年末調整の電子化の事例5選!電子化で得られる従業員・会社のメリット│コボットLAB

年末調整の電子化の事例5選!電子化で得られる従業員・会社のメリット

毎年発生する年末調整業務は、バックオフィス業務の担当者にとって面倒な業務であるだけでなく、申請手続きを行わなければならないその他の従業員にとっても負担の大きな作業です。

そんな年末調整も、近年はITツールを使って電子化を進め、簡単に業務を遂行できる環境が整いつつあります。今回は、年末調整の電子化によって得られるメリットや、実際に電子化を実現した事例について紹介します。

年末調整の電子化とは

年末調整は、人事・労務務担当者が主に対応している精算業務です。申告書類の準備から配布、回収、そして集計から入力に至るまで、多くの工程が発生します。そのため、年末はどうしても年末調整業務に時間を割かれてしまい、他の業務のための時間を作る事が難しくなります。

また、申告手続きを行う従業員にとっても面倒な作業であることには変わりなく、先延ばしにしてしまったり、修正が必要な書類を提出してしまったりといった問題も発生してしまいやすいものです。

年末調整の電子化は、そんな負担の大きな業務をデジタル化することで、大幅な効率化を実現するものです。パソコンやスマホから申請手続きを行い、集計も自動で行われるため、業務負担の削減に貢献します。

記入に伴う複雑さも排除し、短時間で終えられる設計で申告を進められるため、初めての申告という場合でも混乱のリスクを回避できます。


年末調整の電子化に伴う制度改正

年末調整の電子化は、法改正によって年末調整手続きが簡略化されたことも、大きな追い風となって普及が進んでいます。大きな制度改正として、次の2点が挙げられます。

税務署への事前申告が不要に

まず、税務署への年末調整の事前申告が、電子化に伴い不要となっています。これまでは所轄の税務署へ事前に申告を行い、承認を得る作業が必要でしたが、電子化によってこの手続きは廃止されています。

調整業務に集中できるよう改正されたため、余計な負担を排除することが可能となりました。

源泉所得税関係の書類への押印が不要に

紙の申請においては当たり前のように求められていた、源泉所得税に関連する書類への押印も廃止されています。扶養控除や異動の際の申告には源泉所得に関連する書類の押印手続きが不可欠でしたが、電子化に伴い不要となっています。

このため、PCで作成した申告書類を紙にプリントアウトし、押印して提出するなどの必要がなくなり、大幅な無駄の削減につながっています。


年末調整電子化によるメリット:企業側

年末調整を電子化することで、企業、そしてそこで働く従業員にとっても恩恵が受けられます。まずは、企業が受けられる電子化のメリットについて解説します。

書類作成業務を削減できる

まず、年末調整の電子化は書類作成の業務そのものを削減します。一枚ずつ申請書を印刷したり、手書きで作成したりする必要がなくなるため、大幅な時間短縮につながります。

その後の回収作業や集計作業もシステム上で自動的に実行されるので、入力ミスのリスクや、集計ミスの心配もありません。簡単なクリック操作を主体に業務を遂行できるため、業務負担の削減はもちろん、生産性を高め、新人でもすぐに高いパフォーマンスを発揮できます。

書類保管コストを削減できる

年末調整に伴う書類発行の必要性がなくなったことで、申請書などを保管するコストも削減できます。

紙の書類を直接保管するとなると、書類を仕分けたり、保管しておくためのスペースを確保したりする必要があります。しかし、電子化によって書類の必要がなくなれば、紙を購入するコストやリースしている複合機の費用、オフィススペースの圧迫も解消されるため、大きなコスト削減効果が期待できます。

維持管理の負担が企業活動に悪影響を与えている場合、年末調整の電子化がカギになることもあるでしょう。


年末調整電子化によるメリット:従業員側

年末調整の電子化は、企業にとって有利に働くだけでなく、そこで勤めている従業員にとっても恩恵が得られる変化です。

申告手続きを簡略化できる

まず、従業員側で必要な申告手続きをすべてスマホやPCから行えるようになります。紙媒体で申請する必要がなくなるので、オンライン経由で簡単に手続きを遂行可能です。

申告の際、入力事項や記入する用紙が複雑で、どこに何を書けば良いのかわからないということもあります。年末調整を電子化すれば、必要な入力事項を最低限のフォーマットによって容易に理解ができるため、入力で手間取ってしまうケースも少なくなるでしょう。

申請の修正対応に追われることもなくなるため、従業員にも確認する担当者にも嬉しいメリットです。

証明書などの発行手続きを削減できる

紙媒体に依存しない年末調整手続きとなるため、証明書や申告書を再発行する手続きも必要がなくなります。

証明書を紛失してしまうと、再発行の手続きに時間を食われてしまいますが、電子化すれば紛失のリスクを回避できます。申請書類は個人情報も含まれているため、外部への漏洩を回避するという意味でも、電子化は有効な施策といえるでしょう。

テレワークでも対応できる

オンラインでの申請手続きが可能となれば、年末調整のために出社しなければならないという必要がなくなります。

これまでは、申請や書類の受け取りのためだけに会社へ赴かなければならないということもありました。しかし、電子化することによりオンラインで完結させ、移動負担などを解消できます。

オンラインであらゆる業務に対応できるよう環境を整備することで、働き方改革を推進する上でも役に立ちます。


年末調整電子化の懸念点

年末調整をPCで行う女性

年末調整の電子化には多くの期待が寄せられますが、一方で注意しておくべき懸念点もあります。あらかじめ注意すべきポイントを把握し、対応策を考えておきましょう。

システム導入の費用が発生する

年末調整システムの電子化には、初期費用や維持管理費用が発生します。近年普及しているクラウドサービスであれば、初期費用を抑え維持・管理コストだけで運用ができるため、高いコストパフォーマンスが期待できます。

新しいシステムを導入する以上、新たな支出が発生するのは致し方ないことですが、従来の人件費や業務負担を考えると、それ以上のコストパフォーマンスを望めるでしょう。従業員の人数が多ければ多いほど電子化のメリットは大きいため、組織の成長が見込まれる際に検討することをおすすめします。

システム移行に伴う手続きやノウハウの習得が必要になる

年末調整の電子化システムは、非常にユーザビリティに優れた設計となっているサービスが数多くありますが、これまであまりITツールを利用してこなかったという方にとっては、利用方法を習得するのに苦労してしまうこともあるかもしれません。

また、システムの導入に伴い新しい業務ルールを策定したり、ツール導入に当たっての研修などを実施したりする必要も出てきます。導入当初は使い方に慣れず、思っていたほどの導入効果を見込めない可能性もありますが、長期的には高い効果が発揮できることが期待できます。中・長期的なメリットを前提として運用を進めましょう。


年末調整の電子化を進めた事例

年末調整の電子化を実現した企業では、多くの成果を得ることに成功しています。最後に、年末調整の電子化の事例を紹介します。

株式会社フィナンシャル・エージェンシー

保険業界の商品企画開発や販売を手がけている株式会社フィナンシャル・エージェンシーでは、労務担当者と従業員の双方にとって優れた働き方改革の実現のため、年末調整の電子化システムを導入しました。

同社でかねてより問題視されていたことに、社会保険の手続きが煩雑で、膨大な数の押印作業が発生していたことがあります。特に、雇用契約に関する手続きは非常に負担が大きく、数百人いるアルバイトの対応のため負荷が大きくなっていました。

また、アルバイトスタッフは正社員の経験がないため、年末調整の手続きの詳しい方法がわからず、申請方法についての質問が集中したり、修正のための差し戻しが多く発生したり、そもそも年末調整の申請が忘れられたりといったことも珍しくありませんでした。

そこで、新たに年末調整向けの電子化システムを導入したところ、これらの課題をまとめて解消することに成功しています。年末調整業務は従来の場合、3週間前後の期間を配布から回収まで必要としていましたが、導入後はわずか7日間で同様の業務をこなすことに成功しています。

電子化によって手続きが簡略化され、修正の必要が大幅に削減されただけでなく、承認作業もオンラインで完結するようになったため、労務担当者の負担も解消できています。

キリンシティ株式会社

外食チェーンを経営するキリンシティ株式会社では、年末調整を電子化したことでペーパーレス化を実現し、業務工数の大幅な削減に成功しています。

同社では、毎年の年末調整業務は多くの負担となっており、紙媒体を使って担当者が2ヶ月ほどかけて業務を遂行しているのが慣習となっていました。元々紙を使った業務に頼っていた同社では、年末調整以外にも日々の情報共有で紙媒体を多用していて、度々紛失などのトラブルにもつながっていたことから、ペーパーレス導入の必要性が高まっていた背景もあります。

そこで、年末調整システムの電子化とともに、社内全体のペーパーレス化も進めていくこととなりました。完全な電子化によって、業務時間にして2ヶ月分の削減効果をもたらすことができ、作業労働を解消したことで他の業務に時間を割く事ができるよう改善されています。

労働時間を改善しつつ、基幹システムのプロジェクトやコロナ禍による休業補償の手続きなど、重要性の高い規格に着手できるよう環境をシフトできました。

株式会社ディグ・イントゥ

Web広告代理店のディグ・イントゥでは、組織の拡大に伴う年末調整業務の負担増加を改善すべく、システム導入による手続きの電子化を実現しています。

従業員が増え組織が大きくなったことで問題となったのが、人事管理に必要な従業員の情報がまとまらなくなったことです。成長スピードの速いインターネット業界では、業務環境の変化も迅速で、急激にバックオフィスが煩雑になってくることも珍しくありません。

そこで同社が取り組んだのが、年末調整を含めた勤怠・給与・人事管理などの各種クラウドのデータを連携させ、情報共有や各種手続き、タスク管理を一括でマネジメントできるシステムの構築です。社員情報を必要とするあらゆる業務を紐つけてしまうことで、対応漏れやヒューマンエラーを防ぎ、迅速に手続きを遂行できるシステムを構築しました。

リアルタイムでの従業員情報の取得が可能となり、作業労働による負担の発生を解消し、健全な働き方が可能な職場へと生まれ変わることができました。

川崎重工業株式会社

製造業大手の川崎重工業では、従業員約2万人の年末調整申告を電子化することで、多大な業務効率化を実現しています。

従業員数が2万人ともなると、彼らの情報を管理するのにも一苦労ありますが、従来は年末調整業務を紙で対応していたため、膨大な作業負担が発生していました。また、法改正のたびに申告書に変更点を反映し、手順改定も求められたため、業務を迅速に進めることが難しいという課題を抱えていたのです。

そこで同社が取り組んだのは、年末調整の完全電子化です。申告書配布や内容確認といった煩雑な作業は大幅に改善され、法改正によるアップデートも自動化することに成功しています。

また、テレワーク環境でも年末調整の手続きを実行できるため、働き方改革の推進にも成功しています。

日本ネットワークイネイブラー株式会社

通信業を営む日本ネットワークネイブラー株式会社では、社員採用を自社で実施するにあたり、勤怠・労務管理の発生に対応することが課題とされていました。

入社手続きから年末調整を一気通貫で対応するための電子化システムを導入したことで、社員情報の管理や手続きを、丸ごと効率化することに成功しています。

勤怠情報や給与情報がすべて連携されているため、入力作業の手間を大幅に削減することに成功しています。また、未提出書類はダッシュボードから直接確認できるため、確認漏れやリマインドも容易にシステムから通知できるという利便性も獲得できました。

バックオフィス業務全般を効率化することで、年末調整を含めた複数の業務における課題解消を実現しています。


まとめ

年末調整は非常に煩雑で時間を必要とするため、多くの労務担当者は年の瀬が近づくたびに憂鬱な思いを抱えることとなります。しかし、電子化システムを導入した多くの企業では、以前の業務が嘘のように自動化され、大幅な効率化を遂げているケースが登場しています。

年末調整の電子化は、社員数が増えれば増えるほど導入効果が高くなる傾向にあります。会社のさらなる成長が見込め、膨大な数の社員の管理に頭を悩ませている場合は、ツール導入を検討してみましょう。

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