PDCAサイクルの効果的な回し方とは?メリット・問題点と成功に導くポイント│コボットLAB

PDCAサイクルの効果的な回し方とは?メリット・問題点と成功に導くポイント

PDCAサイクル

PDCAサイクルは、今やビジネスを円滑に進めるための典型的な手法として、多くの企業において、さまざまなスケールで実施されている取り組みです。

しかし適切な運用方法を正しく理解しておかなければ、デメリットに悩まされてしまうこともあります。

今回は、そんなPDCAサイクルの問題点についても触れながら、効果を最大限に発揮させるためのポイントについて紹介します。

PDCAサイクルとは

そもそもPDCAサイクルとは、決まったプロセスを繰り返し行うことで継続的な改善を行う手法のことです。

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)を意味しており、計画から実行、そして評価を通じて、改善を行うことまでをワンセットとします。


PDCAの具体的な回し方

ここではPDCAの各フェーズをどのように進めていくか一つずつ解説していきます。

Plan(計画する)

Planは目標を設定し、どのように行動するかを計画するためのフェーズです。企業の課題や、どんなプロジェクトを進めていくのかと向き合いながら、達成すべき目標を定めましょう。

会社にはどのような課題があり、その課題を解消するためにどんなことができるのか、どんなことが必要なのかについて、深掘りながら計画を策定することが大切です。

Do(実行する)

Doは第2フェーズにあたるプロセスで、Planの段階で立てた計画を実行に移すタイミングです。問題解決に向けた計画が固まった後は、実際に行動してみることが大切です。

PDCAサイクルを円滑に回すためには、とりあえず動いてみなければ前進が欠かせません。リスクが大きいと感じる場合でも、可能な範囲からプロジェクトを動かしていき、何らかの結果を得ることが重要です。

逆にいえば、Planの段階で立てた計画に則って動くだけであるため、Doの難易度自体は高いものではありません。Doを進めたくても進められない原因がある場合は、計画段階に問題があるともいえます。その場合、一度もう一度Planの段階に立ち戻り、計画を練り直しましょう。

Check(評価する)

プロジェクトを実行した後はCheckに移ります。Check段階では、実際に行動に移した結果について評価を行います。

当初想定していた目標を達成できたかどうか、どのような結果につながったのかを分析する段階です。計画を丁寧に練り、計画通りに実施したからといって、必ずしも思い描いていたような結果につながるとは限りません。

計画通りにことが進み課題も解消されれば問題ありませんが、そうでなかった場合は、果たしてそのプロジェクトが有益なものであったかどうかを判断します。

Action(改善する)

最後のフェーズがActionです。このプロセスは、前段階の評価をもとに、さらなる結果を得られるよう改善施策を検討する段階です。

実際に計画を実行して、目標を達成できなかった場合はどこに問題があったのか、目標を達成できたとしても、さらに大きな結果を得るためにはどうすれば良いのかなどについて考え、次回の計画に活かします。

Actionまでたどり着いた後は、またPlanに戻り、再度目標に向かって計画を練り直していきます。2回目以降はゼロからのスタートではなく、前回の評価や検討事項をもとに精度の高い計画を作ることが可能であるため、プロジェクトの確度は高まります。

PDCAサイクルは、このように4つのプロセス繰り返すことで効果を発揮します。


PDCAサイクルを実行するメリット

PDCAサイクルの仕組みは至ってシンプルですが、正しく回していくによって高い効果を期待できます。では、どのようなメリットがあるのか紹介していきましょう。

目的地を明らかにしやすい

PDCAサイクルの一つ目のメリットは、目的地を明らかにしやすい点です。

成果を出すためには目標を定めることが大切ですが、抽象的な目標ではゴールとして意識することが難しく、メンバーのモチベーションを高めることも難しくなります。

PDCAサイクルの場合、前提として初めに具体的な目標を立てることになっています。また、ここで設定する目標は次のステップである実行段階に直結しているため、曖昧に設定していては、PDCAを回していくことができなくなります。

そのため、プロジェクト初期段階からPDCAを導入していくことで、効率良く事業を進めていく習慣を定着させ、業務の効率化と企業の成長を促すことができます。

確実な改善効果が得られやすい

PDCAサイクルの2つ目のメリットは、プロジェクトを前進しやすいという点です。

PDCAサイクルの最後の段階には、実行したプロジェクトを評価し、改善施策を検討するフェーズがあります。実行するだけで終わりではなく、実行結果を最後まで見届け、今後どのようにすれば良いかを考えるまでがワンセットになっているため、失敗しても前進につなげることができます。

企業としての取り組みが資産として蓄積されていくため、あらゆる行動を無駄にしないという意味でも効率的なアプローチなのです。


PDCAサイクルの問題点

このように、PDCAサイクルはメリットの部分が強調されることが多いですが、一方で課題もあります。

PDCAサイクルそのものが目的化してしまう可能性がある

一つ目の問題点が、PDCAサイクルを回すことそのものが目的になってしまうパターンです。

小さなプロジェクトで導入する分には特にデメリットもありませんが、スケールの大きいプロジェクトを円滑に動かしていくとなると、PDCAのいずれのフェーズにも時間とリソースをかける必要が出てきます。すると、PDCAサイクルを円滑に回すことが管理者の目標となってしまい、本来PDCAを用いて達成すべき目標が、後回しになってしまうことがあります。

確かに、PDCAサイクルは無駄にはなりにくい取り組みではありますが、「次があるから」という意識が定着してしまうと、本来の目標を見失ってしまいかねません。PDCAサイクルはあくまで「手段」であり、「目的」ではないという意識を持ってもらうことが運用においては重要です。

イノベーションを起こしづらくなる

PDCAサイクルの2つ目の問題点が、イノベーションが起きにくくなってしまうという点です。

前述の通り、PDCAを回すとなると、前回のプロジェクトの結果をもとに新しいプロジェクトを進めていくことになります。円滑にPDCAを回すためには、前回の失敗した部分を改善して、再び実行に移していきます。

これで結果が出ているのであれば問題はありませんが、一つのサイクルにばかり頼ってしまうと、新しいアイデアを創出したり、違ったアプローチで目標達成を目指したりといった取り組みが遅れてしまいかねません。

PDCAサイクルが問題視されているのは、前例主義に構造上陥りやすく、企業活動から革新性が失われてしまうことにあります。イノベーションと確実な前進のための手段のバランスを取り、うまく付き合っていくことが大切です。


PDCAサイクルを成功に導くポイント

PDCAサイクルについて考える人

このように、PDCAサイクルの実施にはメリットとデメリットの両面があるため、うまく扱わなければ企業活動を成功に導くことはできません。

PDCAを実践する上では、大前提として次の2つを考えておくと良いでしょう。

目標と実施期間を明らかにする

一つ目のポイントが、目標と実施期間をあらかじめ決めておくことです。どんな目標のために、どのプロジェクトでPDCAを取り入れ、どれくらいのスパンで進行していくのかを決めておくことで、何となくPDCAサイクルを回してしまう悪循環を予防しやすくなります。

あらかじめ設定した目標を達成したり、指定の期間に到達したりした場合、改めて目標と期間を決めてプロジェクトをスタートする心がけが大切です。

継続的な実践を心がける

PDCAを実施する場合は、継続的な運用が前提となります。一度改善点を見出して終わりとなってしまうと、何度もサイクルを回転させることで得られる蓄積が失われてしまうため、確実な前進は望めません。

あまりに長くサイクルを回し続けることも問題ですが、数回PDCAサイクルを回して終わりにしてしまうことも、大きな効果が得られない要因となります。そのため、ある程度の中長期的な取り組みを前提としておくと良いでしょう。


Planにおける解消すべき懸念点

では、PDCAサイクルの各フェーズにおける懸念点と、それを解消するためのポイントを紹介しましょう。まずはPlan段階における懸念点とその対策について解説します。

目標設定を高く見積りすぎる

Planの段階ですが、志の高さゆえ、目標を高く設定しすぎることはNGです。一度の実践で取り組み切れないほどのゴールを設定してしまうと、実行までに多くの時間を要してしまうことはもちろん、以降の評価や改善も適切に行えなくなる可能性があります。

役割分担が曖昧である

Doの段階において、誰がどの業務を担当するかをよく話し合っておくことも、Planの段階では大切です。Planの段階でDoについて具体的に話し合っておかなければ、計画通りに事を進められない可能性もあります。

こういったトラブルの原因をあらかじめ排除しておくことも、Plan段階では重要です。


Doにおける解消すべき懸念点

続いて、Do段階における懸念点とその対策について解説します。

取り組みが不十分に終わってしまう

Doの段階で避けたいのは、計画通りにプロジェクトを進められないという事態です。事前に決めたことを行えなければ、その後の評価や改善の段階における判断材料を失ってしまうため、次回のプロジェクトまで判断が持ち越しとなってしまいます。

そういった場合でも少しずつ前進できるとはいえ、できることや今試したいアイデアは、早いうちに実行できるよう心がけましょう。

実行内容の記録が曖昧になってしまう

プロジェクトの進行に集中するあまり、その後の評価のことを考えず、実行プロセスの記録が曖昧になってしまうことも避けたい点です。今やっていることを今後の資産として蓄積するためにも、プロジェクトの記録は丁寧につけておきましょう。


Checkにおける解消すべき懸念点

実行を終えた後のCheckの段階でも、トラブルは発生しやすいものです。Check段階における懸念点とその対策について解説します。

評価の目安が不明瞭である

今回のプロジェクトが果たして成功だったのか失敗だったのかをうまく把握できないことは、今後のプロジェクト進行に悪影響を与える可能性があります。目標を達成できたかどうかがわからなければ、どう改善したら良いかがわからなくなってしまうためです。

もちろん、当初想定していた目標を達成できたかできていないかは容易に判断ができるかもしれませんが、細かな評価軸が用意されていないと、どこで何をしたことが結果につながっているのかということがわからなくなってしまいます。

そのプロジェクトの出来不出来を客観的に把握できるような複数の指標を用意しておき、それぞれの目標値をクリアできているかを確認することが大切です。


Actionにおける解消すべき懸念点

Action段階では、次回のプロジェクトにつながる効果的な改善点を打ち出す必要があります。そのために解消しておくべき懸念点と対策を把握しておきましょう。

改善点を十分に見出せない

Actionフェーズにおいては、改善すべきポイントを出すことができなければ次の段階に進むことはできません。何度もPDCAを回していると、次第に改善すべきポイントが見えなくなってくることがあるため、次のサイクルに突入するまでの時間がかかることがあります。

こういった事態を避けるためにも、あらかじめ評価軸を都度複数用意して、さまざまな視点から結果を見つめられる環境を整えておくことが求められます。定量的な評価にしても、たとえば来店者数の推移だけに着目するのではなく、どのエリアにどれだけのお客さんが滞留していたのかなど、これまでにない視点で物事を見つめる必要があります。

最終目標を見失う

先ほども触れたように、PDCAはあくまでも大きな目標を達成するための「手段」であり、サイクルを回すことが「目的」化してはいけません。PDCAが目的になってしまうと、改善点についても効果的な検討を進めることができず、既存の問題を差し替えただけのような堂々巡りを繰り返すことになりかねません。

最終目標がどこにあり、そこまでの距離は近づいているのかどうかを常に意識して、プロジェクトに取り掛かりましょう。


まとめ

PDCAサイクルはポピュラーな手法として定着していますが、一方で解消すべき問題も抱えています。

PDCAをうまく回せていない場合、4つのフェーズのどこかに問題を抱えている、あるいはPDCAサイクルとの向き合い方に問題を抱えている場合があります。自社の課題と照らし合わせながら、うまく課題解決に向けて検討を進めましょう。

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