介護業界の人手不足がやばいって本当?現状や企業ができる対策

介護業界の人手不足がやばいって本当?現状や企業ができる対策

介護業界の人手不足がやばいって本当?現状や企業ができる対策

介護業界の人手不足がやばいといわれています。少子高齢化により、さまざまな業界が人手不足ですが、介護業界はとくに深刻です。人手不足が原因で倒産件数も増えています。
介護の担い手を確保するため、採用競争も激化しており、採用担当者は苦労しているのではないでしょうか。

この記事では、介護業界の人手不足の現状と原因、企業ができる対策について解説します。介護施設・事業所の採用担当者様はぜひ参考になさってください。

介護業界は本当にやばい?人手不足の実態

介護業界の人手不足がやばいといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。
公益財団法人介護労働安定センターの調査「令和5年度介護労働実態調査」によると、訪問介護職員と介護職員の採用率は2021年からは増加傾向にあり、離職率は2020年~2022年までは横ばいだったものの2023年には減少しています。

調査実施年度採用率離職率
2018年10月1日~10月31日18.7%15.4%
2019年10月1日~10月31日18.2%15.4%
2020年10月1日~10月31日16.2%14.9%
2021年10月1日~10月31日15.2%14.3%
2022年10月1日~10月31日16.2%14.4%
2023年10月1日~10月31日16.9%13.1%

参考:公益財団法人介護労働安定センター

採用率が増加し、離職率が低下した要因として考えられるのが、労働環境の改善です。
とくに有給休暇の取得率は年々上昇しており、仕事内容や職場の人間関係においての満足度も高まりつつあります。

しかし、多くの事業所では介護職員や訪問介護職員が不足しており、過不足状況においても不足感は深刻です。そのため、介護業界の人手不足の現状と問題について、理解を深めなければなりません。

介護業界の人手不足の現状と問題

介護業界の人手不足を解消するには、現状を理解することが大切です。ここでは、「介護労働実態調査」をもとに、介護業界の現状と問題について解説します。

人手不足と感じている介護事業所は6割以上に及ぶ

「令和5年度介護労働実態調査」にると、人手不足を実感している介護事業所は6割以上に及ぶことがわかりました。

とくに訪問介護職員の人手不足は深刻度を増しており、約8割の事業所が過不足感を訴えています。

職種大いに不足不足やや不足適当過剰
訪問介護職員31.328.421.718.50.1
介護職員13.021.731.233.10.9

参考:令和5年度介護労働実態調査

過不足感は「大いに不足」「不足」「やや不足」の3つに分類されており、「大いに不足」の割合が31.3%を占める訪問介護職員がもっとも深刻だとわかります。
この割合は介護業界に携わるすべての職種のなかでも顕著な数値です。

介護職員も訪問介護職員と同じように不足しており、人手不足は解消されていないことがわかります。

介護業界の人手不足は今後も加速していく可能性がある

介護業界の人手不足は、日本の少子高齢化と深く関係しています。厚生労働省が公表した介護職員の必要数と予測されている不足数を見てみましょう。

年度介護職員の必要数想定される不足数
2022年(令和4年)約215万人
2026年(令和8年)約240万人約25万人
2040年(令和22年)約272万人約57万人

参考:厚生労働省「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

介護職員の必要数が年々上昇していることがわかります。不足数も増えており、何かしら策を打たなければ人手不足が解消されることはないでしょう。

出生数も減少しており、生産年齢人口(15歳~64歳)も今後は減少していくことが予測されています※。若い世代の流出が止まらない地方の介護事業所は、人手不足が進んでいくでしょう。

参考:内閣府「人口減少と少子高齢化

人手不足が解消されないと施設閉鎖に追い込まれる恐れも

深刻な介護業界の人手不足が解消されない場合、介護施設や事業所が閉鎖に追い込まれる恐れがあります。

東京商工リサーチの調査によると、2023年の介護事業者の倒産件数は122件で過去2番目に多かったことがわかりました。この倒産した事業者のうち、とくに人手不足が叫ばれている「訪問介護事業者」の倒産が過去最多を超えています。

参考:東京商工リサーチの調査

倒産以外にも事業停止などが余儀なくされた介護事業者も多く、休廃業・解散件数が過去最多を記録しているのです。

施設が閉鎖に追い込まれている原因のひとつに、利用者数の減少もあげられます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、多くの利用者が利用を控えるようになりました。利用者数の減少は施設の収益に大きな影響を及ぼします。

安心して利用してもらうには、人手が足りないのです。人手不足が解消されないことで多くの介護施設・事業所が閉鎖の危機に直面しています。

介護業界の人手不足の原因

少子高齢化による労働人口の減少により、さまざまな業界で人手が不足しています。介護業界も人材の採用競争が激化しており、採用活動に力を入れている事業省も少なくありません。

ここでは、介護業界がなぜここまで人手不足なのか、その原因を探ってみました。

少子高齢化に伴う働き手の減少

団塊世代といわれる800万人が75歳以上に到達し、約3,500万人となる「2025年問題」が迫っています。

一方で出生数は年々減少傾向にあり、「令和5年(2023)人口動態統計付月報年計(概数)の概況」によると、2023年の出生数は72万7,277人と80万人を割りました。

高齢者が増える一方で少子化は急速に進んでいることから、働き手が減少して人手不足となっているのです。

働き手の数は限られているため、現状で人手不足の介護業界は、これから策を講じなければ置かれている状況はますます厳しくなるでしょう。

もし何も対策をしなければ、サービスの質の低下や労働環境の悪化などが懸念されています。

介護人材の採用競争の激化

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和6年5月分)」によると、介護紹介の有効求人倍率は3.61倍ということが表示されております。

全職業の平均有効求人倍率は1.24倍のため、介護業界の人手不足が顕著に現れていることがわかります。

労働環境の改善ができない場合、さらに人手不足が進むことも想定されるでしょう。

国は2024年より介護報酬の改定など介護職員の労働環境の改善に取り組んでいますが、施設や事業所単位でも取り組むことが大切です。

また、少人数でも業務をまわせるように、業務のDX化なども進めていかなければなりません。

低待遇によるネガティブなイメージ

介護職は高齢化が進む社会にとって欠かせない職業ですが、低賃金で休みが取りにくいといったイメージをもつ人が少なくありません。とくに「キツイ」「危険」といったネガティブなイメージが浸透しています。

実際に介護職員の平均年収は約382万円※1となっており、日本人の平均年収458万円※2を下回ります。肉体的・精神的な負担も大きいなかで、賃金も低い環境は十分に離職の要因となるでしょう。

有給休暇の取得は国が促進していることもあり、医療・福祉業界の有給休暇取得率は65.3%と平均62.1%を上回っています※3。

人材を定着させて人手不足を解消するためには、待遇面の改善が必要です。

参考:

※1 厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要

※2 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査

※3 厚生労働省「令和5年就労条件総合調査の概況

介護業界の人手不足を解消する方法

介護業界の人手不足を解消するには、給与や労働環境、業務効率化などさまざまな課題を解決しなければなりません。ここでは、介護業界の人手不足を解消する方法について解説します。

給与水準や評価制度の見直し

前述のとおり、介護職員の平均年収は全職種の平均年収を下回っており、高いとはいえません。そのため、労働に対して賃金の満足度は低いといわれています。
人手不足を解消するには、まず介護職員の給与を上げたり評価制度を見直したりすることが大切です。

介護職員の給与を引き上げる目的で作られた「介護職員処遇改善加算」「介護職員特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」を活用しましょう。
こうした加算金を活用している事業所は、介護職員の給与アップを実現しています。

ほかにも評価制度も見直しも必要です。具体的な評価基準を策定することで、昇給の道のりが明確になり、働くモチベーションにつながることが期待できます。

参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について

ワークライフバランスの尊重

近年、若い世代はワークライフバランスを重視した働き方を望んでいる人が多いです。人材の定着を図るには、まず職員一人ひとりのワークライフバランスを尊重したうえで必要な環境を整備しましょう。

例えば、以下のような取り組みがあげられます。

  • 有給休暇の取得促進
  • 残業時間の削減
  • 柔軟な勤務体系の導入
  • 育児・介護休暇制度の取得促進

柔軟な勤務体系には短時間勤務やフレックスタイム制度の導入があります。こうした新しい働き方を導入することで、働きやすさが向上し、採用活動においても強くアピールできるでしょう

また、いくら環境が整っていても働く職員が理解していなければ、ワークライフバランスの実現はむずかしくなります。

導入時にはしっかりと周知し、定期的に休暇の取得率などを公開して、企業の文化として醸成していくことが大切です。

ユニットケアの導入による業務改善

慢性的な人手不足は業務が偏りがちなため、業務そのものを見直さなければなりません。そこで注目を浴びているのが「ユニットケア」です。

ユニットケアは、入居者を少人数のグループに分けてそれぞれの生活空間を形成し、専属の職員を配置してケアを行う方法です。

集団ケアとは異なり、一人ひとりの心身の状況や生活習慣にあわせた介護ケアを提供できます。一人ひとりの入居者とじっくり向き合えるため、充実した個別ケアの提供が可能です。

入居者の自立支援にも大きく影響することがわかっており、介護職員のストレス軽減にもつながるとされています。

業務の効率化だけではなく、介護職員のモチベーションにも寄与できることから、採用活動においてアピールすることができるでしょう。

教育・研修制度の充実

介護の方法は時代とともに変化するため、施設・事業所全体でスキルアップを図る機会を設けるとよいでしょう。

介護業界は未経験者でも働けますが、提供できるケアの幅を広げるには「介護職員初任者研修」や「介護職員実務者研修」の取得が必要です。

教育・研修制度の充実により、介護の資格取得など具体的なキャリアパスを描けます。

意欲のある人材はつねにキャリアアップを求めているため、優秀な人材を逃さないためにも教育・研修制度の充実は必要です。資格取得支援制度の導入も検討しましょう。

介護職員として働きながらキャリアアップできる環境を整えることで、働くモチベーションの向上も期待できます。

また、資格取得者が増えれば、それだけ質の高い介護ケアの提供が可能です。施設・事業所にとっても大きなメリットがあります。

テクノロジー活用による業務効率化

介護職員は介護ケアの提供以外にも、日報や介護記録などをつけなければなりません。こうした業務をデジタル化(DX化)することで、ペーパーレス化の実現だけではなく、情報共有もしやすくなります。

ほかにも、見守り支援システムや排せつ支援機器などの介護ロボットを導入することで、介護職員の負担が軽減し、本来注力したいケアが可能となりました。

実際に介護ロボットを導入したことで、これまで2人で対応していた介助を1人で行えるようになったという事例もあります。

こうしたテクノロジーの活用による業務効率化により、介護職員の精神的・肉体的な負担が軽減されるため、職員のモチベーションの向上につなげることができるでしょう。

求人広告や人材派遣業者の活用

介護業務のDX化とあわせて、採用業務もDX化で効率化が可能です。具体的には、求人広告や人材派遣業者の活用があげられます。

求人媒体にはさまざまな種類があり、ターゲットや採用目的にあわせて選ぶことが大切です。無料で掲載できる媒体もありますが、有料媒体なら露出を高められるため多くの求職者に見てもらうことができます。

募集要項の作成もサポートしてもらえるため、施設や事業所の環境、企業文化など自社の魅力をうまく伝えることが可能です。

人材派遣業者は、求職者と企業の仲介役となり、求める人材を紹介してもらえます。「有資格者がほしい」「業界経験3年以上」など具体的な求めるスキルがある場合、人材派遣業者に依頼するのがおすすめです。

求人広告や人材派遣会社を活用することで、採用業務の効率化が実現できます。

まとめ:介護の人手不足を解消するために採用業務の効率アップを

介護業界の人手不足を解消するには、給与や待遇面の見直しはもちろん、職員のモチベーションにつなげるための労働環境の改善が必要です。テクノロジーも導入して業務の効率化を図りましょう。

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