有給5日取得の罰則は?中小企業も義務化の対象?注意点と取得率向上のポイント

有給5日の罰則

有給休暇5日取得の義務化は、年10日以上有給休暇を付与される従業員を対象に、5日以上の有給休暇を必ず取得させるよう義務付ける制度です。対象の従業員が5日間取得できなかった場合は法律違反に該当し、罰則を科せられます。

有給休暇5日取得の義務化は、2019年4月から施行されている働き方改革によって導入されました。中小企業にも2020年4月から適用されていますが、人的リソースが限られている場合、思うように有給休暇の取得が進まないケースもあるでしょう。

今回は、有給休暇5日取得を効率的に達成する上でのポイントや注意点などについて解説します。

有給取得5日の義務化と罰則とは

有給休暇取得5日の義務化とは、企業から年10日以上有給休暇を付与されているすべての従業員を対象に、期限内に5日以上の有給休暇取得を義務化することです。5日間取得できなかった従業員がいた場合は労働基準法違反に該当し、30万円以下の罰金または6ヶ月以下の懲役が科せられます。

有給休暇の取得義務化は、2019年から施行されている働き方改革によって実施され、中小企業も2020年4月から適用されました。5日間の有給休暇取得義務化によって、長時間労働是正やワークライフバランス改善への影響が期待されています。


有給取得5日が義務化された理由

5日間の有給取得が義務化されたのは、次の3点が主な要因です。

  • ・日本の有給取得率の低さを改善するため
  • ・ワークライフバランスを改善するため
  • ・従業員が休みやすい職場環境の整備につなげるため

日本の有給取得率の低さを改善するため

世界各国と比べ、日本の有給取得率は低水準に留まっています。

エクスペディアが世界16ヶ国、14,544名のビジネスマンを対象に実施した2021年の調査では、日本の有給取得率は60%でした。過去11年の調査で最高の数値を記録しましたが、16ヶ国中14番目の結果に終わっています。

ランキング上位に位置する同じアジア勢のタイや台湾、香港と比べると、25%以上取得率に差が生じていました。ただ、少しずつ改善の兆しが見えてきています。

在宅勤務の導入によって、回答者の約30%が「以前よりも有給休暇が取りやすくなった」と感じています。在宅勤務はワークライフバランスの改善に留まらず、業務効率改善やコスト削減など、従業員と企業側双方に多くのメリットをもたらす効果も望めます。

また、回答者の77%が「以前よりも休暇を大切にしている」と回答しており、メリハリのある働き方を実現したい方が多数いました。職場環境や労働者の意識に変化が生まれており、有給取得率の向上にどの程度ポジティブな影響を与えるか、今後の動向が注目されます。

在宅勤務導入のメリット

従業員企業
メリット・通勤に伴う心身の消耗回避
・プライベートな時間の増加
・職場の人間関係に伴うストレス軽減
・集中力向上
・感染リスク軽減
・育児や介護との両立
・交通費や残業代削減
・ワークライフバランス改善
・業務効率改善
・職場内クラスター防止
・優秀な人材の流出回避
・企業のイメージアップ

ワークライフバランスを改善するため

有給休暇取得義務化の目的の一つとして、ワークライフバランスの改善が挙げられます。有給休暇が取得しやすい体制が確立されると、プライベートの時間も増え、心身のリフレッシュが図れるからです。

家族・パートナー・友人と過ごす時間を確保でき、仕事のモチベーションアップにもつながります。実際、エクスペディアの調査によると、有給休暇取得後に「ポジティブな姿勢で仕事に取り組める」と回答した方が72%に上りました。

ワークライフバランスの改善によって、企業側は業務効率改善や成果物の品質向上が期待できます。

従業員が休みやすい職場環境の整備につなげるため

周囲からの視線を気にせず、気兼ねなく有給休暇を取得しやすい職場環境を整備することも重要です。従業員同士が非協力的な姿勢の場合、仕事が片付いていても有給休暇の利用をためらう可能性が高くなるからです。

2019年に三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施した調査では、「周囲に迷惑がかかる」「上司が協力的でない」「職場の雰囲気で取得しづらい」など、周囲の目を気にして有給休暇の利用を躊躇する声が聞かれました。

特に上司や組織全体の理解不足は深刻な課題で、上記の例でも挙げたエクスペディアの調査では、16ヶ国中最下位の数値でした。有給休暇取得の必要性を理解するだけでなく、仕事の振り分け方や進捗状況の管理など、業務体制の再整備が必要です。

また、「休暇後に忙しくなる」「休暇中も連絡が入る」など、純粋に休みを満喫できない環境も有給休暇の取得率が伸びない大きな要因です。

対処法としては、業務効率化ツールの導入が挙げられます。たとえば、勤怠管理システムを導入すると、従業員の有給休暇取得率や労働時間、残業時間を一元管理できる体制が整い、運用負担を大幅に削減できます。

データ入力や集計、計算はシステムに一任できるため、従業員が作業を行う必要はありません。さらに、RPAを導入した場合は、売上データ入力や請求書作成、給与計算など、バックオフィス業務全般を自動化でき、業務効率改善とミスの削減を両立できます。自社の業務プロセスを分析し、業務効率改善につながるツールを導入してください。


有給取得5日義務化の対象者

5日間の有給取得義務化が課される対象者は、企業から有給を10日以上付与されているすべての従業員が該当します。パートやアルバイト、管理監督者も含まれます。

ただし、フルタイム労働者と有期雇用契約者では、有給休暇の発生条件が異なるため、注意が必要です。

フルタイム労働者

正社員やフルタイムで働く契約社員の場合、入社後6ヶ月が経過し8割以上の勤務実績があれば、10日間有給休暇を付与されます。勤続年数の増加に伴い付与日数が増えていくことが特徴です。

ただし、有給休暇の繰越期限は2年です。計画的に消化スケジュールを組み、権利が消滅する前に使ってください。

フルタイム労働者への有給休暇付与日数

勤続年数6ヶ月1年6ヶ月2年6ヶ月3年6ヶ月4年6ヶ月5年6ヶ月6年6ヶ月
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

有期雇用契約者は、1週間の所定労働日数によって有給休暇の付与日数が異なる点が特徴です。週に4日働いている方は入社から3年6ヶ月以上経過すると、10日の有給休暇が付与されます。

また、週に3日の場合は5年6ヶ月以上継続して雇用されると、5日間取得義務の対象者となります。週2日勤務の方は有給休暇を10日間、付与されることはありません。

表:所定労働日数に伴う有給休暇の付与日数

週所定労働日数勤続年数別の付与日数
6ヶ月1年6ヶ月2年6ヶ月3年6ヶ月4年6ヶ月5年6ヶ月6年6ヶ月
4日7日8日9日10日12日13日15日
3日5日6日6日8日9日10日11日
2日3日4日4日5日6日6日7日

有給休暇の5日間取得義務化を遂行する上で、注意しなければならないのは主に次の4点です。

  • ・有給利用を理由にした不当な取り扱いは禁止
  • ・有給休暇管理簿の作成と3年間の保存が必要
  • ・取得時期は従業員の意思を尊重
  • ・有給休暇の繰り越し期限は2年

有給休暇の利用を理由にした従業員への不当な取り扱いは禁止です。法律違反によって罰則を科せられる他、社会的信用を失う可能性があります。また、従業員一人ひとりの有給休暇の取得状況を正確に把握するため、有給休暇管理簿の作成と保存が義務化されています。

有給利用を理由にした不当な取り扱いは禁止

減給や降格、希望を無視した配置転換など、有給休暇の利用を理由にした不当な扱いは禁止です。労働基準法第136条に違反しているためです。

従業員への不当な扱いが発覚した場合は法律違反に該当し、30万円以下の罰金または懲役6ヶ月が科せられます。また、労働基準監督署からの度重なる勧告に従わない場合、ハローワークへ求人を掲載できません。

さらに、企業名が公表され、世間にブラック企業の実態を印象付ける結果となります。社会的信用の低下やブランドイメージが失墜し、今後の企業運営が大変厳しい状況に追い込まれるため注意してください。

有給休暇管理簿の作成と3年間の保存が必要

有給休暇取得が義務化された2019年4月から、従業員の有給休暇取得状況を管理した有給休暇管理簿の作成が必要になりました。管理簿には、基準日や保有日数、時季を記載します。

基準日に関しては、有給休暇の発生条件である入社してから半年後を基準日と定める形が一般的です。新入社員や中途社員に前倒しで有給休暇を付与する場合、基準日を2つ記載しておいてください。

また、新入社員以外は前年の繰越分が発生する可能性が高いため、保有日数を記載しておくとトラブルを避けられます。併せて実際に取得した日時と単位(全休か半休か)を記載してください。

管理簿のフォーマットに関しては、特に指定はありません。賃金台帳や勤怠情報と一緒に管理できるため、勤怠管理システムを活用すると効率的に運用できます。作成した有給休暇管理簿は、最低3年分を保存してください。

取得時期は従業員の意思を尊重

企業側は従業員から有給休暇の申請を受けた場合、取得時季や利用に関して異議を申し立てることはできません。有給休暇は労働者の権利だからです。

労働基準法でも有給休暇の利用に関して具体的な理由が必要とは記載されておらず、従業員が指定した日時での取得を認めることが一般的です。

ただし、急激な商品ニーズ拡大に伴う業務量増加やクレーム対応など、事業運営に著しい影響を与える場合は時季変更権が使えます。時季変更権は、「希望日だと業務に支障が発生するため、有給休暇の取得日を変えて欲しい」と従業員へ要請することです。

ですが、時季変更権の利用はあくまで限定的な処置です。時季変更権の利用を極力避けるため、業務体制の再整備や人材育成に努めてください。また、時季変更権を利用するためには、就業規則への明記が必要です。

有給休暇の繰り越し期限は2年

労働基準法115条に基づき、有給休暇は請求期限が2年と決められています。前年に使い切れなかった場合は繰り越せますが、2年以内に使わないと消滅することには注意が必要です。

前年の未消化分から使うのか、新しく付与された有給休暇を使うのかは、企業によって判断は異なります。どちらを優先的に使っていくのか就業規則に明記しておくと、従業員の混乱を避けられます。


有給取得5日を達成するためのポイント

有給休暇の取得5日を確実に達成するためのポイントは次の4点です。

  • ・計画年休の導入
  • ・個別指定方式の導入
  • ・勤怠管理システムの活用
  • ・有給付与日の基準日を統一

計画年休の導入

計画年休は、有給休暇の取得日を企業が事前に指定し、全従業員が一斉に有給休暇を取得する方法です。年末年始やGW(ゴールデンウイーク)、夏季休暇へ組み込み、大型連休を実現します。

組織全体での一斉取得が難しい場合、部署やチーム単位で何人かの従業員が交代で有給休暇を取得していくと、業務への影響を最小限に抑えられます。

計画年休は企業側が事前に取得日を指定するため、有給休暇を躊躇せずに使える点がメリットです。一方、企業側も確実に有給休暇の消化につなげられる他、管理負担を軽減できます。

なお、計画年休を導入する場合は、労使協定の締結と就業規則への明記が必要です。

個別指定方式の導入

個別指定方式は、従業員に有給休暇の取得時期を任せつつ、期限内に5日取得が難しい従業員に対し、有給取得日を企業側が指定する方法です。従業員が自身の都合に合わせて、自由に休暇の取得時期を決められる点がメリットです。

計画年休のように、労使協定を締結する必要もありません。ただし、従業員の有給取得状況を細かく管理しなければなりません。さらに、取得時期が遅れると連続取得によって対応せざるを得ない状況も出てくるため、他の社員への負担が増します。

また、個別指定方式を導入する場合、「一定期間内に有給休暇の取得が5日に達していない場合、企業側が取得日を指定する」といった内容を就業規則へ明記する必要があります。

勤怠管理システムの活用

勤怠管理システムの導入で、業務負担軽減と正確な労務管理を両立できます。有給休暇の取得状況や労働時間、残業時間など、勤怠データをシステム上で一元管理できるからです。

データ入力や集計はシステムが行うため、従業員が煩雑な計算や集計を行う必要はありません。さらに、有給休暇の取得状況が遅れている従業員に対してはアラート通知や休暇の自動付与を行い、早期取得を促します。

また、有給休暇管理簿の作成機能も搭載しており、紙やExcel(エクセル)で管理する必要はありません。法改正へ対応している勤怠管理システムも多く、改正があってもスムーズに移行できます。

有給付与日の基準日を統一

月初や年度初めに有給休暇の基準日を統一すると、管理工数やミスのリスクを軽減できます。中途入社者が多い企業の場合、入社時期によって有給休暇が付与されるタイミングは異なります。

基準日がバラバラだと、従業員一人ひとりの取得状況を注視しなければなりません。基準日の統一によって効率的に管理でき、取得漏れや付与忘れを防ぐことができます。


まとめ

10日以上有給休暇を付与される従業員は、全員が5日以上有給休暇を取得する必要があります。雇用形態は関係ありません。

有給休暇の取得が義務化された理由には、有給取得率改善やワークライフバランス改善、従業員が休みやすい職場環境を整備するためなどさまざまな背景があります。ただし、人的リソースに制限がある企業の場合、労務管理に工数を十分割けない企業も多いでしょう。

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有給休暇の取得状況をはじめ、労務管理の効率化にお悩みの方は、今回お伝えした内容を参考に、ツール導入や業務体制の再整備を検討してみてください。

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