RPAはDXにどう貢献する?それぞれの違い・活用のポイント&導入事例│コボットLAB

RPAはDXにどう貢献する?それぞれの違い・活用のポイント&導入事例

RPAとDX

DXの一環として、多くの企業で導入が進んでいるのがRPAです。RPAはデスクワークを大いに効率化してくれるということで、さまざまな企業で導入事例も増えており、その効果についても信頼性は高まっています。

今回は、RPAがどのようにDXへ貢献するのか、そして活用のポイントを紹介します。

RPAとDX

まずは、RPAとDXのそれぞれの特性について、理解しておきましょう。

RPAとは

RPAはRobotic Process Automationの略称で、要はロボットの力を使ってデスクワークを効率化しようというシステムです。交通費精算や口コミ調査など、頭脳労働と呼ばれるデスクワークにも作業労働は存在します。

RPA導入の目的は、これらのルーティンワークをプログラムで自動化し、より複雑な業務へ人材を割り当てられるようにしようというところにあります。

DXとは

続いてはDXですが、こちらはデジタルトランスフォーメーションの通称です。DXはデジタル技術を使って人々のライフスタイルに変革をもたらすという取り組みを指し、最近では企業活動のDXが顕著です。

IT革命から十数年が経過し、多くの企業ではシステムの老朽化が進んでいます。また、依然としてアナログ業務も多々残っている一方、最新のICT技術はこれらをまとめて効率化するポテンシャルを備えています。

DXによって業務の効率化を実現することは、国内外を問わず世界中の企業で最優先の課題となっています。

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DXとRPAの違い

DXとRPAはイコールではありませんが、両者は深い関係性を持っています。

端的に言うと、RPAはDXという目的を達成するための手段であり、DXに貢献する可能性を秘めたシステムです。

DXの条件が、最新のICT技術を使って生活を変化させることにあります。RPAはロボットやAIを使った最新のツールで、既存業務を自動化してくれます。

RPAの導入によって業務効率化が進めば、それはその組織がDXの実現に向けての一歩を踏み出したことになります。

ただし、RPAを導入したからといって、必ずしもDXが達成されるわけではありません。あくまでもRPAはDXに向けた手段の一つなので、あらかじめDXのシナリオは綿密に描いておく必要があります。

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RPAを活用したDXの事例

では、実際にRPAを活用したDXの事例について見ておきましょう。

株式会社ドン・キホーテ(PPIH)

株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは、大手ディスカウントストアでおなじみの「ドン・キホーテ」に対してRPAプラットフォームを導入し、およそ170の業務を自動化しました。自動化した業務の例としては、キャッシュレス決済の決済情報とレジデータの照合です。

中国人旅行客のAlipayやWeChat Payの情報は、手動でレジデータと付き合わせていたところをRPAによって自動化し、1日あたり数時間発生した業務を丸ごと解消しました。

また、ドン・キホーテの各店舗向けの分析レポート配信も自動化し、社内システムから売り上げ関連データなどを抽出することで、事業戦略に必要なレポート作成を効率化しています。

三井住友海上火災保険株式会社

三井住友海上火災保険株式会社ではバックオフィス業務を中心にRPAを導入し、大きな成果を挙げることに成功しました。

これまで運用してきたExcelのクリック計算ツールをさらに便利にすべく、作業ログの分析ツールをRPAとして導入しました。ログを解析した結果、全業務時間の18%程度がロボット化できるという結論に至り、さらなるDX推進の余地を把握することに成功しています。

同社ではExcelの計算ツール導入で年間35万時間の削減を実現しており、今後のさらなる効率化が期待されています。

株式会社電通

株式会社電通では、1ヶ月に1度は週休3日を実現したいという目標設定からスタートし、RPAの導入を進めています。

同社では2017年12月末までに、約400の業務工程をRPAでロボット化し、月間約1万2,000時間の時間短縮に成功しています。報告書作成やメール送信など、優先度の低い作業労働を徹底的に洗い出し、RPAを活用したDXの推進を実現しました。

RPAを通じて、長時間労働が体質として染み付いていた文化を一新したいというビジョンが掲げられており、理想的な導入事例といえます。

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RPAを導入することで得られる効果

RPA

実際にRPAを導入することで、どのような効果が得られるのでしょうか?上述の導入事例を参考にしながら、具体的な効果を確認しましょう。

業務の効率化

一つ目は、業務の効率化です。実際に自動化ができそうな業務を洗い出してみることで、会社によっては数百の項目が現れることも珍しくありません。

特に大手企業では無数の業務が細分化されており、作業労働に時間を大いに奪われているケースも多いため、RPAによる効率化の効果は大きくなる傾向にあります。

1日あたり数時間の業務も数百人規模で発生していたとなると、1日に数百時間、月間にして数千時間の時間的負担が生まれていることになります。

RPAを導入することで、これらの時間的負担を丸ごと解消し、別の業務に割り当てられるようになるでしょう。

人材コストの削減

業務の自動化が進めば、人材コストを削減することも可能です。電通では400にもなる業務をRPAで解消したことで、従業員の週休3日制の実施や、長時間労働の是正につながっています。

こういった労働時間の長期化を防ぐというのは、従業員の心身の健康を守る上で重要なだけでなく、人件費を削減する上でも大きな意味を持ちます。

残業や休日出勤には相応の手当を支払わなければなりませんが、残業や出勤時間が短くなることで、丸ごと人材コストの削減につながります。

必要な人手が少なくなることで採用のためのコストも小さくなり、さらなる人件費の削減を期待できます。

作業の品質向上とエラー率の低下

RPAは人間と違って、パフォーマンスを常に最高の状態で維持できるところに強みがあります。

ドン・キホーテにおける手動でのレジデータとキャッシュレス決済情報野照合も、必ずしも正確に行われるとは限りません。

手動でのリスクは担当者がケアレスミスを生んでしまうことがあります。ミスが発覚した場合には作業をやり直さなければならないため、さらなる業務負担の増加をもたらします。

RPAの場合、一度システムを組みさえすれば、常に一定のパフォーマンスを維持してくれます。したがって、読み込むデータそのものが間違っていなければ、作業プロセスの段階でミスが発生する可能性はほぼゼロとなるため、作業品質の向上を実現できます。


RPAによるDXの進め方

RPAを使ったDXを進める場合、どのような手順が必要になるでしょうか?ここで確認しておきましょう。

解消すべき課題を洗い出す

まず各企業が取り組むべきは、解消すべき課題の洗い出しです。先の導入事例でも実施されていたように、どのような領域にRPAを導入できるか、あるいは導入したいのかを検討しておかなければ、効率的な運用は見込めません。

また、実際にRPAをどう運用するのかを検討してみなければ、どんな業務にRPAを適用できるかが見えてこないこともあります。いきなり業務改善につながるツールを導入するよりも、RPAの導入余地をリサーチするところからプロセスをスタートすることが大切です。

また、RPAの導入を実施して使い方を理解すれば、新しい課題や導入可能性を見出すこともできます。事前準備にこだわりすぎるよりも、実際の運用に向けて動き出せるよう備えておくことが大切です。

RPAの導入範囲を策定する

RPAの導入課題を発見できた後は、実際に導入する範囲を策定します。どういった領域でRPAを稼働させるのか、社内で検討を進めましょう。もちろん、導入課題全てにRPAを適用できるならそれに越したことはありませんが、実際にRPAの導入に割ける予算や時間は限られています。

また、解消すべき課題は企業によって異なる上、その優先順位も異なります。多くの改善の余地が山積している場合、適切な順番でRPAを導入しなければ、思うような成果が得られない懸念もあります。

現場の声を参考にしながら、優先的にRPAを導入すべき箇所へあたりをつけておきましょう。

新しい人材の獲得と社内教育を強化する

RPAを効率的に導入、運用するためには、デジタル人材の獲得も必要です。RPAで業務の改善を進めたくても、適切な課題設定やソリューションの検討ができなければ、RPAをフル活用することはできません。

DXやRPAに強い人材を外部から招き入れ、彼らに権限を与えることで、速やかに導入を進められる仕組みづくりを進めましょう。

また、RPAを実際に扱うのは現場社員であるため、彼らに対してデジタル教育を提供する必要もあります。これまでもツール活用を実施してきた組織であれば、大きな負担にはなりませんが、あまりITを活用してこなかった場合、社内教育に力を入れなければなりません。

外部講師を招聘したり研修サポートのあるRPAサービスを導入したりして、DXを推進しましょう。


RPAによるDXを進める際のポイント

RPAを用いたDXの推進には、これからお伝えするポイントへ注意しておきましょう。

スモールスタートで実践する

一つ目のポイントは、スモールスタートでの実践です。一度で実施するRPAの導入範囲を小規模にやめておくべき理由は、社内でのトラブルを避ける意味合いもあります。

たとえ予算が許すからといって、全社的なRPA導入を進めた場合、スムーズに業務を遂行できるのであれば問題はありませんが、トラブルが起きた際には大事になりかねません。まだ使い慣れていないシステムのトラブルシューティングには、それなりの時間を要します。

ましてRPAの初導入からまもないタイミングだと、担当者も運用に慣れておらず、各社員もノウハウの共有が行き渡っているとは限らないため、大混乱が起きてしまう可能性もあります。

こういった事態を避けるためにも、RPAはプロジェクト単位で導入を実施し、うまく効果を得られている場合は部署内から社内へ、といったステップアップを心がけましょう。

費用対効果を検討する

RPAツールには豊富なラインナップが存在するため、料金設定やサービスも多様です。高機能なRPAのポテンシャルは非常に高い一方、運用コストも高くなる傾向にあるため、かえって費用対効果が下がってしまう可能性もあります。

初めてのRPA導入で、自動化の要件がシンプルな場合には、リーズナブルな料金で簡単に機能が使えるシステムの導入をおすすめします。

基本機能でも十分に満足を得られるパフォーマンスを発揮しますし、万が一不十分な場合にはバージョンアップやカスタマイズで対応できることもあるため、初めから高機能なモデルである必要はありません。


まとめ

DXとRPAの関わりや、RPA導入を成功させるためのポイントなどについて紹介しました。

すでに大手企業では確かな導入効果を発揮しており、今後も発展的な運用が予定されています。規模の小さな会社ほど、導入までのステップや導入後の運用効果が現れるまで期間も短くなる傾向にあります。

運用を検討している場合は、ぜひ課題の洗い出しから進めてみてください。

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