ドライバー不足は嘘?人手不足問題の実態と対策・求人広告の活用法
「ドライバー不足は嘘」という言葉を耳にしたことはありませんか?トラックドライバーの求人倍率は高く、データからも不足していることが明らかです。しかし、実際ドライバー不足の背景には、企業が即戦力ばかり求めていたり、労働条件が悪かったりといった傾向があるようです。
そのため、企業はドライバー不足の原因を理解したうえで解消しなければいけません。この記事では、ドライバー不足の現状と実態を分析し、人手不足解消に向けた対策について解説します。採用担当者はぜひ参考にしてください。
ドライバー不足は嘘?現状と実態
トラックドライバー不足が懸念される一方で「ドライバー不足は嘘」と聞いたことはないでしょうか。運送業界の人手不足は労働人口の減少だけではなく、根本的な原因はほかにもあるのです。
ここでは運送業界の現状を分析し、真相に迫ります。
ドライバー不足の現状
国土交通省が公表する『我が国の物流を取り巻く現状と取組状況』によると、2024年1月~3月で約67%と半数以上の企業がドライバー不足を感じていることがわかりました。
2021年4月~6月の調査では45.2%だったことを踏まえると、このドライバーの不足感は年々増加傾向であることがわかります。
また、令和6年3月の時点のトラックドライバーの有効求人倍率は2.58倍※と、全職種の有効求人倍率1.28倍よりも高い水準であることがわかりました。
このことから、企業が感じている不足感と有効求人倍率により、現状「ドライバー不足は嘘」ではないことがわかります。
※参考:一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について
ドライバーが不足する原因
ドライバーが不足する原因は以下の通りです。
- 少子高齢化による労働力不足
- 女性の進出の遅れ
- 長時間労働などの過酷な労働環境
- 交通事故の危険性
- 物流の需要増加
人手不足の直接的な要因として、少子高齢化や物流の需要増加があります。ドライバーになれる人材は減少している一方、オンラインショッピングなどの普及により需要が高まっています。
また、長時間労働で疲労を回復させる時間もないため、交通事故のリスクも高まるまでしょう。そもそも大型トラックだと他の車を巻き込む大事故のリスクもあるため、求職者にとって不安が大きく、選ばれにくい職業となっています。
国は働き方改革の一環として「時間外労働の上限規制の適用」と「改正改善基準告示」を2024年4月1日に施行。時間外労働を年960時間に制限し、日月年単位で拘束時間の上限と休息期間が策定されました。
ドライバーを雇用する企業は、月60時間を超える時間外労働に対して、50%以上の割増賃金の支払いが必須となっています。これは雇用側の負担が大きいため、勤怠管理の強化や労働条件の見直しなどが必要です。
参考:建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制(旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務)
ドライバー不足は嘘といわれる理由
調査結果や現状を踏まえても、ドライバー不足であることは事実です。しかし、なぜ「ドライバー不足は嘘」といわれるのでしょうか。
2022年時点のドライバー等輸送・機械運転従事者数は約86万人※であり、2012年から横ばい傾向にあります。
介護業や製造業と比べて、運送業は求人の競合が少ないため、求人情報は職を探しているドライバーの目に留まりやすいのです。つまり、ドライバーの採用難易度は高くありません。
では、なぜドライバーが不足しているかというと、企業が提示する就業条件や待遇面などが原因ではないかといわれています。こうした問題は企業努力で改善が可能です。
実際に綿密な採用戦略を立ててドライバーを確保している企業も少なくありません。応募が集まらない原因や離職原因を明らかにして、改善していくことで人手不足を解決することができるでしょう。
ドライバー不足に陥りやすい企業の特徴
ドライバー不足に陥りやすい企業には、以下の3つの特徴があります。
- 即戦力ばかり求めている
- 従業員の健康管理ができない
- 従業員と管理者のコミュニケーションが不足している
これらの特徴に該当するときは改善が必要です。
1. 即戦力ばかり求めている
ドライバー不足に陥りやすい企業は、すぐに売上に貢献してくれる即戦力人材ばかりを求めているのが特徴です。
ドライバーは単純に運転するだけではなく、道を覚えたり停めやすい駐車場を探したりと、身につけるスキルがたくさんあります。しかし、即戦力ばかり求めている企業は、教育に力を入れていません。
仕事の流れがわからないと業務を効率よく進めることができないだけでなく、トラブルを起こしてしまうリスクも高まります。低効率による残業の増加で企業の負担も増加し、ドライバーは疲労を解消できないストレスから退職に至る可能性もあります。
しかし、教育環境が整っていれば、業務効率が上がり、短期間で売上に貢献できる人材へと成長させることが可能です。また、残業時間も減少して企業も負担が軽くなり、少ない稼働時間でも売上の向上が期待できます。
さらに、社員教育の環境を整えることで、未経験者も応募しやすくなり、定着率を上げることができるでしょう。
2. 従業員の健康管理ができない
ドライバーによる交通事故の原因は過労です。ドライバーは長時間労働になりやすく、以下のような身体的な負担を感じている人が少なくありません。
- 睡眠不足によるストレス蓄積
- 長時間の座位姿勢による腰痛や肩こり
- 運転中の集中力低下によるヒヤリハットの増加
これらの問題は、ドライバーの離職率や事故リスクの増加につながっているため、体調管理が不可欠です。
しかし、ドライバー不足に陥りやすい企業は、ドライバーの健康管理を重視していません。交通事故を起こすのは、ドライバーの自己管理が不足していると考えている場合もあります。
そもそも身体的な負荷が大きい職種であるため、企業側が意図的に休憩時間を設けるなど従業員の体調管理をする必要があります。従業員を大切にしている企業には、おのずと人が集まるものです。長く勤めてもらいたいなら、従業員の健康にも配慮しましょう。
3. 従業員と管理者のコミュニケーションが不足している
ドライバー不足に陥りやすい企業の特徴として、従業員と管理者のコミュニケーション不足があげられます。
コミュニケーションが取れていないと、従業員の感じている不満をくみ取ることができません。自分たちの意見を聞いてくれない会社がいくら方針や業績目標を掲げても、従業員は聞く耳をもたなくなるでしょう。
帰属精神も養われないため、条件の良いところが見つかれば簡単に辞めてしまうリスクが高まります。
そのため、従業員一人ひとりの意見を聞く環境作りが大切です。
コミュニケーションを通して信頼関係を構築することで、定着率の向上につなげることができます。
一人ひとりとコミュニケーションを密に取り、不満や意見を参考にして職場環境や就業条件の改善につなげていきましょう。
ドライバー不足を解消する方法
ドライバー不足を解消するには、以下の4つの対策が必要です。
- 採用条件を見直す
- 労働条件を改善する
- 良質な労働環境を整備する
- IT技術を駆使して業務を効率化する
これらの策に取り組むことで、ドライバー不足の解消と持続的な売上に貢献できる人材を集めることが期待できます。
1. 採用条件を見直す
ドライバー不足を解消するには、採用条件を見直すことが大切です。トラックドライバーといえば、力仕事が多く、求める人材が限られていました。
しかし、こうした従来の採用条件にこだわらず、多様な人材を受け入れる姿勢が求められています。
設備や環境を整えることで、年齢制限や経験年数の条件を緩和することも可能です。
また、資格支援制度を導入し、働きながら取得できる環境を構築できれば、必要資格を見直すこともできます。
さらに、短時間勤務やフレックス制を導入することで、副業の方やシニア層など、多様な人材の採用につなげることが可能です。
2. 労働条件を改善する
ドライバー不足の問題を解決するためには、労働条件を改善しなければいけません。採用できても労働環境が魅力的でなければ、早期離職につながります。企業ができる改善点は以下の通りです。
- 基本給の引き上げ
- 各種手当の充実
- 福利厚生
- 有給休暇取得の促進
- フレックスタイム制の導入
各種手当とは、深夜勤務手当や長距離運転手当などがあります。福利厚生に社会保険加入や退職金制度を設けることで、長く働ける環境を作ることが可能です。
こうした労働条件の改善により、ドライバーの満足度が向上し離職率の低下が期待できます。また、ひとつの企業が取り組むことで、業界全体のイメージアップにもつなげることができるでしょう。
3.良質な労働環境を整備する
ドライバー不足を解消するには、良質な労働環境を整備することも大切です。従業員が快適に働ける環境を用意することで、満足度が向上し信頼関係の構築にもつながります。
例えば、以下のような設備の導入を検討してみましょう。
- 休憩スペースの設置
- 健康サポートの強化
- 安全装置付き車両の導入
近年、職場に休憩スペースを設置する企業が増えています。特に身体を酷使するドライバーにとって、短時間でも休息が取れる環境は欠かせません。企業側が用意することで、積極的に休息を取りやすくなります。
また、定期的な健康診断の実施や、最新の安全装置付き車両を導入することで、万が一のリスクも最小限に抑えることが可能です。
こうした労働環境の整備に取り組むことで、企業のイメージアップにもつなげることができるでしょう。
4.IT技術を駆使して業務を効率化する
ドライバー不足を解消するには、IT技術の活用も欠かせません。現役ドライバーの高齢化が進んでおり、業務負荷が課題となっています。業務に合わせたIT技術を導入することで、幅広い業務の効率化を図ることが可能です。
ドライバー業務を助けるIT技術の活用法として以下のようなものがあります。
- 配車システムの導入
- AIを活用した最適なルート設定
- リアルタイムでの車両位置の把握
- 配車スケジュールの管理
- 運転時間・休憩時間の管理
- 業務報告のクラウド活用
経験でカバーしていたルート設定などもAIを活用することで、経験の少ないドライバーもスムーズに運搬することができます。また、こうしたシステムやツールの導入は、利用状況に応じてデータを収集しています。
収集したデータを分析して運行ルートの最適化が可能となり、業務負荷の軽減や燃費改善によるコスト削減にもつなげることができるでしょう。
求人広告を活用してドライバー不足を解消するコツ
ドライバー不足を解消するためには、魅力的な職場環境を求人広告などでアピールし、求職者とのマッチングを図ることです。ここでは求人広告を活用して、ドライバー不足を解消するコツをご紹介します。
求人広告の内容を明確にする
ドライバー不足の解消に求人広告を活用するには、まず掲載する内容を明確にしましょう。求人広告に掲載する情報を見て、応募者は自分に合った仕事かどうかを判断します。
そのため、どのような業務を任せたいのかを明確に記載することが大切です。
例えば、ドライバーといっても、タクシードライバーもいれば運送ドライバーなどもあり、それぞれ業務内容が異なります。
あいまいな表現では誤った認識をもたれてしまうため、できるだけ具体的に記載するのがポイントです。
ほかにも、給与や勤務時間などの労働条件も分かりやすく明示します。労働条件は職業安定法改正により、明示が必要な事項があるため、採用担当者は内容を事前に理解しておきましょう。
また、最低限明示すべき情報だけではなく、求める人物像も提示してください。
- シニア人材も歓迎
- 未経験者でも可能なルート配送
- 普通免許でも応募可能
具体的に記載することで、求職者は応募を判断しやすくなります。ただし、採用後に齟齬がないよう注意しましょう。
社風がわかる求人ページを作る
求人ページは、給与や休日など、労働条件が単に目立つようにすれば良いというわけではありません。求職者は働く環境も重視しているため、どのような人が働いているのか、社風が伝わる求人ページを作ることが大切です。
例えば、写真や動画を活用することで、多くの情報を求職者に伝えることが可能です。特に社員のインタビュー記事は、実際に働いているという信ぴょう性の高さもあり、求職者のアクセス数を集めることが期待できます。
未経験者を募集する際は、未経験からドライバーになった社員のインタビュー記事を掲載するのがおすすめです。求職者にとって、自分と同じような立場の人が、今どのように活躍しているのかはとても気になるでしょう。
ニーズに沿った記事を掲載することで、応募への行動喚起につなげることができます。
また、企業理念やビジョンなどをわかりやすく説明して、求職者に自社のドライバーとして働く魅力を伝えることも大切です。
作成した求人ページをホームページに設置して、SNSに投稿することで、自社を知らない層にも求人情報を広めることができます。
スピード感のある採用業務をおこなう
求職者は複数社受けていることもあります。採用プロセスを効率よく進めることで、優秀な人材を確保することが可能です。
採用活動で時間をかけたいのは選考です。選考に少しでも時間を割けるように、日程調整や応募者管理などの業務はツールを導入して効率化を図ります。
スピード感のある採用は、応募者からの印象もよくなります。募集時に採用プロセスを明示しておくと、他社の選考スケジュールと調整しやすくなるため、応募のハードルを下げることが可能です。早期に対応できる環境を整えておくと、応募者から日程変更など申し出があった場合にも柔軟に対応できます。
採用ミスマッチがないよう選考基準を考える
ドライバー不足を解消するには、採用ミスマッチを防ぐために適切な選考基準を設けることが重要です。まずは、自社のドライバーに必要なスキルや経験を洗い出します。
面接の際は、知識やスキルだけではなく、応募者の安全意識やコミュニケーション能力もチェックが必要です。
安全意識は、以下のような質問から判断できます。
- 過去の経験で危険な状況はありませんでしたか?
- 日ごろからどのような安全対策を心がけていますか?
質問に対する答え方で、リスク認識や予防意識と同時に、コミュニケーションスキルも確認できます。こうして設定した選考基準は、採用活動をおこなう関係者全員で共有しましょう。
また、面接は応募者にとっても「自分が働きやすい職場か」を判断する場所です。応募者から業務に対する疑問点や不安点を質問されたときは、うやむやにせずしっかり応えましょう。
仮にデメリットであっても真摯に対応することで、企業への信頼度が高まり、入社意欲の向上につなげることができるでしょう。
求人の募集方法を変更したりアプローチを変えたりする
従来の求人広告で応募が集まらないときは、新たな採用手法やアプローチを試してみることが重要です。
近年はSNSを活用した採用手法が増えています。SNSを採用活動に活かすには、多くのフォロワーが必要になるため、普段から積極的な投稿と返信を心がけましょう。
また、フォロワーに刺さる求人情報であれば拡散してもらうことで、自社を知らない層にも求人情報を届けることが可能です。
ほかにも従業員が紹介するリファラル採用、業界や業種に特化した求人サイトなどを活用する方法があります。
応募者のもっているスキルや経験は職務経歴書を見れば把握できますし、面接では書類の内容が本当かを確認できれば問題ありません。
最終面接時には、面接をするという姿勢ではなく、企業の魅力を最大限伝えましょう。
まとめ:ツールを活用して効率の良い採用業務を実現しよう
「ドライバー不足は嘘」ではなく、企業努力で解消できる場合が多いです。採用条件の見直しや労働条件の改善、教育体制の構築など、従業員が働きやすい環境を整備しましょう。長く安心して働ける環境を整えることが大切です。
環境を改善したら求人広告で魅力を伝えましょう。優秀な人材をいち早く確保するためには、採用業務の効率化が欠かせません。企業に合わせたスタッフ募集ページを作成できる「採用ページコボット」なら、求職者に訴求力の高い採用ページを短時間で作成できます。
「採用ページコボット」は、掲載する求人原稿の内容をもとに、採用ページの顔となるトップページを最適なデザインを自動で生成します。求人原稿は「バイトル」の原稿形式を採用しており、職場の魅力を動画で紹介する機能、就業後のミスマッチ軽減を目的に行う職場体験機能など、独自の機能を多数備えています。 これにより、応募後の定着率アップにもつなげることができるでしょう。気になる方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。