりすると、迷惑に感じられてしまい集客にはつながりません。
ターゲット層や予算、目的などをしっかり整理した上で、計画的に実施することが大切です。
LINE公式アカウントの運用
飲食店がリピート顧客を対象に販促を実施する場合、ぜひ活用したいのが「LINE公式アカウント」です。LINE公式アカウントとは、企業・店舗が開設できるビジネス用のLINEアカウントのことです。
LINE公式アカウントは、飲食店での販促に最適な機能が充実しています。友だち追加したユーザーにメッセージを送信できることはもちろん、LINEアプリ上で使えるポイントカードを発行・運用したり、お得なクーポンを配布したりすることが可能です。
LINE公式アカウントがあれば、さまざまな販促を実施し、効果的にリピート顧客を集客することができます。また、無料で利用を開始できることも、LINE公式アカウントの強みの一つです。「費用を抑えて、顧客リピート販促を実施したい」という飲食店経営者におすすめです。
飲食店が効果的に販促するためのコツ
ここまでで、さまざまな販促アイデアを紹介しました。そこで次に、飲食店が効果的に販促するためのコツを2つお伝えします。
販促はお店の体制を整えてから
ここまででお伝えしたように、飲食店が効果的に集客を行い、売り上げをアップさせるには「販促」が欠かせません。しかし、どの方法で販促を実施するにしろ、しっかり成果を上げるには「お店の体制が整っていること」が大前提です。
というのも、販促に成功して新規顧客に来店してもらえたとしても、肝心の料理がイマイチだったり、お店の雰囲気やスタッフの接客に悪い印象を持たれてしまったりすれば、再来店につなげることはできないからです。
魅力的な販促を実施することはもちろんですが、「おいしい料理を提供できているか」「接客態度は良いか」「くつろぎやすい店内か」など、お店の体制をしっかり整えておくことも忘れないようにしてください。
複数の販促を組み合わせて実施する
この記事で紹介した販促アイデアは、複数の施策を組み合わせて実施することでより成果を上げやすくなります。
もちろん、限られたリソースの中で効果の高い施策を選ぶことは大切です。しかし、より多くの人にお店の存在を認知してもらい、より多くの新規顧客・リピート顧客の獲得につなげるためには、複数の販促を組み合わせて実施する必要があります。
また、一つの施策を実施した後は、「どのくらいの効果があったか」「どの客層にアプローチできたか」など、効果の検証も忘れずに行うようにしてください。販促の実施が目的化してしまうことを避けるためにも、効果の検証結果を活かして次回以降の販促につなげていきましょう。
オンラインとオフラインの両方で実施する
複数の販促を組み合わせて実施することに関連して、販促を行う際はオンライン施策とオフライン施策を組み合わせて実施することも大切なポイントです。インターネットが広く普及した昨今では、オンラインの販促施策に注目が集まりがちですが、オンラインとオフラインの販促はそれぞれ強みが異なるため、目的や客層に合わせてバランスを見ながら、組み合わせて活用すると効果的です。
たとえば、ダイレクトメールにLINE公式アカウントのQRコードを記載して友だち追加を促せば、オンラインとオフライン施策のそれぞれの強みを活かし、効果的に販促することができます。
販促の目的とターゲットを明確にする
販促をする最終的なゴールは「売上の向上」ですが、そこに至るまでの目的は店舗によってさまざまです。販促の計画を立てるにあたっては、販促を行う目的と届けたいターゲットを明確にしておくことが重要です。
たとえば、海外からの観光客をターゲットにする店舗と、ランチタイムの利用が多い主婦層をターゲットにする店舗では、明白ながら実施すべき販促施策は大きく異なります。また、目的を明確にしておくことで、途中で施策を行う意味や方向性がブレることも少なくなります。
テイクアウトの需要にも対応する
コロナ禍で急速に高まったテイクアウトの需要は、コロナ禍以降も続くことが予想されます。株式会社ROIが実施した「テイクアウトについての意識調査」では、コロナ禍でテイクアウトを利用したことがある人の割合は「89%」、そして今後もテイクアウトを継続利用したい人の割合は「62%」という調査結果が出ています。
コロナ禍で飲食店のテイクアウト利用が定着したことを考えると、テイクアウト限定割引クーポンの配布やSNSを使ったテイクアウトの宣伝など、テイクアウト需要に対応した販促施策を積極的に取り入れることが理想的でしょう。
飲食店で販促に成功した事例
続いて、販促に成功した飲食店の事例を3つ紹介します。他の飲食店、とりわけ自店舗とターゲット層が近い店舗がどのような販促をしているのかをチェックすることは、販促を行う上で大いに役立ちます。
酒場リベリー episode2
まず紹介するのは、Instagramを使った販促に戦略的かつ継続的に取り組んでいる、大阪・梅田にある「酒場リベリー episode2」の事例です。
こちらの店舗では、オープン当初からInstagramを戦略的に活用しており、創作てんぷらやクリームソーダ風のサワーなど、ビジュアル的に訴求力が高いメニューの写真を中心に投稿しています。その結果、6,000以上のフォロワーを獲得するなど、若い女性を中心に集客することに成功しています。
特筆すべきは、Instagramで若い女性を集客すると同時に、サラリーマンの集客にも成功している点です。ターゲット層によって投稿のタイミングや配信内容を意識的に変えることで、サラリーマンの新規顧客も安定して獲得しています。
麺屋一燈
次に紹介するのは、既存顧客の来店頻度向上に成功した、東京都・東新小岩にある人気ラーメン店「麺屋一燈」の事例です。
こちらの店舗では、常連を始めとした「優良顧客」への還元を目的に、自社アプリを導入しました。顧客の来店頻度や利用状況のデータ化を実現し、割引クーポンやスタンプカードなど、再来店を促す仕組み作りを行うことで、既存顧客の来店頻度を向上させることに成功しました。再来店率の向上により、売上は120%アップを記録しています。
肉BAR エイティーファイブ85
茨城県・守谷駅前にある「肉BAR エイティーファイブ85」は、メルマガ会員を対象としたお得情報の配信により、リピーター顧客の獲得に成功しています。
“おしゃれに食べてやせる肉BAR”というコンセプトのもと、最低でも3日に1回メルマガを配信しており、たとえば毎月29日(ニクの日)にはメルマガ会員限定で人気の肉メニューが半額になるお得な特典の配信を行っています。
その結果、姉妹店と合わせた2店舗で約5,000人もの会員を獲得しました。女性の顧客数とリピート率の増加に成功し、現在ではリピート顧客が7割以上を占めているそうです。徹底したメルマガ運用体制と、ターゲット層に向けてお得情報やお役立ち情報の配信を行っている点は、飲食店がぜひとも参考にしたいポイントでしょう。
まとめ
今回は、効果の高い販促方法を選ぶためのポイントと、飲食店向け販促アイデアを紹介しました。
飲食店のサービスや顧客のニーズが多様化する現在、飲食店が売上をアップさせるには、積極的な販促活動が欠かせません。目的やターゲット層、予算などに合わせて最適な販促方法を選定し、効果を検証しながら実施していきましょう。
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