テレワーク導入の手順は?導入企業事例と成功させるポイント│コボットLAB

テレワーク導入の手順は?導入企業事例と成功させるポイント

テレワーク導入

新型コロナウイルスの長期化や、ワーク・ライフ・バランスの推進などにより、テレワークを導入する企業が増えています。テレワークは、多様な人材の確保や生産性の向上など、さまざまなメリットをもたらすことから、導入を検討している企業も多いことでしょう。

そこで今回は、テレワークの導入を視野に入れている企業事業主の方に向けて、テレワーク導入の手順や企業の導入事例、テレワーク導入を成功させるためのポイントを解説します。

コロナ禍におけるテレワークの導入状況

総務省が発表している「令和2年通信利用動向調査の結果」によると、令和2年度における企業全体でのテレワーク導入率は「47.5%」でした。産業別にみると、「情報通信業」で9割以上、「金融・保険業」および「不動産業」では7割近くとかなり高いテレワーク導入状況となっています。

また、今後導入予定がある企業を含めた割合は「58.2%」となっており、令和元年の「29.6%」と比較して約2倍にまで増えています。新型コロナウイルスの長期化により、今後もさらにテレワーク導入が増えることが予想されます。


テレワーク導入でやるべきことの手順

では、テレワークの導入はどのように進めていけば良いのでしょうか?テレワーク導入に向けてやるべきことをステップごとに説明します。

  • ・ステップ1:全体の方針を決定する
  • ・ステップ2:ルールや制度を見直す
  • ・ステップ3:ITツールや環境を整備する
  • ・ステップ4:従業員の意識を変革する
  • ・ステップ5:テレワークの導入を評価し改善する

ステップ1:全体の方針を決定する

まず、テレワークを導入するにあたっては、導入の目的や実現したいことを明確化し、全体の方針を決定することが重要です。「テレワークを導入する企業が増えているから……」などと、導入自体が目的とならないように注意しなければなりません。

たとえば、「多様な人材を確保する」「生産性を向上する」など、テレワークを導入する目的の優先順位をしっかり決めておくと、以後の意思決定がスムーズに進みます。導入の目的が定まったら、テレワークの「対象業務」「導入範囲(従業員・部署)」「実施頻度」「導入にかける費用」など、全体の方針を固めていきましょう。

ステップ2:ルールや制度を見直す

次に、テレワーク導入に向けて、社内のルールや制度を見直しましょう。

既存の社内ルールおよび制度は、オフィスでの勤務を前提としていることがほとんどです。就業規則や勤怠管理、業務管理などを見直し、必要に応じてテレワーク勤務に関する新たな規程の追加やルールの変更を行います。

また、社内のセキュリティルールについても、現状把握と見直しが不可欠です。テレワーク下では、情報漏洩などのセキュリティ被害のリスクが高まるため、これまで以上にセキュリティ対策を強化しなければなりません。

良質かつ安全なテレワーク制度を整えるためにも、既存ルールと制度の見直しおよび改善に注力しましょう。

ステップ3:ITツールや環境を整備する

実際にテレワークを導入するにあたっては、ITツールや環境の整備が欠かせません。ITツールを導入して環境を整備しておくことで、テレワークで浮上する「コミュニケーション不足」や「長時間労働」といった課題を未然に防ぐことができます。

具体的には、ITツールを駆使して「オフィスで遂行していた業務を自宅でそのまま行える環境」を整えることが理想です。テレワークの導入に必要なITツールとして、一般的に以下のツールが挙げられます。

  • ・Web会議システム
  • ・チャットツール
  • ・勤怠管理ツール
  • ・ペーパーレス化ツール
  • ・リモートアクセスツール

これらのツール以外にも、実際にテレワークを実施してみて問題に感じることがあれば、その課題を解決できるツールを積極的に取り入れましょう。

また、「出社が必須となる業務」や「出社を余儀なくされる制度」がテレワーク導入の妨げになっている場合は、ツールを使ってオンライン化できないかどうかを検討します。たとえば、「Web面接システム」や「オンライン商談システム」を導入すれば、採用活動や営業活動も例外なくオンライン化することが可能です。

ステップ4:従業員の意識を改革する

テレワークの全体方針や導入環境が整ったら、次は従業員にテレワーク導入の目的や必要性の周知およびルールの共有を行います。

テレワークの導入をスムーズに進めるためには、経営層だけでなく従業員全員のテレワークに対する意識を改革することが不可欠です。具体的には、従業員に対してテレワーク導入についての教育・研修を実施するなどして、テレワークの目的やメリット、導入後の働き方を理解してもらえるように努めましょう。

ステップ5:テレワーク導入を評価し改善する

一通り準備が整ったら、「試行導入」→「本導入」とテレワーク制度を開始しましょう。

テレワークは導入して終わりではなく、あくまでも目的を達成するための「手段」です。ステップ1で設定した目的を達成できるように、テレワークの導入効果を評価し、必要に応じて繰り返し改善を行うことが大切です。

たとえば、「従業員満足度の向上」や「ワーク・ライフ・バランスの向上」を目的にテレワークを導入した場合を例に考えてみます。この場合、定期的にアンケートやヒアリングを実施するなどして、テレワークで従業員が予期せぬトラブルや不満を経験していないかどうか評価する必要があるでしょう。

テレワークの導入後、不満点や問題点が浮上するのはごく普通のことです。定期的な評価を通してPDCAサイクルを回し、自社のテレワーク制度を改善していくことが大切です。


テレワーク導入に役立つ助成金・支援

コロナ禍におけるテレワーク導入の拡大に伴い、テレワークを新たに導入する企業への補助金や支援制度が増えています。ここでは、テレワーク導入に役立つ助成金や支援制度の例を紹介します。

令和3年度人材確保等支援助成金(テレワークコース)

「令和3年度人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は、テレワークを新たに導入する中小企業事業主、および試行的に導入している/していた事業主を対象に、厚生労働省が支給する助成金です。

就業規則や労働協約の作成・変更、テレワーク用通信機器の導入・運用などにかかった費用が支給対象となります。また、リモートアクセスサービスや仮想デスクトップサービス、Web会議用のコミュニケーションサービスの利用料など、幅広い経費を支給対象としているのが特徴です。

1企業あたり100万円、またはテレワーク実施対象従業員1人あたり20万円のどちらか低い方を上限に、経費の30%を助成してもらえます。

参考:人材確保等支援助成金(テレワークコース)

令和3年度 テレワークマネージャー相談事業

「令和3年度 テレワークマネージャー相談事業」では、総務省認定のテレワーク専門家による、テレワーク導入コンサルティングを無料で受けられます。「テレワークを試行導入したい」「労務規則、人事評価などのルールを見直したい」などの相談に対応しており、テレワーク導入に関するあらゆる悩みを解消することが可能です。

「テレワークの導入について相談したい」「テレワーク専門家によるコンサルティングを受けたい」という方は、ぜひ利用してみてください。

参考:総務省令和3年度 テレワークマネージャー相談事業

テレワーク促進助成金

「テレワーク促進助成金」は、東京都内の中堅・中小企業に対して、テレワーク推進の取り組みにかかった経費を支給する助成金です。助成金の支給額は、事業者の規模によって次のように定められています。

  • ・常時雇用労働者数30人〜999人:上限250万円、助成率1/2
  • ・常時雇用労働者数2〜30人未満:上限150万円、助成率3/2

なお、支給の対象となる経費は、テレワークの導入時のモバイル端末整備やシステム設置費用、通信機およびテレワーク業務関連ソフトの利用料などとなっています。

参考:テレワーク促進助成金


テレワーク導入企業の成功事例

テレワーク導入に成功

続いて、実際にテレワークの導入に成功した企業の事例を3つ紹介します。「テレワーク導入のモデルケースを知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

株式会社みずほ銀行

まず、金融・保険業から「株式会社みずほ銀行」のテレワーク導入事例を紹介します。

株式会社みずほ銀行は、ワーク・ライフ・バランスの推進、および長く働き続けられる仕組みの構築を目指して、2016年に「在宅勤務制度」を導入しました。2017年以降も、「まずはやってみる」というスローガンの下、「トライアル導入」→「改善」を繰り返し実施しています。

全参加者を対象にアンケートを実施し、在宅勤務の不安点や問題点などの把握および改善に努めた結果、テレワーク導入前は「57.9%」と高かった従業員の不安や懸念をわずか「17.6%」まで払拭することに成功したそうです。

この事例からは、テレワーク導入の成功には「試行導入および評価・改善が大切であること」がわかります。特にテレワークの導入について不安を抱いている従業員が多いという企業において、従業員を対象としたアンケートの実施は効果的でしょう。

富士通株式会社

2つ目は、厚生労働省の輝くテレワーク賞で「優秀賞」を受賞した富士通株式会社のテレワーク導入事例です。

富士通株式会社は、国内で働く従業員8万人が「テレワーク勤務」を基本としており、テレワークの実施率が常時「80%」とかなり高いのが特徴です。トライアルを2年間実施した上で、2017年にテレワーク制度を正式導入。制度やルール、環境設備、手当などをバランス良く整備することで、良質なテレワークの実施を実現しています。

また、従業員向けにeラーニングを実施したり、従業員の要望や悩みを共有できる社内SNSを開設したりするなど、従業員の意識向上に向けた取り組みも積極的に行っています。テレワーク導入に向けて、ルールの見直しや環境の整備、従業員の意識改革に取り組む際にぜひとも参考にしたい事例の一つです。

株式会社日本HP

続いて紹介するのは、令和3年度の輝くテレワーク賞で「特別奨励賞」を受賞した株式会社日本HPのテレワーク導入事例です。株式会社日本HPは、自立的な働き方を推進する取り組みの一環としてテレワークを実施しています。

最新テクノロジーを駆使することはもちろん、押印の電子化に取り組むなどして、出社必須となる業務を減らし、テレワークの導入範囲を増やすことに成功しました。現在では、非正規社員を含むすべての従業員が、原則テレワークを行っています。

また、勤怠管理システムを通して従業員の労働時間を会社が把握することで、テレワークで問題視されがちな長時間労働も抑制しています。その結果、テレワークの満足度が非常に高く、従業員の75%がコロナ後も週3日以上の在宅勤務を希望しているそうです。


テレワーク導入を成功させるためのポイント

続いて、上で紹介した企業のテレワーク導入成功事例を踏まえて、テレワーク導入を成功させるためのポイントを3つ紹介します。

テレワーク導入の目的を明確にする

テレワークの導入を成功させるには、導入前に「目的」を明確にしておくことが重要です。というのも、テレワークを導入する企業が増えているとはいえ、企業の課題や実現したいことによっては、そもそもテレワークが適切な手段とは限らないからです。

テレワークの導入自体が目的となってしまうのを避けるためにも、社内の現状を把握した上で導入の目的をハッキリさせておきましょう。

テレワークにかかる費用の負担割合を決めておく

テレワークを導入するにあたっては、新規でさまざまな費用が発生します。そこで重要になってくるのが、テレワーク導入および実施にかかる費用の「負担割合」を明確に決めておくことです。

テレワーク導入でかかる費用の内訳としては、情報通信機器やITツール、通信回線、そして光熱費などが挙げられます。費用によって、企業負担と個人負担にわかれるため、後のトラブルを防ぐためにも事前に負担割合を決めておきましょう。

ただし、従業員が自宅で仕事をする際に発生する「光熱費」については、どこまで企業が負担するかを取り決めるのが難しいため、毎月一定の額を支給する方法が一般的です。

ITツールを積極的に導入する

テレワークを成功させるには、さまざまなITツールを積極的に取り入れていくことがポイントです。中でも、コミュニケーションツールは、テレワーク導入の成功を左右するといっても過言ではありません。

テレビ会議ツールやチャットツールなど、双方向のコミュニケーションを可能にするツールは、不足しがちな従業員同士のコミュニケーションの活性化に効果的です。コミュニケーション不足による生産性やモチベーションの低下を防ぐためにも、ITツールを積極的に活用していきましょう。


まとめ

今回は、テレワークの導入を視野に入れている事業主の方に向けて、テレワークの導入ステップや導入事例、導入を成功させるためのポイントを紹介しました。

テレワークの導入は、多様な人材の確保や生産性の向上など多大なメリットをもたらします。しかし、導入を進めるにあたっては、導入自体が目的にならないように全体方針の決定やルールの見直し、従業員の意識改革など、計画的に準備を進めることが重要です。

今回紹介したテレワークの導入手順や、企業の成功事例を参考にして、良質なテレワークの導入および運用を目指しましょう。

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