新規顧客開拓のアプローチ手法の一つに「お問い合わせフォーム営業」があります。企業ホームページに設置されたフォームから営業する方法で、面識のない企業でも確度の高いアポイントを獲得しやすいことがメリットです。
しかし、お問い合わせフォーム営業を実際に実施するにあたっては、留意すべきデメリットも存在します。今回は、お問い合わせフォーム営業のメリット・デメリットと、具体的な手順、反響率を高めるコツを解説します。
お問い合わせフォーム営業とは
「お問い合わせフォーム営業」とは、企業のお問い合わせフォームから営業メールを送信する営業手法のことです。プッシュ型の「新規顧客開拓」の一つで、似た手法にはメール営業やテレアポ営業があります。
大多数の企業は、ホームページなどに「お問い合わせフォーム」を設置していることから、メールアドレスを知らなくても面識のない企業に直接アプローチできることが強みです。
ただし、お問い合わせフォームからの営業を良く思わない企業もゼロではないため、実施にあたってはメリット・デメリットをしっかり把握し、適切に準備を進めることが大切です。メリット・デメリットについて、詳しくは後述します。
フォームから営業して大丈夫?
お問い合わせフォーム営業を実施するにあたっては、「フォームから営業メールを送って大丈夫?」と迷っている方も少なくないでしょう。
結論からお伝えすると、問い合わせフォームを使った営業は、基本的に違法ではありません。法律で禁止されていることはありませんので、問い合わせフォーム営業自体は問題なく実施できます。問い合わせフォーム営業を専門で行う代行会社・サービスも登場していることからも、広く利用されている手法であることがわかります。
ただし、問い合わせフォームの使用目的が限定されている場合や、「営業メールお断り」という文言がある場合は、営業しないようにしてください。というのも「特定電子メール法」で、“あらかじめ同意したものに対してのみ送信が認められる”と規定されているためです。
また、カスタマーサポートや注文窓口など、個人ユーザー向けに設置されたフォームに関しても、営業メールの送り先としてはふさわしくなく、クレームにつながりやすいので避けるのが賢明でしょう。
お問い合わせフォーム営業のメリット
お問い合わせフォームから営業をすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、お問い合わせフォーム営業のメリットを2つ紹介します。
- ・多くの企業にアプローチできる
- ・確度の高いアポイントを獲得できる
多くの企業にアプローチできる
お問い合わせフォーム営業のメリットの1つ目は、たくさんの企業にアプローチできることです。
問い合わせフォームというのは、ほとんどの企業ホームページに設置されています。そのため、営業したい企業と面識がなくても、「問い合わせフォーム」を使えば簡単にアプローチすることができます。また、営業リストを作成する際、メールアドレスを取得する手間も省けます。
確度の高いアポイントを獲得できる
問い合わせフォームからの営業は、確度の高いアポイントを獲得しやすいという特徴があります。というのも、問い合わせフォーム経由のメールは、重要な内容のものが多く、企業のキーマンに直接目を通してもらえる可能性が高いからです。
そのため、問い合わせフォーム経由で営業して返信をもらえた場合、他のアプローチ手法と比較しても成約の確度はかなり高いといえます。
お問い合わせフォーム営業のデメリット
お問い合わせフォーム営業には、留意しておきたいデメリットも存在します。
- ・あまり高い反響率は見込めない
- ・メール文の入力・送信に手間がかかる
- ・クレームにつながることがある
それぞれのデメリットについて詳しく解説しましょう。
あまり高い反響率は見込めない
お問い合わせフォーム営業では、一切面識がない状態からの関係構築になるため、それほど高い反響率は見込めません。
さらに最近では、新型コロナウイルスによる営業活動の制限によって、「問い合わせフォーム営業」という手法がより広く普及したこともあり、反響率は下降傾向にあるといわれています。
つまり、配信数をしっかり確保することができなければ、成果を出すのは難しいでしょう。お問い合わせフォーム営業を通してアポを獲得するには、少なくとも1,000件〜といった営業リストを作成し、まとまった数のメールを配信する必要があります。
メール文の入力・送信に手間がかかる
問い合わせフォーム営業では、営業メールを一社ずつ送信する必要があるため、手間がかかります。
メール営業の場合、メール配信システムを活用して営業メールを一斉に送信することができますが、問い合わせフォーム営業では企業ホームページを訪れて手動で送信しなければなりません。
また、企業ごとにフォームの文字制限や入力項目が異なることもあり、文書を変更したり手入力したりする手間もかかります。
クレームにつながることがある
お問い合わせフォーム営業は、やり方によってはクレームにつながることもあります。
たとえば、個人ユーザー向けに設置されたお問い合わせフォームなどから、本来の目的からかけ離れた営業メールを送ってしまうと、悪い印象を与えてしまいかねません。
営業メールを送るのにふさわしくないフォームや、「営業メールお断り」といった記載がある場合は、営業メールを送るのは控えましょう。もし万が一クレームを受けた場合は、しっかりと謝罪の対応をした上で、再び営業メールを送信することがないように、NGリストを作成しておくと安心です。
お問い合わせフォーム営業の方法・手順
続いて、お問い合わせフォーム営業の具体的な方法を手順ごとに解説します。
- 1. 営業リストを用意する
- 2. メール文を作成する
- 3. お問い合わせフォームから送信する
それぞれの手順について、詳しく解説していきましょう。
手順1:営業リストを用意する
企業のお問い合わせフォームから手当たり次第に営業メールを送るのは、非効率的です。確度の高い見込み顧客に対して、優先的にアプローチできるように「営業リスト」を作成しましょう。
営業リストには、過去の商談実績や既存顧客から類推したターゲットとなる企業をリストアップします。会社名や住所、問い合わせフォームのURLなど、必要な情報を漏れなく記載しておきましょう。
手順2:メール文を作成する
次に、お問い合わせフォームから送信する「メールの文章」を作成します。「自己紹介」や「目的」「相手に求めるアクション」の3つを軸に、簡潔でわかりやすい文章を心がけましょう。
長文やテンプレートの使い回しなど、“営業色”が強いメール文を送ることは避け、しっかり相手目線に立ってメリットや解決策について伝えることが大切です。
特に、テンプレートの使い回しは残念に思われることが多いため、あらかじめ用意しておく文章は、大まかな「構成」程度に留め、それぞれの相手に合わせた文章をその都度作成することをおすすめします。
手順3:お問い合わせフォームから送信する
リストと文章を用意したら、実際に企業のホームページを訪れお問い合わせフォームから営業メールを送信します。
送信のタイミングは、平日の営業時間帯が理想です。というのも、営業時間外や休業日に送信してしまうと、他の問い合わせメールに埋もれてしまい、目を通してもらいにくくなってしまうからです。
送信タイミングについては、ABテストを実施するなどして、自社にとってベストな時間帯・曜日などを見つけると良いでしょう。
お問い合わせフォーム営業の反響率を高めるコツ
手間と労力をかけてお問い合わせフォーム営業をするなら、できるだけ多くの反響が欲しいものです。ここでは、お問い合わせフォーム営業の反響率を高めるコツを4つ紹介します。
- ・担当者や要件を明確にする
- ・テンプレートをそのまま使い回さない
- ・「相手に求めるアクション」を具体的に記載する
- ・A/Bテストを実施する
担当者や用件を明確にする
問い合わせをする際は、宛先(担当者)や要件(問い合わせの理由・目的)を明確に伝えましょう。
通常のメール営業でもいえることですが、初見でよくわからない問い合わせは、容易にスルーされてしまいます。また、誰宛なのかが不明確だと、担当者にメールを届けることができません。
問い合わせフォームに「件名」を入力できる場合は「件名」に、そうでない場合は本文の先頭にわかりやすいように記載しましょう。
テンプレートをそのまま使い回さない
問い合わせフォーム営業を効率化することを目的に、「テンプレート」を使い回すのはNGです。なぜなら、テンプレートを使い回してしまうと、相手の企業のニーズや課題などと合致せず、ズレが生じやすくなるからです。
さらに、問い合わせを確認する側からすると、「テンプレートに頼りすぎている文章」というのは、意外とすぐにわかってしまうものです。担当者に読まれる前に削除されたり、クレームにつながったりするリスクが高まるので注意しましょう。
問い合わせフォームで使用するテンプレートのようなものを作成する場合は、全体の骨格を決めておく程度に留め、アプローチする企業に合わせてその都度ブラッシュアップすることが大切です。
「相手に求めるアクション」を具体的に記載する
お問い合わせフォーム営業では、「担当者にどんなアクションを起こして欲しいか」を明確にした上で、具体的に記載することが重要です。なぜなら、フォーム営業はあくまでも、アポイントへつなげるための手段であり、ネクストアクションを得ることこそが目標だからです。
以下に、メール文の良い例と悪い例を記載しますので、参考にしてください。
良い例
- ・「(日程の候補を提示後)ご都合のつく日時をご教示いただけると幸いです。」
- ・「オンラインミーティングにて、詳細を説明させていただければ幸いです。担当者〇〇(メールアドレス)まで、お気軽にご連絡ください。」
- ・「以下のリンクより、資料をダウンロードしていただけます。」
悪い例
- ・「ご検討いただけますと幸いです。」
良い例のように、相手に求めるアクションを具体的に伝えれば、そのアクションを起こしてもらいやすくなります。
アポを取りたいのであれば、具体的な日程を提示して選んでもらう、資料をダウンロードしてもらいたいのであれば指定のURLへ誘導するなど、できるだけ具体的なアプローチを心がけましょう。
A/Bテストを実施する
お問い合わせフォーム営業は、同じやり方でも業種や会社の規模などによって反応は大きく変わって来ます。メールの文章や件名、送信時間帯など、比較したい対象を決め、2通りのアプローチ方法を用意してフォーム営業を実施してみましょう。
送信後は、A/Bパターンの文章内のURLリンククリック率や、アポイント獲得の有無などを比較・分析することで、より反応の良いアプローチ方法が見つかります。なお、A/Bテストは定期的に実施し、PDCAサイクルを回すことが大切です。
まとめ
お問い合わせフォーム営業のメリット・デメリットや実施の手順、反響率を高めるコツについて解説しました。
問い合わせフォームを使って営業することには、「面識のない企業にアプローチしやすく、効率的にアポイントにつなげられる」というメリットがある一方で、クレームにつながるリスクも伴います。今回紹介した注意点やコツをしっかり押さえて、適切に実行しましょう。
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