コロナ禍を経て、飲食業界は元の活気を取り戻してきました。しかし、飲食店経営には依然として課題が残っています。今こそ、飲食店はビジネスモデルを再構築するチャンスです。
今回は、飲食店を経営する方々へ、現代の飲食店のビジネスモデルについて解説します。実際に成功した例も紹介するので、ビジネスモデルの主流やポイントを学び、自店で実現可能なビジネスモデルを作り上げましょう。
そもそもビジネスモデルとは?
まずはビジネスモデルとはどういったものなのか解説していきます。
ビジネスモデルという言葉を聞いたことがあっても、その概要を理解していなければ業務に活かすことはできません。ここでは、その理解を深めましょう。
ビジネスモデルとは
ビジネスモデルとは、商品やサービスを提供し、それによって得られる収益獲得の仕組みを指します。
ビジネスモデルが成立するためには、有用性・実現可能性・継続可能性を満たさなければなりません。
- 有用性:顧客にとって魅力的な商品・サービスであるか。
- 実現可能性:有用性のある商品・サービスが実現できるか。
- 継続可能性:ビジネスそのものを継続できるか。
これらが全て成り立って初めてビジネスモデルが確立します。
飲食店のビジネスモデルは多様なプランがありますが、成功しているからといって導入するだけでは不十分です。自店で実現でき、継続できるビジネスであるかを考えることが大切です。
飲食店は時代に合わせたビジネスモデルを作ることが成功の鍵
飲食店において重要なのは、時代のニーズに合わせたビジネスモデルを作ることです。顧客は流行に敏感であり、流行を取り入れていない飲食店は取り残されてしまいます。スタッフの対応がどれだけ素晴らしく、提供している料理が美味しくても、現代の流行に合っていなければ利用者は減少します。
近年では、コロナ感染症の流行により多くの飲食店がデリバリーやお持ち帰りに対応していました。時代の流れを取り入れ、自店にマッチしたビジネスモデルを作ることが成功の鍵といえます。
飲食店のビジネスモデルで成功させるポイント
具体的なビジネスモデルを考える前に、飲食店でのビジネスモデルで成功するためのポイントを紹介します。基本的な部分を把握して、自店に適したビジネスモデルを考えていきましょう。
ターゲットの選定
ビジネスモデルを考える際に重要なのが、ターゲットの選定です。商品やサービスを求めている人に確実に届けるためには、ターゲットの選定は外せないポイントです。
性別によっても求めているものは違いますし、年代によっても需要が異なります。性別、年代、ニーズ、シーン、職業といったターゲット要素を踏まえて選定することで、顧客の満足度を上げることができます。
メインとなるターゲットに刺さるサービスを提供し、内容にブレが生じないよう、まずはターゲットの選定を行いましょう。
販売方法の選定
ターゲットを選定した後に考えるべきポイントは、販売方法です。同じ料理やサービスでも、販売方法によって売上に大きな影響が出てきます。
コロナ禍では外出自粛に合わせてネット販売、テイクアウト、デリバリーなどが有効な戦略となりました。多くの飲食店が同様の対応をしていたことは記憶に新しいでしょう。
時代の流れに合わせ、メインターゲットが利用しやすい販売方法を選定していきましょう。
デジタル化の導入
現代社会において全体的にデジタル化が進んでいます。これは飲食店も例外ではありません。
販売方法にネット販売を取り入れることはもちろん、お店での注文から決済までをスマホで行う店舗も増加しています。これにより顧客の利便性が上がると同時に、顧客データを蓄積できるので、分析してサービス向上に利用できます。
データに基づいたサービスは顧客満足度を格段に上げるため、デジタル化を積極的に取り入れていきましょう。
時代に合わせた飲食店のビジネスモデル
ここからは、現代の飲食店にどのようなビジネスモデルがあるのか紹介していきます。
どのビジネスモデルにもそれぞれにメリットがありますが、重要なのは自店で可能であり、継続できるモデルです。これから紹介する中で、自店に合ったビジネスモデルを見つけてみてください。
1人客をターゲットにするビジネスモデル
一昔前までは、1人で飲食店を利用することは珍しく、食事の場は親交を深める場所というのが一般的な認識でした。
しかし、近年では多様化が進み、人間関係を無理に築かないというスタイルが認められるようになりました。それに伴い、飲食店だけでなく映画やカラオケなども1人で利用する方が増えています。
カウンター席を用意したり、一人前からの価格を設定するなど、現代では1人客をターゲットにしたビジネスモデルも有効です。
マルチターゲットのビジネスモデル
成功のポイントとしてターゲットを選定するという話が出ましたが、あえてターゲットを絞らずに幅広く設定するマルチターゲットを対象にしたビジネスモデルも存在します。
ファミリー層が訪れるような飲食店では、顧客の幅が広くなりますが、どんな需要にも応えられるラインナップを用意できれば、それだけ利用者が増加する結果を生み出すことが可能です。
人気チェーン店などは、こうしたマルチターゲットに対応したビジネスモデルを導入しているケースもあります。
サブスクリプションのビジネスモデル
動画や音楽配信サービスでよく見かけるようになったサブスクリプションも、飲食業界に浸透してきているビジネスモデルのひとつです。
月額や年額の料金を支払うことで一定の期間サービスを利用できるサブスクリプションは、例えば1ヶ月間コーヒー飲み放題や割引・トッピング無料など、さまざまな形で導入されています。
サブスクリプションの活用により継続的に利用する顧客が増え、売上の安定が見込めるだけでなく、その特殊性が話題になる可能性もあるなど、多くのメリットがあります。
セルフ化したビジネスモデル
以前から徐々に進められていたセルフ化のビジネスモデルも、人との接触を少なくしなければならなかったコロナ禍によって促進され、今では多くの店舗で見かけるようになりました。
スマホで注文から決済までを完結させることをはじめ、自動レーンや配膳用のロボットが導入されている飲食店もあります。
セルフ化を取り入れるためには機器の導入などでコストがかかりますが、長期的に考えると人件費が抑えられるというメリットもあります。
ゴーストキッチンのビジネスモデル
コロナ禍においてデリバリーやテイクアウトが流行した際に、ゴーストキッチンという言葉を耳にする機会も増えました。ゴーストキッチンは、電話やインターネットのみで注文を受け付け、料理を配達する飲食店です。
実店舗がないので、家賃や修繕費などの固定費が大幅に抑えられます。また、多くの飲食店が対応したことでデリバリーやテイクアウトの需要も高まっており、現代的なビジネスモデルでもあります。
ネット販売のビジネスモデル
ゴーストキッチン同様、コロナ禍の影響で積極的に導入されるようになったのが、ネット販売に特化したビジネスモデルです。
多くの人が外出を自粛していた期間があったため、外食が行われない時期もあり、飲食店にとって集客ができない事態となりました。 その中で、自宅でもお店の商品を楽しめるようにと、ネット販売という形態に移行した店舗が数多くあります。
集客の問題も解決でき、接客を要しないため人件費も抑えられるビジネスモデルです。
飲食店で伸びているビジネスモデルの成功例7選
ここからは、飲食店で伸びているビジネスモデルの実例を7つ紹介します。どのビジネスモデルもそれぞれのメリットを活かした成功例を挙げていますので、参考にしてみましょう。
1. 1人客やセルフ化で成功した焼き肉店のビジネスモデル
少し前までは焼肉はみんなで食べるというイメージがありましたが、大人数の宴会に依存せず、家族や1人でも日常使いできるカジュアルな焼肉店へ事業転換して成功した例も多くあります。
リーズナブルな価格設定によるひとり焼肉や、自分で好きなだけ飲めるセルフ飲み放題を導入することで成功しています。
利用しやすい環境や、特殊な体験はSNSでも広まりやすく、高い集客力を実現しています。
2. テイクアウトで成功した餃子専門店のビジネスモデル
以前から餃子を取り扱う事業は右肩上がりで成長を続けていました。これは餃子の使用食材(豚肉、キャベツ、皮)の原価が低いという特徴から来ています。
さらに、コロナ禍で「無人餃子専門店」が急激に増加しました。無人なので人件費をかけずに展開できるのが強みです。
もちろん無人だけではなく、餃子のテイクアウト販売を強化したり、中華そば・ラーメン店で餃子を組み合わせた商品展開をするなど販路展開が豊富にあるのもポイントです。
3. 自動レーンの導入でセルフ化に成功した焼き肉店のビジネスモデル
どの飲食店でも人手不足が悩みの種です。そこで、大型焼肉店などで人手不足解消に役立っているのが、自動レーンの導入です。お客様への提供を全て自動で行えるため、人件費を大幅に削減することが可能になりました。
抑えた分を食材コストにかけることで品質を向上させ、顧客満足度につながり売上増加になっています。店舗が大きいほど、自動レーンの導入は効果を発揮するビジネスモデルです。
4. 配膳ロボットの導入でセルフ化に成功したファミリーレストランのビジネスモデル
人手不足への対応や生産性向上といった問題を解決するために、導入数が急増しているのが配膳ロボットです。
すかいらーく社では全国で2,000店舗という規模で配膳ロボットが導入されており、他の企業でも導入が増えています。配膳ロボットを導入した店舗では生産性が高まり、売上が上昇しています。
ロボットのための環境設備は必須ですが、高い生産性を実現できるメリットは大きいでしょう。
5. SMSを活用してテイクアウトで成功した焼き肉店のビジネスモデル
近年、SNS利用者が増加し、SNSはビジネスモデルに組み込むべきツールとして注目されています。
テイクアウトメニューを開発して販売するだけでは売上増加は期待できませんが、最も反応が見込まれるターゲットに絞ってSNSでの告知を行うことで成功した焼肉店もあります。
顧客に迷惑だと思われてしまうと告知の効果がなくなるため、適度な頻度での更新など注意すべき点もあります。日頃から顧客データを収集して活用しながらSNSを運用することが大切です。
6. サブスクリプションで成功した焼き肉店のビジネスモデル
サブスクリプションといえば定額で使い放題というイメージがありますが、ある焼肉店での成功例として挙げられるのは会員制モデルのサブスクリプションです。
年会費を支払うことで、会員限定で来店できる権利を得たり、限定の特別メニューを注文できるなどの特別感を演出できます。
通常の飲食店では味わえないこだわりのメニューなどが提供できるのは、純粋な利益として会費を得られることにあります。原価率の高い食材やお酒でも提供可能になり、顧客満足度を高められます。
7. テイクアウトとデリバリーで成功した高級弁当店のビジネスモデル
コロナ禍の影響で急増したテイクアウトとデリバリーという業態に特化したことで成功した事例もあります。
既存の飲食店で新たにテイクアウト商品やデリバリーを導入した店舗は多いですが、競合店舗の増加や配送人員の不足といった差別化の難しさや負担の面で課題がありました。
そこで、既存店をテイクアウト&デリバリー専門店に業務転換することで、テイクアウト比率を上げて配送比率を下げることに成功しました。
デジタル化の導入を検討する場合は補助金・助成金で負担を減らせる
これまでに配膳ロボットやネット通販、スマホでの注文・決済など、デジタル化を図る施策を紹介しました。どの施策も導入するだけで効果を期待できますが、導入コストがかかることは避けられません。
この問題を解決するために、国や自治体が行っている補助金や助成金制度の活用がおすすめです。
「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」など、飲食店で使える制度が用意されています。中には申請期限が迫っている制度もあるため、あらかじめ確認し検討しましょう。
まとめ:成功例を参考に自分のお店にマッチしたビジネスモデルを作り上げよう!
飲食店の経営は時代の流れを読み、それに合わせたビジネスモデルが重要となります。
一つのことに固執していては、すぐに取り残されてしまう可能性もあります。そうなってしまう前に、今回紹介した成功例を参考にして、自店で取り組めて継続できるビジネスモデルを作り上げていきましょう。
現代に合わせたビジネスモデルの一つとして、SNSの利用は大きな効果を期待できます。
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