デジタルトランスフォーメーションはよく耳にする言葉ですが、文脈によって「概念」や「取り組み」に変化してしまうため、上手く理解できないという方もいることでしょう。また、経済産業省が発表したDXレポートで語られるデジタルトランスフォーメーションもビジネスの場で語られるデジタルトランスフォーメーションと異なる印象を受けます。
今回は文脈によって変化するデジタルトランスフォーメーションの定義を明らかにすると同時に、ICTやIoTとの違いも説明していきます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とICTの違い
デジタルトランスフォーメーションは「デジタル技術が全ての人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」というコンセプトのもとにエリック・ストルターマン教授によって作られた概念です。この概念をビジネスの文脈に置き換えると、デジタルテクノロジーを駆使して、企業経営や業務プロセスそのものを根本的に改善していくような取り組みのことを指します。
一方のICTはITにコミュニケーションを加えた「情報伝達技術」です。ICTの活用場面はパソコン・タブレットを使った学習システム(教育現場)や、独り暮らしの高齢者の状況を遠隔で把握できる高齢者見守りシステムなどが挙げられます。デジタルテクノロジーを利用することは同じですが、利用目的が異なる点に違いがあるといえるでしょう。
デジタルトランスフォーメーションとIoTの違い
IoTはInternet of Thingsの略称で、「モノのインターネット化」を意味しています。エアコンを遠隔で操作することや、話かけるだけで楽曲が再生されるスマートスピーカーもIoTといえます。IoT家電などにはAI技術が搭載され、データの収集や分析によって潜在ニーズの発見やサービス向上を実現しているのが特徴です。
デジタルトランスフォーメーションはデジタル技術で人々の生活をより良い方向に変化させるものと定義できるため、IoTがデジタルトランスフォーメーションを実現する1つの要素になると解釈できます。
変化するデジタルトランスフォーメーションの定義
デジタルトランスフォーメーションは概念として誕生しましたが、経済産業省が発表したDXレポートでは自国の企業におけるデジタル化の動きに警鐘を鳴らす言葉として再定義されています。
今一度、デジタルトランスフォーメーションの定義が「語られる文脈によって変化する」ことを知り、自社のデジタルトランスフォーメーションの取り組みで共通認識が取れるようにしていきましょう。
社会的文脈のデジタルトランスフォーメーション
2004年にスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された、「デジタル技術が全ての人々の生活を、あらゆる面でより良い方向に変化させる」というコンセプトのもとに作られた概念が社会的文脈のデジタルトランスフォーメーションです。
ITの浸透やデジタルテクノロジーの活用が社会・人類全体に良い影響を及ぼすという広範な枠組みで語られるデジタルトランスフォーメーションとなります。
ビジネス文脈のデジタルトランスフォーメーション
ビジネス文脈のデジタルトランスフォーメーションは企業が主語になっており、「新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、競争上の優位性を確立すること」と定義することができます。
急速にデジタル化が進む外部要因を機会・脅威と捉えることで、自社が取るべき経営戦略はどのようなものになるかを考えていく必要があります。
経済産業省が唱えるデジタルトランスフォーメーション
経済産業省が唱えるデジタルトランスフォーメーションは、DXレポートで示されたような日本企業全体が主語で語られるデジタルトランスフォーメーションです。多くの企業で部門間のシステム連携ができていない現状などを鑑み、このまま放置した場合のシナリオとして「2025年の壁」問題をクローズアップしています。
DXレポートにおけるデジタルトランスフォーメーションでは、企業が積極的にITサービス・システムを活用し、増大するデータの活用とコスト削減を同時に推進することで企業存続が図れる、といった内容になっています。
まとめ
デジタルトランスフォーメーションとICT・IoTはそれぞれデジタルテクノロジーを利用する点で同じですが、言葉が意味する範囲や規模に違いがありました。また、ビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーションは、急速にデジタル化が進む外部要因を機会・脅威と判別するところから始まり、対策を講じていくところにポイントがあります。
この機会に自社におけるデジタルトランスフォーメーションとは何かを考えてみると良いでしょう。
コボットはディップ株式会社が提供するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)サービスです。自動化できる単純作業は、社員(人)に代わってロボット(コボット)に任せることで、貴重な人材がそれまで割いていた工数を、より高度な仕事に集中する為の時間とすることが可能になりました。
ディップはRPAの導入相談から実際のRPA導入、導入後の運用に至るまでトータルでサポートします。「RPAを導入したい」「RPAを導入したが、活用しきれていない」「RPAの導入に踏み切ったが失敗した」など、導入における課題が多いいRPAですが、安心して導入いただけるサポート体制をご用意しています。
さらに、スケジュールの自動調整・WEB面談など採用現場の業務効率化を可能にする「面接コボット」や、人材派遣業界に特化した「HRコボット」、不動産業界の業務フローに沿ったテンプレート型RPA「不動産コボット」などの業界・業務特化型のRPAをご用意しています。
RPAについて悩んでいる企業のご担当者の方は、今すぐディップ株式会社までご相談ください。