セールテックとは?市場規模とカオスマップに基づく7つのカテゴリ│コボットLAB

セールテックとは?市場規模とカオスマップに基づく7つのカテゴリ

セールステック

近年、ビジネスにおけるさまざまな分野でITへのトレンドが加速しています。セールス分野についても、それは例外ではなく、多くの企業がセールスにITを導入することにより運用効率と生産性を向上させています。

IT技術を用いたセールス分野に「セールステック」があります。今回は、セールステックの概要やカオスマップから見る重要カテゴリ、必要となるスキルについて解説します。

セールステックの概要

まずは、セールステックの概要について解説していきましょう。

セールステックとは

その名前のとおり、セールステックは営業・マーケティング分野で用いられる技術のことであり、「Sales」と「Technology」の2つの言葉を合わせたものです。テクノロジーを活用して営業活動をより効率的にし、生産性を向上させ、業績を向上させるツールや方法を指します。

注目されている理由

顧客に合わない製品やサービスを提供することは非効率的で、企業と顧客の双方の観点からどちらにとっても好ましいものではありません。一時的に売り上げが向上したとしても、顧客との長期的な関係を築くことができなければ、顧客にとっても企業にとっても不幸です。

したがって、初めから顧客に合った製品やサービスのみを提供することが最も理想的です。このような顧客成功の概念は、ここ数年で一般的なものとして普及し、その効率の高い営業・マーケティングをもたらす技術としてセールステックが着目されています。

また、日本ならではの問題も注目の背景にあります。それは、少子高齢化による営業人材の不足です。少子高齢化によって、日本の人口は今後減少することが見込まれており、市場の縮小や人材不足が課題となっています。変化の激しい環境で生き残るために、企業はセールステックの採用によって競争力を高めていく必要があります。

さらに、従来の日本の営業やマーケティングは漠然とした直感と経験で判断されることが多く、属人的な部分が多い分野でした。セールステックの導入によって、データドリブンの活動が可能になり、営業・マーケティング分野において効率的に成果を伸ばすことができるようになります。

市場規模

セールステックにはさまざまなカテゴリがあるため、セールステック全体の市場規模に関するデータはありません。ただ、セールステックに属する分野の市場規模からその実態を推測することができます。

たとえば、セールステックの一つである営業支援ツールの市場規模は「ITR Market View:SFA/統合型マーケティング支援市場2021」によると、2019年度は12.5%増、2020年度も2桁成長と安定した成長が維持されていることが報告されています。

また、セールステックの一つであるCRMの市場規模に関しては、デロイト トーマツ ミック経済研究所株式会社の報告「クラウド型CRM市場の現状と展望 2018年度版」によると、2022年度は4,780億5,000万円に成長すると予測されています。他にも IDC Japan 株式会社の報告「国内CRMアプリケーション市場予測を発表」では、2019年~2024年の年間平均成長率は5.3%で推移し、2024年には2,250億9,000万円になると予想されています。

調査会社による予想規模の差はあれ、ここ数年は確実な成長が見込める業界とみなされています。

さらに、セールステックの中のマーケティング自動化(MA)に関する市場に関しては、株式会社矢野経済研究所の発表によると、2020年には約447億3,500万円、2025年には約737億円にまで成長するとすることが予想されています。

このように、セールステックに属する部門の市場規模は、どの分野も成長が見込まれており、将来的な拡大が期待できるといえます。


セールステックの導入で期待できること

続いて、セールステックの導入によって期待できることについて解説していきましょう。

生産性の向上

営業担当者によって売り上げに差が生じることは当然と思われていますが、会社的にこういった状況は健全とはいえません。営業担当者によって売り上げに差が出ず、全体的に高い水準を保っている方が望ましいと考えられます。

セールステックを導入すると、個々の営業担当者の営業活動をグラフなどで視覚化することが可能になります。そして、営業担当者一人ひとりの強み・弱みがわかりやすくなるため、より効率的な営業管理が可能になります。

人手不足や働き方の変化への対応

近年、働き方改革によりワークライフバランスの実現を目指す傾向が強まっています。その結果、残業時間を可能な限り減らすよう努力がなされています。

しかし、それに逆行するように労働人口は年々減少しています。従業員数が減少しても企業が業績を維持・拡大するためには、労働時間をいかに効率的にするかが必須となります。

セールステックを導入することで業務の効率化を行うことができ、人手不足の中でも業務範囲を拡大することが可能です。そのため、働き方の変化や人手不足に対応することができるようになります。

営業活動の一元管理

セールステックによって、情報が一元管理できることも営業効率の向上につながります。

たとえば、顧客の過去の注文実績や購買前の行動などをグループ化し、購入確率の高い顧客と低い顧客に容易に分類することができます。そのため、セールステックを活用すれば、より購入可能性の高い顧客だけを選別し、効率的にアプローチできるのです。

また、規模の大きい企業の場合、同時にいくつもの営業活動やマーケティング活動を行うことも少なくありません。そういった場合でも、セールステックツールにより各活動を一元管理することができます。

そういったツールがあれば、顧客に対して適切なタイミングで通知やお知らせを送信する設定にすることもできます。顧客に合わせた効果的なアプローチが可能になります。


セールステックのカオスマップからみる7つの重要カテゴリ

続いては、セールステックのカオスマップに着目し、注目すべき重要カテゴリを紹介します。現状、セールステックは次の7カテゴリに分けることができます。

  • ・営業加速ツール
  • ・顧客関係管理ツール
  • ・カスタマーエクスペリエンスツール
  • ・コンタクト・コミュニケーションツール
  • ・人材開発・コーチングツール
  • ・インテリジェンス・解析ツール
  • ・カスタマーサポートツール

営業加速ツール

営業加速ツールは、営業活動を合理化し生産性を向上させるように設計されたツールです。

このカテゴリに属するツールの一般的な機能には、営業活動の記録や日次レポートの保持、交渉の進捗状況の追跡、売り上げの予測、取引の管理、苦情の管理、情報の部門間共有などがあります。

AI(人工知能)を介して販売プロセス全体を合理化し、システムの使いやすさを向上させているツールなども存在します。

顧客関係管理ツール

顧客関係管理ツールとは、企業とその顧客との関係を管理し、顧客データベースを構築および管理するするツールです。

このカテゴリに属するツールには、電子メール追跡やAIベースの予測などの他の販売技術ツールがあります。カスタマーセンターやプロモーション部門とのデータ共有やオンラインショッピングへのリンクなど、さまざまな場面で利用されます。

また、クラウドコンピューティングとの互換性も高く、特に多くのBtoC企業で使用されています。

カスタマーエクスペリエンスツール

カスタマーエクスペリエンスツールとは、顧客が商品購入に辿り着くまでの過程(カスタマージャーニー)を改善するツールのことです。

このカテゴリに属するツールには、顧客の購入プロセス中の感動体験や疑似体験という付加価値を通じて売り上げを増やすツールがあります。多くの場合、顧客からの信頼を高め、リピーターやファンを獲得するために使用されます。

必要な情報をWebサイトにポップアップ表示したり、ニュースのプッシュ配信をしたりすることが特徴です。AIを活用し、訪問者が探しているものを素早く提供したり、既存のWebシステムのユーザーインターフェイスを改善したりするツールもあります。

コンタクト・コミュニケーションツール

コンタクト・コミュニケーションとは、コールセンターやチャットツールで顧客とのコミュニケーションを改善するツールです。

これには、顧客からの電話の内容を分析して最良の回答を提供するツールや、AIを使用して最初の営業連絡先メールを自動化するツールがあります。BtoCだけでなく、Web会議システムを利用したビジネス会議などのBtoBにも使用できます。

人材開発・コーチングツール

人材開発・コーチングツールは、営業担当者の能力改善、教育のために用いられるツールです。このカテゴリに属するツールは、営業活動やマーケティング活動の担当者を教育するため設計されています。

たとえば、営業担当者がスマートフォンやタブレットで学習できるようにすることで、人材教育の過程を最適化したり、教育過程におけるフィードバックを効率的に収集できたりするツールがあります。

インテリジェンス・解析ツール

インテリジェンス・解析ツールは、データ分析を通じて販売を強化するツールです。セールステックツールを用いて得られたデータを活かすには、専門的な分析が必須です。これらの分析を手助けするのがインテリジェンス・解析ツールです。

たとえば、インテリジェンス・解析ツールには「顧客に電話で営業をかけるときに、どういったトピックが最も適切であるかといったことを自動で分析し、営業担当者に提案してくれるような機能があります。また、交渉プロセスのどの時点でサービスを提案すると効率が改善するのかといったことも、ツールを通して知ることができます。

また、インテリジェンス・解析ツールは、高度なデータ収集やビッグデータとの連携による顧客の問題の抽出を自動で行うものもあり、担当者に難しいデータ分析技術がなくても、マーケティング戦略に役立つ情報を得ることができます。

さらに、AIを利用して過去の商談を分析し、進行中の商談に関するアドバイスを提供する機能を備えたツールもあります。これらのツールはITの専門知識がなくとも比較的簡単にデータ分析を行うことが可能であることも特徴だといえるでしょう。ITに明るくない営業担当者でも、簡単にデータ分析が可能となるツールが数多く提供されています。

カスタマーサポートツール

カスタマーサポートツールは、顧客満足度の向上に重点を置いたツールです。

このカテゴリに属するツールは、顧客とのやり取りをテキストや音声として保存したり、最適なタイミングで顧客にメールマガジンを送信したり、さまざまな営業活動を自動的に実行することができます。

これらのツールを使用することで、電子メールや電話などの顧客とのコミュニケーションを単一のプラットフォームで管理できます。


セールステックの主なツール

セールステックツール

続いては、セールステックのツールの種類を紹介しましょう。「SFA」「CRM」「MA」の3つに分けることができます。

SFA

SFAは「Sales Force Automation」の略称です。日本語では「営業支援システム」または「営業支援ツール」と訳されます。

SFAは主に「営業加速ツール」のカテゴリに属します。営業活動の記録や進捗状況の管理など、営業活動に関連する業務をサポートしてくれるツールです。

また、営業担当者の交渉プロセスとプロジェクトの進捗状況を可視化して管理することも可能です。可視化することで、営業の生産性と効率を向上させることができます。

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CRM

CRMは「Customer Relationship Management」の略称です。日本語では「顧客関係管理」と訳されます。

CRMは「顧客関係管理ツール」「カスタマーエクスペリエンスツール」「コンタクト・コミュニケーションツール」などの広いカテゴリにまたがります。顧客の年齢や所在地、過去の取引履歴、Webサイトへのアクセス数、問い合わせ履歴などの情報を一元的に管理し、顧客のニーズを分析してくれるツールです。

管理された情報をもとに、顧客の属性に応じた課題やニーズを分析し、それらに合わせたサービスや商品を提供することで、顧客の満足度を高めることができます。

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MA

MAと「Marketing Automation」の略称です。日本語では「マーケティングオートメーション」と呼ばれたり、日本語で「マーケティング自動化」と訳されたりするツールのことです。

MAは「コンタクト・コミュニケーションツール」との関連性が特に高いです。MAは新規顧客の獲得など、マーケティングにおけるイニシアチブをサポートするツールです。今後顧客になる可能性の高い「リード顧客」に適切なコンテンツを提供し、適切なタイミングで顧客にアプローチを行うために使用されます。

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セールステックを活用するうえで好ましい能力・スキル

最後に、セールステックを活用するうえで求められる能力や、持っていると好ましいスキルを紹介しましょう。

数字を分析する能力

売り上げや利益、目標達成率など、数字にこだわる営業担当者は優秀であり、それはセールテックが登場するより前から言われていることです。今後、セールステックの発展によって、この傾向はさらに顕著になると考えられます。

セールステックでは営業活動に関するさまざまな情報を定量化するため、セールステックによってもたらされた数字が何を意味し、何をする必要があるかを判断する能力が不可欠です。

ツールの理解能力

セールステックを導入した企業への調査では、入力の複雑さと知識の欠如のためにツールを充分に活用できていないという問題が浮き彫りになっています。ツールを動かすのは人間であり、担当者は導入されたツールを正しく理解して操作するスキルを持っている必要があります。

そのためにも、常にITのトレンドを理解し対応する必要があります。これは営業やマーケティング業務に限った話ではなく、将来的には生産性の向上を目的として、企業の他のすべての部門でも求められていくことでしょう。

柔軟な対応力

セールステックツールを用いると、情報収集を前提に営業計画を立てたり、データに基づいて自分の行動を決めたり、これまでの営業・マーケティング活動には存在しなかった新しい対応が求められたりします。

さらに、これらの対応を煩わしい未知の仕事ではなく、今後必要な役立つ仕事として、その価値を理解していかなければなりません。これは、の営業・マーケティング活動の本質を変えていくものとなり、活用できれば大きな力になります。

一方で、その変化に対応する能力がなければ、導入するだけでは時間の無駄になり、パフォーマンスの向上にはつながりません。先ほどもお伝えしたように、ツールを操作するのは人間です。したがって、ツールやその他の技術に関する十分な知識と、それらを利用するためのスキルが必要になります。

ITテクノロジーは、常に進化し続ける分野です。新しいテクノロジーが出現すれば、それに伴ってセールステックのツールもアップデートされます。したがって、ツールを利用する企業やその担当者も、ツールの進化に伴って柔軟に対応していく能力が求められます。

営業・マーケティング経験

セールステックツールは営業活動やマーケティング活動で利用されるものです。営業やマーケティングをITで合理化したとしても、最後は人と人のやり取りに帰結します。そのため、対人での経験があった方が、セールステックのツールを使いこなすうえでのアドバンテージになり得ます。

また、いくらツールが優秀であったとしも、人の判断に委ねられる場面は必ずやってきます。ツールでは判断がつかないような事柄に対応するためにも、現場での経験が役に立つのです。


まとめ

従来の日本の営業・マーケティング活動は非効率的なものが多く、セールステックはその解決策になり得ると考えられています。また、労働力不足など、日本の営業・マーケティングはますますセールステックへの対応が求められてきています。

企業の営業・マーケティング活動の効率化のため、セールステックの導入は将来必然的に求められることでしょう。その実現のためには、営業担当者がセールステックを使用できるスキルを身につけておかねばなりません。

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