
日本では労働力不足が進んでいき、企業の人材確保が難しくなっていく時代に突入するとされています。そのため、多岐に渡る採用業務を効率化させることは、企業にとって急務といえるでしょう。
今回は、採用業務を効率化させる採用支援システムについて、導入すべき理由からメリット、主な採用システムまでを紹介していきます。ぜひ本記事を参考に、自社にとって最適な採用支援システムの導入に踏み出してみてください。
採用支援システムとは?
採用支援システムとは「企業の採用に関する業務を一元的に管理・データ化し、業務を効率化させるシステム」です。英語ではATSと呼ばれており、それぞれ「Applicant(応募者)」「Tracking(追跡)」「System(システム)」の頭文字を取ったものです。
採用支援システムでは、応募件数や応募者のデータ、求人媒体への掲載、応募者の日程管理などを一元化できます。
また、応募者のアクションから採用に至るまでのプロセスを迅速に行えるため、選考状況のリアルタイム把握や、実際に入社した人材の応募経路がわかるなどデータの蓄積にも利用ができることも魅力的な点です。
このように、自社の求める人材を効率的に行うためのサポートをするのが採用支援システムです。
導入が求められている背景
採用支援システムが求められている背景には、採用業務が多岐に渡ることや採用競争の激化があります。
採用に関する業務は多岐に渡るため、部署内で情報共有ができなかったり、応募者への連絡が遅れてしまったりするといった課題がありました。こうした課題をそのままにしてしまうと業務に忙殺されてしまい、効率的な業務や人材確保が行えません。
また、昨今少子高齢化の影響や働き方の多様化などにより、採用競争が激化しています。自社が求める優秀な人材を確保するためには、効率的な採用活動や選考スピードの高速化が求められるようになってきました。
そのため、採用支援システムを導入し、採用活動の効率化が求められるようになったのです。
採用支援システムが必要である理由
採用支援システムが必要である理由は、主に次の3点です。それぞれについて解説していきます。
- ・採用のミスマッチを減らせるから
- ・採用活動の抜け漏れがなくなるから
- ・一元管理による情報共有が可能だから
採用のミスマッチを減らせるから
採用支援システムを導入することで、採用のミスマッチを減らすことが可能です。なぜなら、応募者のデータを可視化できるため、自社が本当に求めている人材を客観的に理解できるからです。
採用支援システムでは、自社の役員や人事担当者、現場の声などをもとに、求める人材のヒアリングを行い、モデリングまでを行うことができます。モデリング後に実際の応募者に対して、適合検査や基礎能力検査を通して数値化を行い、自社が求めている優秀な人材かどうか判断することが可能です。
ミスマッチを起こしてしまうと、入社後すぐに退職してしまう恐れがあるなど本末転倒です。採用支援システムを導入することで主観的な判断だけでなく、客観的な判断も下せるため、採用のミスマッチを減らすことができます。
また、採用データが蓄積されるため、データを活用することで持続的な人材確保に役立てることもできます。
採用活動の抜け漏れがなくなるから
先述したように、採用活動の業務は多岐に渡ります。そのため、応募者への連絡が漏れてしまうなど、採用活動の抜け漏れが起こってしまうことがあります。
採用支援システムを導入することで、採用段階に応じてメールを自動で送信できたり、セミナーや面談の設定を自動化できたりするなど、採用担当者の業務負担を軽減できます。採用活動の抜け漏れがなくなれば、選考活動もスピーディーになるでしょう。
選考活動が高速化されれば応募者からの信頼にもつながり、採用活動途中での離脱なども避けられるでしょう。
一元管理による情報共有が可能だから
採用支援システムを導入することで、応募者の一元管理ができるとともに、部署内での情報共有も可能になります。
採用活動では、複数の求人サイトを活用し、複数の応募者の選考状況を管理することが必要となることも少なくありません。そのため、採用支援システムで一元管理することで、あらゆる採用状況の確認をスムーズにできます。
たとえば、リアルタイムでの応募者はどういった人材なのか、担当者は誰なのかといった情報です。採用支援システムの情報は常に最新の情報になるため、ミーティングなどを行う際でも画面を見ながら簡単に情報共有ができます。
こうした一元管理による情報共有ができるため、採用活動が活発になり、採用計画の達成につながります。
採用支援システムを導入するメリット

採用支援システムを導入するメリットは主に下記の3点が挙げられます。
- ・応募者の選考状況をリアルタイムで把握できる
- ・採用エントリーを自動で振り分けられる
- ・選考作業を効率化できる
それぞれについて解説していきます。
応募者の選考進捗をリアルタイムで把握できる
応募者の選考状況をリアルタイムで把握できることは非常に重要です。なぜなら、リアルタイムで把握することで、選考がスピーディーになっていくからです。
採用支援システムの情報はシステムにログインした際の最新の情報が表示されます。そのため、情報共有を行うために昨日までの情報を紙で印刷するなどの作業はなくなります。
これまで工数がかかっていた応募者の選考状況の管理が簡略化されるため、選考スピードは上がっていくでしょう。また、こうした事務作業の工数が削減されるため、面接の時間を伸ばすなど、応募者と対話する時間を増やすことなどにもつながります。
採用エントリーを自動で振り分けられる
採用支援システムを利用することで、自社の採用エントリーが自動で振り分けられます。そのため複数の求人媒体を利用している場合や、複数の雇用形態や職種で募集している場合でも集計作業が必要ありません。
Excel(エクセル)などで管理している場合、エントリーに関する集計作業などに手間がかかってしまいます。しかし、採用支援システムでは雇用形態ごとに自動で振り分けられるなど、こうした手間がなくなります。そのため、担当者の業務負担軽減につながります。
選考作業を効率化できる
選考作業を効率化できることも大きなメリットです。作業の自動化によって担当者の業務負担が軽減されると共に、選考状況のリアルタイム把握などが可能だからです。
選考作業の効率化は選考がスピーディーになり、応募者の信頼が得られ、自社が望んでいる人材確保につながります。また、採用支援システムを利用することで、日程調整の最適化などを行うことができ、選考期間の短縮化にもつながります。
こうした選考作業が効率化できることも、採用支援システムを利用するメリットです。
採用支援システムの選び方のポイント
採用支援システムの選び方のポイントは下記の3点を重視すると良いでしょう。それぞれについて解説していきます。
- ・使いやすい操作性になっているか
- ・既存システムとの連携は行えるか
- ・導入・運用コストは適切か
使いやすい操作性になっているか
システムを導入してもうまく使えず、かえって業務負担が増してしまっては本末転倒です。そのため、担当者が使いやすい操作性になっているかは非常に重要なポイントだといえます。
たとえば、インターフェースの画面は見やすいか、ボタンの配置は分かりやすいか、複雑な入力をする必要はないかなどを確認していきます。また、レスポンスの速さも業務を効率化させる際には重要です。操作が煩雑ではなく、直感的な操作ができるのを選ぶと良いでしょう。
操作性に関しては、実際に触ってみて初めて実感できるもののため、デモで試してみたり、トライアル期間で試してみたりすることをおすすめします。
既存システムとの連携は行えるか
採用支援システムは、人事に関わるシステムです。そのため、採用支援システムを導入する際は、すでに他の人事関連システムを導入していることがほとんどでしょう。
こうしたすでに導入している既存のシステムとの連携が行えるかも大切なポイントです。なぜなら、連携が行えることで業務効率化につながるからです。
既存のシステムと連携が行えず採用支援システムの情報を担当者が手入力などしてしまうと業務負担が増してしまい、システムを導入した恩恵を受けられなくなります。そのため、既存システムとの連携を行うことができ、業務効率化につながるかどうかを確認しましょう。
導入・運用コストは適切か
システム導入にはコストがかかります。導入・運用コストが自社に適したものでなければ費用対効果が見込めず、身の丈に合わないシステムを利用することになってしまいます。そのため、システム導入時また運用していく中で、どれくらいの業務効率になるのか、コストに見合っているのかを見極めることが大切です。
採用支援システムには無料で利用できるものもありますが、より費用対効果を求めるのであれば、有料版を利用すると良いでしょう。アルバイト採用に特化したシステムなどもあり、自社の雇用形態に適切かどうかを判断することが大切です。
コスト面を判断する際には、一つのシステムだけでなく複数のシステムで比較し判断すると良いでしょう。
主な採用支援システム
本項で紹介する主な採用支援システムを紹介します。
- ・ジョブカン採用管理
- ・SONAR ATS
- ・HRMOS(ハーモス)採用
- ・i-web
- ・ACCESS ON LINE
- ・ジョブスイート
- ・採用一括かんりくん
- ・クラウドハウス採用
- ・Talent Palette
- ・インタビューメーカー
- ・HITO-Linkリクルーティング
- ・採用見える化クラウド
ぜひ選ぶポイントを押さえつつ、自社に最適な採用支援システムを選んでみてください。
ジョブカン採用管理
ジョブカン採用管理システムは、株式会社Donutsが提供するクラウド型採用支援システムです。「ジョブカンシリーズ」の一つで、自社ですでに他のジョブカンシステムを導入しているのであれば、親和性は抜群です。
無料トライアル期間はもちろん、自社でLINE公式アカウントを作成して連携することで、候補者への連絡がスムーズになります。
料金 | 8,500円~/月 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・求人効果分析 ・レポート作成 ・メール配信 ・日程調整 等 |
SONAR ATS
SONAR ATSは、Thinkings株式会社が開発した採用支援システムです。
特徴は、採用管理業務をフロー図にできることです。進捗管理が可視化できるとともに、今後の展開のシミュレーションを行うこともできます。
採用業務の多くが自動化されるため、担当者はより候補者と向き合う時間が増えるなど、コア業務に集中できます。
料金 | 20,000円~/月 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・メール配信 ・日程調整 等 |
HRMOS(ハーモス)採用
HRMOS(ハーモス)採用は、転職サイトも運営している株式会社ビズリーチが提供しているクラウド型の採用支援システムです。
複数の求人サイトから応募を一括管理でき、現状把握や採用後のデータなどを可視化させ、分析につなげることも可能です。
転職サイトを運営しているだけあって、採用支援システムも痒い所に手が届くことが強みとなっています。
料金 | ※要確認 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・媒体管理 ・日程調整 等 |
i-web
i-webは、株式会社ヒューマネージが提供している採用支援システムです。採用支援システムとしてシェアNo.1を誇り、操作性や機能面から多くの支持を集めています。
また、リクナビやキャリタスなどの採用サイトとは自動連携ができるため、応募者がどこからエントリーしたのかなどを簡単に管理することも可能です。
料金 | 75,000円~/月 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・媒体管理 ・エージェント管理 ・日程調整 等 |
ACCESS ON LINE
ACCESS ON LINEは、株式会社マイナビが提供している採用支援システムです。
マイナビは、言わずと知れた新卒採用から転職、アルバイトまで幅広い雇用形態に即したサイトを運営しています。そのため、求人媒体でマイナビを利用しているのであれば、高い親和性で活用ができます。
また、管理画面が利用しやすいことも魅力的です。
料金 | ※要確認 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・メール配信 ・日程調整 等 |
ジョブスイート
ジョブスイートは、株式会社ステラスが提供している採用支援システムです。これまでの導入実績は1,000社以上、契約継続率は95%と高い実績を出しており、信頼の厚いシステムです。
ジョブスイートには、新卒採用向けの「ジョブスイートフレッシャーズ」と、中途採用向けの「ジョブスイートキャリア」の2つのラインナップが用意されています。自社の採用形態に合わせてそれぞれ選ぶことが可能です。
料金 | 50,000円~/月 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・メール配信 ・日程調整 等 |
採用一括かんりくん
採用一括かんりくんは、HRクラウド株式会社が提供しているクラウド型採用支援システムです。
大きな特徴は、候補者の一元管理ができることと、Web面接ツールとの連携ができることです。採用一括かんりくんではZoomとの連携ができるため、遠隔地にいる候補者や、コロナ禍により参加が難しい候補者とも面接が可能です、
また、面接結果などの情報は一元管理できます。他にも、LINE連携によって連絡の手間が削減される機能もあります。
料金 | 20,000円~/月 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・選考プロセス管理 ・メール配信 ・日程調整 等 |
クラウドハウス採用
クラウドハウス採用は、株式会社Techouseが提供している、大企業向けのクラウド型採用支援システムです。
特徴は「オウンドメディアリクルーティング」という採用手法を用いていることです。自社の採用サイトを活用し、人を集め応募を獲得することにつなげていきます。
他にも、プロのコピーライターによる求人記事作成などのサポートも魅力的な点です。
料金 | 数万円~/月※要確認 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・求人検索エンジン連携 ・求人記事作成 ・採用プロサポート 等 |
Talent Palette
Talent Paletteは、株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供している採用支援システムです。
応募者の一括管理はもちろん、応募者と全社員を対象に行える適性検査を搭載しています。そのため、採用に関するミスマッチを防ぐことに優れています。
また、応募者へのコンタクトを履歴化することで、内定辞退を防ぐ機能も搭載しています。
料金 | 180,000/月※要確認 |
対応機能 | ・応募者情報管理 ・コンタクト履歴 ・適性検査 ・メール配信 等 |
インタビューメーカー
インタビューメーカーは、株式会社スタジアムが提供している採用システムです。
インタビューメーカーの特徴は、Web面接に特化していることです。そのため、Web面接の様子を録画・共有することができることに加え、Web面接用のURLはワンクリックで生成できるなど、活用しやすくなっています。
料金 | 29,800/月 |
対応機能 | ・Web面接 ・Web説明会 ・Web面接録画機能 等 |
HITO-Linkリクルーティング
HITO-Linkリクルーティングは、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が提供しているクラウド型の採用支援システムです。
特徴は、連携できる求人媒体の多さです。中途採用はもちろん、新卒からアルバイト、パートに至るまで30以上の求人媒体と連携し、応募者がどの媒体から応募したとしても、自動でHITO-Linkリクルーティングに取り込まれます。そのため、担当者の業務負担軽減につながります。
料金 | 50,000/月 |
対応機能 | ・応募者管理 ・選考プロセス管理 ・メール配信 ・外部連携 等 |
採用見える化クラウド
採用見える化クラウドは、株式会社キャスティングロードが提供しているクラウド型の採用分析プラットフォームです。
分析機能に特化しており、採用に関するデータはもちろん、採用後のデータを可視化させることで、自社の施策が効果的であったかを判断できます。また、データを分析することで予算面も適切かの判断が可能です。
料金 | 48,000/月 |
対応機能 | ・データ収集 ・データ分析 等 |
まとめ
採用業務は多岐に渡るため、担当者の業務負担が大きくなってしまうのは大きな課題です。また、採用した人材が自社に適していなかったり、すぐに退職してしまったりしてしまうと、企業の持続的な成長にはつながりません。
こうした課題を解決し採用業務を効率化させるためにも、採用支援システムの導入は不可欠だといえるでしょう。
現在、多種多様な採用支援システムがリリースされています。ぜひ、自社に合った製品を導入し、採用業務の効果を上げてみてください。
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