飲食店を経営している方が必ず考えなければならないものが「経費削減」です。売上ばかりを上げていても、経費がかかりすぎていると利益は出せません。
この記事では、飲食店での経費削減についての基礎知識と、コストを下げるさまざまなアイディアを紹介していきます。
経費削減を行う上での注意点もまとめましたので、参考にしていただき、正しい方法で利益の上がる飲食店を目指しましょう。
飲食店の経費削減に関する基礎知識
経費削減を考える上で、押さえておくべき基礎知識があります。まず、飲食店の利益率の重要性について説明します。
利益率は「売上高に対する利益の比率」を指し、計算式は次の通りです。
(売上高 – 経費)/ 売上高 × 100
この式からわかるように、経費を削減することで利益率を向上させることが可能です。次に、経費削減の課題には、「固定費」と「変動費」の2種類の経費が関わってきます。
また、「FL比率(フード&レイバーコスト比率)」という、食材費と人件費の総額が売上に占める割合を示す概念の理解も重要です。これらについては、詳細を後述します。
ただ漠然とコスト削減を目指すのではなく、飲食店経営における各種コストを正確に把握し、効果的な削減策を講じることが重要です。
飲食店の経費項目は「固定費」と「変動費」に大別できる
飲食店における経費項目は大きく別けて2つです。
「固定費」と「変動費」という項目に別けられ、どちらも経費削減を考える上で大切な項目ですので一つずつ把握していきましょう。
【固定費】売上に関わらず一定額発生する費用
固定費は、売上の変動に関わらず毎月一定額発生する費用のことを言います。
固定費になるものとしては
- 家賃
- 保険料
- リース料
- 支払い利息
- 税金
などが該当します。
不変費とも呼ばれる費用なので、これらを削減するのは簡単ではありません。大幅な契約の見直しなどが生じます。
固定費の適正比率は15〜25%です。これ以上の比率になっている場合は固定費を対象にした経費削減を考える必要があるでしょう。
【変動費】売上によって増減する費用
変動費は売上によって増減する費用のことを言います。
変動費になるものとしては
- 人件費
- 食材費
- 販売促進費
- 水道光熱費
- 店舗の修繕費
などが該当します。
可変費とも呼ばれるこの費用は、売上によって大きく変動するのが特徴です。売上が多ければそれに比例した食材費や人件費がかかります。
変動費の適正比率は60〜70%です。固定費と違い変動が大きい分、各費用についてそれぞれ削減する方法が考えられます。
飲食店の3大経費とFL比率
飲食店経営では3大経費というものがあります。またFL比率についても把握しておきましょう。
ここからは3大経費と、経費削減を考えるうえで大切なFL比率について解説していきます。
飲食店の3大経費は材料費・人件費・家賃
飲食店の3大経費としてあげられるのが以下の費用です。
- 食材費
- 人件費
- 家賃
FLRコスト比率としてもあげられるもので、Food(食材費)、Labor(人件費)、Rent(家賃)を指しています。
家賃に関しては固定費なので簡単に削減できるものではありません。しかし食材費や人件費は経営者次第で抑えることができる費用です。
売上が多い月に食材費や人件費を適切に管理し抑えることができれば、結果として利益を高めることができます。
FLコストとFL比率の計算方法
先に少し触れましたがFLコストについて詳しく解説していきます。
FLコストは食材費と人件費のことを指しており、飲食店経営においては常に考えなければならないコストのことです。
食材費は飲食店にはなくてはならない、食材や飲料の仕入れにかかるコストで「原価」として考えられます。人件費は店舗で働く従業員の給与や賞与などです。福利厚生費なども含みます。
この2つのコストの売上高に占める比率をFL比率といい、適正比率に抑えることが経費削減の課題です。
FL比率は
(食材費+人件費)/売上高
で算出することができます。
飲食店のFL比率の目安
それでは、飲食店のFL比率はどの程度を目安にすべきでしょうか。
飲食店におけるFL比率の一般的な適正値は60%以下とされています。55%以下であれば良好と評価され、65%を超えると危険信号とみなされます。
この比率は食材費と人件費を合わせたもので、それ以外の経費(家賃や水道光熱費など)も含めて総支出が売上の100%に達してしまうと、実質的に利益がゼロまたは赤字という状態になります。
一般に、固定費は全体の30%前後を占めることが多いため、FL比率を適切な範囲内に保つことが、健全な飲食店経営には不可欠です。
飲食店の経費削減につながるアイディア
ここからは飲食店の経費削減につながるアイディアを紹介していきます。
固定費、変動費、FLコストに関してそれぞれ解説していきますので、これらを参考に経費削減を考えていきましょう。
固定費を削減するためのアイディア
固定費は必ず毎月決まった額を支払うことが予め分かっている費用になるので、これらを下げるのは簡単ではありません。
削減方法としてはリース契約の見直し、電力会社や料金プランの変更を検討することが挙げられます。
また家賃に関しては売上額の10%以下に抑えることが望ましいとされています。
家主との交渉で賃料を下げてもらう、または売上によっては店舗移動も検討しましょう。
変動費を削減するためのアイディア
変動費を削減する場合は、アルバイトやパートのシフトの見直しや、販促費の見直しや改善を行いましょう。シフトの見直しといっても、単に人数を減らすような削減ではありません。
人数を減らすということは、店舗のサービス低下の原因にもなります。この場合、人数ではなく働く時間を調整するようにしましょう。
必要な時間だけ働いてもらうように調整することで十分削減できます。
販促費が多いようであれば、SNSなどを活用し店舗の宣伝など行うようにすることで、繁忙期に集中してPRするなどの削減方法が考えられます。
FLコストとFL比率を改善するためのアイディア
FL比率を改善するには、食材費と人件費について考えていきましょう。
食材費は品質の兼ね合いもありますが、仕入れ先を変更して原価を抑えることもできます。
また仕入れ量も調整し廃棄ロスを抑えることや、適切な食材の分量を守りオーバーポーションにならないようにすることも大切です。
人件費は最近では多くの飲食店で見かけるようになりましたが、モバイルオーダーなどのツールを活用することが挙げられます。
注文時の手間や時間も減り、顧客にとっても待ち時間がなくなるメリットがあります。
飲食店が経費を削減する際の注意点
ここまで経費削減の方法について紹介しましたが、削れる費用を単純に削るような方法では別の問題が生じてしまいます。
ここからは経費削減を行う上での注意点を解説していきます。
経費削減による品質低下に注意する
飲食店における顧客満足度は、提供される料理(商品)の品質に比例します。
経費削減を重視するあまり品質を下げてしまうと、結果として顧客が離れてしまい利益は上がりません。
利益を上げていくため削減するべき経費に食材費も考えるべきですが、仕入れ額に気を取られて品質を落としてしまうような削減はやめましょう。
品質低下を避けるために、削減しても問題ない経費を見極めていくことが重要です。
従業員のモチベーションへの影響を配慮する
経費削減を考える際に品質を落とさないことに注意すると、最も削りやすいのが人件費です。
ですが単純に給料を減らすなどの削減では従業員のモチベーションが下がってしまい、結果として品質まで下げることになってしまいます。
モチベーションを下げないように人件費を削減するのであれば、ICT(情報通信技術)の活用も検討しましょう。モバイルオーダーやテーブルにオーダー用のタブレットがあれば、注文時の手間が省けます。
最近ではセルフレジの設置やホールでは配膳ロボットも見かけるようになりましたが、これらも人件費削減の一環として導入されています。
経費削減だけでなく集客を増やすための施策も考える
利益につながる売上が上がらなければいくら経費削減を行なっても無意味です。売上を上げるために集客にも注力していきましょう。
顧客が飲食店を探す際にグルメサイトが利用されていますが、近年ではさまざまなツールやサービスの登場によってグルメサイト離れも起きています。
顧客がいかに自店を見つけてくれるかに注目し、集客を増やすことも大切です。
関連記事:グルメサイト離れが加速中?集客率を上げるコツやおすすめツールを紹介
グルメサイト離れによって顧客が利用しているもので多いものがGoogleやInstagram。
これらのツールには直接予約できる機能も備わっており、近年では利用している人も増えてきました。
関連記事:Google・Instagramの予約機能で集客アップ!メリデメ、設置方法とは?
またポイントカードを活用しリピーターを獲得することで集客を増やすという方法も考えられます。
関連記事:飲食店でポイントカードを導入するメリットデメリットを解説!集客活用の5つのコツ
集客にはツールの活用も検討してみましょう。
まとめ:集客ツールを活用して飲食店の経費削減と売上アップにつなげよう
飲食店経営における経費削減は、固定費・変動費とFL比率を考慮しながら、削減できる部分を理想の数値に収めることが大切です。また同時に集客にも力を入れていきましょう。
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予約のニーズがグルメサイトからGoogle MapsやInstagramに移行しつつある中、予約ボタンを簡単に設置できるなどのメリットもあります。
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