派遣社員は有給休暇を取れる?いつから取得可能?付与日数と条件│コボットLAB

派遣社員は有給休暇を取れる?いつから取得可能?付与日数と条件

派遣の有給

社員の有給管理は労務管理の基本ですが、適用が難しいとされているのが派遣社員の有給管理です。派遣先企業からやってきた有期社員の労務管理は、どの組織が担うべきなのでしょうか?

今回は、派遣社員の有給管理を実践する上で知っておくべきことや、円滑な労務管理を実現する上で知っておきたいポイントについて解説します。

派遣社員は有給休暇を取得できる?

そもそも、派遣社員は正社員と同様、有給休暇を取得できるのでしょうか?結論からお伝えすると、派遣社員の有給取得は法律で認められており、企業は条件に応じた日数を派遣社員に提供しなければなりません。

派遣社員の有給取得は労働基準法で定められている

派遣社員の有給取得を義務付けているのは、労働基準法第39条です。条文には次のように記されており、正社員、派遣社員を問わず、適切な日数の有給休暇を与えなければなりません。

使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。

参照元:労働政策審議会労働条件分科会 第64回資料(厚生労働省)

ちなみに、派遣社員ではないアルバイトスタッフに対しても、労働基準法に基づいて有給休暇の取得が義務付けられています。条件は正社員とは異なりますが、長期間勤続している場合には有給が発生している場合がある点に注意しましょう。

有給を取得させなかった際の罰則

有給休暇を派遣社員に取得させなかった場合、労働基準法第39条に基づき、罰則が設けられる可能性があります。

条文によると、この労働基準法に違反した場合には6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が発生する場合があるとしています。

また、労基法に違反すると罰則が付与されるだけでなく、労働基準法に違反して働かせる派遣企業、あるいは派遣先企業であるとしてコンプライアンスに抵触し、社会的な制裁を受ける可能性もあります。

故意に労基法を無視することはもちろん、うっかり有給管理を怠って法律違反となってしまわないためにも、派遣社員の管理の見直しが必要です。


派遣社員の有給付与の仕組み

派遣社員の有給休暇は、次のような仕組みによって成立しています。

有給休暇の付与条件

派遣社員へ有給休暇が与えられる場合、次の条件を満たしている必要があります。

  • ・半年間の継続勤務
  • ・労働日全体で8割以上の勤務

派遣社員は有給取得の義務があるとはいえ、最低条件をクリアしていなければ付与することはできないため、全体の勤務日数を把握するところから始めましょう。

有給はいつから発生?付与される日数

上記2つの条件を満たした派遣社員に付与される有給休暇日数は、基本的に10日です。付与日数は勤続年数に応じて増加し、初めの6ヶ月で10日、1年6ヶ月で11日、2年6ヶ月で12日、3年6ヶ月で14日と増えていき、最終的には6年6ヶ月以上で20日に達します。

勤続年数が長ければ長いほど、派遣社員であっても多くの有給を獲得することができます。有給を適切に付与し、勤続年数の長い派遣社員の待遇を改善することで、高いモチベーションを維持することにもつながります。

有給の有効期限

有給休暇の有効期限は、付与された日から2年以内と決まっています。これは、有効期限を越えると休暇が失効するということではなく、有効期限を迎えるまでに必ず消化しなければならないという決まりです。

2019年に労働基準法が改正されたことで、有給の消費はより厳しく義務化されています。有効期限の間に、年間で最低5日間は取得しなければならないとされており、これに違反すると労基法違反の罰則が課される場合があります。


派遣社員の有給管理は誰が行う?

このように、正社員と同様派遣社員にも有給取得のルールが細かく定められており、適切な有休消化のためには有給管理を実施しなければなりません。ここで気になるのは、派遣社員の有給管理は誰が行うのかという問題です。

派遣社員の有給管理は派遣元企業が実施

結論からお伝えすると、派遣社員の有給管理は派遣先企業ではなく、派遣元企業が行います。賃金の支払いや振込先口座の管理は派遣元企業が行っているのと同様、有給管理についても派遣元企業の義務となっています。

賃金の交渉や振込先の変更を行いたい場合、そして有給の申請を行う場合には、派遣元企業と派遣社員がコミュニケーションを取る必要があります。また、有給管理と合わせて、産休の取得や健康診断の実施についても、派遣元企業の管理業務となっています。

派遣先企業の労務管理業務とは

有給管理は派遣元の業務範囲内ですが、派遣先企業が派遣社員の労務管理を実施する場合、どのような業務を受け持つのでしょうか?

派遣先企業では、派遣社員の就業時間や休憩時間の管理を行います。現場で把握すべき労務管理については派遣先で実施することとなっており、早退や遅刻が発生した場合も派遣先で管理されます。

また、時間外労働や休日出勤の管理も、派遣先企業の下で管理されます。ただ、これらの労働に派遣社員を従事させる場合には、あらかじめ派遣社員と派遣元企業の間で同意が取れている必要があるため、前触れなくこれらの労働に従事させることはできません。

時間外労働や休日出勤が発生する可能性がある場合には、あらかじめ派遣元企業への確認を怠らないようにしましょう。


派遣企業の有給管理における課題

有給申請

派遣社員の有給管理は、派遣元の企業によって行う必要があります。派遣社員の有給管理を実施する上で派遣企業に発生する課題について解説します。

有給管理に工数がかかる

まず、派遣企業が正社員とは別個に有給を管理しなければならないため、新たな工数が発生することは避けられません。派遣社員の数が多ければ多いほど、有給管理には多くの工数が発生するので、ある程度規模の大きな人材派遣会社は管理を効率化するための施策導入に取り組んでいます。

有給管理を怠ったり、付与日数や勤怠日数の記録にミスがあったりすると、適切な有給を付与することができず、労基法違反に抵触する可能性があります。派遣社員を効果的に管理するための仕組みを整える必要があるでしょう。

有給を踏まえた給与計算が発生する

有給休暇日数を正しく把握しなければ、給与計算にも悪影響を及ぼします。有給は給与が発生する休暇制度であるため、有給取得中も賃金が発生することを踏まえて計算しなければなりません。

有給を取得させられたのは良いものの、その分の賃金が支払われていなければ、有給を消化できたとはいえません。派遣社員の休暇が有給なのかそうでないのか、明確に判断できる仕組みづくりを進めましょう。

年次有給休暇管理簿が必要になる

有給管理を実行する上では、年次有給休暇管理簿というものを作成しなければなりません。年次有給休暇管理簿は、労働者の有給を管理するための台帳で、労働基準法の改正によって、管理簿の作成が有給の付与と消化と合わせて義務化されています。

誰がどれくらいの有給を取得しており、いつどれくらい有給を消化したのかを逐一確認するための管理簿で、有給取得を適切に管理するために必要です。帳簿を丁寧に作成することで、有給消化漏れや付与漏れがないよう管理ができます。


派遣企業の労務管理効率化にシステム導入がおすすめの理由

上記のような派遣社員の有給管理に伴う課題を解消する上で、導入されているのが労務管理システムです。最近では、派遣社員の管理に特化した労務管理システムも登場しており、導入企業に多様な恩恵を与えています。

有給管理業務を効率化できる

労務管理システムの良いところは、有給管理を大幅に効率化できる点です。派遣社員の数が増えてもシステム上で一括管理ができるため、労務管理の負担を大幅に削減できます。

有給管理に必要な人員を減らし、別の複雑な業務へリソースを割り振ることもできるでしょう。

ヒューマンエラーのリスクを軽減できる

有給管理を可能な限り自動化することで、ケアレスミスが生まれるリスクも小さくすることができます。データの入力ミスや派遣社員情報の更新などを忘れてしまうアクシデントを回避し、適切な日数の付与を派遣社員に実行できます。

派遣社員の業務効率化にも貢献できる

人材派遣業に特化した労務管理システムを導入すれば、派遣企業にとって業務効率化につながることはもちろん、派遣社員にとっても便利な機能が導入されています。

有給の申請をスマホから実施できるようにしたり、自動で必要情報の入力を書類に行えたり、余計な業務の発生を極力抑え、働きやすい環境づくりを進められます。


まとめ

労働基準法の改正により、正社員だけでなく、派遣社員の待遇改善が喫緊の課題となっています。有給管理の是正もその一つといえ、適切な管理を怠れば罰則が発生する場合もあります。

派遣社員の有給取得を促すためには、有給の存在を周知するとともに、有給を適切に消化するための管理体制を改善する必要があります。派遣社員の勤務状況や勤続年数を把握し、付与日数に間違いがないよう備えておきましょう。

これらの有給管理を実現する上では、派遣社員の管理に特化した人材派遣管理システムを導入すると良いでしょう。自社の課題を解消できるシステムを選び、健全な派遣体制を整えましょう。

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