中国のモバイル決済サービス「Alipay」は、最近日本でも導入するお店が増えています。しかし、まだ馴染みがなく、どんなサービスか分かっていないという方も多いのではないでしょうか。
Alipayは集客力を高めるのに非常に役立つサービスです。本記事では、Alipayを導入するメリットや導入方法などについて解説します。Alipayと連携してさらに集客力を高めることができるサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
Alipay(支付宝/ アリペイ)とは?世界最大級のQRコード決済
Alipayは日本ではあまり知名度がないため、知らない方も多いと思います。まず、本項目で説明する概要を通して、Alipayについての基本的な情報を確認しましょう。
Alipay(支付宝/ アリペイ)とは?
Alipayとは、中国を拠点とする大手IT企業のアリババグループが運営する、QRコード決済サービスです。利用者は12億人と多く、中国の通貨である人民元で支払いを行います。支付宝(ジーフーバオ)は、中国におけるAlipayの名称です。中国はキャッシュレス化が進んでおり、総人口が世界一であるためキャッシュレス利用者も多いのですが、Alipayはシェア54%(2019年時点)と、中国で最も利用されているモバイル決済です。
日本の主要QR決済サービスとの違い
基本的な仕組みは、日本で普及しているPayPayやLINE Payと変わりません。スマートフォンのアプリを利用したQRコード決済で、お店に置いてあるQRコードを読み込むか、スマホにQRコードを表示して店員に読み込んでもらうことで支払いを行えます。
以前のAlipayは中国国内の銀行口座を持っている人でないとチャージができませんでしたが、2019年11月から日本のクレジットカードでもチャージできるようになり、日本人にも使いやすくなりました。
WeChatPay(微信支付/ウィーチャットペイ)との違い
中国の2大モバイル決済サービスとして、AlipayのほかにWeChatPayがあり、中国のキャッシュレス決済市場の90%はこの2つが占めています。
WeChatPayはAlipayより後発ですが、“WeChat”という日頃から使うチャットアプリの機能の一つとして爆発的に広がりました。そのため、Alipayが金融関連に特化しているのに対して、WeChatPayは友人・家族間での送金といったコミュニケーションに特化しているという違いがあります。WeChatPayを使って個人間でやり取りされるお金は、お年玉やご祝儀など様々です。日常的な金銭のやり取りをスムーズにすることで、コミュニケーションを促進するツールとしても機能しています。
Alipayが中国で支持されている9つの理由
Alipayがモバイル決済サービスの中でも、中国で最も多くの支持を集めているのには理由があります。本項目で代表的な理由を9つ紹介するので、Alipayについての理解を深めていきましょう。
基本的に手数料が無料
AlipayはQRコードを読み取るだけで会計が完了する使いやすさに加え、利用者側の手数料は基本的に無料なので手軽に利用できます。
また、実店舗が導入している場合、お釣りの間違いや盗難のリスクを削減できることも大きなメリットです。ECの場合は、商品購入代金を国際送金で支払う際の手数料や、外貨両替などが必要なくなり、手数料コストを削減できます。
公共料金や飛行機、ホテルなどほぼすべての支払いに使える
Alipayは日常的な買い物はもちろんのこと、様々な支払いに対応しています。水道光熱費といった公共料金、インターネットや携帯の料金、家賃や学費、さらには罰金など、生活で発生するほぼすべての支払いをAlipayで行うことができます。
また、アリババグループが運営している旅行専用プラットフォームがあるため、支払いだけでなく電車や飛行機、ホテルなどの予約もAlipayからできます。
銀行口座から簡単にチャージできる
Alipayアカウントは銀行口座の他に、複数のクレジットカードやデビットカードと紐づけることができます。クレジットカードは、国際ブランドでいえばVisaとMastercardでチャージ可能です。
チャージが足りなかった場合も、紐づけられた銀行口座から直接引き落としで処理することができます。このように、Alipayには様々なチャージ方法が用意されていますが、どの方法でも手数料が無料なので気軽に使うことができます。
金融機能が充実している
決済以外にも金融機能が充実しており、クレジットカードの決済もAlipayの残高、もしくはアプリに紐づけられたデビットカードから手動で行うことができます。個人間の送金機能もあり、無料なので頻繁に使用されています。この機能があれば友人との食事の際に代表が一人で会計を済ませ、あとで他のメンバーからお金を集めることも簡単にできます。
利率が高い預金サービス機能「余額宝(ユエバオ)」
Alipayには「余額宝(ユエバオ)」という預金サービス機能があります。余額宝はAlipayにチャージしておくだけで利息が貰えるうえに、銀行の預金よりも利率が高く年4%前後に設定されています。また、余額宝から株、民間保険、基金購入といった投資も行えるため、若者の中で特に人気です。こういった機能によりAlipayは単なるモバイル決済サービスではなく、一種の投資ツールとしても重宝されています。
家族の代わりに支払う機能「親密付」
Alipayには「親密付」という、家族の代わりに支払いを行える機能もあります。配偶者、子供、両親、兄弟姉妹といった家族のAlipayを繋げることができ、相手が銀行口座を持っていなくてもAlipayアカウント同士の残高から支払うことが可能です。限度額や毎月届く通知メールを設定することも可能なので、使いすぎを防止することもできます。
オフラインの実店舗を集客する機能「O2O集客」
Alipayにはオフラインの実店舗を集客する「O2O集客」という機能もあります。「O2O」とは「Online to Offline」の略称で、オンラインサービスをきっかけにしてオフラインの実店舗へ集客することを意味します。Alipayのアプリ上で様々な店舗情報を検索できるのに加えて、セール情報や利用者からの口コミ、クーポンの発行などの機能で実店舗の集客を促進しています。
個人の信用度をスコア化する機能「芝麻信用」
Alipayにはユーザーの行動や支払い状況、決済履歴などから分析して個人の信用力をスコア化する「芝麻信用」という機能があります。各ユーザーのデータを分析して「身分特質」「履約能力」「信用歴史」「人脈関係」「行為偏好」の5項目でスコア化し、ユーザーの信用力を数値として客観的に判断します。
このスコアの数値によっては、ローンの金利が優遇されたり、レンタカーを借りる際の保証金が不要になったりと様々な特典を受けることが可能です。
オンラインクレジット払いサービス機能「花唄(ホア・ベイ)」
Alipayの運営会社が行っているサイトショッピング淘宝網(タオバオ)で使える、「花唄(ホア・ベイ)」というオンラインクレジット払いサービスもあります。買い物をした翌月以降に決済する後払いのサービスで、「芝麻信用」のスコアが高いほど決済限度額も高くなります。支払い方法は一括払いの他に、12回までの分割払いも利用することができます。
Alipayが日本で注目される背景
解説した通り、中国で高い支持を得ているAlipayですが、最近では日本でも注目を集めています。飲食店の集客においては大切な情報ですので、Alipayが日本でも注目されている理由についてしっかりと把握しましょう。
訪日外国人の中で訪日中国人の割合が多い
日本を訪れる外国人の中でも、中国人の割合が高いことが理由の一つです。中国人はキャッシュレス文化が進んでおり、Alipayのニーズも高いため、当然訪日中国人の多くがAlipayのユーザーです。コロナ禍前のデータですが、訪日外国人の3割は中国人観光客でした。その3割のほとんどがAlipayのユーザーであると考えれば、インバウンド対策においてAlipayが注目される理由が分かると思います。
訪日中国人に最も使われている決済アプリ
中国では2大QRコード決済の1つであるAlipayは、中国のお店などで非常に幅広く利用できるため、使っている人数が最も多いことも日本で注目される理由です。先述の通り、訪日観光客には中国人の割合が高いため、中国と同じ決済サービスを利用できることは、ユーザーにとってユーザーにとって大きな利便性をもたらします。特に、Alipayが使えることが一つの魅力になるため、導入は大きなメリットにとなるでしょう。
Alipayの使用者は今後も拡大が期待できる
コロナ禍では、中国から日本への入国に規制がかかっていましたが、2023年3月から規制が緩和されました。これに伴い、日本におけるAlipayの使用者は今後も増えていくと予想されます。また、2025年には大阪万博が開催されるため、こちらも外国人観光客の増加要因になると考えられます。こういった今後の需要増に備えて、日本ではAlipayへの注目度が高まっています。
日本の店舗がAlipayを導入するメリット
日本の店舗がAlipayを導入した場合、様々なメリットを得ることができます。本項目で主なメリットについて解説するので、集客のためにAlipayの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
決済処理がスムーズ
AlipayはQRコード決済であるため、、現金の受け渡しがなくスムーズに決済処理を行えます。お釣りを数えて渡すといった作業も省かれるため、言葉の通じない相手であってもレジの会計ミスを防止することができます。また、送金手続きや外貨両替の手間がなく、送金手数料といったコストもかからないため、訪日中国人客との金銭のやり取りが非常に楽になることもメリットです。
安全性の向上とトラブルの軽減
前述の通り、Alipayであればレジの会計ミスを防止できるため、トラブルの軽減に繋がります。また、銀行から直接チャージもできるため、手持ちの現金が少なくて支払いができないといった問題を回避できます。限度額まで買い物ができるため、安全性やトラブル防止に繋がるだけでなく、現金がなく利用できないといった機会損失も防ぐことができます。
為替変動リスクの心配がない
Alipayの加盟店に対する支払いは、販売時点の日本円価格の売上金額に合わせて円建てで行われます。また、入金額は日本円で決定されるので、為替の変動リスクがないというメリットもあります。加盟店に対しては日本円で支払われる一方で、中国のユーザーに対しては日本円の販売額を中国の通貨である人民元に換算して、その価格を提示するという仕組みになっています。
訪日中国人などインバウンドの獲得
先述の通り、中国ではキャッシュレス文化が進んでおり、慣れた決済手段のニーズが高いため、Alipayの導入はインバウンドの獲得に繋がります。また、Alipayのモバイル決済アプリ内に日本の飲食店を検索できる機能もあります。そのため、訪日中国人はAlipayアプリを見て、日本の飲食店に訪れる可能性があります。つまり、Alipayが使えるということがお店を選ぶ基準にもなるため、その点においても導入がインバウンドの獲得に役立ちます。
Alipayの決済の仕組み
Alipayによる決済にはいくつかの種類があり、導入する店舗によって適した方法は異なります。ここでは、決済の仕組みを紹介しますので、自店舗に導入する際の参考にしてください。
リアル店舗などで使える店舗掲示型のオフライン決済
リアル店舗などで使える方法に、店舗掲示型のオフライン決済があります。まず、店舗側で読み取り用QRコードを設置します。続いて、Alipayアプリを立ち上げてスキャンしてもらい、金額を入力することで決済する方法です。QRコードはタブレットに表示する方式もありますが、ステッカーやPOPなどで読み取り用QRコードを用意するだけでも導入できるため、コストを少なくすることができます。
リアル店舗などで使える消費者掲示型のオフライン決済
リアル店舗などで使える決済方法には、前項で紹介した方法とは反対に、お客様にQRコードを提示してもらう消費者掲示型のオフライン決済も存在します。Alipayアプリを立ち上げて支払い用のQRコードをお客様に掲示してもらい、店舗はQRコードをスキャンして決済するという方法です。この方法の場合、専用アプリをダウンロードしたタブレット端末などを用意する必要があります。
ネットショッピングなどで使えるオンライン決済
ネットショッピングなどの場合、ダウンロードしたAlipayアプリで決済する方法と、ECサイト上の決済ページで決済する方法があります。Alipayアプリを使用する場合、決済ページ上に表示されたQRコードをAlipayアプリで読み取ることで決済可能です。ECサイト上の決済ページを使用する場合、Alipayにログインして支払い用のパスワードを入力することで決済することができます。
Alipayを導入する方法は?
Alipayを導入するには、決済代行会社や金融機関といったAlipay認定の代理店に申し込む必要があります。代理店の加盟店審査を通過したあと、アカウントが発行され、利用開始という流れになっています。
また、代理店によっては様々な決済手段をまとめて契約できる場合もあります。Alipay以外の訪日客に人気の決済手段も包括的に導入できるので、さらなるインバウンド需要を狙えるうえ、複数の決済手段を同時に取り扱うことで、導入と維持のコストを軽減することができます。
Alipayの申し込みから利用までの期間は事業者によって異なり、短い場合では約10営業日ですが、長い場合は1ヶ月ほどかかることもあります。
加盟店の業種ごとの制限などもあるので、詳細についてはAlipay認定の代理店に相談しましょう。
「集客コボット for SNS Booster」と連携するとさらに集客が可能!
「集客コボット for SNS Booster」というツールをAlipayと連携させ、さらなる集客に繋げることができます。
「集客コボット for SNS Booster」は主に飲食店の予約受け付け、管理を行うサービスです。
Alipayアプリ内の日本の飲食店検索・予約ミニアプリに店舗情報の掲載や、予約受け付けをすることができます。
また、Google Maps、Instagramにも「予約ボタン」を簡単に設置可能なので、これらのアプリで検索してお店を知ったユーザーを来店まで繋げやすくなっています。
費用は基本料金の20,000円のみで、初期費用や予約手数料は0円なので予約増加での負担もありません。また、予約管理のための台帳システムも追加料金なしで使うことができます。
インバウンドの獲得にも役立ちますので、ぜひ導入をご検討ください。
まとめ:「Alipay」を導入して外国人観光客の集客をしよう!
「Alipay」は中国で最も利用されているQRコード決済です。日本で最も多い観光客は中国からの来訪者(2019年時点)であるため、外国人観光客の集客力を上げるためには、Alipayの導入は欠かせません。
Alipayの機能でお店のことを知ってもらい、スムーズに会計を行えるよう、インバウンドを獲得していきましょう。
また、Alipay内のミニアプリに店舗情報を掲載できる「集客コボット for SNS Booster」の導入もおすすめですので、併せてご検討ください。