アルバイト・パートの面接を行うときは、面接場所の決定や会社説明、質問内容などいくつか準備が必要です。もし、準備を怠った場合、早期離職など定着率にも影響することがあります。また、面接では聞いてはいけない質問もあるため注意が必要です。
今回は、アルバイト・パートの面接で確認してほしい8つの事項と面接の正しい進め方について解説します。採用担当者として面接時に気を付けてほしい点も紹介しますので、参考になさってください。
アルバイト・パート面接の円滑な進め方
アルバイト・パートの面接の進め方は以下のとおりです。
- 面接する場所を決める
- 面接の最初の応募に対する感謝を伝える
- 自己紹介や会社説明をする
- 相手が話しやすい状況を作ってから質問する
- 募集している仕事の内容を分かりやすく伝える
- 応募者に聞いておくことはないかを確認する
- 面接の最後に改めて応募に対する感謝を伝える
それぞれくわしく解説します。
1.面接する場所を決める
まずは事前にどの場所、どの席で面接をするのかを決めておきます。応募者は時間を作って面接を受けに来るわけですから、店舗の隅だったり、レジ前で書類を受け取って話したりといった面接方法だと、応募者の尊厳を傷つける原因となります。
応募者がていねいに扱われていないと感じた場合、たとえ採用通知を出しても、辞退されてしまう可能性が高くなります。
また、座ってもらう位置にも配慮が必要です。たとえば面接官の正面に座った場合、威圧感を与えてしまい応募者の本音を聞き出せない可能性があります。L字型に座るなど対面にならないように、座る位置を工夫したほうがよいでしょう。
面接はオンラインでも対応できます。オンライン面接は応募者に来社してもらう必要がなく、座る位置などの配慮も不要です。しかし、いくつか押さえてほしいポイントがあります。下記の記事でオンライン面接を実施するための方法について解説していますので、参考になさってください。
関連記事:【2022】バイトの面接を「オンライン」で実施する方法は?押さえておくべきポイントとは
2.面接の最初に応募に対する感謝を伝える
面接を始めるときは、「このたびはご応募いただきありがとうございます。私は店長の○○と申します。本日はよろしくお願いいたします」と応募に対する感謝の気持ちを心から伝えてから会話を始めてください。
応募者の人柄を見極めるには、ある程度リラックスしてもらう必要があります。正面に座っていなくても、威圧感を与えるような座り方をすると、緊張を招くおそれがあるため注意しましょう。
3.自己紹介や会社説明をする
応募者のことをよく知るためには、こちらからの自己紹介で相手にも話して欲しい内容を盛り込むのがコツです。自己紹介に含まれた意図に応募者が気が付くかどうかで、コミュニケーション能力を判断することもできます。
自己紹介のあとは、店舗のビジョンや仕事の内容をかんたんに説明して、自店のことを理解してもらいます。「応募してきたんだから知っているだろう」と思わず、専門用語を使わずにわかりやすく伝えることを心がけてください。
4.相手が話しやすい状況を作ってから質問する
自店について説明したら、応募者からもらった履歴書や職務経歴書をもとに志望動機やこれまでの経験、希望職種、得意なことについて質問をします。応募者が答えやすいように、話しやすい状況をつくることがポイントです。面接では「はい」「いいえ」で答えられる質問は避けて、応募者に話をさせるような質問をするのがおすすめです。
回答では相手の言葉づかいや表現力、態度などを観察して、自店になじめそうか、仕事に対する適性はあるかを判断しましょう。
5.募集している仕事の内容を分かりやすく伝える
つぎに自店に関する内容を具体的に伝えます。扱っている商品の紹介や仕事内容、待遇面などを具体的にわかりやすく伝えるのがポイントです。たとえばレジ担当のアルバイトを募集している場合、レジ業務の流れや、やり方を教わる研修の有無など入社後の働き方をイメージできるように具体的に伝えましょう。
専門用語や店舗オペレーションなどといった英語表現は慣れていないと、戸惑わせてしまい不信感を与えてしまうため注意が必要です。また、具体的でないことで仕事内容の理解が不足したまま採用となった場合、ミスマッチが起こる可能性があります。
以下の記事では採用ミスマッチの原因と対策についてくわしく解説しています。どのような情報を伝えればよいのかは、以下の記事をお役立てください。
関連記事:採用ミスマッチの原因と対策とは?マッチング率を上げて企業の損失を防ぐ
6.応募者に聞いておくことはないか確認する
自店の情報を伝えたら、応募者にこれまでの内容で不明点はないかを確認します。質問を受けたら、一つひとつていねいに答えることが大切です。どのような質問にも真摯に対応することで、応募者に信頼感と安心感を与えることができます。
質問の内容から、自店で働く意欲を判断できますが、質問がないからといってやる気がない人材だと判断してはいけません。面接時に応募者から受けた印象や内容をもとに、総合的な判断を心がけてください。
7.面接の最後に改めて応募に対する感謝を伝える
最後に、採用の合否を知らせる方法やいつまでに連絡をするのかを伝えます。採用通知は応募者も心待ちにしているものです。連絡が遅いときちんとしていない会社だと思われて辞退される可能性があるため、1週間以上空けないようにできるだけ早めに連絡するようにしましょう。
面接で採用したいと思ったときは、その場で伝えることも可能です。このときに「これまでの経験をふまえても当店で活躍いただけそうです」「笑顔が素敵なので多くのお客様に喜んでもらえそうです」など、採用した理由を伝えるとよいでしょう。自分を評価してもらえたお店で働けることで、モチベーションアップにつながります。
アルバイト・パートの面接で確認すること8つ
アルバイト・パートの面接のときは、以下の8つの項目を確認してほしいです。
- アルバイト・パートに応募した理由
- 希望する勤務日数
- 希望する勤務時間
- 希望する勤務期間
- 社会保険への加入希望の有無
- 扶養範囲内での勤務希望の有無
- 希望する時給
- 家族の理解
これらの情報もすり合わせることで採用のミスマッチを防げます。それぞれくわしく解説しましょう。
1.アルバイト・パートに応募した理由
なぜアルバイト・パートに応募したのか、志望動機を確認してください。応募の理由から仕事に対する適性やモチベーションを確認できます。志望動機は履歴書にも書かれていますが、本人から直接聞くことで仕事へのやる気を図りやすくなります。以下のような質問をしてみてください。
【質問例】
当店で働きたいと思った理由はなんですか?
このお店を選んだ理由を教えてください。
仕事へのやる気がある人なら、事前にお店のことや仕事内容についてリサーチしています。具体的に答えられるはずです。
2.希望する勤務日数
採用後のシフト作成時に不満がないように、労働条件のすり合わせを行いましょう。
- 1週間あたりの勤務日数
- 勤務できる曜日
- 勤務できない曜日
- 土日祝日に働けるか
上記の内容を確認しておきましょう。既存のアルバイトと被る場合、希望の勤務日数を確保できない可能性もあります。もし事前に「土日祝日の勤務は難しい」とあっても、面接では「2週間に1回なら可能」というケースもあるため、応募書類に記載されていても必ず確認をしておくことが大切です。
3.希望する勤務時間
労働条件のすり合わせでは、勤務時間の確認も大切です。
- 1日あたりの勤務時間
- 曜日ごとの勤務時間
- 残業発生時の対応
主婦のなかには、夕方までの勤務や残業に対応できない人も少なくありません。ただし、子どもがいる人でも家族の協力があり、夕方までの勤務や残業に対応できる人もいます。
最初から「子どもがいるからむずかしいだろう」という先入観をもたずに「もし残業が発生したときは、どのくらい協力できますか?」と、協力の意志を確認する程度にとどめるようにしてください。
4.希望する勤務期間
応募者によっては働く期間を決めていることもあります。長期間または短期間のどちらを希望しているのか確認することが大切です。
学生なら就職を見据えて卒業まで働くことを考えていますし、子どもがいる主婦なら子どもの入学や卒業のタイミングでパートを辞めようと考えていることがあります。また、実は転勤族で配偶者や親の転勤が決まったら辞めると決めている人もいます。
事前に面接で確認しておくことで、離職前に募集をかけることが可能です。計画的な採用活動を行うためにも、勤務期間はきちんと確認しておきましょう。
5.社会保険への加入希望の有無
自店が社会保険の加入条件を満たす場合、社会保険に加入するかどうかの確認が必要です。社会保険へ加入すると賃金の手取り額に影響を与えますし、店舗側も加入手続きが必要です。面接で労働条件を伝えるときに確認しておくと、大まかな勤務時間や日数を把握することができます。
2022年10月の法改正により、社会保険の加入対象が拡大しました。2024年にはさらに要件が変わり、対象者の適用範囲の拡大が見込まれます。以下の記事でくわしく解説していますので、ぜひお役立てください。
関連記事:【2023】アルバイトの社会保険加入とは?加入義務とメリット・デメリットを解説
6.扶養範囲内での勤務希望の有無
アルバイトやパートへの応募者は、扶養内で働きたいという主婦/主夫も少なくありません。そのため、扶養範囲内での勤務を希望しているのか確認が必要です。
扶養には年収103万円以下の税制上の扶養と、年収130万円以下の社会保険の扶養があります。手続きが必要になるのは、社会保険の扶養が外れたときです。もし、店側が社会保険の特定適用事業所に該当する場合、1週間の勤務時間が20時間以上あると年収106万円で扶養から外れることになります。
給与の手取り額に大きく影響を与えるため、応募者が税と社会保険の扶養のどちらを希望しているのか必ず確認してください。
7.希望する時給
面接時に応募者が希望する時給を必ず確認しましょう。勤務時間帯によって時給の設定を変えている店舗なら、勤務時間の時給を把握しているか確認することが大切です。
なかにはこれまでの経験や前職の時給をもとに「前のお店では時給1,500円だったので、1,500円が希望です」という人もいます。即戦力人材なら検討したほうがいいかもしれませんが、入社したばかりでそのパフォーマンスを発揮してくれるかはわかりません。
自店でもアルバイトに出せる予算を組まれていると思いますので、希望する時間帯の時給などを伝えて、お互いに納得できるようにすり合わせておくことが大切です。
8.家族の理解
家族の理解が得られているか、小さい子どもがいるときは働いている間の預け先などを確認しておきましょう。面接では公平な採用選考のために応募者の家族構成やプライベートを聞いてはいけないことが法律で定められています。しかし、店舗側も突発的な休みがどのくらいありそうなのか、ある程度予想しておかなければなりません。
家族の理解や協力がどのくらい得られそうなのか、応募者とうまくコミュニケーションをとりながら質問をしてみましょう。下記の記事では面接時に応募者の人柄を見抜く質問について解説しています。事前に質問を決めておきたい方はぜひお役立てください。
関連記事:面接で人柄を見抜く質問集!面接の進め方やコツを理解してマッチング率を上げよう
面接でいろいろと確認をしたうえで採用したのに、なぜかアルバイトが定着しなくてお困りなら、下記の記事でアルバイトの定着率についてくわしく解説しています。定着率を上げるためのコツもご紹介していますので、参考になさってください。
関連記事:アルバイトの定着率が悪い原因とは?企業が受けるダメージや定着率を上げる8つのコツ
アルバイト・パートの面接で聞いてはいけないこと
アルバイト・パートの面接のときは、公正な選考を行うために以下の事項は聞いてはいけません。
- 本籍や出身地など本人に責任のない事項
- 宗教や支持政党など本来自由であるべき事項
- 男女雇用機会均等法の侵害
- 就職差別に関すること
- セクシャルハラスメントにあたること
出身地などはうっかり聞いてしまいそうになりますが、応募者に不信感や不快感を与えてしまうおそれがあるため、注意が必要です。以下の記事で面接では聞いてはいけないことについて、くわしく解説しています。採用担当者として公正な選考を行うために参考になさってください。
関連記事:面接で聞いてはいけないこととは?避けるべき行動や5つの対策
アルバイト・パートの面接で気をつけること
アルバイト・パートの面接では、相手に失礼がないように店舗側も配慮が必要です。たとえば、面接中に不採用と判断してもそっけない返事をしたり、質問に対してあいまいな回答をしたりと態度に出さないようにすることが大切です。
もし、面接時の感情を態度に表すことが常態化していた場合、採用したとしても応募者側から辞退される可能性があります。以下の記事を読んで、面接時の対応に落ち度がなかったかどうかを確認してみましょう。
関連記事:アルバイトが採用や面接を辞退する理由は?取るべき対策方法
また、面接日の連絡が遅かったり、採用連絡が遅かったりなど面接前後のやり取りも辞退される原因となるケースがあります。採用活動を円滑に進めるには、採用管理ツールなどの活用もおすすめです。選び方やおすすめの採用管理システムを紹介していますので、お役立てください。
関連記事:【2023】アルバイトの採用管理システムおすすめ4選!選び方のポイントは?
まとめ:面接時に確認することを把握して採用活動を効率化させよう
アルバイト・パートの面接をするときは、希望する勤務日数や時間、社会保険へ加入するかどうかなど、確認事項を把握したうえで実施するのがおすすめです。きちんと把握したうえで採用することで、採用のミスマッチを防ぐことができます。
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「YES」「NO」で答えられる質問を設定できるため、面接時には応募者の人柄を見極めるための質問やコミュニケーションに注力が可能です。有料オプションとして複数選択や自由記述などのアンケートも行えます。面談日程の調整やWeb面談にも対応しているため、採用業務の円滑化に活用いただけます。気になる方はぜひお気軽にお問い合わせください。