新型コロナウイルスの感染拡大や業務電子化ツールの普及により、セミナーをオンライン上で開催する企業が増えています。
参加ハードルを下げられるなどのメリットがあるオンライン開催のセミナー、いわゆるウェビナーですが、中には「どのように開催するの?」「何が必要なの?」と疑問に感じている方も少なくないでしょう。
そこで今回は、ウェビナーを開催する上で知っておきたい基本知識や開催方法、必要な機材・ツールなどについて紹介します。
ウェビナーとは
ウェビナーとは、インターネット回線を用いてオンラインで行うセミナーのことです。“ウェブ”と“セミナー”を組み合わせたことばで、「Webセミナー」や「オンラインセミナー」と呼ばれることもあります。
ウェビナーは、オンライン上にバーチャルな会場を作って行うため、従来のように大規模な会場を準備したり、参加者に会場まで足を運んでもらったりする必要がありません。使用するウェビナーツールによっては、1,000人〜10,000人といった大規模なセミナーを開催することも可能です。
ウェビナーとWeb会議の違い
ウェビナーとWeb会議は、オンラインでビデオ・音声を使ってやり取りするという点においてよく似ているため、「この2つは何が違うの?」と疑問に感じている方は少なくないでしょう。しかし、ウェビナーとWeb会議は、使用目的が大きく異なります。
Web会議は、双方向でコミュニケーションを取ることを目的としており、主に社内でのミーティングや顧客との面談・ミーティングなどに向いています。その一方、ウェビナーは主催側が参加者に向かって講演することを目的としています。
主催者側は、参加者を管理・確認したりアンケートを取ったりすることも可能です。主に会社・サービス説明会や研修などに適しています。
ウェビナーの主な用途
場所や時間に縛られず、多くの参加者にアプローチできるのが強みのウェビナーは、社内・社外向けのセミナーや説明会など、幅広い用途に活用されています。ウェビナーの主な活用用途は次のとおりです。
- ・会社説明会
- ・自社商品・サービスの説明会
- ・社内・社外研修
- ・株主総会
この他にも、大人数が集まる社内・社外イベントや報告会などにもウェビナーが活用されています。大人数での集まりが懸念されるコロナ禍の昨今、感染リスクをゼロに近づけられるウェビナーの活用用途はさらなる広がりを見せることが予想されます。
ウェビナーの開催方法
ウェビナーの開催方法は、「ライブ配信」と「オンデマンド配信」の2種類に大別されます。
リアルタイム配信
リアルタイム配信(ライブ配信)とは、遠隔地の参加者とコミュニケーションを取りながらセミナーを進行する配信方法のことです。チャットやアンケート機能を駆使することで、参加者と双方向のコミュニケーションを取れることはもちろん、参加者の反応を見ながら配信内容を変更したり、補足情報を付け加えたりできることが特徴です。
参加者との双方向コミュニケーションを促進したい場合や、参加者の反応に沿って配信コンテンツを柔軟に調整したい場合などには、リアルタイム配信でウェビナーを開催すると良いでしょう。
オンデマンド配信
オンデマンド配信は、事前に録画した動画を配信してセミナーを開催する方法です。参加者が都合の良いタイミングで参加できるため、リアルタイム配信に参加できなかった層にもアプローチできるのが特徴です。
また、同じ内容のセミナーを何度も繰り返し行う場合、オンデマンド配信を選ぶことで、セミナー開催のコストと手間を大幅に削減することができます。場合によっては、リアルタイム配信したセミナーを録画しておき、後からオンデマンド配信するなど、両者の強みを生かしてウェビナーを開催するといった方法も取れるでしょう。
ウェビナーに必要な機材
続いて、ウェビナーを開催するにあたって必要な機材を紹介していきます。
インターネット環境
ウェビナー開催には、インターネット環境が欠かせません。会社で使用している既存のもの使用すれば問題ありませんが、インターネット回線の「安定性」を重要視したいところです。
たとえば、オフィスで一つの回線を共有している場合、他の部署や従業員が回線に負荷のかかる作業をしていると、インターネットの回線が不安定になることがあります。そのため、ウェビナー配信にあたっては、専用のインターネット回線の導入が理想的です。
また、インターネット回線は「無線」よりも「有線」の方が安定します。ウェビナー配信の際は、有線での接続がおすすめです。
パソコン
パソコンもウェビナー開催に不可欠な機材の一つです。マイクやWebカメラが内蔵されている場合、パソコン一台で配信が可能です。また、スマートフォンやタブレット端末でも代用することができます。
ただし、パソコンに内蔵されているマイクだと音質があまり良くないことも少なくありません。外部のマイクを接続することで、音質が向上し、より聞き取りやすい音声で配信できるようになります。ウェビナーの音質にこだわりたい場合は、外部マイクを用意すると良いでしょう。
ウェビナー配信ツール
インターネットとパソコン環境が整ったら、次にウェビナー配信ツールを準備します。ウェビナーツールの選び方やツール例については後述しています。ウェビナーの開催人数や必要な機能を考慮して、自社に最適なツールを導入しましょう。
ウェビナーに必要な機能は?選び方のポイント
ウェビナーツールは、ウェビナーの開催に不可欠なツールの一つです。ここでは、ウェビナーツールに必要な機能とツールを選ぶ際のポイントを紹介します。
同時接続可能人数
ウェビナーツールを導入するにあたっては、必ず「同時接続可能人数」を確認しておきましょう。というのも、ウェビナーの参加者数・規模はツールの同時接続可能人数に左右されるからです。一口にウェビナーツールと言っても、ツールによって300人〜10,000人など同時接続可能人数は大きく異なります。
一般的に、同時接続可能人数が多いほど料金は高くなります。開催したいウェビナーの規模や参加者人数に合わせて、最適なツールを選定しましょう。
画面共有機能
画面共有機能は、ウェビナーで欠かせない機能の一つです。通常のセミナーでは参加者に紙の資料を配布したり、ホワイトボードを使って情報を提示したりすることができますが、ウェビナーではそうはいきません。
そこで、画面共有機能があれば、文字や画像などの資料を参加者にスムーズに共有することができます。ホワイトボードや紙の資料を撮影して共有すると文字が見えにくいことがあるので、画面共有機能がついたツールを選びましょう。
チャット・コメント機能
ウェビナーをリアルタイム配信するにあたっては、チャット機能やコメント機能などのコミュニケーションツールが役立ちます。ウェビナーは通常のセミナーと比較して、参加者の反応を確認したり参加者と交流したりすることが困難な傾向があるため、コミュニケーション機能があるとないとでは、ウェビナーの質に大きな差が出ます。
また、ウェビナーの終わりに参加者から意見や感想を募りたいという場合は、アンケート機能が備わったツールを選ぶことをおすすめします。
管理機能
ウェビナーツールを選定するにあたっては、参加者の管理機能が備わっているかどうかも確認しておきたいポイントです。当日のキャンセル人数を確認したり、参加者の個人情報を管理したりできると、スムーズにウェビナーを進行できます。
特に参加者のメールアドレスといった個人情報は、ウェビナーの招待状やダイレクトメール、アンケートなどの送付時に役立つので、管理機能が充実したツールを選ぶと安心です。
録画機能
ウェビナーでは、録画機能も必要です。リアルタイム配信しているウェビナーを録画しておくことで参加者に後から見直してもらったり、当日参加できなかった人に向けてオンデマンド配信したりすることが可能になるからです。
ウェビナーの配信内容を記録し、次回以降の開催や活動の宣伝などに役立てるためにも、映像の録画機能が備わったツールを選ぶと良いでしょう。
ウェビナーのツール
ここまで、ウェビナーの基礎知識から必要な機材、ツールの選び方までお伝えしました。ここからは、実際におすすめのウェビナーツールを3つ紹介します。
Zoom ビデオ ウェビナー
Zoom ビデオ ウェビナーは、Web会議ツールとして国内トップのシェア率を誇る「Zoom」のウェビナープラットフォームです。Zoomの有料ライセンスに「ウェビナー」のアドオンを追加することで、最大10,000人規模のウェビナーを開催することができます。
料金プランは、同時接続人数によって分かれており、500人、1,000人、3,000人、5,000人、10,000人の5つのプランから選ぶことが可能です。
ウェビナーの主催者は下記の有料ライセンスが必要ですが、参加者はZoomのアプリがあれば参加可能です。知名度が高いツールなこともあり、参加ハードルを下げられるのもメリットの一つでしょう。
料金プラン(1ライセンスあたり)
- ・最大500人の出席者:10,700円〜/月
- ・最大1,000人の出席者:45,700円〜/月
- ・最大3,00人の出席者:133,100円〜/月
- ・最大5,000人の出席者:334,700円〜/月
- ・最大10,000人の出席者:872,300円〜/月
公式サイト
Cocripo
Cocripoは、安心のサポート・セキュリティ誇る国産のウェビナー専用ツールです。
ウェビナー開催に特化した専用ツールのため、開催日時や概要、タイトルを入力するだけで誰でも簡単にウェビナーを開催できることが魅力です。また、参加者は特別なソフト・アプリをダウンロードすることなく、指定のURLをクリックするだけで参加することができます。
ビジネスプランで最大100人、エンタープライズプランで最大300人規模のウェビナー開催が可能です。Cocripoは初月無料で利用できるので、「ウェビナーを試しに開催してみたい」「使い心地を試してから、導入を検討したい」という方でも安心して利用できます。
料金プラン
- ・ビジネス:30,000円(初月無料)
- ・エンタープライズ:70,000円(初月無料)
公式サイト
Cisco Webex Events
Cisco Webex Eventsは、Cisco Systems, Inc.が提供するウェビナー・オンラインイベント用ツールです。最大3,000人のウェビナー参加が可能なうえ、ストリーミング配信であれば、最大4万人もの参加をサポートすることができます。
Cisco Webex Eventsの強みは、参加者を惹きつけるインタラクティブなウェビナーの構築に役立つアンケート機能や音声参加機能、質問・解答機能などが充実しているところです。
また、ウェビナーの開催にあたっては、招待状やポップアップメール、リマインダなどを自動送信し、参加者の参加を促すことも可能です。
料金プラン(1ライセンスあたり)
- ・無料:0円
- ・Starter:1,490円/月
- ・ビジネス:2,980円/月
- ・Enterprice:要問合せ
公式サイト
まとめ
今回は、ウェビナーを開催する上で知っておきたい基本知識や開催方法、必要な機材・ツールについてお伝えしました。
新型コロナウイルスの感染対策が求められる昨今、大人数が集まるセミナーはオンラインでの開催が理想的です。セミナー開催のコストを削減するため、そして参加ハードルを下げるためにも、ぜひウェビナーツールの導入を検討してみてください。