IT重説とは?やり方・流れと導入する際のおすすめシステム

2021/05/17 コボットコラム

近年、さまざまな業界においてIT化が進んでいます。不動産業においてもIT化の流れは大きく、物件管理はデータ化によって簡便になり、顧客もネット上で簡単に物件探しをすることが普通になりつつあります。

不動産のさまざまな業務の中で、「重説(重要事項説明)」があります。重説についても、ここ数年でIT化が進み「IT重説」なることばが一般的になりつつあります。

この記事では、「IT重説」についてその基礎的な知識から実施のし方、どのような利点があるのかについて解説します。

 

 

IT重説の基礎

まず、IT重説の基礎について解説しましょう。

IT重説とは

重説は、「賃貸借契約における重要事項説明」のことです。賃貸借契約における重要事項説明は、不動産の売買や賃貸において実施しなければならないものです。テレビ会議システムや、Web通話システムなどのIT技術を利用して行うオンライン上の重説のことを「IT重説」と呼びます。

IT重説はいつからできるようになった?

従来の重説は、宅地建物取引士が対面で説明を行わなければならないことになっていました。これは法律で定められたルールであり、非対面で重説を行うことは不可能でした。

しかし、法律が改正され、IT重説は2017年10月1日から運用ができるようになりました。ただ、この時点ではIT重説は「社会実験」とされており、社会実験の登録事業者でしか実施できませんでした。

これらの社会実験から得られた結果から、IT重説の有効性が認められたことにより、2021年4月から本格的に運用されるようになりました。

IT重説の利用状況

国土交通省が発行する「IT重説実施直後のアンケート結果」によれば、IT重説の顧客層は20代~40代の顧客が約75%を占めており、特に20代の割合は36%と全体の3分の1以上を占めていることがわかります。また、過去に重説を受けたことがない人であっても、IT重説を利用することに抵抗はない傾向が見られました。

したがって、若い世代にとってIT重説を利用する傾向は今後も高まる可能性があり、IT重説が主流になっていくと予想できます。

IT重説導入のメリット

続いて、IT重説を導入するメリットについて解説します。従来の重説とIT重説にはどのような差があるのか把握すれば、IT重説を導入する価値がわかるかと思います。

移動不要で遠方の入居者の負担が少ない

IT重説のメリットの一つに、場所を選ばずに実施できることがあります。先ほど紹介した国土交通省発行の「IT重説実施直後のアンケート結果」においても、IT重説の利用動機で最も多かったのは「店舗まで行く負担の節約」であり、約7割(67.9%)を占めています。

したがって、賃貸契約の顧客にとって、わざわざ重説のためだけに店舗まで行くことは負担であり、IT重説が選択される理由にもなっています。

情報を正確に残すことができる

IT重説はオンライン上で行うため、録画機能などを用いることで情報を詳細に記録することができます。対面ではすべてのやり取りを記録することが難しいため、業者にとってもIT重説を導入する価値は高いといえます。

利便性が高いため集客効率が上がる

IT重説は離れた場所でもやり取りができるため、とても利便性が高いです。「IT重説実施直後のアンケート結果」においても、「仕事・病気、遠方に住んでいる、などの理由で店舗に行くことが困難」であるがために、IT重説を利用する顧客も多いことが報告されています。

こういった利便性の向上によって、顧客の心理的なハードルを減らすことができ、集客効率の上昇につながります。

重説実施の日程調整がしやすい

IT重説は場所を選ばずに実施ができるため、スケジュールの調整がしやすいという特徴があります。

対面の場合は店舗に出向く必要があるため、「場所」と「時間」を同時に確保しなければなりません。したがって、柔軟に対応するのは難しい傾向にあります。

IT重説の場合は場所の制限がなくなるため、そのぶん時間の確保については柔軟に対応できるようになります。

IT重説導入のデメリット

ここまで、IT重説のメリットについて解説しました。一方で、IT重説を導入する際には、気をつけなければならないこともあります。

ここでは、IT重説導入のデメリットについて解説し、注意すべき点お伝えします。

導入の事前準備が必要

IT重説の導入のためには、事前準備が必要です。大前提として、業者側と顧客側のIT環境が整っていなければ、IT重説は実施できません。

IT重説は、相手の顔を見て行うことやお互いのやり取りを音声で行うことが必要になるため、マイクやカメラの用意が必要です。これは業者側だけでなく顧客側にも必要です。

また、IT重説を実施するためのソフトウェアやアプリなどが必須であるため、顧客側に事前にインストールしてもらう必要があります。

このように、IT重説を実施するには、業者・顧客の両者とも、ある程度の準備が必要になります。

通信環境に左右される

IT重説を実施するためには、充分な通信環境も必要です。IT重説は映像と音声を送信し、かつ鮮明さも求められるため、一般的なWeb会議よりも高品質な通信環境が求められます。通信環境が充分でなければ、映像や音声が途中で途切れてしまうトラブルなどが考えられます。

先ほど紹介した「IT重説実施直後のアンケート結果」においても、「映像の画質が悪くて相手の表情が確認しにくかった」「取引士の声に雑音が入ったり、途切れたりした」などのトラブルが報告されています。

これらのトラブルは機器や通信環境が原因であるため、IT重説のクオリティには通信環境が大きく関わることを理解しておく必要があります。

IT重説のやり方・流れ

続いては、IT重説を実施する際のやり方と、全体の流れについて解説します。

IT重説は対面で行う必要がない反面、事前の準備が必要だったり、従来の重説にはないプロセスも含まれていたりします。この項目でIT重説の実施プロセスを確認し、全体のイメージを掴んでください。

IT重説の実施準備を行う

前述のとおり、IT重説の実施前には事前準備が必要です。実施用機材の準備や調整、通信環境の整備など、重説中に機材トラブル・通信トラブルに見舞われないようにします。

書類一式を送付する

重説の実施前に、顧客に向けて「重要事項説明書」を送付する必要があります。また、重要事項説明書には、業者側の記名押印を済ませておく必要があります。

これらのプロセスは、IT重説を実施する前にしなければならないため、余裕をもった日程で書類一式を送付しておくと良いでしょう。

通信環境を確認する

実施前に、しっかりとIT重説が実行できるかを確認しておく必要があります。

業者側と顧客側で接続テストの日程を決めておき、画面が止まらないか、音声が途切れることはないか、鮮明な映像が映るかどうかなど、本番を想定した接続テストを行います。

重要事項説明を実施する

以上が済んだら、実際にIT重説を行います。宅地建物取引士が本人であることを確認できるように、「宅地建物取引士証」を顧客に提示します。

このとき、顧客に宅地建物取引士証を読み上げてもらうなどを行い、確認を取る必要があります。確認が済んだら、重要事項説明を行います。

書類を返送してもらう

IT重説が終了したら、事前に送付しておいた重要事項説明書などの書類一式を顧客から返送してもらいます。これらの書類の受け取りをもって、IT重説が完了します。

IT重説の導入におすすめのツール・システム

IT重説の実施には、適切なツールやシステムを導入する必要があります。IT重説は一般的なWeb会議システムでも充分可能ですが、一部は「IT重説に特化して作られたシステム」も存在します。

ここでは、数あるツールやシステムの中でもIT重説に向いているものを紹介します。

スマート重説

「スマート重説」は、不動産情報を扱うアットホーム株式会社が運営するサービスです。「重説」ということばをはっきり名言しているサービスは珍しく、IT重説に特化していることがわかります。

特別な機材の導入は必要ない簡便さに加え、録画・録音した情報を自社サーバー内で管理するなど、セキュリティ面においても優れています。

また、アットホーム株式会社は「スマート物確」や「スマート申込」など、スマート重説以外の関連サービスも充実しています。各ツールが連携して作動するため、まとめて導入するとより便利です。

スマート重説

ES × MeetingPlaza

「ES × MeetingPlaza」は、株式会社いい生活が運営するIT重説に特化したサービスです。株式会社いい生活は「ESいい物件One」「いい物件Square」など、IT×不動産のサービスに強い会社で、ES×meetingplazaも不動産業界の業務に特化したサービスです。

ES × MeetingPlazaは、不動産業専用のWeb会議システムです。公式ホームーページでは、賃貸仲介業者の導入事例も報告されています。

通信音声のクオリティが高く、NTT研究所の技術を活用したエコー・ノイズキャンセラーを搭載したシステムを採用しており、市販のマイク越しでも声が聞き取りやすいことが特徴です。

ES × MeetingPlaza

LiveOn

LiveOnは、ジャパンメディアシステム株式会社が運営するWeb会議システムです。IT重説に特化したサービスではありませんが、高品質・低価格であり、操作も容易であるため、IT重説の実施に充分対応できるシステムです。

地方銀行や、大学機関、省庁などでも採用実績があります。高いセキュリティを求めている場合や、Web会議システムをIT重説以外にも用いたいと考えている場合は、LiveOnを検討すると良いでしょう。

IT重説の導入で注意すべきこと

最後に、IT重説の導入の際に注意すべきことについて解説します。より詳しい解説は、国土交通省の「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル概要」を参考にしてみてください。

IT重説に向いている対応物件を選ぶ

IT重説を行ううえで、対応物件の選択は重要です。一般的に「顧客が実物を見なくても良いと判断してくれる物件」がIT重説に適切であると考えられています。

例えば、築年数が古く賃料が安い物件は、顧客も物件の状況をしっかり見たいと考えます。したがって、そのような物件は実際に顧客に足を運んでもらう方が良いため、IT重説には向いていません。

一方で、新築の物件であれば、顧客も耐震などの性能が保証されていると考えることも少なくありません。したがって、こういった物件は顧客も実物を確認しなくても良いと考えるため、IT重説に向いている物件であるといえます。

紙のやり取りが必須な事項もある

IT重説は、重説のすべてのプロセスをIT化できるわけではありません。例えば、現行の法律では、書類の記入などの電子化はできません。IT化できない事項については、事前に注意しておきましょう。

通信トラブルへの対処法を用意しておく

IT重説では、さまざまな通信トラブルが予想されます。音声が途切れたり、映像が途切れたりなどは頻繁に発生し得ます。そのため、顧客が気軽に聞き直し・確認し直しができるよう、事前に説明しておくと良いでしょう。

また、完全に通信が途切れた場合はただちにIT重説を中止し、ソフトウェアの再起動や、ネットワークの状況を確認しましょう。メインの通信機器以外に、サブの通信機器を用意しておくという対策も有効です。

録画・録音や個人情報保護の対応をする

IT重説では、その内容を録画・録音することができます。しかしながら、IT重説には「取引士、説明の相手方、貸主等の個人情報」が含まれる場合があるため、個人情報保護について慎重に取り扱う必要があります。

録画・録音を行う場合は、国土交通省の「賃貸取引に係るITを活用した重要事項説明実施マニュアル概要」に基づき「双方の了解のもとで行う」「不適切な内容が含まれる場合は適宜録画・録音を中断する」「説明の相手方の求めに応じてコピーを提供する」という点は遵守しましょう。

また、業者が録画・録音を管理するためには個人情報保護の法律に則った管理が必要になるため、個人情報保護法に基づいて対応する必要があります。

まとめ

IT重説の基礎的な内容やメリット・デメリット、IT重説のやり方、おすすめのツール、実施の際の注意点などについて解説しました。

IT重説は政府が主導する社会実験によってその有効性が認められ、将来的に本格的に導入していくことが明言されています。したがって、今後は不動産の売買においてIT重説は必須のものになっていくことが考えられます。

本記事で紹介したメリット・デメリットや、IT重説の流れなどを参考に、IT重説の導入を検討してみてはいかがでしょうか?

ディップは自社で培った営業ノウハウと、多様なデジタルツールを組み合わせ、
お客様の企業収益向上に関わる全てを、専門担当制でのサポートを提案します。
人材の確保、デジタルツールの選定・導入、そのた企業収益向上に対してお気軽に問い合わせください。

CONTACT

ページ上部へ戻る