飲食店が効果的に売り上げを伸ばすためには、「常連客」の獲得が欠かせません。なぜなら、常連客は新規顧客と比較してコストを抑えて集客できる上、口コミや紹介などによる新規顧客獲得の相乗効果も期待できるからです。
とはいえ、実際には「なかなかリピート率が上がらない」「なかなか常連化してもらえない」「常連のお客さんが少なくなってきたように感じる」などとお悩みの飲食店経営者は少なくないでしょう。 そこで今回は、飲食店における常連の定義や常連客を増やす方法、常連客の離脱防止や獲得に役立つサービス・ツールなどを紹介します。
飲食店における「常連」とは
飲食店における常連とは、何度も店舗に訪れてくれるだけでなく、来店頻度の高いお客さんを指します。リピーターとも呼ばれる常連の存在ですが、「お店の形態によってどれくらいの頻度で来れば常連といえるのか?」というのは大きく異なります。
街角のコーヒーショップへ毎朝来てくれるお客さんは常連だといえるでしょうが、ラーメン屋やその他カジュアルな飲食店の場合、週に1〜3回来てくれるだけでも常連といえるでしょう。フレンチなどの高級路線の店舗であれば、毎月、毎シーズン来てくれるだけでも、十分に常連客といえるでしょう。
詳しい理由は後述しますが、一般的に常連客が増えれば増えるほど、そのお店の売上には安定感が出てくるため、中長期的な経営が楽になります。ただ、常連客を増やすためには彼らが定期的に来店したいと感じてもらえるサービス作りを行う必要があり、どのようなサービスを提供すべきかは、来店者のニーズによってさまざまです。常連客への理解を深め、適切なサービスの提供ができる環境づくりが必要です。
飲食店における「常連客」の重要性
飲食店を経営するにあたっては、「常連客」を獲得し増やすための継続的な努力が欠かせません。ここでは、飲食店における常連客の重要性をおさらいしておきましょう。
効率的に売上を伸ばせる
飲食店にとって常連客は、効率的に売り上げを伸ばすのに欠かせないとても重要な存在です。前提として、飲食店の売上を上げるには、顧客数を増やす、または客単価をアップさせる必要があります。客単価を上げるのは比較的シビアな問題であるため、基本的には「顧客数」を増やす必要があります。
とはいえ、新規顧客数を増やすには、広告を出して露出を増やすなど、それなりのコストがかかります。実際にマーケティング業界には「1:5の法則」という用語が存在しており、新規顧客の獲得には、常連客の5倍ものコストがかかると言われています。
つまり、既存顧客の「来店頻度」を向上させ、常連化してもらうことでコストを抑えて効率的に売り上げを伸ばすことができます。
ネット上に口コミを集められる
常連客はグルメサイトやSNSなどで口コミの情報発信源になってくれることが多くあります。最近ではグルメサイトやSNSの普及が広まり、ネット上の評価や口コミなどを参考にして飲食店を選ぶ人が増えてきているため、口コミを積極的に発信してくれる常連客は飲食店経営者にとってかなり大切な存在です。
また、顧客目線で発信された情報というのは、お店側が発信する情報よりも見込み客に影響を与えやすいことからも、高い集客効果が期待できるでしょう。
新規顧客の獲得につながる
多くのお客さんに常連客になってもらうことは、新規顧客の獲得にもつながります。なぜなら、常連客は家族や友人、同僚などの新規顧客を連れて来店してくれることがあるからです。他にも知人との話題の中で店の名前を出してくれたり、紹介してくれたりすることもあるでしょう。
上でお伝えしたように、新規顧客の開拓にはコストがかかります。常連客を増やし、自然な流れで新規顧客の獲得につなげられることは、飲食店経営者にとってかなり大きなメリットだといえます。
飲食店で常連客を増やす方法:基本編
まず、飲食店が常連客を増やすために取り組みたい基本的な施策を紹介します。
積極的に声がけする
常連客を増やすには、スタッフの心地良い接客態度や積極的な声がけ、心配りなどが大切です。どんなに料理がおいしかったり、コストパフォーマンスが優れていたりしても、接客態度やマナーが悪ければ「また利用したい」とは思ってもらえないでしょう。
食事中の声がけはもちろんのこと、お支払いからお見送りまで積極的かつ心地良い接客態度を心がけましょう。
中でも、お支払いからお見送りにかけの接客は、お客さんの印象に特に残りやすいところです。「おいしく召し上がっていただけましたか?」「ぜひまたお越しくださいね。」など、親しみを込めた声がけをできるといいでしょう。また、常連客に対しては、「いつもご利用ありがとうございます。」「またお待ちしています。」などといった声がけをすることで、特別感を演出することができます。
看板メニューを用意する
常連客を増やすためには、大前提としておいしい料理を提供することが不可欠です。しかし、料理がおいしい他の飲食店と差別化するためには、「〇〇といえばあのお店」「〇〇があるからあそこへ行こう」などと思ってもらうためのプラスアルファ、いわゆる看板メニューが欲しいところです。
看板メニューを用意することには、お客さんの印象に残りやすい、口コミやSNSの投稿につながりやすいなどのメリットがあります。効果的に常連客を増やしつつ、同時に口コミなどから新規顧客も開拓できるため、看板メニューがあるとないとでは、売り上げに大きな差が出ると言っても過言ではありません。
次回使える割引クーポンをわたす
来店してくれたお客さんに対して、次回来店時に使える割引クーポンやチケットを渡すことも、常連客を増やすための施策として効果的です。
当然のことながら、常連客になってもらうには、2回目の来店をしてもらう必要があります。2回目の来店につなげることができれば、3回目、4回目……と常連化してもらえる可能性も高まります。1回目の来店をしっかりと2回目の来店につなげるためにも、お得感を感じてもらえるような割引クーポンやチケットなどを配布すると良いでしょう。
また、スタンプカードなどで「3回来店で〇〇をプレゼント」といった特典を用意するのも効果的です。1回目から2回目、そして2回目から3回目とリピートしてもらえるよう工夫しましょう。
飲食店で常連客を増やす方法:応用編
ここまでで、飲食店が常連客を増やすための基本的な施策についてお伝えしました。そこで次に、基本的な施策に加えて取り組みたい応用的な施策を紹介していきます。
顧客情報を獲得する
効果的に常連客を増やすには、お客さんにお店の情報を届けるための手段、いわゆるクーポンやメッセージの送付先といった顧客情報を獲得することが大切です。
たとえば、会員登録やLINE公式アカウントの友だち登録などを条件に、当日使える割引クーポンをプレゼントするとします。これにより、お客さんに最新情報をダイレクトに配信するための手段を獲得できます。顧客情報を獲得することで、2回目以降の来店のきっかけを作りやすくなるので、効果的に常連客を増やすことができます。
SNSで情報発信する
Instagram(インスタグラム)やTwitterなど、SNS上でお店の情報を発信することも、常連客を増やすための施策として効果的です。というのも、SNSで情報発信することでお客さんにお店の魅力を思い出してもらい、「また利用してみようかな」と思ってもらうきっかけになるからです。
中でも、Instagramは写真を通して視覚的に料理やお店の雰囲気の魅力をアピールできるため、飲食店がぜひとも常連客の集客に活用したいSNSの一つです。「SNSを使ったことがない」という方は、ぜひこれを機にSNS運用を始めてみましょう。
顧客管理システムを利用する
顧客の再来店率を向上させ、戦略的に常連客を増やしたいのであれば、顧客管理システムの利用もおすすめです。顧客管理システムとは、その名の通り顧客の基本情報や予約・注文履歴などをワンストップで記録・管理できるシステムのことです。
顧客管理システムを利用することで、顧客の属性や来店頻度、好みなどを正確に把握できるようになるため、サービスの質を効果的に向上させることが可能になります。また、常連客の属性を分析しニーズを把握することで、より効果的な集客施策を行えるようにもなります。
常連客が来なくなったと感じた際の対策
続いて、常連だったお客さんが来なくなってしまったときに取りたい対策について解説しましょう。
新しいメニューを検討する
お客さんを飽きさせないための工夫として、代表的なのが新メニューの開発や、期間限定商品の開発です。いくら常連とはいえ、長い間同じものを食べ続けると「飽き」が出てしまうものです。
定期的に新メニューを開発してお客さんの反応を伺ったり、期間限定メニューを投入したりして、「また行きたいな」と感じてもらうことが大切です。
お店周辺の環境の変化をリサーチする
自店舗そのものに原因が見つからない場合、周辺環境の変化が理由になっている場合もあります。近くに似たようなお店が新しく登場したり、何らかの理由で人の数が減ったりしている場合は、必然的に常連客や新規顧客の獲得も難しくなります。
この場合、周囲の環境の変化にも対応できるよう、新しい施策を考える必要があります。
過去の来店情報を分析する
ツールを使って収集した顧客情報を活用して、来店ニーズの変化や頻度の動向を数字で見直してみることも大切です。いつ頃から来店のスパンが長くなっているのか、その間にお店でどんな変化があったのかを分析し、常連客が来なくなってしまった原因を究明しましょう。
常連客の獲得に役立つおすすめツール・サービス
続いて、常連客の獲得に役立つおすすめのツールとサービスを紹介します。
常連コボット for LINE
当社ディップ株式会社が提供する常連コボット for LINEは、LINEミニアプリ(※)を使って常連客の獲得につなげるサービスです。LINEアプリ上で、店舗独自のポイントカードを作成したり、来店ポイントを付与したり、お得なクーポンを発行したりすることができます。
(※)LINEミニアプリとは、日本人口の68%にあたる8,600万人が利用するLINE上で、店舗独自のサービスを提供できるアプリのこと。
LINEを利用している人なら会員登録不要ですぐに使える上、来店やログインでどんどんポイントが貯まる仕組みになっているので、効果的に常連客を獲得できます。さらには、ポイントカードをLINE公式アカウントと連携すれば、LINEのトークで常連客にメッセージを配信することも可能です。
LINE公式アカウント
LINE公式アカウントは、企業・店舗とユーザーの接点を創出することを目的としたサービスです。自社アカウントを友だち登録しているユーザーに向けて、割引クーポンやショップカード(スタンプカード)を配布できるなど、飲食店における常連客の集客に最な機能が充実しています。
一昔前までは、電子メールを使ったダイレクトメールの配信が一般的でした。しかし、昨今「プッシュ通知でより多くのユーザーに気づいてもらいやすい」「メールよりも手軽に見てもらいやすい」などといった理由から、LINE公式アカウントを使って顧客へアプローチをかける飲食店が増えてきています。
Instagram(インスタグラム)
Instagram(インスタグラム)は、写真に特化していることから飲食店との相性が非常に優れているSNSです。お店を利用したことはあるけれど、「常連」とまではいかないお客さんに対して、お店の様子や季節限定メニュー、“インスタ映え”する新メニューなどを視覚的にアピールすることで、再来店のきっかけを作り出せます。
ちなみに、飲食店を探す際にInstagramのハッシュタグ検索や地図機能検索を利用するユーザーが多いことから、新規顧客の獲得にも効果的です。
トレタ
トレタは、数多くの飲食店で導入されている予約・顧客台帳システムです。大手グルメサイトと連携して予約をそのまま台帳にまとめたり、顧客情報を活用しておもてなしや接客を向上させたりすることができます。
自動で蓄積される予約情報や顧客情報を集計・分析することができるため、効果的に常連客の獲得を目指せます。
Google ビジネス プロフィール(旧Google マイビジネス)
Google ビジネス プロフィール(旧Google マイビジネス)は、Google マップやGoogleの検索結果に、お店の情報を登録・表示できるビジネスツールです。プロフィールは無料で作成することができ、オーナー確認を済ませることで、気軽に店舗情報や営業時間を登録したり写真や投稿を追加したりすることができます。
一般的に、新規顧客の集客に特化したツールとして知られていますが、使い方次第では常連客の獲得にも大いに役立ちます。たとえば、顧客から寄せられた口コミに一つひとつ返信したり、投稿機能を使って常連客へのメッセージを配信したりするなどして、常連客にアプローチをかけることができます。
favy
favyは、現場歴20年以上のベテランとデジタルマーケティングのプロによって開発された、飲食店のための顧客管理ツールです。
このツールでは、顧客の来店回数や来店日時、流入経路といった情報を自動で収集し、管理することができます。居酒屋やカフェ、レストランなど、あらゆる業態の飲食店に対応しており、これまで把握できていなかった来店客や常連客の人数を「見える化」できるようになります。
GMOおみせアプリ
GMOおみせアプリは、顧客コミュニケーション実現のための自社アプリを作成できるプラットフォームです。通常、自社アプリの作成には大規模な開発が不可欠ですが、GMOおみせアプリは開発が不要な「アプリプラットフォーム」を提供しているため、最短40日でアプリの公開を実現できます。
アプリ上で顧客に情報やクーポンを配信したり、スタンプ・ポイントカードを発行したりできる自社アプリの提供は、顧客の再来店を効果的に促す施策として効果的です。
まとめ
常連客を増やすことは、飲食店が売り上げを伸ばすにあたって欠かせない取り組みの一つです。飲食店の形態によって常連の定義は異なりますが、定期的にお店に通ってくれるお客さんの存在は、お店の中長期的な経営に欠かせません。
「どういうお店ならまた利用したいと思うか」をお客さんの立場に立って考えることはもちろん、SNSや顧客管理システムなどを活用して戦略的にアプローチすることも大切です。なぜ常連客が増えないのか、常連客が遠のいているのかを客観的に分析し、問題の発見と解決に役立ててください。
「売上が伸び悩んでいる」「常連客がなかなか定着しない」などとお悩みであれば、ぜひ今回紹介したポイントやサービスを参考にして、常連客の獲得を目指しましょう。
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