労働時間管理を適切に行うには?ガイドラインと対応するために活用したい方法│コボットLAB

労働時間管理を適切に行うには?ガイドラインと対応するために活用したい方法

  • 2021年11月19日
  • 2024年7月31日
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労働時間管理

企業は、労働者の労働時間を適切に管理しなければならないと、労働基準法によって厳格に定められました。労働時間管理は、従業員を一人でも雇用していれば対象となるため、ほぼすべての企業が対象といっても過言ではありません。

今回は、労働時間管理を適切に行うために、押さえておくべきポイントやガイドラインに沿った考え方などを解説していきます。

労働時間管理とは

労働時間管理とは、企業が従業員の業務時間を適切に把握し、管理することです。労働時間の概念は曖昧になりやすいですが、客観的にみて従業員が企業や管理者から業務を義務付けられたものと解釈されています。

きちんとした指示はもちろん、暗黙的な指示も労働時間に含まれます。また、業務を行うために準備を行う時間や関連業務を整理している時間なども、業務時間に含まれるとしています。

反対に、休憩時間や食事の時間、トイレ休憩などの時間は労働時間には含まれません。

こうした労働時間管理を行う背景には、「給与計算を正確に行い、残業代未払いなどを発生させないため」「従業員の長時間労働を防ぎ、健康を守るため」があります。


労働時間管理の義務化とは

2017年1月、厚生労働省から「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が発行され、従業員を雇っているすべての企業に対して、雇用している従業員の労働時間を把握し、管理することが求められるようになりました。

ガイドラインでは、労働時間管理の対象者について、下記のように記されています。

「本ガイドラインに基づき使用者(使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含む。以下同じ。)が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者は、労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除く全ての者であること。」

企業規模に関わらず、一人でも従業員を雇用していれば、原則として労働時間管理の義務の適用がされます。正社員はもちろん、派遣社員やアルバイト、パートなど働き方の形態によって変わることはありません。

労働時間管理を適切に行うことで、適切な給与計算と従業員の健康を守ることが求められます。


労働時間管理を行ううえで押さえておくべきポイント

労働時間管理を行ううえで押さえておくべきポイントは、次の7点です。

  • ・始業・終業時刻の確認と記録
  • ・自己申告ではなく客観的な勤怠管理
  • ・自己申告になる場合の対応措置
  • ・賃金台帳の適正な記入
  • ・労働時間の記録に関わる書類の保管
  • ・労働時間管理者の職務についての理解
  • ・労働時間等設定改善委員会等の活用

それぞれのポイントについて、解説していきます。

始業・終業時刻の確認と記録

使用者には、従業員の始業・終業時刻を適正に把握する必要があります。適正に把握するとは、従業員が労働した日の始業時間と終業時間を適切に確認することです。

たとえば、8時間勤務したなどの労働時間の把握だけでは不十分です。なぜなら、深夜労働だったのか、休日出勤だったのかなどが把握できず、未払い賃金などが発生する恐れがあるからです。そのため、すべての労働日に対して、何時から何時まで働いたのかの記録を取ります。

自己申告ではなく客観的な勤怠管理

ガイドラインでは自己申告による労働時間管理は認められていません。具体的には、次の2つの方法での記録を求めています。

  1. 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
  2. タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること

これらは、労働時間に関しての不正が起きないようにするための決まりになります。誰が見ても問題がないような客観性が求められ、公正な記録をつけることが重要です。また、「自ら現認する」とは、使用者と労働時間管理者の両者が、直接始業時間や終業時間を確認できる状態のことを指します。

自己申告になる場合の対応措置

労働形態によって自己申告を行わざる得ない場合には、ガイドラインの下記の措置を備えておく必要があります。

  • 1. 自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者と管理対象者に対して、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと
  • 2. 自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施すること
  • 3. 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること
  • 4. 労働者の労働時間の適正な申告を阻害する目的で時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。 また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること

当然ですが、従業員には正しい労働時間の自己申告を行うことを求めます。また、自己申告によって、労働者側も使用者側も不利益を被る結果になってはなりません。

そのため、適正な労働時間が申告されているか、実態と乖離していないかなど、細心の注意を払って管理する必要があります。

賃金台帳の適正な記入

残業代や深夜割増賃金などの未払いが起きないように、適切な記録が求められています。また、労働基準法では労働時間に加え、休日出勤や深夜業務等の規定を設けることが義務付けられており、違反した場合には、30万円以下の罰金が命じられます。

ガイドラインには次のように明記されています。

  • ・使用者は、労働基準法第108条及び同法施行規則第54条により、労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこと。また、賃金台帳にこれらの事項を記入していない場合や、故意に賃金台帳に虚偽の労働時間数を記入した場合は、同法第120条に基づき、30万円以下の罰金に処されること。

労働時間の記録に関わる書類の保管

労働時間をきちんと管理していることの証明として、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の書類の作成と管理を、労働基準法によって3年間保存することが義務付けられています。

これらの書類は「法定三帳簿」と呼ばれ、きちんと保存していなかった場合、30万円以下の罰金が命じられます。ガイドラインには次のように明記されています。

  • ・使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第109条に基づき、3年間保存しなければならないこと。

労働時間管理者の職務についての理解

労働時間管理者の職務は、従業員が適切な方法で労働時間が管理されているか、長時間労働が行われていないか確認しなければなりません。また、問題が発生した場合には、即時に対応が求められます。

ガイドラインには以下のように明記されています。

  • ・事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。

労働時間等設定改善委員会等の活用

主に自己申告によって労働時間の管理が行われている場合には、客観性と透明性を保つために労働時間等設定改善員会を設け、問題点や解決策を検討することが望まれています。

ガイドラインには次のように明記されています。

  • ・使用者は、事業場の労働時間管理の状況を踏まえ、必要に応じ労働時間等設定改善委員会等の労使協議組織を活用し、労働時間管理の現状を把握の上、労働時間管理上の問題点及びその解消策等の検討を行うこと。

労働時間管理を適切に行うために

労働時間管理

労働時間管理を適切に行うためには、次の6点を意識して行動していくことが大切です。それぞれのポイントについて解説していきます。

  • ・勤怠管理システムの導入
  • ・残業時間の管理を厳格化
  • ・適切な雇用と人材配置
  • ・労働環境の改善に努める
  • ・労働条件を変更する場合には、従業員の同意を得る
  • ・経営層を巻き込む

勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムを導入することによって、労働時間を管理する業務をデジタル化させ、業務効率化を図るのが最も効果的な方法です。なぜなら、出勤時間や退勤時間をはじめとした、労働時間に関わる業務を簡単に行えるからです。

勤怠管理システムであれば、スマートフォンから打刻が行え、担当者の集計作業も自動化されます。また、システム上ではログなどが残っているため、不正が起きてもすぐに原因を対処できます。

そのため、勤怠管理システムの導入が、労働時間管理を適切に行う最適な方法なのです。 

残業時間の管理を厳格化

労働基準法で定められている残業時間を超えてしまった場合、企業は厳罰に処罰されてしまいます。厳罰されてしまえば、罰金はもちろん、従業員の健康を守れない会社として社会的信用も失ってしまいます。

そのリスクを回避するためには、従来以上に残業時間の管理を厳格化する必要があります。ルール作りや業務改善などに手をつけていくと良いでしょう。

適切な雇用と人材配置

多くの企業が慢性的な人手不足に陥っています。こうした状況を打破するためには、適切な雇用を行うことと、適切な人材配置を行うことが大切です。

生産性の低い部署に人材が集中していることで、コア事業に人手を回せていない企業も少なくありません。そのため、企業として生産性向上を図るために、適切な人材配置を行う必要があります。

自社の従業員の能力を見極めたうえで適切な配置が行えれば、業務が効率的に回っていきます。業務が効率的に回るため、労働時間も短縮につながります。

労働環境の改善に努める

労働環境が悪いと従業員のモチベーション低下につながってしまいます。業務内容はもちろん、人間関係なども重要です。

また、労働時間の管理を進める際は、多くが業務の変革につながります。そのため、なぜ労働時間管理を適正化するのか、従業員にはどんなメリットがあるのかをきちんと説明し、従業員の協力を得られる体制を作ることが大切です。

過剰な残業時間や未払い賃金などが発生しない労働環境を整えることが求められます。

労働条件を変更する場合には従業員の同意を得る

労働時間を管理するために、労働条件を変更する場合もあります。その場合には、従業員の同意を得ることが大切です。

従業員の中には、変化を嫌い同意が得られない場合もあるでしょう。その際には、なぜ変更が必要なのかと同時に、対象の従業員が損しないようにすることも大切です。また、対象の従業員の上司などに根回しが必要なこともあります。

経営層を巻き込む

企業の変革を進める場合は、経営層を巻き込んだ組織改革が必要です。就業規則や労使協定を改定するためには、経営層の承認が必要になってくるからです。

経営層の中には、自社の利益を考えてしまうあまり、従業員の労働時間について理解が得られない場合もあります。そのため、労働時間管理の重要性やメリット、違反した際のリスクなどを伝え、危機感を持ってもらう必要があります。

経営層が動けば、社内の労働時間についての考え方も変わってきますので、入念な準備のうえ巻き込むことが大切です。


労働時間管理を行えるおすすめシステム

労働時間管理を行えるシステムとしては、下記の6つが主に挙げられます。それぞれのシステムについて解説していきます。

  • ・ジョブカン勤怠管理
  • ・KING OF TIME
  • ・ジンジャー勤怠
  • ・kinnnosuke
  • ・TeamSprit
  • ・Corpus

ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理

ジョブカン勤怠管理は、株式会社 DONUTSが提供するクラウド型の勤怠管理システムで、これまで80,000社以上に導入実績がある人気システムです。

出勤時間や退勤時間の正確な打刻はもちろん、従業員の労働時間が過多にならないように、工数管理なども行えます。打刻はICカード打刻から、コミュニケーションツールであるLINEやSlackなど多彩な打刻方法があるため、自社の運用に合わせて導入が可能です。

料金プラン

  • ・1人200~500円/月

公式サイト

KING OF TIME

KING OF TIME

株式会社doubLeが提供するKING OF TIMEも、多様な打刻方法を標準で備えている勤怠管理システムです。

パソコンやスマートフォンからの打刻はもちろん、顔認証による打刻も可能です。そのため、自社に業態に合わせた運用方法での導入が可能です。

他にもユーザーからの要望を反映させたアップデートを年に3回行なっており、常に最も利用しやすい状態として運用できます。

料金プラン

  • ・1人300円/月

公式サイト

jinjer勤怠

jinjer勤怠

jinjer株式会社が提供するjinjer勤怠は、基本機能として打刻管理から休暇管理などを備えている勤怠管理システムです。

36協定への対応や、自社の従業員に対してのモチベーション管理機能も備えているため、労働時間管理を行うために、組織改革や働き方改革を行う場合に適しています。また、無料トライアル期間もあるため、本導入前に自社に合っているかを試すことも可能です。

料金プラン

  • ・1人400円~/月

公式サイト

kinnosuke

kinnosuke

HOYA株式会社が提供するkinnosukeは、従業員が1名からでも利用ができるクラウド型の勤怠管理システムです。

打刻管理はもちろん、休暇管理やプロジェクト管理、タスクスケジュール管理などが付いているものもあり、自社の運用に合わせてプランを選択することが可能です。また、導入時には、専任チームが徹底したヒアリングをもとにシステム構築を行ってくれるため、手間なく運用開始まで進めます。

料金プラン

  • ・初期費用:お見積り
  • ・月額料金:385円/ユーザー

公式サイト

TeamSpirit

TeamSpirit

株式会社チームスピリットが提供するTeamSpiritは、勤怠管理だけでなく工数管理、電子稟議なども行えるクラウドサービスです。「勤務状況の見える化」をコンセプトに、打刻状況をリアルタイムで管理画面に表示します。

表示方法もグラフを用いたものになるため、一目で状況が理解できます。そのため、担当者の業務負担軽減につながっていきます。

料金プラン

  • ・TeamSpirit:初期費用:150,000円、月額費用:従業員1人600円
  • ・TeamSpirit HR:初期費用:250,000円、月額費用:従業員1人900円+人事担当者1人900円
  • ・TeamSpirit Leaders:初期費用:200,000円、月額費用:従業員1人600円+リーダ1人6,000円
  • ・TeamSpirit EX:要見積

公式サイト


まとめ

これからの時代において、労働時間管理を適切に行えない企業は社会的信用を失くしてしまい、淘汰されてしまいます。労働時間管理を適切に行うことは、企業の利益はもちろん、従業員の健康を保ち生産性向上にもつながっていくでしょう。

労働時間管理を手間なく適切に行いたいのであれば、勤怠管理システムを導入することが最も効果的です。ぜひ、自社に合った勤怠管理システムを導入し、適切な労働時間管理につなげてみてください。

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