企業や会社にとって必要な人材を採用したくても、なかなか応募者が増えなかったり、応募があっても求めている人材ではなかったりと、採用活動には悩みが尽きません。
そうした中で注目を集めているのが「リファラル採用」ですが、導入すべきかどうか判断に迷っている方も多いことでしょう。
本記事では、リファラル採用を取り入れることで成功を収めた企業の共通点や、成功事例を中心にまとめています。多くの企業の成功事例を参考にし、自社にリファラル採用を導入するかどうかを判断していきましょう。
- 1 リファラル採用とは
- 2 リファラル採用に成功した企業の共通点
- 3 リファラル採用の成功事例20選
- 3.1 事例1. freee株式会社
- 3.2 事例2. 株式会社SmartHR
- 3.3 事例3. 株式会社メルカリ
- 3.4 事例4. 株式会社富士通
- 3.5 事例5. Ubie株式会社
- 3.6 事例6. 株式会社ベーシック
- 3.7 事例7. キャディ株式会社
- 3.8 事例8. 株式会社ビズリーチ
- 3.9 事例9. 株式会社アンドパッド
- 3.10 事例10. 株式会社串カツ田中ホールディングス
- 3.11 事例11. 株式会社クレディセゾン
- 3.12 事例12. LE.O.VE株式会社
- 3.13 事例14. 株式会社LIG
- 3.14 事例15. iYell株式会社
- 3.15 事例16. 株式会社ゴーリスト
- 3.16 事例17. 株式会社ファンリード
- 3.17 事例18. 株式会社サイバーエージェント
- 3.18 事例19. 株式会社SUPER STUDIO
- 3.19 事例20. 株式会社セールスフォース・ドットコム
- 4 リファラル採用の効果を感じないときの対処法
- 5 まとめ:リファラル採用を導入して採用効率を上げよう
リファラル採用とは
リファラル採用は、主に中途採用で多く用いられる採用方法であり、社員紹介採用とも呼ばれます。この方式では、従業員の友人や知人を通じて、企業が求める人材を紹介してもらうことが特徴です。
リファラル採用のメリットとしては、以下の3点があげられます。
- 採用コストの大幅な削減
- ミスマッチの予防
- 転職潜在層へのアプローチの可能性
企業にとって、採用した後の離職を防ぐことは極めて重要です。そうしなければ、採用活動そのものが無意味になってしまいます。
関連記事:採用ミスマッチの原因と対策とは?マッチング率を上げて企業の損失を防ぐ
従来の採用方法では、転職を考えているが積極的に活動していない「転職潜在層」を見つけ出すことは困難です。リファラル採用を用いることで、このような層にも効果的にアプローチすることができます。
しかし、リファラル採用は従業員の紹介によるものであるため、紹介者との関係性への配慮や、候補者が特定のタイプに偏る可能性など、いくつかのデメリットも存在します。
関連記事:リファラル採用とは?メリットやデメリット、円滑に進める方法を知ろう
リファラル採用に成功した企業の共通点
リファラル採用を導入している企業は多く、どのような施策を行っているかは、知っておくべき重要なポイントです。
リファラル採用に成功した企業には、次のような共通点があげられます。
- 社内告知・従業員への声かけを徹底している
- カジュアル面談や会食を定期的に実施している
- 中長期的な施策として積極的に取り組んでいる
- リファラル採用の成果を周知している
- 不採用時を考慮した体制を整えている
- 複数の採用チャネルを併用している
リファラル採用のデメリットをきちんと理解した上で同時にその対策も行なっていること、リファラル採用だけに頼らず複数の採用手法も取り入れていることが成功に繋がっているようです。
関連記事:リファラル採用で起こり得るトラブル事例5選!失敗を回避する方法とは?
リファラル採用の成功事例20選
ここからはリファラル採用を実際に導入し、成功した企業の事例を20社紹介します。
どの企業もそれぞれ工夫した施策を行っていますので、導入を検討している方は参考にしてみてください。
事例1. freee株式会社
2012年7月に設立されたfreee株式会社は、「スモールビジネスに携わるすべての人が、創造的な活動にフォーカスできるように」という理念のもと、クラウド型会計ソフト、人事労務、会社設立支援などのバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスを開発・提供しています。
創業当初からリファラル採用を積極的に推進しており、月に1回の協力要請や、貢献した従業員の表彰などの施策を行っています。
また、友人をオフィスに自然に招きやすい環境作りに力を入れ、自由に着用できる自社Tシャツをプレゼントするなど、独自の紹介しやすい環境を整備しています。
現在では、約半数の従業員がリファラル採用によって採用されているという結果に至っています。
事例2. 株式会社SmartHR
「well-working 労働にまつわる社会課題を解消し、誰もがその人らしく働ける社会をつくる」というスローガンの下、クラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供する急成長中の株式会社SmartHRも、設立当初からリファラル採用を導入しています。
応募促進を目的として、会社が費用を負担する「リファラルごはん」、紹介した候補者が採用された際は、紹介した社員に手当を提供する「いい人紹介ありがとう制度」、そして採用に至らなかった場合でも紹介社員と候補者の関係性を維持するための「ごめんねごはん」といった、ユニークなリファラル採用関連の制度を設けています。
これらの取り組みの結果、リファラル経由の応募が他のチャネルからの応募に比べて10倍以上の内定率を達成しました。
事例3. 株式会社メルカリ
国内最大級のフリーマーケットアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリも、創業からリファラル採用を取り入れています。
経営層からの積極的な呼びかけを皮切りに、優秀な人材がリファラルによって社内に増えた後、リファラルで採用された社員が自分の経験を活かして採用活動を行うことで、候補者の集まりやすさを向上させています。
さらに、「メルカリの勉強会」などのイベントを開催し、社内外の交流を活発にする取り組みも行っています。会食が気軽に実施できるように、メルカリ本社近隣の飲食店にアプリ導入を促し、月に1度まとめて経費清算ができる仕組みを導入しました。
これにより、社員の負担が軽減され、リファラル採用が促進されるケースが大幅に増加しました。
事例4. 株式会社富士通
AIやIoTといった新技術を生み出すだけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)企業として業績を伸ばしている株式会社富士通も、リファラル採用を導入しています。
導入時には独自の制度設計を確立し、約4ヶ月間のトライアルを実施。その間に浮上した問題点を検証し、改善を重ねて本格展開しました。
人事部からの従業員への呼びかけに加え、リファラル採用専用サイトを設け、入社者・紹介者のインタビューや応募プロセスを公開することで、従業員がリファラル採用をより身近に感じられるよう工夫しています。導入後1年で約20名の採用に成功しています。
事例5. Ubie株式会社
症状から関連する病名を検索できる「ユビー」や、医療現場の業務効率化をサポートする「ユビーAI診断」を提供するUbie株式会社は、従業員が採用広報や手法選定に積極的に関与していることが特徴です。
noteを活用しリファラル採用を推進するためのアイデアを共有したり、社員アンケートを実施して全社的な取り組みを強化しています。
エンジニアが直接、採用プロセスに関わることで、必要な人材を効率よく確保しています。創業以来、従業員の約半数がリファラルによる入社であることがこの取り組みの成果を示しています。
事例6. 株式会社ベーシック
「マーケティングとテクノロジーで問題解決を」を理念に掲げる株式会社ベーシックは、Webマーケティングやメディア事業を展開するテクノロジーカンパニーです。
リファラル採用を開始する前の事前準備に注力し、プロジェクトメンバーでの試行を通じて制度を磨き上げました。イベント告知ポスターや全社朝礼での活動報告を行うなど、社内の関心を高める施策を実施。
この結果、1年間で62名の紹介と10名の採用を実現し、内定承諾率100%を達成しました。
事例7. キャディ株式会社
モノづくり産業の革新を目指すキャディ株式会社は、リファラルポイント制度を導入し、ゲーム要素を取り入れて従業員の積極的な参加を促しています。「会食をした」「イベントに招待した」などのアクションにポイントを付与し、活動を可視化しました。
さらに、社内のSlackを活用して「リファラル通信」を週に1回定期的に発信し、活動報告をカジュアルかつ手間なく行うことを奨励しています。
当初はスタンプでの申告から始まり、活動量が増えるとフォームを使用した報告に切り替えるなど、柔軟に対応しています。
完全招待制のクローズドイベントを定期的に実施し、会社の魅力を外部に伝えることで、3ヶ月で6名の採用を果たしました。
事例8. 株式会社ビズリーチ
国内最大級のハイクラス転職サイト「ビズリーチ」を運営する株式会社ビズリーチは、創業当初からリファラル採用を積極的に行っています。
「事業創りは仲間探し」という考えのもと、社員をチームに分け、各チームが3ヶ月で少なくとも1人の入社を目指す「リクルーティングプロジェクト」を社員主導で展開しています。
プロジェクトは立候補制で、社内の約4割の社員が参加し、リファラル採用を推進しています。採用活動のモチベーションを維持するために表彰制度を設け、成果を上げたリクルーターには豪華なディナーをプレゼントするなど、様々な施策を実施しています。
ビズリーチでは、リファラル採用が企業文化として根付いており、入社者の約4割がリファラルによるものです。
事例9. 株式会社アンドパッド
クラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」を提供するスタートアップ、株式会社アンドパッドは、リファラル採用での人物像(ペルソナ)の明確化に注力し、質を重視した採用戦略を展開しています。
特定の業界出身やSaaS界隈で影響力がある社員を選定し、リファラル採用プロジェクトに特化させることで、質の高い候補者の母集団形成に成功しました。
その結果、1ヶ月あたりの紹介数が以前の6倍に増加し、選考を通過した候補者の90%が内定を承諾するという成果を達成しました。
事例10. 株式会社串カツ田中ホールディングス
串カツ専門店を全国に約280店舗展開する株式会社串カツ田中ホールディングスは、採用コストの高騰と離職率の上昇に対抗するためにリファラル採用を導入しました。
経営陣を含む全社での推進により、社内の認知度を高め、全社員が参加する会議で採用方針を共有しました。
また、「社員が友人を紹介しやすい環境」の実現のため、休日数の増加や賞与の拡充、教育体制の整備などを行いました。
これらの取り組みにより、採用費用を大幅に削減し、離職率も顕著に低下させることに成功しました。
事例11. 株式会社クレディセゾン
「セゾンカード」や「UCカード」の発行で知られる大手クレジットカード会社、株式会社クレディセゾンは、リファラル採用の意義を内定者に伝えるために、採用管理システム内に特設エントリーページを設けました。
この取り組みは、リファラル採用の背景や目的を共有し、共感を得ることを目指したものです。結果として、想定以上の紹介を受け、内定者間で会社の魅力について語り合う機会が増え、自己の選択を再確認する意義ある活動へと繋がりました。
事例12. LE.O.VE株式会社
「自分の親を呼びたいまちづくり」を企業理念とするLE.O.VE株式会社は、訪問看護やリハビリサービスを提供し、リファラル採用による人材確保に力を入れています。全社員が人事という方針のもと、現場社員のアイデアを活かした施策を展開し、現場からの積極的な参加を促しています。
リファラルに貢献したスタッフへの報酬還元により、モチベーションの維持を図っています。
この取り組みにより、半年間でリファラルからのスカウト件数が200件を超え、入職者の定着率は100%、リファラル採用が全採用チャネルの3割を占める成果を達成しました。
「自分の親を呼びたいまちづくり」を企業理念とするLE.O.VE株式会社は、訪問看護やリハビリサービスを提供しています。高い教育費と給与に関わる人材紹介会社へのフィー支払い、および医療業界の高離職率を背景に、リファラル採用への取り組みを強化しています。
「全員人事」という方針により、現場のスタッフが積極的に声をかけ、リファラル採用を全社に浸透させています。
この取り組みは半年間で200件以上のスカウトと100%の入職者定着率を達成しました。全採用チャネルのうち3割がリファラル採用である成果も出ています。
事例14. 株式会社LIG
ホームページ制作を手掛ける株式会社LIGは、短期間での採用成果を目指し、1ヶ月限定の紹介キャンペーンをチーム対抗戦形式で実施しました。
最もエントリーを集めたチームには報酬が与えられ、ゲーム感覚で社内の盛り上がりを促しました。紹介用URLを渡すだけという手軽さが工数削減にもつながり、キャンペーンを通じてリファラル採用が社内文化として根付きました。
事例15. iYell株式会社
住宅ローンテックベンチャーのiYell株式会社は、「誰とやるか」を重視する企業文化を持ち、共有価値観の作成に全社員が参加しました。
「同じ価値観の人と働くこと」を大切にし、採用ミスマッチを防ぐことに成功しています。設立5年で社員数は3人から180人へと成長し、その半数以上がリファラル採用によるものです。
事例16. 株式会社ゴーリスト
外国人人材紹介に特化した株式会社ゴーリストは、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を採用プロセスの核とし、共感できない人材は採用しない方針をとっています。
SNSを含む複数のプラットフォームで情報発信を行い、リファラル採用のためのアクセスしやすい情報を提供しています。日報を通じてのポジティブ・ネガティブな情報の共有が自社理解につながり、中途採用の半数以上がリファラル採用であり、外国籍の社員によるリファラルも進んでいます。
事例17. 株式会社ファンリード
株式会社ファンリードは、インフラやソフトウェア開発、宇宙関連の技術を提供するICTプロバイダーです。
社員の負担を軽減するツールの導入と、通知機能を活用した情報共有により、紹介しやすい環境を整えました。月に1回の定例会や社員同士の交流を目的とした飲み会を通じて、社員間のコミュニケーションを促進しています。これらの取り組みにより、採用コストの削減と11名の採用成功を実現しました。
事例18. 株式会社サイバーエージェント
「ABEMA」をはじめ多岐にわたる事業を展開する株式会社サイバーエージェントでは、社内報を通じて紹介社員と新入社員のインタビューを公開し、リファラル採用への不安を払拭しています。
部署別の人材募集情報をメールで周知し、漫画のようなポスターやデジタルサイネージを用いた施策も展開しています。これにより、採用全体のほぼ半数がリファラルによるものとなり、将来的には直接採用を100%目指しています。
事例19. 株式会社SUPER STUDIO
「ecforce」を提供する株式会社SUPER STUDIOでは、社内チャットツールのSlackを通じて紹介者を全員で賞賛する文化を築いています。
「紹介してよかった」と感じさせる雰囲気作りを通じて、リファラル採用を促進しています。役割・目標・評価を重視した「良い会社づくり」の取り組みを通じて、リファラル採用率をメンバーの6割にまで高めました。
事例20. 株式会社セールスフォース・ドットコム
CRMプラットフォーム「Salesforce」を提供する株式会社セールスフォース・ドットコムでは、社内コミュニケーションツールを通じて具体的な採用情報を配信し、紹介者には旅行券をプレゼントするキャンペーンを実施しています。
社内のビジネスリーダーを巻き込むことで、人材採用の重要性を社内に広く認識させ、リファラル採用を企業文化として根付かせています。現在では、内定者の半数以上がリファラル経由です。
リファラル採用の効果を感じないときの対処法
リファラル採用を行なっても効果が感じられない場合は様々な要因が考えられます。
まずは社内環境に問題がないか調査してみましょう。
リファラル採用は従業員の協力がなければ成り立たない採用方法であるため、働いている従業員が会社を信用していなければ友人を紹介しようという流れは生まれません。
社内の風通しを良くし、従業員の信頼を得ることがリファラル採用の結果につながります。
企業ごとの成功事例からわかるように、様々な施策が行われます。施策を行った際には効果も測定しておきましょう。
施策の実行前と実行後で紹介数や面接実施数、内定率などを測定することで、そこから改善点を見つけることができます。
効果測定なしで同じ施策を繰り返していても、内定率が上がるということはありません。
またリファラル採用は従業員へいかに知ってもらうかという点でも効果が変わります。
紹介して欲しい人材のイメージ、インセンティブの内容など誰が見ても伝わるようになっているか改めて見直すことも大切です。
まとめ:リファラル採用を導入して採用効率を上げよう
少子化問題や募集情報の増加により、企業側も採用活動が難しい時代になっています。
リファラル採用は、このような時代だからこそ導入を検討するに値する採用方法であり、上手く活用できれば企業を一気に成長させることができます。
リファラル採用を進める上で採用ページを利用する機会もあるので、そちらを見直しておくことも大切です。自社の採用ページを見直したら、リファラル採用の導入し採用効率を上げていきましょう。
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