ナレッジマネジメントとは?活用したいツール・システムと成功事例

2022/02/09 コボットコラム
ナレッジマネジメント

組織的な活動を企業で推進していくためには、企業や属する個人が蓄積してきた経験や知識を共有できる環境づくりが求められます。いわゆるナレッジマネジメントを推進していくことは、企業の組織力を高めるための効率的な手法として近年注目されています。

今回は、ナレッジマネジメントの基本的な考え方や、具体的にどのようにマネジメントを実践すれば良いのかについて、その手法を解説していきます。

ナレッジマネジメントとは

ナレッジマネジメントは、これまで従業員が個人で蓄積してきた知識や経験を、会社の資産として蓄積できるよう共有できる環境を整備していく手法のことを指します。

ベテラン社員と新人社員で同じ業務に取り組ませた場合、そのパフォーマンスには大きな差が生まれますが、これは前者による経験の蓄積が後者に比べて進んでいるためです。ナレッジマネジメントは、そんな社員間に存在している知識や経験の差を縮めることで、従来よりも優れた業務効率化や、企業価値の向上を目指すために実施します。

長年積み上げてきたベテラン人材のノウハウの共有が会社内で行われていないと、いざ彼らが退職してしまった際、大幅な業務効率の低下が懸念されます。というのも、業務を個人の能力に依存しすぎてしまったために、同じパフォーマンスを発揮できる人物が育成されていないからです。

このような事態を避け安定した企業経営を実現するために、ナレッジマネジメントは重要な役割を果たします。

ナレッジマネジメントが注目される背景

ナレッジマネジメントの概念が近年注目を集めている背景としては、主に次の2つの理由が考えられます。それぞれについて解説していきましょう。

組織が大きくなると「見て学ぶ」が難しくなるため

一つ目の理由は、組織内で「見て学ぶ」を実践することが難しい点です。

10人前後の小規模な組織であれば、新人へのノウハウ提供は口頭で簡単に行うことができるため、知識を伝える上での障害はないに等しいものです。一方、さらなる成長を目指して組織の規模を拡大していくとなると、マンツーマンでの指導のように、丁寧なノウハウ共有をベテラン社員から行うことが極端に難しくなります。

また、スキルセットを持った社員はコア業務での参画も盛んに求められるため、社員の研修にコストをかけることができなくなってきます。こうなると、熟練のスキルを新人社員向けに共有することが難しくなり、パフォーマンスが低下し安定した企業の成長が長期的に見込めなくなります。

また、近年は働き方改革の影響により、テレワークを積極的に導入する企業も増えています。こうなると、口頭で感覚的にノウハウを共有したり、日々の対面コミュニケーションによってスキルを継承したりすることができないため、従来とは異なるノウハウの共有方法が求められます。

師匠と弟子の関係のような「見て学ぶ」実践型の継承に代わる手法として、ナレッジマネジメントに注目が集まっています。

業務の属人化脱却に向けた動きが活発になっているため

2つ目の理由は、業務の属人化脱却に向けた動きが活発になっていることです。

人材不足が深刻化しているのは、少子化によって若い人材の獲得が難しくなっていることはもちろん、高度な技術を持ったベテラン人材の高齢化により、今後退職が進んでいくことが予想されているためです。

ベテランの社員たちが現役のうちにノウハウを効率良く共有できる仕組みを作っておかなければ、事業を成長させることは叶わないばかりか、今の品質を維持することも難しくなります。そのため、各企業では技術の継承に向けた取り組みが盛んに行われています。

属人化の脱却手段として注目されているのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務の効率化です。人に依存しない業務の自動化を進めていくことで、属人化を回避しようという取り組みです。

ただ、業務の自動化には限界があり、人の経験や意思決定が求められる機会がなくなることはありません。重要性の高いノウハウは企業の資産として継承し、広く共有できる仕組みづくりが求められています。

ナレッジマネジメント実践のメリット

上記のような課題を解消するべく注目されているのがナレッジマネジメントです。ナレッジマネジメントの実践によって、次のような効果が期待されています。

生産性向上につながる

ナレッジマネジメントは、業務上知っておくべき技術や対処方法をまとめ、社内で広く共有するための仕組みづくりを推進します。その結果、これまで共有が行き届いていなかった知識が明文化され全社員に行き渡るようになるため、業務の効率化が実現します。

十分に伝わっていなかったノウハウが多ければ多いほど、高い生産性の向上が見込めます。

教育の効率化につながる

ベテラン社員が直接他の社員に口頭でノウハウを伝えなければならない機会が減るため、教育にかかる手間は削減できるようになります。教育に時間を奪われコア業務に集中できていなかった場合、ナレッジマネジメントの実践で改善が期待できます。

少人数で多くの社員に向けて教育を行わなければならない場合も、マニュアルを読んでおけばわかるよう環境を整えられるため、質疑応答の回数を減らし人材の有効活用につながります。

データ活用の文化が浸透する

ナレッジマネジメントは、デジタルでのノウハウの共有を実現する過程で、ノウハウのデジタル化を必要とします。そのため、必要な知識や技術を共有する際にはコミュニケーションツールを活用したり、ファイル共有ツールを使ったりと、盛んにIT活用が行われます。

これまで情報をデータ化して活用する文化が根付いていなかった組織の場合、ナレッジマネジメントを通じて、企業内文化をデジタル時代にキャッチアップさせることも実現するでしょう。

代表的な考え方である「SECIモデル」とは

SECI

ナレッジマネジメントを実践する際、代表的な考え方としてSECI(セキ)モデルと呼ばれるコンセプトが頻繁に採用されています。SECIモデルの仕組みについて理解し、ナレッジマネジメントの実践に活用してみましょう。

  • ・Socialization(共同化)
  • ・Externalization(表出化)
  • ・Combination(結合化)
  • ・Internalization(内面化)

Socialization(共同化)

一つ目の要素は、Socialization(共同化)と呼ばれる考え方です。

従業員個人が抱えている暗黙知を他社に共有できる仕組みづくりを指しており、五感をフル活用して技術を共有できるよう促します。テキストだけではわかりづらい言語化し難い経験も、共同化によって共有が可能になります。一般企業でよく採用されているOJTも共同化の一環といえます。

Externalization(表出化)

二つ目の要素は、Externalization(表出化)と呼ばれるプロセスです。

個人で抱えている暗黙知を文章で表したり、ケーススタディを用いながら説明したり、わかりやすく図にまとめたりといった取り組みが挙げられます。この暗黙知を表出化することで得られる情報が形式知と呼ばれており、社内で広く共有する上で重要な役割を果たす変換作業と考えられています。

Combination(結合化)

三つ目は、Combination(結合化)です。

表出化の過程で得られた形式知を結合することで、より有力なノウハウとしてランクアップさせる取り組みを指します。優れた手法を継続的に改善していこうという取り組みも、ナレッジマネジメントにおいては重視されています。

Internalization(内面化)

Internalization(内面化)は、結合化を通じて得られた新しい形式知を、従業員個人が身につけられるよう取り組むプロセスです。

蓄積された形式知を吸収していくことで自分の中で新たな暗黙知を形成し、技術が手に馴染んでいく感覚を獲得して初めてノウハウが継承されたということができます。SECIモデルの4つのステップを通じて、ナレッジマネジメントの実現が可能です。

ナレッジマネジメントに活用したいツールの種類

上記のようなプロセスを実行するために、ナレッジマネジメントの取り組みにはどのようなツールが用いられているのでしょうか?ここでは、ナレッジマネジメントに活躍するツールを紹介していきます。

ファイル共有ツール

ファイル共有ツールは、テキストファイルや画像、音声などのあらゆるデジタルデータを簡単に共有することができるサービスです。クラウド上にデータを保存しておけば、権限を与えた相手にいつでもどこでもデータを共有できるため、情報共有の負担を大きく軽減できます。

グループウェア

グループウェアは、上記のファイル共有ツール機能を含め、さらにオンライン上でのコミュニケーションを活発にするための機能を拡張したプラットフォームのことです。

ファイル共有だけでなく、メールやチャット、Web会議、あるいは社内SNSなど、あらゆるツールが揃っています。会議の議事録などを自動で保存できるレポート機能などを搭載しているものもあり、利用価値は非常に高いといえます。

エンタープライズサーチ

エンタープライズサーチは、一言でいえば企業内データベースにアクセスするための検索エンジンです。通常のインターネット検索エンジンとは異なり、社内のデータベースへキーワード入力を行うだけで簡単にアクセスできる仕組みです。

これまで、データベースにアクセスするためには、自分が欲しいと思っている情報がありそうな場所を手動で検索する必要がありました。エンタープライズサーチを導入すれば、関連ワードを入力するだけで、欲しい答えをすぐに手に入れられるようになります。

SFA・CRM

営業支援システム(SFA)や顧客管理システム(CRM)も、ナレッジマネジメントに活躍する機能が実装されています。対応中の顧客情報の進捗状況をリアルタイムで共有できる仕組みや、営業活動に対するフィードバックを簡単に共有できる機能など、利便性の高いツールが揃っています。

ナレッジマネジメントの成功事例

ナレッジマネジメントは、具体的にどのように各企業で実践されているのでしょうか?ここでは、ナレッジマネジメントの成功事例について紹介していきます。

株式会社ディー・エヌ・エー

テクノロジー企業の株式会社ディー・エヌ・エーでは、個人の情報収集力に依存しないナレッジ活用の仕組みを導入し、自己解決率と業務効率の改善に成功しています。

同社では、以前よりヘルプデスクを設置し、社内向けのノウハウ共有流動化に努めてきました。しかし、問題となっていたのがサポート業務の効率悪化です。日々寄せられるあらゆる問題が一つのヘルプデスクに集中するため、トラブルシューティングに遅延が出てしまうこともありました。

そんな中、解決の糸口となったのが、サポートシステムの刷新です。問い合わせ管理を一元化し、FAQや問い合わせフォームを改善したことで自己解決の難易度を低下させ、ヘルプデスクが難易度の高い問題に集中できる体制を整備できました。

株式会社日本エイジェント

不動産業を営む株式会社日本エイジェントでは、業務報告書の改善によるナレッジマネジメントの改革を図り、あらゆる結果を共有しやすい環境を整備したことで、売上伸長と業務時間の削減を実現しました。

以前より盛んに行われていた社内でのコミュニケーションをさらに活性化するべく、豊富なツールを搭載したグループウェアを新たに導入。それにより、業務報告書の共有が容易になり、成功体験・失敗体験を問わず共有しやすい環境に移行しました。

共有された報告書を社内全体でフィードバックし、そこで得た経験を企業の資産として蓄積していくことで、より良いノウハウの形成につなげています。また、グループウェア導入に伴いあらゆる情報共有や書類手続きをデジタル化したことで、売上が前年比157.7%伸長した店舗が登場したり、年間901日分の業務時間を削減したりといった成果を上げることにも成功しています。

株式会社アイシン

モビリティソリューションを扱う株式会社アイシンでは、資料作成の際に発生している時間負担の解消を進め、業務効率全体の改善に成功しています。

社内調査を行ったところ、同社では資料作成において業務の28%の時間を費やしていることがわかりました。調査結果をより掘り下げると、「調べる」「探す」といった工程に多くの時間を費やしていることが判明しました。

そこで同社が取り組んだのが、蓄積されたデータベースへ迅速にアクセスし、必要な情報を得られる仕組みづくりです。データベースの改善に取り組んだ結果、導入前と比較して検索時間を月当たり1,039時間も削減することに成功し、健全な働き方を実現するとともに、ソリューション開発のスピード改善にもつながりました。

まとめ

ナレッジマネジメントは、社内の業務効率化を進めるとともに、知識を企業の資産として蓄積し、さらなる成長と持続的な企業経営を実現する上で役に立つ取り組みです。 そのアプローチにはさまざまな方法がありますが、導入した企業においてはいずれも確かな効果が現れており、検討の余地は大きいといえます。社内のノウハウ共有状況を確認し、どのようなところに課題を抱えているのか、一度整理してみると良いでしょう。

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