DXで事業を推進する際の課題とは?成功事例から学ポイント

2022/06/10 コボットコラム
DX事業

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、事業改革を大きく前進させるキーとして注目を集め、近年は大企業を中心とした実践が進んでいます。中小企業での事例はまだ少ないものの、導入企業の多くで確かな成果を挙げており、あらゆる企業においてDXの余地があることを示してくれています。

今回は、そんなDXを推進する上での事業課題や、事例からDX成功のためのポイントを紐解いていきます。

DXとは

そもそもDXは、生活や企業活動において最新のデジタル技術を導入し、より過ごしやすいライフスタイルを実現したり、生産性の向上や新規ビジネスの創出を促したりする取り組みです。従来のアナログ環境や、老朽化したシステムでは得られなかった効率性や新機能を活用して、働き方そのものを刷新できる可能性を秘めています。

企業にDXが必要な理由

日本ではまだまだ普及の余地が大きいDXでは、国内で今大きな問題となっているのが「2025年の崖」問題です。これは経済産業省が2018年に提唱した日本企業全体が抱える問題で、老朽化したシステムの維持や、システムの刷新が行われないことで被った経済損失が、2025年には1年間でおよそ12兆円にものぼる可能性があることを指した造語です。

もちろん、年間12兆円という負担はあくまでも最悪のケースであり、一つの企業あたりで換算すると、その額は幾分か小さな数字となります。しかし、日本には簡単なDXを実現するだけでも大いにコスト削減効果が期待できる余地が多くの企業で残されており、事業を見直してスリム化を図ることは、価値ある取り組みとなるでしょう。

DXが事業にもたらすメリット

DXが事業にもたらすメリットとして、具体的には次の4つの点が挙げられます。それぞれの利点について確認しておきましょう。

人材不足を解消できる

DXの大きなメリットの一つが、人材不足の解消です。定型業務を自動化したり、効率的な情報共有が実現したりすることで、業務負担が減少し、必要な人手は少なくなります。

日本企業の多くは慢性的な人材不足に悩まされていますが、そもそも必要な人の数を減らすことができれば、人材不足の解消にもつながります。

人材不足が解消されるということは、人件費の削減にもつながるということです。従業員に支払う給与を削減できるのはもちろん、人材の雇用にかかるコストも削減できるため、スリムな事業展開を実現可能です。

生産性とサービスの向上が実現できる

DXを実現する2つ目のメリットは、生産性の向上および顧客に提供する商品やサービスの品質向上です。業務上の余計な負担を最小限に抑え、正確なサポートを常に得られる仕組みをDXによって確保できれば、従来と同じ業務量でより多くのパフォーマンスを得られるようになります。

DXによって業務を自動化すれば、ただ負担の軽減につながるだけではありません。業務上に人の手が介在する余地を減らすことにより、ヒューマンエラーの発生を抑え、業務の属人化を回避できるため、品質の向上につながります。

複雑な業務ほど高度なスキルセットを持った人材に依存してきたという事業であっても、DXによって高度なパフォーマンスをあらゆる従業員が実現しやすい環境へと移行しやすくなります。

働き方改革を実現できる

3つ目のメリットが、働き方改革の推進です。人材確保や従業員のパフォーマンス改善を目指す上では、多様な働き方を採用し、彼らのライフスタイルに適した環境を提供することが今日では重視されています。

DXは、そんな働き方改革を後押しできるソリューションとしても注目されており、業務効率化だけでなく、抜本的な働き方改革にも貢献します。

クラウドシステムの導入によって、オフィスに限定されないリモートでの就業や柔軟な勤怠管理システムを導入し、外出先から打刻を行ったり、パート・アルバイトと正規雇用社員の勤怠を同時に、それでいて簡単に管理できたりするようになります。

多様な働き方の実践は、従業員に選択肢を提供できるようになるだけでなく、事業の状況に合わせた人材活用を柔軟に実現できるというメリットもあります。コア業務に人材を集中し、ノンコア業務は簡単にアウトソーシングが行えるような環境へシフトするのに役立ちます。

データ連携と活用で新規ビジネスを創出できる

既存事業のパフォーマンス改善にDXが役立つことはもちろん、データ活用をさらに促進し、新しいビジネスの創出を期待できるようになるのもメリットです。

これまで地域に密着した営業活動が主体だった企業では、リモートワークを実現し、オンラインでの営業活動も行えるようになったことで、全国展開あるいは海外展開も見据えた事業の刷新を進められます。

特にBtoC企業の間では、日本のマーケットが縮小傾向にある中、次なる打ち手として多くの会社が海外進出を目指しています。消費意欲の高い国や地域へ簡単に進出できるようになるDXを通じて、事業の長期的な存続と成長が見込めるようになるでしょう。

また、最新のクラウドシステムはあらゆるバックオフィス業務を連携し、積極的なデータ活用の推進にも役立てられます。情報管理を一つのデータベースに統合することで、さらなる効率化を実現可能です。DXを検討の際には、システム全体の刷新も視野に入れることをおすすめします。

DX推進に伴う課題・デメリット

DXには魅力的なメリットが並ぶ一方、注意すべき課題点やデメリットも存在します。多くの企業にとってDX導入の妨げとなるのが次の3点です。

既存システムが老朽化している

1つ目の課題が、既存システムの老朽化です。何年も前に構築したシステムを使い続けるデメリットとして、OSやソフトのサポートが終了し、高いセキュリティリスクにさらされることが挙げられます。

従来では一般的だったオンプレミスでのシステム構築は、最新の環境へアップデートするためには抜本的な対応が求められることも珍しくありません。高度にカスタマイズされているシステムの場合、その改築のために業務を停止しなければならないこともあるほどです。

そのため、多くの企業では「レガシーコスト」と呼ばれる老朽化したシステムが運用されており、サポートを停止している古いシステムであるために、維持管理のコストは年々増加しています。というのも、それらのシステムの点検や修理に高度な技術を要したり、現在主流ではないプログラミング言語などを必要としたりするため、すぐに人材を見つけられないためです。

老朽化システムは維持管理の負担が大きくなるだけでなく、他のシステムとの連携も困難になります。最新のクラウドサービスなどの多くは最新の環境に最適化されているため、古くなったシステムは正常に連携できない可能性があるためです。

そのため、せっかくのクラウドによるデータ連携機能を効率良く活かせず、維持負担の大きい既存システムを使い続けることで、DXを推進してもせっかくのパフォーマンスを最大化できないのです。

DX人材が不足している

DX人材が現在のマーケットに不足していることも、DXの推進を妨げる大きな要因の一つです。

DXには専門性の高いIT人材が欠かせず、エンジニアやデータサイエンティスト、そしてITコンサルタントの力を借りることが欠かせません。高度なスキルセットを持った人材の獲得が難しいことはもちろん、基本的なスキルを持った人材も、理系に近い分野の職種であることから、その母数は文系人材に比べて少なくなります。

近年、国が主導するプログラミング教育や、人材市場におけるプログラミングスキルのニーズの急騰により、以前に比べて人材不足の解消は和らぎつつあります。とはいえ、このような専門性の高いスキルを獲得するにはそれなりの月日が必要となるため、一朝一夕で優秀なDX人材がそろうわけではない点は覚えておきましょう。

外部からDX人材を見つけ出すことが難しい場合には、自社社員を事業に最適化したDX人材へと育て上げることが有効です。ITコンサルタントなどと協力しながら、自社が必要とする技術をうまく従業員へ学ばせていき、DXの推進力を高めていきましょう。

もちろん、そのための育成コストは発生しますが、外部から雇い入れるよりもコストパフォーマンスや、スピード面で結果に期待が持てます。

DXのための予算を確保できない

DXにはハイテクなスキルセットを持った人材を獲得し、新しいシステムを導入する必要があるため、予算の確保に頭を悩まされることも難しいところです。最新のシステムは高価なものがそろうため、全社的なDXを実現するためには、事業の規模が大きければ大きいほど大掛かりになってしまいます。

ただ、DXは必ずしもいきなり全社的に進めていく必要はなく、むしろスモールスタートの方が成功率は高い傾向にあります。ノウハウの蓄積が社内で進んでから全社的に推進できるからです。

また、近年は初期費用のかからないクラウドサービス主体のDXが浸透しているため、オンプレミスでシステムを実装するよりもコストは抑えられます。予算については各企業で都合が異なるため、可能な範囲で取り組むことが重要です。

国内企業におけるDXの成功事例

DXの成功事例

それでは、国内企業におけるDXの成功事例を紹介しましょう。全社的なDXを実現できている企業もあれば、部分的なDXに留まっているものの、大きな成果をあげられているケースもあります。

株式会社NISSYO

株式会社NISSYOは、成熟産業とされる変圧器を手がけるメーカーですが、一見伸びしろがないとされる業界でもDXによって確かな成果を残しています。

株式会社NISSYOが注力したのは、生産現場におけるIoTの導入とペーパーレス化です。工場内の生産ラインには一人ひとりの作業員にiPadが提供され、あらゆるマニュアル提供や情報共有がiPadを通じて行われています。

QRコードを読み込むと作業に必要な手順書が出てくるよう設計され、文系の新入社員でもベテランでも同品質のモノがつくれるよう、工程は完全にマニュアル化されています。

職人技が光るイメージの強い町工場ですが、同社ではICT導入によって高度に業務の属人化を回避し、作業効率の向上と品質の向上、そして業務のトレーサビリティを確保しています。

ハードの導入や生産ラインの抜本的な改革には多くの時間と費用がかかるものですが、株式会社NISSYOでは20年で売り上げは10倍にまで成長するなど、とても成熟産業とは思えないような成長を遂げてきました。

ミカド電装商事株式会社

ミカド電装商事株式会社は、トップメーカーの代理店として公共機関や病院などの蓄電池販売や施工、メンテナンスを手がけています。営業部門のDXによって、残業時間を大幅に削減し、営業利益を3年で5倍にまで成長させることができました。

営業活動においてかねてより問題視されていたのは、営業マンのスキルのばらつき、そして長時間化した時間外労働です。人によって能力差があることは致し方ないとしても、極端に能力に差が開いてしまうと、組織活動として安定した成果を得ることが難しくなります。

また、いくら成果が出ていたとしても、時間外労働が横行している組織は健全とはいえず、労基法違反に抵触する可能性や、残業代の負担が大きくなるというリスクもあります。

そこで同社が導入したのが、クラウド型の営業支援システム(SFA)です。一元化された営業システムに基づいた業務遂行を徹底することで、営業スキルを標準化しボトムアップにつながりました。

個人間の能力差が縮まったことで、結果的に売上高、営業利益ともに向上を実現し、業務の無駄が減ったことで、余計な残業時間も削減できるようになっています。

株式会社トライアルカンパニー

九州エリアを中心にディスカウントスーパーを展開する株式会社トライアルカンパニーは、コロナショックを通じて変化した小売業界におけるニーズへ柔軟に対応すべく、積極的なDXを推進しています。

同社が特に力を入れているのが、店舗の「スマートストア」化です。AIカメラやスマートショッピングカート、デジタルサイネージを導入することで、売り場の管理の効率化はもちろん、積極的なデータ収集と分析ができる体制を整え、データに基づく販売促進や顧客関係の醸成に努めています。

小売業界はDXがいまひとつ進まない業界の一つですが、その原因の一つにDXを実現するエンジニアと小売業に携わる人たちの間で共通言語がなく、コミュニケーションが取りづらいという点が挙げられます。

同社ではこのようなコミュニケーションのズレを解消すべく、システムの開発やユーザーとの対話に必要となることばはすべて辞書のような形で定義し、その用語しか使わない仕組みを設けることで、高度にIT化されたショップ作りを実現しました。

DX事業を成功させるためのポイント

先ほど紹介した成功事例から、DXを成功に導くためのポイントも汲み取ることができます。最後にまとめて確認しておきましょう。

解消したい課題を明確にする

1つ目のポイントは、解消すべき課題をあらかじめ明確にしておくという点です。既存業務のどこに問題を抱えているのか、あるいは改善の余地があるのかを把握することで、DXは適切なゴールに向けて進めやすくなります。

「何が課題かわからない」「どこに伸び代があるのかわからない」という場合には、現場へのヒアリングや、世間の導入事例を積極的に参考することが求められます。まずはインプットに力を入れると良いでしょう。

継続的にPDCAサイクルへ取り組む

2つ目のポイントは、継続的な評価と改善を繰り返すことです。

株式会社NISSYOが確かな成果を得られた理由の一つに、PDCAサイクルを導入し、常に業務改善を繰り返してきたことが挙げられます。一度システムを導入するだけで満足せず、期待していた通りの成果が得られているか、得られていないならどこに問題がありどのように改善すれば良いかという評価システムを構築することが重要です。

経営者がDXへ積極的にコミットする

3つ目のポイントは、経営者の積極的なDXへの関与です。DXに成功している企業は、大企業・中小企業を問わず経営層が積極的にDXへコミットしている点が共通しています。

経営者自らDXを手動する、あるいは経営者の直轄としてDX推進室を設置し、高い実行力を有したプロジェクトとして社内のDXを進めていくことが求められます。

まとめ

DXは多方面から取り組むことができるだけでなく、常に新しい技術が登場しているため、完璧にDXが行われた企業というのはなかなか登場しないものです。

最初は部分的な課題解決でも良いのでまずは行動に移し、そして評価していくサイクルを作るところを目標にDXを行いましょう。

ディップ株式会社では、日本を支える中小企業の皆様に向けて、ワンストップのDXサービスを提供しています。

DXの実践においては、人材確保や教育の壁、DXを前提とした組織改革の壁、そして予算の壁と、さまざまな課題が立ちはだかります。ディップが提案する「one-stop DX.」は、これらの問題を専属のカスタマーサクセスが並走しながら導入と運用をサポートいたします。DXに伴う現場の混乱やシステムの複雑化を回避可能です。

また、ディップではソリューションの提供にあたって、すべて自社のスタッフが顧客対応を行うダイレクトセールスを採用しています。営業とカスタマーサクセス、開発チームが密に連携を取っている営業スタッフが、顧客の潜在ニーズまでを丁寧に把握し、満足度の高いサービスの提供に努めます。

提供するDXソリューションは、バックオフィスとセールスの双方に適用可能です。DX推進を検討の際には、お気軽にご相談ください。

ディップは自社で培った営業ノウハウと、多様なデジタルツールを組み合わせ、
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