DX化の意味とは?ITとの違い・事例・推進するメリットをわかりやすく解説│コボットLAB

DX化の意味とは?ITとの違い・事例・推進するメリットをわかりやすく解説

dx化

DXは単体でデジタル技術を用いた変革という意味を持っていますが、近年は「DX化」という言葉も多く使われるようになっています。「DX化」は厳密にいえば語弊のある表現ですが、広く知れ渡っている「DX化」に関する疑問を解消していくため、当記事ではこちらの表現を採用しています。

ビジネスを行っていて「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という単語を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、ことばとしては知っていても、意味やなぜ必要なのかまでを知っている人はまだまだ多くありません。

今回は、DXに関する概要からDXが必要とされている理由、自社で推進する際に何をポイントにしていけば良いのかなどについて解説します。ぜひ、自社でDXを行っていく際の参考にしてみてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して自社のビジネスモデルを変革させて、市場における競争力を維持することです。

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」によれば、DXは以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

つまり、DXとは業務をIT化やデジタル化させれば良いのではなく、業務のデジタル化の「先」にある、自社の既存のビジネスを変革させ、市場における競争力を維持し、発展していくことが目的です。

DXが注目されている理由

DXが注目されている背景には、「急速なビジネスモデルの変化」や「既存システムからの脱却」が挙げられます。

昨今、インターネットがビジネスには欠かせないものになり、スマートフォンは一人一台持つのが当たり前になるなど、デジタルの変化が急激になってきました。この急激な変化に対応ができなければ、企業は競争力を維持することができなくなり、衰退していくとされています。

情報処理推進機構(IPA)が実施した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」によると、デジタルテクノロジーの普及によって、「自社の優位性や競争力の低下」を考えている企業は58.7%にまでなっています。つまり、多くの企業が業務のデジタル化による変化への対応が必要と考えており、DXへの注目が集まっています。

また、現在の日本では「レガシーシステム」と呼ばれる既存システムが多く残存しています。この「既存システムからの脱却」もDXの大きなテーマとなっています。なぜなら、DXではデータの有効的な活用や部門を跨いだ横断的な活用が欠かせないからです。

しかし、多くの企業でレガシーシステムが業務の中で稼働しており、システムの有効活用を妨げています。加えて、このようなレガシーシステムを今後も利用してしまうと、システムの維持に多大なコストがかかるばかりか、システムがブラックボックス化してしまい、近い将来に継承ができなくなってしまうことが考えられます。

経済産業省の「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」によると、『2025年の崖』ということばを用いて、2025年までにDX化が達成できなければ、以降の経済損失が1年あたり最大12兆円(現在の約3倍)に上ると試算しています。

つまり、現在のシステムからDXを推進できる新しいシステムへの切り替えを訴えており、その損失の大きさから注目が集まっています。DXは大企業だけの問題ではなく、中小企業も対象となっているため、規模に関わらず対応していくことが求められています。

DX化とIT化の違い

DX化と似て非なることばとして「IT化」があります。多くの人が「DX化」は「IT化」であると勘違いしてしまいがちです。ここでは、DX化とIT化の違いについて解説していきます。

目的の違い

結論からお伝えすると、DX化とIT化の違いは「目的の違い」です。

DX化を行う目的は、前述した通り「業務にデジタル技術を取り入れて、自社のビジネスモデルに変革をもたらし、市場における競争力の優位性を維持すること」です。一方で、IT化の目的は、「自社のビジネスにデジタル技術を取り入れること」です。つまり、DX化の目的は、IT化のさらに先です。

DX化において、業務のIT化は目的ではなく手段です。IT化を実現させて効率的に利益を生み出し、競争力を維持していく目的がDX化です。そのため、DX化は業務の質に関する変化、IT化は業務の変化といえます。

たとえば、IT化の場合は勤怠管理システムを導入して、残業時間を減らし効率的な業務につなげることが目的です。IT化の目的に加えて、DX化はデジタル技術を用いて抜本的な運用方法が変わるなど、自社全体に大きな変化をもたらすことが特徴です。

DX化を行うメリット

DX化を行うメリットとしては、主に次の5点が挙げられます。それぞれのメリットについて解説していきます。

  • 市場における競争力の向上
  • 生産性向上
  • 働き方改革の実現
  • 新たなビジネスの創出
  • BCPへの対応

市場における競争力の向上

繰り返しになりますが、DX化の目的は「自社のビジネスモデルに変革をもたらし、市場における競争力を維持すること」です。DX化を行うことは、変化の激しいビジネス社会に素早く対応することを意味します。

たとえば、昨今のビジネスにおいてデータの重要性はより一層高まっています。データを蔑ろにしてしまった企業はもちろん、有効的に活用できない企業も淘汰されてしまうでしょう。

データを有効活用するには、AIの活用やビッグデータの活用は欠かせません。また、AIの活用だけで終わるのではなく、AIを活用してビジネスモデルを変革させて利益につなげることが重要です。

顧客データを扱うのであれば、AIを活用してニーズをいち早く掴み、適した事業を展開するなどがDXの真骨頂です。こうしたデータの活用や素早いビジネスモデルの構築が行えるようになれば、市場においても競争力の向上につながっていくでしょう。

生産性向上

DX化を行うことは、生産性向上にも貢献します。

たとえば、マーケティング分析を行う際に、ビッグデータを活用してAIを用いて分析することで、従来よりも工数をかけずにスムーズな市場分析が可能です。

他にも、RPAツールの導入があります。RPAとは「Robotic Process Automation」の略称で、簡潔にいえば、定型業務をロボットに行わせることで業務の自動化を行うことです。

たとえば、交通費の精算チェックは多くの工数を要する業務です。しかし、交通費の精算チェックは定型業務のため、決まった形式で行うものです。そのため、交通費の精算チェックにかかる業務にRPAを導入し、自動化することで、これまで担当者にかかっていた工数を削減できます。また、これまでの担当者を自社のコア業務に人員配置することで、より自社の利益体制が整う環境作りも可能です。

こうしたデジタル技術を活用して、自社全体の生産性向上につなげられることも、DX化の大きなメリットです。

働き方改革の実現

DX化を行うことで、業務の効率化が図れるため「働き方改革の実現」にも貢献します。前述したRPAを導入し、業務を自動化することで、担当者の工数が減り、残業時間の削減などにも貢献します。

また、DX化を行う際は、デジタル技術を活用します。たとえば、営業がこれまで営業先から戻って、営業日報を提出していたものを、外出先から提出できるようにすれば、移動時間が削減されます。

他にも人事システムを導入することで、会社に出社しなくても従来通りの働き方が可能になります。このように、DX化を行うことは、これまでとは違った働き方や効率的な働き方を促すため、働き方改革の実現につながります。

また、働き方改革が実現できれば、従業員満足度の向上にもつながり、離職率低下にも貢献ができます。加えて、働きやすい環境に人は集まってくるため、新たな人材を獲得する際のアピールポイントとしても利用ができるでしょう。

新たなビジネスの創出

DX化を行う目的は、ビジネスモデルの変革をもたらし、市場の競争力を維持することです。ビジネスモデルの変革には、優位性のある商品やサービスの開発なども含まれます。

前述したように、DX化において、データは非常に重要です。データを有効活用することで、社会のニーズを的確に捉えることができ、新たなビジネスの創出にも貢献できます。新たなビジネスを持続的に創出することができれば、市場での優位性を確固たるものにできるでしょう。

BCPへの適応

BCP(事業継続計画)とは、災害など自社にとって予想外の災難が起こった際でも、被害を最小限に抑えて、スムーズな事業の復帰や継続するための計画のことです。

日本では、地震や台風などの自然災害などがいつ、どこで起こってもおかしくはありません。自然災害などは、毎年ニュースになるほどです。こういった災害が起こった場合でも、スムーズに事業を復旧・継続することは、多くの事業で求められています。

具体的には、BCP対策は自社業務の機能を分散化させるなどが挙げられます。DX化においては、クラウドの活用などによって、自社の骨幹となるデータ等を内部に持たず、どこからでも同じように業務を行えるようにすることも多いです。

クラウドに情報やデータ管理ができていれば、災害などの有事が起こった際でも、被害を最小限に抑えることができ、環境を整えればスムーズな復旧や事業継続につながっていきます。このように、BCP対策においてもDX化は非常に有効です。

DX化を行う中での課題

DX化を推進することで大きなメリットはありますが、行っていく中で課題もあります。具体的には、主に次の3点です。

  • 既存システムの老朽化とブラックボックス化
  • DX化を担う人材不足
  • DX化の目的に対する経営層の理解不足

それぞれの課題について解説していきましょう。

既存システムの老朽化とブラックボックス化

経済産業省の「DXレポート ~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」によると、日本企業の約8割が既存システムの老朽化を抱えているとされています。

先ほども解説したように、既存システムの老朽化はDX化を行うにあたって大きな障壁となっています。足かせを裏付けるように、DXレポートによれば、既存システムの老朽化を抱えているという回答をした企業の7割が、DXの足かせになっていると感じているとしています。

こうした既存システムの老朽化はもちろんのこと、ブラックボックス化してしまい、システムの操作が属人的になってしまうとDX化が難しくなってしまいます。そのため、経営層が手動でDX化を進めるなど、抜本的な改革が必要になります。

DX化を担う人材不足

自社でDX化を推進していくためには、デジタル技術や最新のITの情報に秀でた人材の登用が必要不可欠です。しかしDX化を推進できるプロフェッショナルが日本では不足しており、DX化を行いたくても行えない企業も多くあります。そのため内部と外部でDXに秀でた人材はいないかを探す必要があるでしょう。また経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によれば、2030年には45万人以上のIT人材が不足すると試算されています。そのためIT人材の獲得競争は激しさを増していくと予想されます。

加えてDXは一過性のものではなく、長期的に行っていくものです。そのためIT人材の育成も合わせて進めていくことが大切です。

DX化の目的に対する経営層の理解不足

DX化はビジネスモデルの変革をもたらすものです。そのため経営層であるトップがDXに対して理解不足だと間違いなく失敗に終わってしまいます。

繰り返しになりますが、DX化の目的は業務のデジタル化ではありません。デジタル化をしてどんな変革をもたらしたいのかをトップは描いておく必要があります。経営層はDX化についての理解を深め、リーダシップを発揮して取り組む姿勢と体制の構築を行う責務があると言えるでしょう。

まだ日本ではDX化について理解を深めている経営層は多くありません。今後はDX化によって、具体的な経営戦略を示すリーダーが必要になります。

DX化を成功させるためのポイント

dx推進

DX化を成功させるためのポイントとしては、次の4点が挙げられます。それぞれのポイントについて解説していきます。

  • 経営層がコミットする
  • DXを推進する人材を確保し育成する
  • 新しい働き方を導入する
  • デジタルツールを導入し業務プロセスを改善する

経営層がコミットする

先ほど解説したように、経営層はDXに対しての深い理解と経営戦略の提示、強いリーダーシップを発揮することが求められます。経営層がコミットしていないDXは成功しないといっても過言ではないため、経営層を含めた改革が必要です。

DXは、短期間ではなく数年単位の長期間でプロジェクトを行っていくことになります。そのため、経営層がコミットし、プロジェクトチームを立ち上げ、現場との意思疎通や改善などを、全社をあげて推進していくことが大切です。

DXを推進する人材を確保し育成する

DXを前へ推進する人材の確保は必須だといえます。先ほども解説したように、DXの推進にはデジタル技術や最新のITの情報に秀でた人材の登用が必要不可欠です。

いくら経営層がコミットをしても、実際に現場で指揮を取る人材がDXについての理解が低ければ、改革を実行することはできません。外部登用なども視野に入れ、動いていく必要があります。

また、人材を確保しても適切な人材配置をしなければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。適切な配置を施し部門を超えて改革を行うことが大切です。併せて、中長期的な視点のもと、人材の育成も必要です。優秀な人材の育成を続けることで、DX化の成功率がさらに高まります。

新しい働き方を導入する

新しい働き方を導入することもポイントです。昨今、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、テレワークなどを推進している企業が増えてきています。

テレワークは従来のビジネスモデルでは対応ができないため、テレワークが行えるようなシステムや環境の整備が必要です。新しい働き方を導入するためにはツールの活用は避けられません。

まずは、働き方改革を実行するためにはどんなツールやシステムが必要か、そこからDXにつなげられないかという視点から考えてみるのも良いでしょう。

デジタルツールを導入し業務プロセスを改善する

先ほど解説したように、現在の日本企業の約8割が既存システムの老朽化という課題を抱えています。この老朽化したシステムの大きな欠点として、システムの連携が取れず、データを横断的に利用ができないという点です。そのため、デジタルツールを導入して、データを横断的に利用できるように変革し、業務プロセスを改善する必要があります。

しかし、デジタルツールの導入を事業部ごとに切り分けて行っては、全社的なデータ活用を目指すDX化には至りません。DX化を成功させるためには、全社的な一貫性を持ったシステム構築が必要です。そのため、部分的に切り取るのではなく、全社的にDX化に対して有効化を俯瞰して検討することが大切です。

DX化の成功事例

最後に、実際にDX化に成功した日本企業の事例を3つ紹介します。自社のDX化を行う際の参考にしてみてください。

  • SREホールディングス
  • 日本瓦斯株式会社
  • 旭化成株式会社

SREホールディングス

SREホールディングスは、ソニーグループ発の不動産企業です。

SREホールディングスでは、不動産業務を効率化させるためのツールを開発し、実際に業務に導入しました。優れた実績から2021年のDXグランプリにも選出されています。

具体的には、自社内で蓄積した取引データを有効活用するために、過去のデータを元に不動産取引価格を自動で査定する「AI不動産ツール」を開発しました。結果として、客観性や精度の高い査定ができるようになり、担当者の生産性が大幅に向上しています。

また、不動産取引には欠かせない売買契約書等の作成をスマート化させる「不動産売買契約書類作成クラウド」を開発し、業務効率化につなげ、顧客満足度の向上にもつなげています。

日本瓦斯株式会社

日本瓦斯株式会社は、大手総合エネルギー会社として知名度の高い企業です。

日本瓦斯は「競争から共創へ」をコンセプトに異業種とも手を取り合って課題解決を行い、新たな価値創造を行っていきたいとしています。そのため、日本瓦斯は多くのDXに関する取り組みを行っており、ペーパーレス化によるテレワークの実施や、雲の宇宙船と名付けられたガス事業に関わる業務をオンライン化するIoT機器の開発などです。

こういった取り組みが新たな価値を創造していくと認められ、DX銘柄2022グランプリ企業に選定されています。

旭化成株式会社

旭化成株式会社は大手総合化学メーカーとして知られている企業です。

旭化成株式会社では、DXの成功要因を「人」「データ」「組織風土」の3つであると定義し、デジタル専門家のみならず現場の従業員も一定のデジタル技術の理解が必要だとしています。

具体的なIT人材を育成する取り組みとして、デジタル共創ラボ「CoCo-CAFE」を設立しています。マーケティング部門や生産技術部門などあらゆる部門のデジタル人財を育成し、新しいビジネスの創出に努めるとしています。

また、こういったデジタル人財を4万人輩出することを目標に掲げており、育成はもちろんのこと外部登用での獲得も考えています。

まとめ

ビジネスの変化が激しい今日において、多くの企業がDX化に向けて動き始めています。2025年の崖が試算通りであれば、残された時間は長くはないといって良いでしょう。

DXは社を挙げた一大プロジェクトになることは間違いありません。しかし、DX化を達成した先には、優れた競争力を持った新しい自社が存在しているはずです。ぜひ、いますぐにDX化の推進をスタートさせてください。

ディップ株式会社では、日本を支える中小企業の皆様に向けて、ワンストップのDXサービスを提供しています。

DXの実践においては、人材確保や教育の壁、DXを前提とした組織改革の壁、そして予算の壁と、さまざまな課題が立ちはだかります。ディップが提案する「one-stop DX.」は、これらの問題を専属のカスタマーサクセスが並走しながら導入と運用をサポートいたします。DXに伴う現場の混乱やシステムの複雑化を回避可能です。

また、ディップではソリューションの提供にあたって、すべて自社のスタッフが顧客対応を行うダイレクトセールスを採用しています。営業とカスタマーサクセス、開発チームが密に連携を取っている営業スタッフが、顧客の潜在ニーズまでを丁寧に把握し、満足度の高いサービスの提供に努めます。

提供するDXソリューションは、バックオフィスとセールスの双方に適用可能です。DX推進を検討の際には、お気軽にご相談ください。

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