バックオフィス業務の中でも、勤怠管理と給与計算は従業員の就業状況や適切な支払いを行うために不可欠な業務です。そのため、迅速かつミスなく実施したいものです。
これらの業務を単体でこなす場合、同じような作業も発生するため、非効率に感じることもあるかもしれません。しかし、最新のシステムを導入することにより、それぞれの業務を連携させることが可能です。
今回は、勤怠管理と給与計算の連携によって得られるメリットや、押さえておきたいポイントについて解説します。
勤怠管理と給与計算業務の課題
勤怠管理と給与計算の業務は、その重要性が大きい反面、業務そのものに時間を必要とする問題も抱えています。それぞれの業務に共通して起こりうるメリットが、次の2点です。
入出力に多くの時間を必要とする
勤怠管理と給与計算の業務には、それぞれ多くの入力時間を必要とします。勤怠管理業務における締め日の集計作業は数人であれば手動でも対応は可能ですが、10人を超える規模の組織となると、まとめて対応することは極めて難しくなります。
小さな小売店などでは、オーナーがアルバイト店員の勤怠情報を締め日にまとめて行うことも珍しくありませんが、集計作業のために深夜残業や休日出勤が求められることもあるため、健康的な働き方の実施を阻害する可能性があります。
給与計算においても同様のことがいえます。勤怠情報を参考にしながら給与を毎月計算するのは、定型化されているとはいえ、ミスが許される業務ではないため、丁寧に入力とチェックを行わなければなりません。
両業務はどちらも勤怠情報を扱いますが、2つの業務を別個に対応してしまうと、何度も同じデータを参照しては入力するという手間が発生してしまいます。そのため、こういった手間を減らして少しでも業務負担の削減に努めることが、精度の高い業務遂行にも必要です。
ケアレスミスが起こりやすい
締め日近辺になると、いきなり負荷の大きな業務が発生するため、そのぶんケアレスミスも起こりやすくなることは想像に難くありません。日々のコア業務もこなしつつ、勤怠管理や給与計算も行うとなると、どうしても疎かになってしまいやすい傾向にあります。
給与計算のような業務は数値入力が数多く発生するため、ミスが起こりやすいといえます。それでありながら、桁数の入力ミスなどがあれば給与支払いの際にトラブルとなってしまいかねず、何度もチェックを行う必要があります。
給与計算を効率的に行うために必要なこと
上記のような課題を解決するにあたって、改善の際には次のポイントを押さえて施策を実行することが求められます。
既存業務からの抜本的な脱却を目指す
まずは、既存業務からの抜本的な脱却を目指しましょう。
どんなに手間のかかる方法であっても、やり慣れた手続きをこなすことは、新しい取り組みにチャレンジするよりも簡単に感じますが、実際には効率的な方法に慣れた方がはるかに効率的です。既存業務に何らかの課題を抱えている場合、まずはそこから脱却することを前提に改善施策を考えましょう。
積極的なIT活用を推進する
給与計算業務の効率化にあたって活躍するのがITツールです。近年、給与計算に役立つ多くのサービスが登場しているため、各種サービスについての理解を深め、業務のIT化を通じて最大限の省力化を進めましょう。
入力業務を減らす
ITツールの導入の目的には、入力業務の削減が挙げられます。
紙の書類をもとにした入力作業やデータの転記作業など、給与計算においては多くの入力負担が発生します。作業時間がかかることはもちろんケアレスミスの原因ともなるため、極力回避できる仕組みづくりが大切です。
情報を一元管理する
入力業務の削減とともに、情報を一元管理できる仕組みづくりにも力を入れましょう。社員情報などはまとめて同じデータベースで管理しておくことで、データ連携が容易になったり、必要情報の検索の手間が大きく削減できたりします。
勤怠管理と給与計算を連携させるメリット
これまでお伝えしてきたような課題を解消する上で、勤怠管理と給与計算の業務はまとめて対応できるよう、連携して遂行することが推奨されるようになってきました。主に、専用のシステムを使ってこれらの業務を連携させることが一般的です。では、連携によってどのようなメリットが得られるでしょうか?
業務の自動化につながる
一つ目のメリットは、業務の自動化です。
それぞれの業務において統合して対応できるようになるため、別個にデータを扱う必要がなくなり、何度も入力や出力を繰り返さなくとも、これまでどおりの成果を得られます。
余計な負担が解消されることで、担当者も丁寧に業務へ従事できるようになるでしょう。また、複雑な業務に時間をかけられるようになるため、業務全体の生産性向上も期待できます。
担当者の人件費削減につながる
二つ目のメリットは、人件コストの削減です。
これまで複数人で勤怠管理や給与計算の業務に取り組んできた場合、システムの導入と連携によって少ない人数で対応できるようになります。人手が必要な業務が連携によって解消されたことで、少ない人数でも今までどおり、あるいは今まで以上のパフォーマンスを発揮できます。
これまで、人材不足の都合により優秀な人材を提携業務に配置していた会社であれば、より高度で複雑な業務に彼らを配置できるようにもなるでしょう。新しいビジネス創出のチャンスを得られるとともに、バックオフィス業務のコスト削減を実現できます。
ヒューマンエラーを削減できる
人手がなくとも、今までどおりのパフォーマンスを得られるということは、それだけ業務に人の手を介さないようになり、ロボットが対応してくれるようになるということです。
人間が業務に対応すると、必ずどこかでミスが出てきてしまうため、それをカバーするための仕組みづくりが必要です。しかし、業務をシステムに任せてしまうと、人間のようなミスを犯すことはないため、安心して任せられるようになります。
単に手を動かさなくても済むことはもちろん、確認業務を減らすことにもつながります。
働き方改革を実現できる
勤怠管理と給与計算をシステム上で連携する場合、クラウド型のサービスを採用するケースがほとんどです。オンラインから利用できるクラウドサービスを活用すれば、会社のシステムに依存せずに通常どおりの業務を行うことができます。
そのため、担当者が業務遂行のために会社へ足を運ぶ必要もなくなり、テレワークなどの新しい働き方の導入にもつながります。
勤怠管理と給与計算の連携を実現するためのポイント
勤怠管理と給与計算を連携し、適切な働き方を実現する上では、次の3つのポイントを押さえておくことが重要です。
システムの互換性を確認する
一つ目のポイントは、勤怠管理システムと給与計算システムの連携が可能かどうか、互換性を確認しておくことです。それぞれを別個に導入している場合、お互いに連携ができる環境を整えていないと、連携によるメリットを最大限活かすことができません。
最近では、勤怠管理と給与計算が初めからセットになってシステムとして提供されているサービスもあります。そのため、これからシステム導入を始めるという場合は、こういったサービスを選ぶことも選択肢の一つでしょう。
クラウドサービスを導入する
二つ目のポイントは、クラウドサービスの活用です。従来のシステム導入といえば、会社のPCやサーバーにインストールするパッケージ販売のソフトが主流でした。しかし、近年ではクラウド経由で提供されているサービスも数多く登場し、人気を獲得しています。
クラウドサービスを導入すれば、オフィスにとらわれることなく業務を遂行できるため、何かと便利です。オンプレミスにこだわりがなければ、クラウドサービスを導入すると良いでしょう。
他に連携できる業務があるか確認する
勤怠管理と給与計算以外にも、システム上でデータベースを統合できる業務は多々あります。人事評価や営業支援システムなど、できる限り多くの業務を統合した方が効率的なデータ活用と業務遂行を進められます。
現時点で運用に課題を抱えている業務や、連携可能な業務が他にないか確認しておきましょう。
勤怠管理と給与計算を連携できる主なサービス
最後に、勤怠管理と給与計算を連携できるサービスを紹介します。
マネーフォワードクラウド勤怠
マネーフォワードクラウド勤怠は、株式会社マネーフォワードが提供する働き方改革をサポートするサービスです。従業員の勤怠状況をリアルタイムでクラウド管理できるだけでなく、雇用形態も問わないため汎用性の高い活躍が期待できます。
兄弟サービスであるマネーフォワードクラウド給与と連携し、勤怠管理や給与計算の業務をさらに効率化できます。
料金プラン
- ・個人:800円/月〜
- ・法人:2,980円/月〜
公式サイト
楽楽勤怠
楽楽勤怠は、株式会社ラクスが提供する勤怠管理における面倒な業務をすべて自動化し、担当者の負担軽減に努めてくれるサービスです。打刻漏れや申告漏れによるタイムカードの空白の発生を従業員へのアラート通知によって事前に警告してくれるため、集計作業時の負担軽減につながります。
直感的な操作が可能なシンプルな設計を実現しているため、初めてのシステム導入でもトラブルを最小限に抑えられます。経費精算システムや販売管理システムとの連携も可能なので、多くの業務を一元管理できます。
料金プラン
- ・3万円/月〜
公式サイト
kincone
働きやすい職場作りに貢献できるシステムをコンセプトとしたkinconeは、株式会社ソウルウェアが提供するサービスであり、ICカードを使った勤怠管理を特徴としています。オフィス出社の際もワンタッチで勤怠情報を記録できるので、打刻漏れの発生を抑制します。
スマホがあればすぐに始められる仕組みを採用しているため、初期の設備投資を抑えたい場合に嬉しいサービスといえます。給与計算サービスはもちろん、交通費生産のためのカレンダーアプリやチャットツールとも連携できるため、コミュニケーションコストの最小化にもつながります。
料金プラン
- ・200円/月〜(1人あたり)
公式サイト
freee人事労務
freee人事労務は、freee株式会社が提供する人事労務向けの業務効率化システムです。従業員の勤怠管理、および管理者の給与計算を一つのシステムの中での一気通貫での管理が可能であるため、別個にシステムを運用する必要がありません。
紙で情報をやり取りしたり、従業員の等級変更などに伴う抜け漏れなどを防いだりできるため、ケアレスミスの解消にも役立つサービスです。
料金プラン
- ・ベーシックプラン:3,980円/月〜
- ・スタンダードプラン:8,080円/月〜
- ・エンタープライズプラン:要問い合わせ
公式サイト
jinjer勤怠
jinjer勤怠は、jinjer株式会社が提供する人事労務向けシステムです。バックオフィス業務を丸ごと効率化できるオールインワンのパッケージとなっており、勤怠管理や給与計算の機能はもちろん、経費精算や契約書管理など、書類手続きをまとめてこれ一つで対応することができます。
簡単操作とシンプルな画面を実現し、初めてのシステム導入という方でも気軽に活用できるサービスとなっています。
料金プラン
- ・要問い合わせ
公式サイト
ジョブカン給与計算
株式会社ジョブカンが提供するジョブカン給与計算は、給与計算にかかる業務負担の圧倒的な削減を実現するサービスです。給与計算担当者のニーズを満たすことを念頭に置いた開発が進められ、あらゆる項目が自動で入力される、驚きの自動化をもたらします。
兄弟サービスである「ジョブカン勤怠管理」や「ジョブカン経費精算」などとの連携機能を搭載し、業務の更なる自動化を実現します。
料金プラン
- 無料プラン有り
- ・400円/月〜(1人あたり)
公式サイト
チームスピリット(TeamSpirit)
株式会社チームスピリットが提供するチームスピリット(TeamSpirit)は、契約ライセンス数35万を超える導入実績の豊富な勤怠管理システムです。勤怠管理だけではなく、給与計算や工数管理、経費精算や電子稟議と、バックオフィス業務全般をワンストップで支えてくれます。
社内SNSも搭載し、全社的なコミュニケーションの活性化にも役立つサービスです。
料金プラン
- ・TeamSpirit:600円/月〜(1人あたり)
- ・TeamSpirit HR:900円/月〜(1人あたり)
- ・TeamSpirit Leaders:900円/月〜(1人あたり)+6,000円/月〜(リーダー1人あたり)
公式サイト
KING OF TIME
株式会社ヒューマンテクノロジーズが提供するKING OF TIMEは、会社が導入している働き方に応じてさまざまな打刻方法や機能の実装ができる勤怠管理システムです。リモートでの打刻に対応しているため、テレワーク環境への移行を検討している会社にとっては心強い味方となります。
同社の給与計算サービスとの連携はもちろん、他社の大手給与計算サービスとの連携にも対応しているので、すでに他社の給与計算システムを運用しているという会社でも利用しやすいシステムです。
料金プラン
- ・300円/月〜(1人あたり)
公式サイト
勤怠管理と給与計算を連携できるサービスの選び方のポイント
勤怠管理と給与計算を連携できるサービスは複数存在しますが、新たな導入を検討している場合、以下のポイントにしたがって選定を進めることが大切です。
打刻方法は多様か
1つ目のポイントは、打刻方法の多様性です。オフィスでタイムカードを切るだけでなく、PCから打刻が行えたり、スマホから打刻ができたりといった機能を備えたサービスを選ぶことで、働き方改革を推進できます。
複数のサービスと連携ができるか
2つ目のポイントは、複数のサービスと連携できるかどうかです。同じ企業の勤怠管理システムと給与計算システムの連携はもちろん、他の企業の各サービスと連携ができるのであれば、まだ使えるシステムをデータ連携のために刷新する負担を抑えられます。
サポート体制は備わっているか
3つ目のポイントは、サポート体制が充実しているかどうかです。初めてシステムを導入する場合、必ずしも現場で迅速にパフォーマンスを発揮してくれるとは限りません。 事前に運用に向けた研修プログラムがあったり、十分なトライアル期間を用意してくれていたり、運用開始以降のヘルプデスク機能が充実していたりといったポイントを重視しましょう。
まとめ
給与計算と勤怠管理を連携させることで、これまで発生していた余計な業務をまとめて解消できるだけでなく、業務のパフォーマンス改善やコスト削減にもつながります。
近年は多くのシステムがお互いのサービスとの連携強化に努めており、気軽にシステム連携を活用しながら業務効率化を図ることができます。既存システムの老朽化が見られる際には、まとめて最新サービスにアップグレードしてしまうのも一つの手といえるでしょう。
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