中途採用者は経験が豊富なため、入社後はすぐに売上に貢献してくれると期待されますが、中途採用者にとって企業からの期待はプレッシャーにしかなりません。つまり中途採用者と企業側の双方の認識に誤りがあるのです。
「中途採用者がすぐに辞めてしまう」「定着させるにはどうすればいいんだろう」と悩んでいる担当者は、採用活動から見直す必要があります。
今回は、中途採用がすぐ辞める原因や定着させて戦力化させる方法をご紹介します。中途採用の早期離職を防ぎたい方はぜひ参考になさってください。
企業は中途採用の即戦力を求めすぎている
企業が中途採用の募集をかけるのは人員補充であったり、人材を育成するための教育コストを確保できなかったりするときではないでしょうか。実績や経験が豊富な即戦力人材に入社してもらえれば、教育コストをかけずに業務を進めることができます。
業務を円滑に進めてもらうには、在職中の社員と同様の能力を持った人材を求めるものです。そのため、募集要項では実務経験は3年以上、大規模プロジェクトの参画経験のある有資格者など、求める条件が厳しくなってきています。
あまりにも厳しい条件を設定すると、十分な母集団が形成されないため、内定まで進む人も減少します。
また長期間、同じ内容の求人情報を掲載していると、転職希望者から「この会社は何か問題があるのではないか」と疑いの目を向けられるおそれもあります。結果として、中途採用者に即戦力を求めすぎるのはよくありません。
中途採用に即戦力を求めすぎて失敗する原因
中途採用に即戦力を求めすぎて失敗する原因は3つあります。採用活動を成功させるには、原因をしっかりとふまえて対策をとらなければなりません。失敗の原因について詳しく解説します。
適切なフォロー・サポートをせずに放置している
中途採用者は新卒者に比べて知識や経験が豊富なため、入社後はすぐに活躍してもらえると思われて、現場では放置されやすい傾向があります。
これまでの経験が同じように通じるわけではなく、同業種への転職であっても会社ごとに業務の進め方は異なるものです。適切なフォローを行わなければ、円滑に業務を進めるのはむずかしいでしょう。また、指導がないことで孤独感や不安を感じさせてしまいます。
中途採用者が前職のやり方で作業を進めようとする
勤続年数が長いと自分なりの仕事のやり方やスタイルが身についていて、新しい職場での業務フローを受け入れてもらえないことがあります。前職のやり方にとらわれている場合、即戦力として活躍させるのは難しいでしょう。
たとえば同じ営業職でも、ルート営業と新規獲得営業では営業スタイルが異なります。同じ職種でも取引先が異なるとアプローチ方法も変わるため、同業種だからといって即戦力になるとは限らないことを理解しておかなければなりません。
中途採用者が自社の社風や周囲に馴染めない
同業種・職種からの転職であっても、企業風土や経営方針などは会社によって異なります。中途採用は新卒採用と違って、採用人数が1人のケースも多く、同僚や同期といった仲間がいないことで組織になじむのが難しいといわれています。
もし、組織になじめなかった場合、本来の実力を発揮できません。即戦力を期待されていたなら、周囲からのイメージも悪くなり、最悪は孤立してしまうことも考えられます。仲間もなく孤立した場所で働き続けるのは困難です。社風や周囲に馴染めないことが早期離職へとつながります。
中途採用者が働きやすい環境を整えることで、早期離職を防ぐことが可能です。下記の記事では、離職率が高い会社の特徴について解説しています。中途採用者の離職に悩んでいる担当者はぜひ読んでみてください。
関連記事:「離職率が高い会社の特徴・原因とは?定着率を高める方法10選」
中途採用者の定着率を上げて戦力化させる方法
中途採用者だからすぐに新しい環境になじめるとは限りません。ここでは中途採用者の定着率を上げて戦力化させる方法について解説します。配属部署の部署長とも共有して、中途採用者の定着に役立ててください。
即戦力として求めすぎない
まずは中途採用者の能力や経験に期待をしすぎないことです。前職が同じ業種でも、社風や業務フローは会社ごとに異なります。社員と同じような働きを求めてしまうと、プレッシャーとなり中途採用者のモチベーションを下げてしまう可能性があるため、即戦力として求めすぎないようにしてください。
入社後は研修やワークショップなどを実施して、経営方針や業務フローを学べる機会を積極的に作ることが大切です。中途採用者のレベルに合わせた研修を実施することで、リーダー育成など目的に応じた人材を育成できます。
社員同士のコミュニケーションの機会を設ける
新しい環境での孤立感は早期離職の原因となります。企業側は良好な人間関係が築けるように、社員同士がコミュニケーションを図れる機会を設けることが大切です。
たとえばランチや社内イベントなど対面で交流できる機会があると、一気に距離を縮めることができるでしょう。また、社内ブログや社内SNSは他部署の社員ともコミュニケーションがとれるメリットがあります。また、中途採用者のモチベーションを上げるための社内表彰制度を導入するのもひとつの方法です。
入社後のフォロー体制を整える
中途採用者が自分の持っているスキルや経験を生かして活躍するには、入社後のフォローが欠かせません。新しい環境に順応できるスピードには個人差があります。会社ごとに業務フローは異なるため、不安を抱えている中途採用者も少なくありません。
不安を抱えたままでは本来の能力を発揮できないため、企業側は入社後のフォロー体制を整えることが大切です。まずは行動を縛りすぎず、自分の裁量で動いてもらってスキルや業務レベルを評価します。自社の仕事のやり方と大きく乖離しそうな場合にフォローを入れることで、少しずつ自社の業務フローに慣れてもらうことが可能です。
定期的な面談を実施する
中途採用者の離職を防ぐには、定期的な面談を実施して抱えている不満を把握することが大切です。離職の原因は複数の要因が重なっています。
たとえば「1on1」や「メンター制度」などを導入するのもひとつの方法です。上司や先輩と関わりをもたせることで、働くうえでの目標やキャリアプランを描きやすくなります。自社に適した方法の導入を検討してみてください。
サポート役の社員をつける
中途採用者を定着させるには、業務や環境に早くなじめるようにサポート役の社員をつける方法があります。誰でも新しい環境は不安が大きいものです。
サポートがあれば安心して業務を進めることができるため、本来の能力を発揮しやすくなるでしょう。新しい環境でも自分らしく働けることからモチベーションの向上につながります。結果、中途採用者の早期離職を防ぐことが可能です。
職場環境や福利厚生を見直す
労働者の多様なライフスタイルを考慮した職場環境の構築は企業の義務となっています。中途採用者の離職を防ぐには、職場環境や福利厚生などを見直してみましょう。長時間労働の常態化など、離職の要因となる課題はすぐに改善が必要です。
育児や介護への理解も必要とされています。テレワークや時短勤務などを選べるように働き方の選択肢を用意してもよいでしょう。職場環境や福利厚生を見直すことで社員のエンゲージメントが高まり、生産性の向上も期待できます。
採用活動の進め方を見直す
中途採用者の定着率を上げるには、そもそもの採用マッチング率を上げることが大切です。まずは採用活動における課題を洗い出します。求人サイトに掲載する募集要項や面接選考時の質問事項など、不適切なものはないか採用活動のプロセスを一つひとつ見直すことが大切です。
求人サイトによっては募集要項以外に、自社のアピールポイントを掲載することで求職者の目を引く求人を作成できます。採用したい人物像を具体的に描いたうえで、その人物像にとってメリットのある内容を打ち出すのがポイントです。
採用選考は応募者の基本的人権を尊重するために、厚生労働省が「公正な採用選考の基本」で面接時に尋ねてはいけないことを定めています。面接で不快感を与えるような質問をしてしまわないように、下記の記事も参考にして採用活動の進め方を見直してください。
関連記事:「面接で聞いてはいけないこととは?避けるべき行動や5つの対策」
即戦力のある中途採用者を採用するコツ
中途採用で即戦力となる人材を獲得するには、いくつかのコツがあります。それぞれ詳しく解説します。
事前に求める人物像を明確にする
まずは求める人物像を明確にします。募集時に「同業種で長く勤めた経験がある人」を採用基準とした場合、採用ミスマッチや入社後のリアリティショックが起こりやすくなります。
「これは求めすぎでは?」と思うほど、資格やスキルなどの採用条件を設定しておくことが大切です。応募時点である程度の求める条件をクリアしているため、書類選考や面接時に確認する内容が明白になり、採用ミスマッチを防げます。
以下の記事は、採用条件の設定に役立ちます。採用ミスマッチを防ぎたい方はぜひ参考になさってください。
採用ミスマッチの原因と対策とは?マッチング率を上げて企業の損失を防ぐ
良い人材を見極める採用条件の決め方!8つの基準や手順、採用ツールのメリットを紹介
求職者が知りたいであろう自社の情報を伝える
即戦力となる人材の興味を引くために、会社側も自社の情報を積極的に発信することが大切です。求める人物像や待遇などを募集要項や面接のときに詳しく伝えます。会社の良い面ばかり伝えるのではなく、留意すべき点と改善に向けた取り組みも伝えるのがコツです。
入社前に会社が抱えている課題を把握できることで、中途採用者も自分の役割をしっかりと認識できます。会社側も社風や組織体制などでミスマッチがないか確認できるため、自社に適した人材の確保が可能です。
求職者の目を引く募集要項の作り方は下記の記事が役立ちます。
関連記事:「【例文あり】求人で自社のアピールポイントを的確に届けるための準備とコツ!」
キャリアアップや昇格について共有・すり合わせる
入社前にキャリアアップや昇格などについて共有しておくことも大切です。とくに前職の退職理由が「給与に対する不満」であった場合、望むラインに達しないのであれば見切りをつける採用者も少なくありません。
評価基準や昇格ペースを事前に伝えておくことで、本人も将来像をイメージしやすくなります。入社直後は望んでいる収入ラインに達していなくても、モチベーションにつながり早期離職を防ぐことが可能です。
採用前に懇親会やミートアップを行う
新卒者はインターンシップや会社説明会などで会社を知る機会が豊富ですが、中途採用者にこうした機会は多くありません。中途採用を実施するなら、事前に応募者が会社の雰囲気を知る機会を作ることが重要です。職場の人間関係や組織文化が入社前にわかれば、ミスマッチやリアリティショックも起こりにくく、離職を防ぐことができます。
業務を進める社員を中心に、懇親会やミートアップ、カジュアル面談などの場を設けて仕事の進め方や雰囲気を共有するのがおすすめです。できるだけ気楽に参加してもらえるような雰囲気づくりを心がけてください。
採用活動を円滑化するツールを活用する
即戦力のある中途採用者を採用するには、効率的に採用活動を進めることが大切です。採用活動では、求職者に向けて正確で新しい情報を提供し、自社の魅力を伝えるためのコンテンツを作ります。また、応募者の管理や面接日時の決定など、さまざまな業務をこなさなければなりません。
採用活動を支援するツールを活用すれば、採用業務の効率化が可能です。ツールには「求人サイト」「人材紹介」「採用管理システム」「SNS」があり、それぞれ特徴が異なります。即戦力人材を確保するためにも、自社に適したツールを選んで採用活動の円滑化に取り組みましょう。
まとめ:採用活動から見直して中途採用者を戦力化させよう
中途採用は「求めすぎでは?」と思うほど、求める人物像を詳細に描いたうえで自社の魅力を盛り込んだ募集要項を作成することで戦力化につながる人材を確保できます。また、採用ミスマッチが起こりにくくなり、早期離職防止にもつなげることが可能です。
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