業務改善提案の方法は?提案書の必要項目と書き方の例│コボットLAB

業務改善提案の方法は?提案書の必要項目と書き方の例

  • 2021年10月25日
  • 2024年12月7日
  • その他
業務改善提案

業務改善は、企業の利益向上に欠かせない取り組みの一つです。特に社内のリソース不足に対応するためには、業務や組織における課題を見つけ、“ムダ”を省き効率化を進めていくことが欠かせません。

効果的に業務改善を行うためには、業務の現状を把握した上で実現可能かつ施策効果の高い提案をすることが欠かせません。そこで今回は、業務改善提案の方法・手順と、提案に必要な「改善提案書」の書き方について詳しく解説します。

業務改善提案とは?

そもそも、業務改善とは現状の業務を見直し改善するための取り組みのことです。一般的に、業務改善は業務における“ムダ”・“ムリ”・“ムラ”を取り除き、業務効率化やコスト削減を実現することを目的としています。

つまり、「業務改善提案」は、業務における課題を見つけ、より良い状態を構築するために改善策を上司や経営層に提案することを意味します。業務改善提案の具体的な手順については後述していますが、提案書(報告書)を作成して行う方法が一般的です。


業務改善提案の方法・手順

続いて、実際にどのようにして業務改善提案が行われているのか、その方法と手順をステップごとに解説していきます。

業務を可視化する

まず、業務改善提案をするにあたっては、現状の業務内容や業務プロセスの可視化を行います。業務プロセスは、時間が経つにつれて複雑化・属人化しやすく、実際に業務に従事しているメンバーでさえ業務の全体像を把握できていないことが珍しくありません。

業務の可視化を行うことにより、業務のブラックスボックス化が解消され、「現場がどのような課題を抱えているのか」「何をどう改善すべきなのか」といったことを明確に把握できるようになります。そのため、業務が抱える課題を見つける下準備として、業務プロセスの可視化に取り組むことが大切です。

具体的な方法としては、業務フローチャートを作成して可視化する方法が一般的です。担当部署や担当者、作業の流れといった情報を誰が見てもわかりやすいようにアウトプットしていきましょう。


業務や組織が抱える「課題」を見つける

続いて、業務の中から業務改善提案を必要とする「課題」を見つけ出します。この際のポイントとしては、業務フローの中の“ムダ”・“ムリ”・“ムラ”を洗い出すことです。

  • ・業務や作業、人材に“ムダ”がないか
  • ・従業員一人ひとりの業務量やスケジュール、納期に“ムリ”がないか
  • ・作業プロセスや人件費に“ムラ”がないか

業務フローをこのような視点から見ることによって、現状の業務における課題を効率良く把握できるようになります。この後の改善案の考案をスムーズに進めるためにも、課題の洗い出しは丁寧に行っておきましょう。

優先順位を決める

ここまでで課題を洗い出してきましたが、すべての課題を改善するためのリソースを確保することは現実的ではありません。そこで、改善対象となる業務の優先順位を決め、優先順位の高いものから取り組んでいく必要があります。

たとえば、繰り返しが多いにもかかわらず、多くの時間・工数がかかっているノンコア業務は、ツール導入によるワンストップ化や自動化、そして外注サービスの活用など、実現可能性と期待できる効果がともに高いことが考えられます。

このように、実際に具体的な改善策を考案する前に「どのくらい改善を必要としているか」「現実的に実行可能か」「投資に対するメリット・効果は大きいか」といった基準をもとに優先順位を決めておきましょう。

改善策を考案する

優先順位をつけたら、どのような改善施策を取るべきかについて考えます。たとえば、特定業務の効率化を課題とする場合、一例として以下のような改善策が考えられるでしょう。

  • ・業務を分業・一元化する
  • ・ツール・システムを導入し自動化する
  • ・業務担当者を変更する
  • ・業務をマニュアル化する
  • ・ノンコア業務を外部企業にアウトソーシングする

改善策のアイデアを一通り出し合った後は、必要なリソースや費用対効果、実現可能性などを慎重に試算します。

業務改善提案書の作成

改善すべき課題や具体的な改善策がまとまったら、「業務改善提案書」を作成します。業務改善提案書とは、具体的なアプローチや予算、リスクなどを交えて改善提案を行う書類のことです。ちなみに、業務改善報告書と呼ばれることもあります。

業務改善の必要性を上司や経営層に理解してもらうため、そして実際に改善策の実行を取り付けるため、業務改善提案に関する事項をA4一枚程度に簡潔にまとめましょう。業務改善提案書の目的や必要項目、書き方については以下で詳しくお伝えしていきます。


業務改善提案書の目的

次に、業務改善提案書を作成する目的について確認しておきましょう。良い提案書を作るためにも、目的やメリットを理解しておくことが大切です。

業務改善提案書を作成する目的は、大きく分けて2つあります。

一つ目は、提案書を作成する過程で、業務の現状や改善の背景・内容に対する理解を深めることです。提案書を作成するにあたっては、上司や経営層に向けて現状から具体的改善策までわかりやすくまとめる必要があります。現状や改善策を客観視することで、新たな考えが生まれたり、業務・改善内容を整理できたりします。

二つ目の目的は、業務の現状と業務改善の必要性を社内に共有し、実際に改善策の実行を取り付けることです。平たくいえば、あらゆる意思決定の権限を持つ上司や経営層の承認をもらうことです。業務改善の実施には、費用や人材といったリソースが必要なため、上層部に提案内容を承認してもらう必要があるというわけです。

ただし、業務改善提案書の本質は「企業の利益向上」にあることを忘れてはなりません。ここを欠いてしまうと、本末転倒になってしまいます。提案書を作成する際は、「企業のゴール・目的を果たせているか」「利益向上につながるか」といった視点を忘れないように注意しましょう。


業務改善提案書の必要項目と書き方

業務改善提案の必要項目

業務改善提案書には、正式なテンプレートというものは存在しません。自由に作成することができる一方で、記載すべき項目をしっかり押さえ、必要な情報を網羅することが大切です。

では、業務改善提案書には具体的にどのようなことを記載すれば良いのでしょうか?ここでは、業務改善提案書の項目例と書き方について紹介しましょう。

全体概要

まず、読み手が一目で提案内容の全体像を掴めるよう、概要を一番上に記載します。業務改善提案書は、全体でA4一枚程度と短いため、わかりきったことをダラダラと記載する必要はありません。

今回提案する改善案に関する必要な情報と要点のみ、簡潔にまとめることが大切です。なお、どのようにまとめるか迷った場合は、5W1H(いつ、誰が、どの業務を、どの範囲で、なぜ、どうやって)に着目すると伝わりやすい提案書を作成できます。

現状について

業務改善の必要性を理解してもらうためには、まず現場や業務の現状を知ってもらう必要があります。読み手の視点に立って、現状の業務フローを理解しやすいように定量的かつ客観的に記載しましょう。

どのくらいの業務量を抱えているのか、担当者数や納期はどのくらいかなどといったことを、具体的な数字で示すことで、現状を正確に把握してもらいやすくなります。

問題点・課題

上で明記した現状に続いて、現状の問題点と課題について記載します。問題点をわかりやすく具体的に記載することも、読み手に業務改善の必要性を理解してもらう上でとても大切なポイントの一つです。

「ミスが多発している」「時間がかかっている」など、問題点を漠然と提示するだけでは十分とはいえません。しっかりと現状分析を行い、「月に〇回ミスが発生している」「月に〇時間ロスしている」など、具体的な数を用いて問題点を明記するようにしましょう。

記載例

  • ・〜が原因で、納期を守れないことが月に〇回ある
  • ・〇〇業務におけるミスのフォローに月〇〇時間を要している

業務改善のアプローチ・解決策

続いて、問題点や課題を解決するための具体的なアプローチ点解決策について記載します。「〜したい」といった個人の理想や意見ではなく、具体的にどのように改善していくのかを書くことがポイントです。

また、誰が読んでもわかりやすいよう、手順や行動案を詳しく記載しましょう。

予想されるメリット・効果

業務改善を提案するにあたっては、どのように企業の利益向上につながるのかを理解してもらうこと、つまりメリットや効果をしっかりと伝えることが非常に重要です。

これは、いわゆる“セールストーク”のようなもので、提案が採用された際のメリットや効果を具体的に示すことで、提案に魅力を感じてもらう必要があります。書き方としては、メリットや効果があることを漠然に伝えるのではなく、具体的に何がどのように改善されるのか、課題が解決されることでどのようなメリットをもたらすのかについて定量的に伝えることが大切です。

記載例

  • ・業務改善により、作業に必要な時間が1日あたり〇時間減る
  • ・業務改善により、必要な人員が〇人から〇人になる
  • ・業務改善により、経費を〇割削減できる

必要な経費・時間

続いて、業務改善に取り組むにあたって必要となる社内リソースについても言及しましょう。具体的には、どのくらいの「経費」「期間」「人員」を必要とするのかを明記します。

多くのリソースを必要とする場合は、「費用対効果」の高さに焦点をあてると良いでしょう。ただし、提案書を作成している過程で予算や人的リソースの観点から「実現性が乏しい」と感じるようであれば、提案が採用されるのは厳しいかもしれません。

その際は、優先順位から見直し、実現可能な提案ができるように心がけましょう。

記載例

  • ・約〇〇万円の予算を想定している
  • ・〇〇の導入に月〇〇円の予算がかかる
  • ・担当スタッフが本プロジェクトに用いる時間は〇〇を見込んでいる

実施スケジュール

次に、ここまでで提案した業務改善を実行する際のスケジュールを記載します。具体的なスケジュールを提示することで、提案により現実味を与えることができます。

全体でどのくらいの期間を想定しているのかはもちろんのこと、いつまでに何が完了するのかを段階的に提示できると理想的でしょう。

記載例

  • ・全体で約〇ヶ月のプロジェクトを予定している
  • ・準備期間に〇ヶ月、実施に〇ヶ月を想定している

リスク

ここまでで、改善策のメリットや効果など企業にとってプラスな情報を記載しました。しかし、改善案の提案にあたっては、想定されるリスクや起こり得る問題点なども付記しておくことが望ましいです。

リスクまで予め明記しておくことで、トラブル防止につながるのはもちろん、読み手の指摘や不安を未然に解消することができます。また、想定されるリスクや問題点まで記載することで、提案における思慮深さも伝わりやすくなるでしょう。

さらには、提示したリスクの回避方法や低減方法なども合わせて明記しておくと、さらに提案を通しやすくする環境が整います。


業務改善提案書を作成する際のポイント

最後に、業務改善提案書を作成する際のポイントをお伝えします。

目的・ゴールを明確にする

上司や経営層にとって、業務改善提案によって果たせる目的やゴールは、採用を決める上で最も大切なポイントの一つです。そのため、メリットや施策効果などが曖昧だと、提案に対する共感や承認を得ることはできません。

提案書を作成するにあたっては、必ず企業全体としての目的やゴールを念頭に置いた上で、それらを達成するための具体的方法やアプローチを伝えられると効果的です。

数字を用いて定量的に記載する

二つ目のポイントは、具体的な数字を用いて定量的に記載することです。業務改善提案書では、経費や時間、人員、工数など定量的に示すべき事項が数多く存在しています。

たとえば、業務改善の目的が業務効率化の場合を考えてみましょう。「この施策により、業務効率が飛躍的に向上します」と記載するよりも「この施策により、業務にかかる時間の2割削減が期待できます」とした方が、読み手にメリットが伝わりやすくなります。

また、業務の現状や課題をしっかりと理解してもらうためにも、抽象的な表現は避け、定量的に記載することを心がけましょう。数を用いることで、誰が読んでも同じ解釈をしてもらいやすくなります。

読み手を意識して客観的に記載する

次に、読み手を意識して客観的な提案をすることも忘れてはならないポイントの一つです。上層部に向けて提案書を作成するにあたっては、提案内容が主観的になりすぎないように注意する必要があります。

たとえば、チームメンバーのことを思うばかりに、個人的な感情にまかせた提案をしてしまっては、会社全体としての利益にはつながりません。あくまでも企業やチーム全体として抱えている課題や、業務改善の必要性を客観的に訴えることが大切です。

また、細かな業務内容やプロセスまで把握していない読み手に向けて報告書を作成するのであれば、業務手順から詳しく説明する必要もあるでしょう。業務に従事していないメンバーが読んでもわかるように、できるだけ一般化して記載するようにしましょう。


まとめ

今回は、業務改善提案の方法と手順、そして業務改善提案書の書き方についてお伝えしました。

業務改善提案書は、業務の現状や課題、解決策を深く理解するため、そして業務改善の必要性を社内で共有し、意思決定へとつなげるためにとても重要な書類です。今回紹介した手順や書き方を参考にして、提案書を作成し業務改善を円滑に進めていきましょう。

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