
人材不足が懸念され優秀な人材の獲得が困難になっている今日、採用管理業務の効率化が求められています。煩雑な管理業務をシステム導入によって改善することで、効率的な人探しが行えるようになります。
今回は、採用管理システムの導入に失敗しないためのポイントや、多くの企業が採用している採用管理システムを用途別に紹介します。
目次
採用管理システムとは
採用管理システムは、その名のとおり採用活動における管理業務を効率化するためのシステムです。ATS(Applicant Tracking System)とも呼ばれており、採用担当者が採用業務に関する情報を一括にまとめることができるため、現場での人気が高いサービスです。
採用管理システムが対応できる業務範囲は広く、求人票の作成から始まり、求人媒体への出稿、面接前の応募者との連絡やスケジュール管理、面接時の担当者のフィードバックなどあらゆる情報を管理できます。
もちろん、内定の通知までシステムを通じて行えるため、非常に効率的な採用業務を実現可能です。
また、採用管理システムは単体での動作はもちろん、人事管理システムなどとのデータ連携が可能な製品もあり、社内のデータ活用を一気に進めることができます。いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)のきっかけとしても、採用管理システムは有効です。
採用管理システムの導入を検討すべきタイミング
採用管理システムの導入タイミングは、次のような課題や改善点を感じた際に検討するのが最適です。ここでは、導入を検討すべきタイミングについて解説します。
採用担当者が不足しているとき
採用管理システムは採用業務の効率化につながるので、採用担当者が慢性的な不足に陥っている際には頼もしい味方となります。
これまでは、少数の担当者で採用業務を遂行するため、休日出勤や残業が常態化しているというケースを抱えている企業もありました。採用管理システムを導入することで、採用業務において発生する余計な作業労働などを大幅に減らせるので、業務遂行に必要な時間や労力を削減できます。
本来必要と考えられていた人員の絶対数を削減することにつながるので、結果的に人材不足の解消に役立ちます。積極的に新しい人材を探したいと考えているけれど、そのためのリソースを十分に確保できていない場合、採用管理システムの導入がソリューションとなってくれます。
人事コストが重くなっているとき
採用業務に発生するコストが重くなってしまい、採算が合わない状況においても、採用管理システムは役立ちます。これまで必要だった人の数を大幅に削減し、作業労働を自動化してくれるため、人を雇うために必要なコストを小さく抑えられます。
採用活動の活発化の妨げとなっている人件費の圧迫を解消し、社内リソースの効率的な配分を実現します。これまで必要だった人手の削減も行えるので、余剰人材については別の不足している部署に配置することも可能です。
より優秀な人材を探しているとき
せっかく見つけた会社が必要としている人材も、短期間で退職となってしまうと、せっかく見つけた人材を活かせないだけでなく、彼らを発掘するためにかかったコストの回収もままなりません。
採用管理システムは、応募者のデータをフラットな目線から捉える上で役に立ちます。応募者データが担当者ごとに属人化していたり、正しいフォーマットで共有されていなかったりすると、公平な目線から採用者を決定することが難しくなります。
採用管理システムによって、応募者データをデータベースに統一して管理することで、自社に適した人材、自社が必要としている人材は誰かということを迅速に把握することができます。
優秀な人材で、なおかつ会社と相性が良く、定着してくれる傾向が強そうな人物をフラットな目線から選べるため、担当者の好みや主観的な経験に頼ることなく人材発掘を進められます。
採用管理システムを導入して得られる効果
採用管理システムを導入することで、さまざまな面で導入効果を期待することができます。従来の採用業務において複数の問題を抱えていた企業では、一気にそれらを解消することも可能となるでしょう。
人事業務の効率化・リモート化
人事業務の効率化は、採用管理システムに最も求められる効果です。システム上で自動的に記録された応募者の情報を、担当者はオンライン経由でいつでも閲覧およびフィードバックすることができるだけでなく、担当者同士での共有も容易になります。
選考の進捗状況はステップごとに可視化され、共有事項を申し送ることも容易です。誰が面接に対応しても、判断基準や質問事項に偏りがなく、フラットな条件で選考を進められます。
また、マネジメント業務をクラウド経由ですべてオンライン化することも可能であるため、リモート環境で採用を進めていくこともできます。
近年、オンラインで面接を行うケースも各社で増えており、リモートで採用可否を決定することも珍しくありません。そういった状況でも適切な判断を下せるようになるため、採用管理システムの導入は社内の働き方改革を推進する上でも有効な施策です。
ヒューマンエラーの回避
採用管理システムは、ヒューマンエラーを回避するための施策としても注目されています。システム導入によって、データの入出力作業の多くは自動化されますが、これによって人間が手作業を行う必要がなくなり、ケアレスミスの余地も最小限に抑えられます。
ヒューマンエラーがあると、その修正作業が必要になるだけでなく、コア業務に割くべき時間が失われてしまいます。こういった余計な手間を回避し、少数で採用業務を展開していく上でも、採用管理システムの導入は重要です。
人事データの積極的な活用
採用管理システムによって、あらゆる応募者情報が統一フォーマットで管理されることで、データドリブンな採用活動および人事管理が実現します。
求人媒体ごとの応募者率や採用率を算出できれば、今後求人広告を出稿する際の参考にすることができますし、効果的な広告方法を検討する際の参考とすることもできます。採用候補者の情報を丁寧に分析することで応募者の傾向をつかみ、適切な質問を投げかけられるようにもなるでしょう。
また、採用担当者の業務プロセスや面接時のパフォーマンスを記録することで、今後より良い採用活動を行うためのフィードバックを得ることができます。応募者と実際にコミュニケーションを取る採用担当者は、いわば会社の顔としても機能することとなりますが、彼らの能力を高めていくことで、より優秀な人材に興味を持ってもらえるようになるでしょう。
採用管理システム導入を成功させるポイント
採用管理システムの導入を成功させる上では、次の要点を押さえながら、自社に適したサービスを選ぶことが必要です。ここでは、導入検討時のポイントについて解説します。
効率化したい業務を洗い出す
採用管理システムには複数のラインナップがあり、それぞれ微妙に実装している機能が異なります。採用管理システムを選定する際には、まず自社で必要としている機能が何かを検討するところから始めましょう。
そのためには、自社の採用業務において課題となっているプロセスを洗い出す必要があります。どの業務に問題があり、効率化の余地を残しているのかを話し合い、採用管理システム選びを進めましょう。
採用形態に合ったシステムを導入する
一口に「採用管理」と言っても、新卒採用なのか、中途採用なのか、パート・アルバイト採用なのかによって採用プロセスは異なります。
特に新卒採用は多くの応募者が殺到しやすいだけでなく、選考プロセスも長期化しやすいため、専用の採用管理システムの導入が必須です。
システムによって得意としている採用形態は異なるため、事前に採用形態にあったシステムを選び抜いておくことが必要です。中にはあらゆる採用形態に対応している製品もあるので、複数の採用プロセスを必要としている場合にはそういった製品を選ぶと良いでしょう。
導入前後のサポートの充実度を確認する
初めて採用管理システムを導入する場合、どのようにシステムを導入していけば良いのか、また運用していけば良いのかわからないという会社も少なくありません。ICT活用に慣れていない企業の場合、導入前後のサポートが充実している製品を選びましょう。
導入前のサポートが受けられる製品の場合、どういった製品を導入すれば良いのか、どれくらいの見積もりになるのか、導入までにかかる期間や準備しておくべきことなど、多様なサポートを受けられます。
また、導入後や導入中も、採用管理システムの運用に向けた研修を受けられたり、運用に伴うトラブルシューティングに対応してもらったりすることもできます。自社の従業員のITスキルと相談しながら、必要なサポートを検討しましょう。
クラウドサービスを導入する
採用管理システムには、自社ハードに直接実装する「オンプレミス型」のものと、オンライン経由で実装する「クラウド型」の2種類が存在します。
近年はクラウド型の採用管理システムが広く普及していますが、これはパフォーマンスがオンプレミス型と変わらないだけでなく、維持管理負担が少ないことやリモート環境でも簡単に運用ができるというメリットを備えているためです。
特別オンプレミス型にこだわりがない場合、クラウド型での導入を進めることをおすすめします。
既存システムとの互換性を確認する
クラウド型の場合、社内で高度にカスタマイズされたシステムをすでに運用していると、データ連携などが正常に行えない可能性があります。この場合、オンプレミス型のシステムを導入するか、クラウド導入の妨げとなっているシステムごと刷新すると良いでしょう。
すでにクラウドサービスを導入している場合は、最近勤怠管理システムの多くはデータ連携などの互換性を備えているため、問題なく導入を進められます。プラットフォームを統一してデータ管理業務を効率化したいという場合は、既存システムの互換性チェックは欠かせません。
勤怠管理システムの導入に伴う懸念点

勤怠管理システムは、多くのメリットが導入によって期待できる反面、導入前に検討しておきたい問題もあります。
そもそも、勤怠管理システムは採用担当者の業務負担を軽減するためのサービスです。新卒採用を毎年行っていない企業や、パートやアルバイトの募集も不定期に行っているような大きな成長を想定していない事業者にとっては、かえって導入コストが重荷となってしまう可能性もあります。
勤怠管理を効率化できるメリットは、応募者数が増えるほどに大きくなっていきます。自社の規模で導入しても良いのか不安が残る場合は、一度サービス提供会社に相談してみると良いでしょう。スケーラブルで使いやすいシステムを提供している会社もあるため、事業にあった規模のサービスを選ぶことをおすすめします。
新卒向けの主な採用管理システム
ここから、多くの企業で採用されている主流の採用管理システムを紹介していきます。まずは、新卒向けのサービスです。
ジョブカン採用管理
株式会社 DONUTSが提供するジョブカン採用管理は、最もポピュラーな採用管理システムの一つです。新卒採用から中途採用まで、幅広く対応できるパフォーマンスを発揮しています。
応募者獲得から採用選考の管理、採用活動の効果分析まで、ワンストップで対応可能なサービスです。採用管理以外にも給与管理などバックオフィス業務全般をシリーズで支えてくれるため、DXを抜本的に進めていきたい際に活躍するサービスです。
料金プラン:
- ・無料プラン有り
- ・8,500円/月〜
公式サイト:
i-web
応募者と企業を結ぶプラットフォームをコンセプトに掲げるi-webは、株式会社ヒューマネージが提供しており、新卒採用活動において多くの実績を残している採用管理システムです。
応募者とのOne to Oneコミュニケーションを実現するマイページ機能など、一人ひとりの応募者と丁寧に接するための機能に優れています。優れた操作性と豊富な機能を両立し、多くの会社に支持されているサービスです。
料金プラン:
- ・要問い合わせ
公式サイト:
採用一括かんりくん
導入した採用担当者から幅広い支持を集めているのが、HRクラウド株式会社が提供する採用一括かんりくんです。新卒から中途まであらゆる採用管理業務をまとめて効率化できるため、担当者の負担軽減に活躍します。
LINE(ライン)やZoom(ズーム)を活用した応募者とのコミュニケーションをサポートする機能を備え、円滑な採用プロセスを歩める仕組みづくりが特徴です。
料金プラン:
- ・2万円/月〜
公式サイト:
パート・アルバイト向けの主な採用管理システム
続いて、パート・アルバイト向けの採用管理システムを紹介します。人材の流動性が高い一方、事業を成長させる推進力となれる人材を、スピーディかつ確実に発掘する支援に努めます。
HITO-Manager
HITO-Managerは、パーソルプロセス&テクノロジー株式会社が提供するアルバイト採用の管理業務を効率化するのに特化したサービスです。求人サイトへ効率良く広告を掲載できるシステムを搭載し、迅速に十分な数の応募者を集められることが強みです。
応募が集中しても応募者をシステムで一元管理し、面接日程などの設定も無駄なくダブルブッキングのリスクも回避しながら行えます。採用率を改善し、負担軽減に役立ちます。
料金プラン:
- ・要問い合わせ
公式サイト:
sonar ATS
新卒採用はもちろん、パート・アルバイト採用にも対応しているオールラウンドな採用管理システムが、Thinkings株式会社が提供するsonar ATSです。業界や規模を問わず運用できる汎用性の高い設計を採用しているため、採用プロセスの効率化を迅速に進められます。
応募者へのリマインド連絡や集計など、面倒な事務手続きをまとめて自動化してくれるため、少ない人手でも効率よく採用業務を遂行可能です。
料金プラン:
- ・要問い合わせ
公式サイト:
リクオプ
アルバイト・パート採用に特化し、外国人採用に強い機能を有しているのが、HRソリューションズ株式会社が提供するリクオプです。LINEやSMSと連携して、応募者と効率良くコミュニケーションが取れるだけでなく、チャットボットを使った自動返信機能も活用できます。
外国人採用を強化するため、多言語採用サイトの開設プランも提供するなど、グローバルな職場環境を実現したい方にとっても嬉しいサービスが揃っています。
料金プラン:
- ・要問い合わせ
公式サイト:
まとめ
採用管理システムは、人材不足の解消はもちろん、優秀な人材を確保し定着率を高めていく上でも効果を発揮するサービスです。自社の採用課題をさまざまな側面から解消できるよう、多機能性に優れたラインナップが揃っています。
自社に最適なサービスを導入できるよう、まずは採用管理システムを使ってどんなことができるのか、そして自社が必要としている機能はどんなものかを把握し、導入の検討を進めていきましょう。
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