飲食店や小売店など、シフト勤務のスタッフが多い業種において、経営者を悩ませる業務の一つに「シフト管理」があります。シフト管理は、多大な時間や手間がかかる上、ミスが頻発しやすいこともあり、「どうにかして効率化したい……」という方は少なくないものです。
そこで今回は、シフト管理における課題とシステム導入によるクラウド化のメリット、シフト管理に役立つシステム例を紹介します。
シフト管理とは
シフト管理とは、アルバイトやパートタイムなどのシフト勤務体制を維持・管理するための業務のことです。シフト管理を行うことで、必要なときに必要な分だけの人材を確保し、効率的に業務を遂行することができます。
しかし、シフト管理は、シフト希望やスキル、人件費などさまざまな要素を考慮した上で、適切な人材配置や調整を必要とします。そのため、多大な手間と時間がかかってしまい、管理者の負担が大きくなってしまいがちです。
シフト管理における課題
続いて、シフト管理におけるよくある課題を紹介します。シフト管理の効率化に向けて、まずは自社が抱える課題を理解しましょう。
ヒューマンエラーが起こりやすい
シフト管理における課題の一つ目は、ヒューマンエラーが起こりやすいことです。手書きによるシフト表を作成している場合はもちろん、エクセルでシフト表の作成・管理を行っている場合も、シフト希望の提出漏れや、担当者の入力・人材配置ミスといったヒューマンエラーをなくすことは容易ではありません。
このようなミスが発生すると、後から修正やヘルプの要請などが必要になり、業務量はさらに増加します。シフト管理におけるヒューマンエラーをなくすためには、シフト管理をクラウド化するなどの根本的な解決策が必要です。
時間がかかる
シフト管理における課題の二つ目は、とにかく時間がかかることです。一口に「シフト管理」といっても、実際にはスタッフのシフト希望を確認したり公平なシフトを組んだり、必要によっては修正・ヘルプ要請をしたりなど業務内容は多岐にわたります。
そのため、多忙な時期に短期間でシフト作成を強いられる、シフト作成に時間がかかり本業に支障が出るなどといった問題も派生してしまいがちです。
業務が属人化しやすい
シフト作成・管理方法の複雑化により、業務が属人化しやすいことも深刻な課題の一つです。
たとえば、エクセルでシフト表を作成する場合、マクロを設定し活用する必要があります。このような設定や具体的なシフト作成方法を担当者しか把握できていなければ、当然ながらシフト作成・管理は属人化してしまいます。
担当者が不在の場合、シフトの作成・変更、管理が滞ってしまうことはもちろん、担当者が変更になれば引き継ぎに多大な負担がかかります。
効率・公平的な人材配置が難しい
シフト管理は、多大な時間・負担がかかる上、経験やスキルがあってもなお効率的かつ公平的な人材配置が難しいという課題もあります。シフトを作成するにあたっては、スタッフの希望勤務日数やスキル、人間関係などさまざまな要素を考慮しなければなりません。
そんな中、毎週のように最適な人材配置を行わなければならないシフト作成は、担当者にとって大きな負担となります。またスタッフが増えるほど、最適な人材配置が難しくなるため、シフト管理システムやサービスの導入が理想といえます。
シフト管理システム・サービス導入のメリット:店長側
ここまでで紹介したシフト管理における課題を解決するためには、シフト管理システム・サービスの導入によるクラウド化がおすすめです。ここでは、システム導入がシフト管理者(店長)にもたらす主なメリットを3つ紹介します。
業務を効率化できる
シフト管理をクラウド化するメリットの一つ目は、店長のシフト作成・管理業務を大幅に効率化できることです。
システムを導入すれば、これまで担当者が手動で行っていたシフト希望の依頼送信や収集、転記などをすべて自動化することが可能です。シフト作成に関しても、システム上で完結できることから工数を削減できます。
また、これまで見逃していたエラーやシフトの不公平性などもシステムがアラートで通知してくれるので、効率良く修正することができます。
ヘルプ要請・調整がしやすくなる
シフト管理システムを導入すると、店長はクラウド上でシフト管理ができるようになります。スタッフにクラウド上でシフト希望提出を依頼できるのはもちろん、シフトに穴が開いてしまった際もクラウドシステム上でヘルプの要請・調整が可能です。
スタッフに電話やメールで連絡を入れたり、オフィス内の掲示板にヘルプ要請を掲載したりする手間を省けるため、ヘルプ要請・調整の負担を大幅に低減できます。
ヒューマンエラーや不正をなくせる
シフト管理・作成におけるヒューマンエラーや不正をなくせることも、システム導入のメリットの一つです。
紙やエクセルでシフトを作成する場合、どんなに気をつけていても店長のミスを完全になくすことはできません。しかし、システムを導入することで、管理者が見落としてしまいがちなミスもしっかり防ぐことができます。
また、シフト管理と勤怠管理を連携させれば、打刻や勤務時間などの不正防止にもつながります。
シフト管理システム・サービス導入のメリット:スタッフ編
システム・サービス導入によるシフト管理のクラウド化は、店長などの管理者側だけでなく、スタッフ側にもメリットをもたらします。ここでは、スタッフの視点から見たシフト管理システム導入のメリットを紹介しましょう。
シフトの偏りが解消される
シフト管理がクラウド化・自動化されることにより、スタッフの勤務時間や希望勤務スタイルなどを考慮した適切な人材配置が可能になります。これにより、シフトに偏りが出にくくなり、不平等性が解消されます。
また、希望したシフトが通りやすくなることも、シフト管理をクラウド化するメリットの一つです。
簡単にシフトを提出・確認できる
二つ目のメリットは、より簡単に手間なくシフトを提出・確認できるようになることです。
従来では、メールや指定の用紙でシフト希望を提出し、掲示板やグループチャットなどでシフトを確認する必要がありました。しかし、シフト管理システムを導入すれば、スタッフは専用アプリを使ってスマホから簡単にシフトを提出できるようになります。
シフト提出締め切り前には、催促の通知が届くため、シフトの提出忘れも減り、管理者・スタッフともにストレスなくシフト管理が行えます。
シフト管理システム・サービスの選び方
次に、シフト管理システム・サービスの比較・選定基準を紹介します。
対応可能な勤務形態
まず、シフト管理システム・サービスを選ぶにあたっては、自店舗の勤務形態に対応可能かどうかを確認する必要があります。というのも、営業時間や営業スタイルによって、勤務形態(シフトの組み方)が大きく異なるからです。
自店舗のシフトの組み方に対応していなければ、せっかくシステムを導入しても意味がありません。柔軟なシフトの組み立てができるかどうか、そして自社の勤務形態に対応できるかどうかを確認しておきましょう。
モバイルアプリ対応の有無
システムがモバイル端末に対応しているかどうかも重要なポイントです。具体的には、シフトを提出・確認できるスタッフ向けのモバイルアプリが提供されているサービスを選ぶと、シフト管理のしやすさが格段に向上します。
たとえば、スタッフ用のモバイルアプリがあれば、スタッフにシフト提出を催促したり、ヘルプを要請したりといった煩雑なやりとりもすべてシステム上で完結することができます。アプリでシフト管理をできることは、スタッフにとっても大きなメリットです。シフト管理システム・サービスを比較・選定する際には、ぜひモバイルアプリ対応の有無も確認しておきましょう。
機能・操作性
シフト管理システムに備わっている機能や操作性も確認しておきたいポイントの一つです。まず、シフトを作成・管理する上で必要な機能が備わっているかどうかを確認しましょう。
また、システムの操作性に関しては、現行の管理者はもちろん、誰でも簡単に使いこなせることが重要です。システムを使ったシフト管理を属人化させないためにも、直感的で使いやすいシステムを選びましょう。
費用
システム導入・運用にかかる費用も忘れてはいけないポイントです。シフト管理システム導入によるクラウド化のメリットは多大ですが、費用対効果が見込めなければ元も子もありません。
また、一口に「シフト管理システム」といっても、サービスやプランによって費用感は異なります。店舗の規模やスタッフ人数とシステムの費用を照らし合わせて、しっかりと費用対効果が見込めるシステム導入を心がけましょう。
おすすめのシフト管理システム・サービス
ここまでで、シフト管理のクラウド化のメリットやシフト管理サービスの選び方についてお伝えしました。そこで次に、実際におすすめのシフト管理システム・サービス例を紹介しましょう。
らくしふ
「らくしふ」は、株式会社クロスビットが提供するLINE・LINE WORKSに対応したシフト管理サービスです。日本ピザハット株式会社や俺の株式会社などの飲食店をはじめ、12,000以上もの事業所で導入されています。
らくしふでは、LINEを使ってスタッフのシフト希望を回収したり、未提出者に向けてシフト提出を催促したりすることが可能です。また、回収したシフト希望は自動で管理画面に反映されるため、シフト作成・管理にかかる工数を大幅に削減できます。実際に、らくしふの活用により、シフト管理工数が「94%」削減されたというデータも出ています。
らくしふの利用料金は、希望のプランによって異なりますが、月額3,300円(税込)から利用が可能です。
料金プラン
月額費用:3,300円(税込)〜
公式サイト
シフオプ
「シフオプ」は、株式会社リクルートが提供するシフト作成・管理システムです。シフトの作成・調整機能はもちろん、シフト希望・共有や人件費管理などシフト管理業務に必要なあらゆる機能が備わっています。
また、パソコンだけでなく、スマホやタブレットなどのモバイル端末にも対応しているのもうれしいポイントの一つです。スタッフに専用モバイルアプリをインストールしてもらうことで、シフトやヘルプ要請をリアルタイムで通知することが可能です。初期費用が無料な上、1ユーザーあたり月330円〜と導入しやすい価格帯となっています。
料金プラン
- ・初期費用:0円
- ・月額費用(1ユーザーあたり):330円(税込)
- ※1,000名以上でご利用の場合、お得なIDパックあり
公式サイト
AirSHIFT
「AirSHIFT」も株式会社リクルートが提供するシフト管理にまつわる煩雑な作業を一元化できるシフト管理サービスです。シフト提出依頼の送信から希望シフトの収集・一覧化までを自動で行ってくれるため、手間が省けるのはもちろんのこと、転記ミスをなくすことができます。
また、シフト表と一体となったチャット機能が備わっており、スタッフとストレスなくやりとりできるのもAirSHIFTの特徴の一つです。シフト提出・確認ができる専用アプリ「シフトボード」が用意されていることもあり、スタッフ目線でも導入メリットの大きいサービスです。
料金プラン
- ・初期費用:0円
- ・月額費用(1ユーザーあたり):110円(税込)
公式サイト
まとめ
今回は、シフト管理における課題やシステム導入によるクラウド化のメリット、おすすめのシフト管理・サービスシステム例を紹介しました。
管理者に多大な負担がかかってしまいがちなシフト管理は、シフト管理システム・サービスを導入してクラウド化するのがおすすめです。自社に合ったサービスを選定して、シフト業務の大幅改善を目指しましょう。