近年、幅広い業務に渡ってペーパーレス化が進んでいます。契約業務もその一つで、電子契約サービスの導入により、あらゆる契約プロセスの電子化、ひいては効率化が可能です。
とはいえ、電子契約業界にはたくさんのサービスが混在するため、「どのサービスが自社に合っているかわからない……」などと導入を先延ばしにしている企業は少なくないでしょう。今回は、電子契約サービスの導入メリットやサービスの選び方、おすすめのサービスを10種類紹介します。
電子契約サービスとは?
電子契約サービスとは、インターネットを介した「クラウド」上で、契約の締結に必要なあらゆるプロセスを完結するためのシステムのことです。
従来では、契約を締結するには、「書面の契約書を取引先に郵送し、押印・サインをして返送してもらう」というやり取りが必要不可欠でした。しかし、これらのやり取りには時間と手間、さらには封筒代や印紙税などといった費用がかかります。
そこで、これらの課題を解決するために誕生したのが、電子契約サービスです。電子契約サービスを導入すれば、契約業務におけるペーパーレス化を実現し、契約のプロセスを効率化することができます。
電子契約サービスを導入する効果・メリット
ここでは、企業が電子契約サービスを導入することで得られる効果とメリットについて、詳しく紹介します。
- ・コストの削減
- ・契約締結のスピード向上
- ・コンプライアンスの強化
コストの削減
電子契約サービスを導入することで、契約業務におけるコストの削減が期待できます。
電子契約サービスの導入・運用には、当然ながら一定のコストがかかります。しかし、電子契約に移行すると、印紙税や郵送代、印刷代、保管コストなどがかからなくなることから、電子契約サービスの導入・運用にかかる以上のコスト削減が見込めます。
また、次項にあるように契約締結に必要な作業が減り、締結までのスピードが大幅に向上するため、長い目で見ると人件費の削減にもつながります。
契約締結のスピード向上
電子契約サービスを導入するメリットの2つ目は、契約締結のスピードを大幅に向上できることです。
書面の契約書の場合、取引先に到着するまでに2〜4日ほどの日数を要してしまうところ、電子契約サービスなら「リモートでの即時締結」が可能になります。郵送と比較して時間のロスが圧倒的に少なく、すべての作業がクラウド上で完結するため、契約書の作成から締結、さらには管理まで、一連の契約書業務を効率化させることができます。
コンプライアンスの強化
コンプライアンスを強化できることも、電子契約サービスを導入するメリットの一つです。
電子契約サービスでは、契約を締結したり、契約内容を書き換えたりすると、システム上に「誰が何を行ったか」という履歴が残ります。さらには、電子契約サービスには、契約書の非改ざん性を証明するための「タイムスタンプ」や「電子署名」などのデジタル技術が採用されています。
書面の契約書と比較して、書類の改ざんや不正を防止しやすいことから、セキュリティおよびコンプライアンスを強化することができます。
電子契約サービスの選び方
続いて、自社に最適な電子契約サービスの選び方を4つ紹介します。「どの電子契約サービスを導入すべき?」とお悩みの企業は、ぜひ参考にしてください。
- ・目的で選ぶ
- ・機能で選ぶ
- ・料金で選ぶ
- ・セキュリティ性で選ぶ
「目的」で選ぶ
電子契約サービスを選ぶ上で最重視したいポイントは、導入目的(=企業が解決したい課題)によって異なります。たとえば、「コストの削減」が目的なら低価格な料金プランを用意しているサービスを、「作業の効率化」が目的なら契約締結までのフローが直感的で使いやすいサービスを選ぶのが理想的です。
一口に「電子契約サービス」といっても、どの目的に強いかはサービスごとに差がありますので、まずはサービス選びの軸となる「導入目的」を明確にしておきましょう。
「機能」で選ぶ
電子契約サービスを導入するなら、「クラウド上での契約締結」だけでなく、テンプレートを用いた契約書の作成機能やワークフロー機能、文書管理・検索機能などといった機能もあると便利です。
多くの電子契約サービスは、こういった機能を搭載しています。ただし、使える機能や利用料金はサービスによって異なるため、「自社が必要とする機能がそろっているか」を基準に各サービスの機能を比較しましょう。
「料金」で選ぶ
電子契約サービスを選ぶにあたっては、導入・運用にかかる料金を確認することが大事です。というのも、サービスの利用料金が書面契約の経費を上回ってしまっては元も子もないからです。「導入することで経費削減につながるかどうか」をじっくり検討しましょう。
中には、無料で利用できるサービスもありますが、利用ユーザー数や月ごとの送信数が制限されてしまう傾向にあります。そのため、基本的にはテスト導入での利用に留めることをおすすめします。
「セキュリティ性」で選ぶ
電子契約サービスを選ぶ際に必ず確認しておきたいのが、セキュリティです。契約書には機密情報が数多く含まれていますので、クラウド上でやり取りする中で漏洩や改ざんなどがあってはなりません。
運営元が信頼できるかどうかはもちろんのこと、不正アクセス対策や監視体制、セキュリティ強化オプションといったセキュリティ体制が万全かどうかを確認しておきましょう。
おすすめの電子契約サービス:無料編
ここからは、実際におすすめの電子契約サービスを紹介していきます。まずは、「気軽に電子契約サービスを試したい」「まずはテスト導入してみたい」などという企業におすすめできる無料プランがある電子契約サービスを5つ紹介します。
ただし、無料プランの場合、登録ユーザー数や署名数などに制限がかかることが一般的です。無料プランを選ぶ際は、将来的な有料プランの利用を視野に入れた「テスト導入」として利用することをおすすめします。
GMOサイン
GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が提供する140万社以上の企業に導入されている電子契約サービスです。契約印タイプの送信料が1件あたり110円と、低価格で利用できることが特徴です。
契約印の他にも、実印タイプやマイナンバー実印にも幅広く対応しているため、契約や本人確認レベルに合わせて適切な形で契約の締結が可能です。
また、「電子帳簿保存法」に準拠しており、法的に安心して利用できることも魅力の一つとなっています。
GMOサインでは、無料プランと有料プランを用意しており、無料プランでは「月5文書まで」電子契約を利用することができます。契約印と実印がセットになった有料プランは、月額9,680円(税込)で利用が可能です。
公式サイト
クラウドサイン
クラウドサインは、弁護士ドットコム株式会社が運営する国内標準の電子契約サービスです。
日本の法律を熟知した弁護士がサービス全体を監修している他、電子署名法が定める電子署名に該当することが「法務省」および「デジタル庁」によって認められているなど、高い信頼性を誇ります。
送信者側は「書類をアップロード」「宛先を入力」「帳票を作成」「送信」、受信者側は「メールで受信」「契約書確認・合意」という直感的でわかりやすいフローで契約を締結できるので、初めて電子契約サービスを導入する企業でも安心です。
無料プランでは、登録ユーザー数は1人まで、送信件数は月5件までという制限があるものの、最低限の契約締結業務を遂行することができます。
公式サイト
WAN-Sign
WAN-Signは、株式会社NXワンビシアーカイブズが提供する、GMOインターネットグループと共同開発の電子契約サービスです。
WAN-Signの最大の特長は、セキュリティ対策と内部統制機能が充実しているところです。IPアドレス制限やフォルダ別の閲覧制限、ワークフロー固定機能など、トップレベルの機関が求める高度なセキュリティの内部統制機能が標準搭載されています。
実際に、多くの企業がWAN-Signのセキュリティ体制を高く評価しており、金融機関や大手企業などを中心に多数の導入実績があります。無料プランでは、当事者型の電子署名を月3件まで、立会人型の電子署名を月10件まで利用することが可能です。
公式サイト
BtoBプラットフォーム契約書
BtoBプラットフォーム契約書は、株式会社インフォマートが提供する「電子帳簿保存法改正」に対応した法的効力のある電子契約サービスです。
最新のブロックチェーン技術を採用しており、厳格な信用性・機密性が求められる業界でも導入しやすいことが特徴です。また、24時間265日の監視体制でセキュリティ対策も万全です。
無料のフリープランでは、月5件まで電子契約を締結することができます。「まずは無料で電子契約を締結してみたい」という企業におすすめです。
公式サイト
みんなの電子署名
みんなの電子署名は、基本料金が「完全無料」の電子契約サービスです。月額固定料金がなく、初期費用や契約書の作成・署名にかかる料金もすべて無料となっています。「1年以上経過した文書の保管」についてのみ、1文書あたり月11円の料金が発生します。
無料プランと有料プランといった区分がないため、ユーザー数や使える機能などに一切制限がなく、費用を抑えて導入・運用できるのが特徴です。「まずは無料で電子契約サービスを試してみたい」「低価格の電子契約サービスを利用したい」という企業におすすめのサービスです。
公式サイト
おすすめの電子契約サービス:有料編
続いて、おすすめの有料電子契約サービスを5種類紹介します。
jinjerサイン
jinjerサインは、jinjer株式会社が提供する「テンプレート選択」「送信者選択」「送信」という3ステップで、最短1分で契約書を送付できる電子契約サービスです。「一般財団法人日本通信協会」認定のタイムスタンプを自動付与できることを強みとしています。
また、Adobe株式会社認定のルート証明書で署名を行うことから、安全面に配慮しつつ電子契約を締結することができます。テンプレート機能や契約ステータス管理機能といった機能も充実しており、これ一つで契約書作成から管理まで契約書業務をスムーズに遂行できるでしょう。
公式サイト
freeeサイン
freeeサインは、freee株式会社が提供する、契約書の作成・締結・管理の煩雑なプロセスをオンラインで完結できる弁護士監修の電子契約サービスです。
クラウド会計ソフト「freee会計」と連携すれば、「freeeサイン」で作成した契約書を稟議申請に紐付け、社内でワークフローを管理することもできます。「freee会計」を既に社内で導入済みなら、セットで利用するとさらに効率的です。
また、契約書締結後の管理を効率化するための検索機能や有効期限のリマインド機能なども充実しており、電子契約の導入とともに契約書の管理体制も改善することができます。
公式サイト
契約大臣
契約大臣は、株式会社TeraDoxが提供するシンプルで簡単な操作性が魅力の電子契約システムです。契約書のテンプレートが用意されていたり、メール・電話によるサポート体制が充実していたりと、使い勝手の良さが魅力となっています
また、料金プランは月額2,000円台からの低価格となっており、初期費用もかからないため、費用を抑えてすぐに利用を開始することができます。わかりやすい操作性と低価格な料金プランで、電子契約を初めて導入する企業にぴったりのサービスです。
公式サイト
Adobe Sign
Adobe Signは、アドビ株式会社が提供する電子サインサービスです。情報セキュリティに関する国際規格「ISO 27001」を取得しており、世界トップレベルのセキュリティ標準に準拠しています。
日本国内はもちろん、世界中のほぼすべての先進国と多くの開発途上国で法的拘束力を有しているので、海外企業とのやり取りも安心して行えます。あらゆる業界・部門における処理のスピード向上に最適です。
公式サイト
DocuSign
DocuSignは、世界180ヶ国以上で100万社以上・10億人以上のユーザーに利用されている電子署名ソリューションです。
契約書はもちろん、申込書や稟議書など、さまざまなビジネス文書に対応しており、あらゆる合意・契約プロセスをデジタル化することができます。また、電子メールやチャットツールを使わずに、契約締結から保管・管理までをワンストップで行えるので生産性の向上にもつながります。
世界的な知名度が高く、44言語での署名、15言語での送信に対応していることから、海外の企業と契約を締結することが多い企業におすすめしたいサービスです。
公式サイト
まとめ
電子契約サービスの導入を検討中の企業に向けて、電子契約サービスの導入メリットとサービスの選び方、10種類のおすすめのサービスを紹介しました。
電子契約サービスは、契約業務のスピードを向上させるだけでなく、コストの削減やコンプライアンスの強化など、企業にさまざまなメリットをもたらします。今回紹介したポイントを参考にして、自社にとって最適な電子契約サービス導入に向けて前進していきましょう。
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