テイクアウト需要が増えている昨今、「ドリンクのテイクアウト販売を始めたい」と考えている飲食店経営者の方は少なくないでしょう。ドリンクのテイクアウト販売は、比較的少ない資金で始められる一方、許可が必要なケースや知っておきたいデメリットも存在します。
今回は、ドリンクのテイクアウト販売で必要な許可や始め方の手順などについて詳しく解説します。
ドリンクのテイクアウトを始めるのに許可は必要?
すでに営業している飲食店やカフェでドリンクのテイクアウトを始める場合、基本的には特別な許可や届出は必要ありません。飲食店を開業した際に取得した「飲食店営業」の許可で、ドリンクのテイクアウト販売に必要な基準を満たしていると判断できるためです。
たとえば、店内で提供しているドリンクを紙やプラスチックのカップに入れて持ち帰り用に販売するといった場合、新たな営業許可は不要です。ただし、販売する商品やテイクアウト販売の形態によっては、別途許可が必要になるケースもあります。
無許可営業をしてしまうと多大な被害を受けるリスクがあるため、「許可は必要ないだろう」などと安易に自己判断しないことが大切です。迷った際は、最寄りの保健所に相談するといいでしょう。
ドリンクのテイクアウト販売で許可が必要なケース
ここでは、ドリンクのテイクアウトを始めるにあたって新たに許可が必要になる代表的なケースを3つ紹介します。
- 新たに店舗や設備を設ける場合
- 新たに開業する場合
- お酒をテイクアウト販売する場合
新たに店舗や設備を設ける場合
お店を開業した際に許可を得た店舗や設備とは別に、新たにテイクアウト用に店舗や設備を設ける場合も、許可が必要になります。なぜなら、店舗外でのドリンクの提供には、食中毒のリスクが伴うことから、新たに衛生面での基準を満たす必要があるためです。
たとえば、お店の厨房以外の場所で調理をしたり、お店の外や移動販売でドリンクのテイクアウト販売を行ったりする場合は、新たに許可が必要になるので注意しましょう。
新たに開業する場合
ドリンクのテイクアウト専門店を新たに開業する場合、飲食店開業と同様に管轄の保健所で「飲食店営業許可証」を取得する必要があります。新たに、フードトラックやキッチンカーでテイクアウトを始める場合も、一定の基準を満たした設備および営業許可が必要です。
営業許可の取得に必要な基準は自治体によって異なるため、まずはエリア管轄の保健所に事前相談することをおすすめします。
お酒をテイクアウト販売する場合
酒類をテイクアウト用に販売するには、「酒類小売業免許」が必要です(参照元:国税庁)。
これは、普段から店内で酒類を販売している飲食店であっても例外ではありません。店内でお客さんに飲酒させることはあくまでも「酒類の提供」であるため、無許可でテイクアウト用に「酒類の販売」をすることは認められていません。
このように、お酒のテイクアウトには別途許可が必要であるため、客層や立地などを考慮してお酒のテイクアウト販売の必要性を検討しましょう。
ドリンクのテイクアウトを始めるメリット
飲食店やカフェがドリンクのテイクアウトを始める主なメリットは次のとおりです。
- 少ない資金で始められる
- 売上アップを狙える
- 新規顧客の獲得につながる
少ない資金で始められる
ドリンクのテイクアウト販売のメリットは、少ない資金で始められることです。
フードのテイクアウト販売を行う場合、容器だけでなくカトラリー類やおしぼり、持ち運び用の紙袋などを準備し、保管しなければなりませんが、ドリンクだと必要な備品はそれほど多くありません。
また、テイクアウトに限った話ではありませんが、ドリンクはフードと比べて人件費の負荷が軽く、原価率も低いというメリットもあります。
売上アップを狙える
テイクアウトを導入することで、お店の座席数や回転率にとらわれず売上アップを狙うことが可能になります。
店内飲食の場合、売上をアップするには客数を増やす、または客単価を上げる必要がありますが、店舗の規模や評判維持を考慮するとなかなか容易なことではありません。その点、テイクアウトならたとえお店が満席でも、回転率に関係なくドリンクを販売することができるため、やり方次第では売上アップを狙いやすくなります。
新規顧客の獲得につながる
ドリンクのテイクアウトを導入することにより、これまでお店を利用したことがなかった層にお店の魅力を知ってもらえるといった宣伝効果も見込めます。
たとえば、テイクアウトは店内飲食と比べて利用ハードルが低く、これまでお店を利用したことがない層にも自慢のドリンクを試してもらえる可能性があります。そして、ドリンクの味やお店の雰囲気を気に入ってもらえれば、店内飲食を利用してもらえるかもしれません。
このように、ドリンクのテイクアウトを始めることで、宣伝効果や新規顧客の獲得などといったメリットも少なからず期待できます。
ドリンクのテイクアウトを始めるデメリット
ドリンクのテイクアウトを始めるにあたっては、知っておきたいデメリットも存在します。ここでは、主なデメリットを2つ紹介します。
- 備品の準備が必要
- 客単価が低い
備品の準備が必要
テイクアウト販売では、店内飲食のように食器でドリンクを提供することができないため、備品の準備が必要になります。
ドリンクを入れて提供するための紙やプラスチックのドリンクカップや蓋、ストローなど、備品がランニングコストとしてかかってくるため、備品代をまかなうための工夫が必要でしょう。
ただし、ドリンクのテイクアウト販売においては、フードのように使い捨てカトラリー類や袋、おしぼりなどが不要であるため、必要な備品が少なくて済むというメリットはあります。
客単価が低い
ドリンクに限ったことではありませんが、テイクアウトは店内飲食と比較して客単価が低いというデメリットがあります。元々ドリンクは商品単価が低い傾向にありますが、テイクアウト販売の場合さらに単価が安くなることが懸念されます。
かといって、相場から離れた高額な価格設定にすると集客が難しくなってしまうため注意が必要です。ドリンクのテイクアウトで売上アップを狙うには、数を販売できるよう工夫する必要があるでしょう。
ドリンクのテイクアウト販売の始め方・手順
ここでは、ドリンクのテイクアウト販売の始め方を手順に沿って解説していきます。
- 市場調査を行う
- テイクアウトで販売するメニューを決める
- テイクアウト用の容器を選ぶ
- デリバリーの導入を検討する
- 宣伝活動を行う
1. 市場調査を行う
まず、ドリンクのテイクアウトを始めるに先立って、既存顧客の客層やお店があるエリアでの需要、エリア内にある競合店など、市場調査を行いましょう。
一口に「ドリンク」といっても、客層やエリアによって求められるドリンクの種類やサイズ、見た目などは大きく異なります。たとえば、近くにジムがあるなら栄養価が高いスムージーなどのドリンク、お店がビジネス街にあるならビジネスマン向けのコーヒーなどのメニューを販売すると喜ばれるでしょう。
先述したように、ドリンクのテイクアウトで売上アップを狙うには数を販売する必要があります。ですから、市場調査を通して需要が高いメニューを中心に展開できるよう、準備を進めていくことが大切です。
2. テイクアウトで販売するメニューを決める
次に、市場調査をもとに、テイクアウトで販売するメニューを決めていきます。
具体的には、店内で提供しているドリンクをすべてテイクアウト向けにアレンジして販売するのか、コーヒーや紅茶などのドリンクだけに絞って販売するのかなどを考えます。また、テイクアウトで販売するメニューをドリンクだけに絞るのか、それともフードのテイクアウト販売も行うのかも併せて検討しましょう。
テイクアウト用に新たなメニューを開発して販売する場合、新たに許可が必要にはなりますが、テイクアウト導入の宣伝や利用促進としては非常に効果的でしょう。
3. テイクアウト用の容器を選ぶ
テイクアウトでは、お客さんにドリンクを持ち帰ってもらう必要があるため、使い捨ての容器を新たに準備する必要があります。
テイクアウト用の容器は、アイス用とホット用で2パターン用意する方法が一般的です。「持ち運びやすいか」「保温効果はあるか」といった観点から、販売するドリンクに合った素材・形状の容器を選びましょう。
また、テイクアウト用の容器を選ぶ際は、「見た目」と「地球環境への負荷」にもこだわることが大切です。たとえば、紙製のドリンクカップはプラスチック製のものと比べてコストはかさみますが、地球環境に負荷をかけない取り組みは企業のブランディングやイメージアップにもつながります。
4. デリバリーの導入を検討する
近年では、テイクアウトだけでなくデリバリーを注文する人も増えています。そこで、テイクアウトの導入と並行して、デリバリーを行うかどうかも検討しましょう。
テイクアウト用に準備した使い捨ての容器は、デリバリー用の容器としても併用できるため、将来的にデリバリーの導入を検討しているのであれば同時並行で検討するのが理想的です。また、フードデリバリーサービスを利用することで、普段からデリバリーサービスを利用している層にお店の存在を宣伝できるというメリットもあります。
5. 宣伝活動を行う
ドリンクのテイクアウト販売開始が決まったら、宣伝活動に取りかかりましょう。どんなに魅力的なドリンクメニューを展開し、見栄えの良いドリンクカップを用意しても、お客さんに認知してもらえなければ利用してもらえないからです。
宣伝・集客のコツについては次章でお伝えしますが、ホームページやSNS、Googleマイビジネスなどのオンラインツールを上手に活用して集客していきましょう。
ドリンクのテイクアウト販売を成功させるポイント
ここでは、ドリンクのテイクアウト販売を成功させるポイントを3つ紹介します。
- 容器のデザインにこだわる
- 衛生管理を徹底する
- SNSやGoogle マイビジネス(Google ビジネス プロフィール)を活用して集客する
容器のデザインにこだわる
ドリンクのテイクアウト販売で使用する容器を選ぶ際は、デザインにこだわって選びましょう。というのも、消費者は価格や味が同じ場合、よりデザイン性が良い方を選びたいと考えるからです。
デザインにこだわっておしゃれな容器を選べば、おしゃれなイメージを打ち出したり、ブランディングをしたりしやすくなるでしょう。さらに、容器がSNS映えすると話題になれば、若年層の女性客が来店しSNSで拡散してくれる可能性も上がります。
テイクアウト容器のデザイン性は、機能性や持ちやすさなどと同様に重要なポイントであるため、お店の雰囲気や魅力に合わせ、こだわって選ぶようにしましょう。
衛生管理を徹底する
テイクアウト販売を成功させるには、徹底した衛生管理が不可欠です。食中毒のリスクは、食べ物だけでなくドリンクにも潜んでいます。
たとえば、ドリンクに入れる氷を手で直接触ったり、きちんと清掃されていない自動製氷機を使ったりしていると、氷に菌が付着しお客さんの体内に入ってしまうかもしれません。特に、テイクアウトの場合、購入したお客さんがすぐにドリンクを飲み終えるとは限らないため、食中毒のリスクが高まります。
店内でドリンクを提供する際、普段から行っている衛生管理を今一度確認し、普段以上に衛生管理を徹底するようにしましょう。
SNSやGoogle ビジネス プロフィールを活用して集客する
テイクアウトで売上アップを狙うなら、オンラインツールを活用した宣伝・集客がおすすめです。というのも、オンラインであれば情報をリアルタイムでいち早く発信することができるからです。
たとえば、TwitterやInstagramなどのSNSは無料で運用を始められる上、写真を活用してお店とテイクアウト販売を宣伝したりする場として適しています。SNSごとにユーザー層や特徴が異なるため、自店舗の客層とマッチしたSNSを活用すれば、高い宣伝・集客効果が期待できるでしょう。
また、Google ビジネス プロフィールとは、GoogleやGoogle マップの検索結果にお店の情報を掲載できるサービスのことです。すでに利用している場合も、テイクアウトを行っていることを新たに記載しておくことで、テイクアウトで利用できるお店として人々に認知してもらえるようになるでしょう。
まとめ
ドリンクのテイクアウト販売で必要な許可や始め方の手順などについて詳しく解説しました。
ドリンクのテイクアウト販売は、少ない資金で始められますが、テイクアウト販売を成功させるには市場調査や備品の準備、宣伝活動など、徹底的な事前準備が欠かせません。今回紹介した内容を参考に、ドリンクのテイクアウト販売準備を進めていきましょう。
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また、ポイントカードをLINE公式アカウントと連携すれば、LINEのトークにお店の宣伝を送ることも可能です。たとえば、「ドリンクのテイクアウト始めました!」「本日はドリンクのテイクアウト10%オフ」などと顧客に向けて宣伝できるので、高い集客・販促効果が期待できます。
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