DX推進にはデジタルテクノロジーの活用が必須となりますが、AIの活用方法がよく理解できていない担当者も多いのではないでしょうか。そこで今回は、DX推進に欠かせないAIの役割と、RPAとの関係性について解説していきます。
DX推進におけるAIの役割
DX推進では、SaaSを活用してデジタルデータをクラウド上に蓄積したり、RPAを活用してあらゆる業務をソフトウェアロボットによって自動化したりしますが、AIはこれらの推進プロセスを強力にサポートし、さらに効率化を図る役割を担っています。例えば、AIには機械学習やディープラーニングにもとづく推論・判断の機能が備わっていますが、こうした技術を応用したのが「高度なデータ認識機能」となります。
・画像認識
・音声認識
・自然言語処理
私たちの日々の暮らしにAIが活用されている例として有名なのは「スマートスピーカー」でしょう。人間が発した言葉を音声認識機能で把握し、自然言語処理にて文脈理解などを行っています。
また、AIによる画像認識は、地方自治体の業務改革事例として知られています。地方自治体では、2040年問題(少子高齢化によって本来のサービスが提供できなくなる)という危機を回避するために、人間1人が担当するアナログ業務の業務量削減に取り組む必要がありますが、まずは業務で使用する紙媒体をデジタルデータに変換する「AI-OCR」の活用が進んでいます。
従来のOCR(光学文字認識)では「手書き文字」の認識が難しく、人間による確認・転記が必須となっていましたが、AIの画像認識技術をOCRと連携することで、手書き文字の認識が飛躍的に向上した事例も存在します。AIはあらゆる分野のDX推進を加速させるといっても過言ではないのです。
RPA自動化クラスとAIの関係性
DX推進の鍵を握るRPAの活用ですが、実はRPAの自動化レベルの中でもAIとの関わりが言及されています。以下の表はRPAによる自動化を3つのレベルに分けて記載したものです。
クラス | 主な業務範囲 | 具体的な作業範囲や利用技術 |
---|---|---|
クラス1 RPA (Robotic Process Automation) | 定型業務の自動化 | 情報取得や入力作業、 検証作業などの定型的な作業 |
クラス2 EPA (Enhanced Process Automation) | 一部非定型業務の自動化 | RPAとAIの技術を用いることにより 非定型作業の自動化 ・自然言語解析、画像解析、音声解析、 マシーンラーニングの技術の搭載 ・非構造化データの読み取りや、 知識ベースの活用も可能 |
クラス3 (Cognitive Automation) | 高度な自律化 | 自ら自動化するとともに、意思決定 ・ディープラーニングや自然言語処理 |
RPAを使った自動化プロセスのレベルを上げていくには、「AIを活用した非定型作業の自動化」を行う必要があります。RPAは処理ルールが決まった定型作業の自動化を得意としていますが、「自動化対象業務の範囲を広げることができない」といった理由から、AIのデータ認識・未来予測技術のサポートを受けて、RPAの限界を超えようとする動きが必須となってきます。
AIの4分類
このようにAIはDXを加速させる1つのデジタル技術ですが、全てのAIで思い通りの成果を期待することはできません。AIはおよそ4つの種類に分類できるとされており、自社のDX推進の目標に合わせて、適切なAIを選定していくことが重要となります。
・特化型AI:限定された条件・領域の課題解決に特化して開発されるAI
・汎用型AI:様々なシーンの課題解決に対応するため開発されるAI
・強いAI:人間のような知性を備えて作業を遂行するAI
・弱いAI:人間の一部の知性を備えて特定の作業を遂行するAI
ビジネスシーンでは主に「特化型AI」や「汎用型AI」が活用されます。自社サービスの改良には特化型AIが活用され、社内業務の効率化などには汎用型AIが活用されるイメージです。
デジタルテクノロジーが生み出すDXの形
AIなどの新しいデジタルテクノロジーが互いに連携・協力し合うことによって、以下のようなDXの形が形成されます。
・手足となるSaaS
・頭脳となるAI
・神経系となるRPA
将来的にはこれらのデジタルテクノロジーが連携して、データ取得から蓄積、必要に応じた利活用が自動化されることでしょう。もちろん、DX人材などによる定期的なメンテナンスや調整は必要となりますが、現在行っている業務の一部は完全に自動化され、処理・管理にあたっていた人間はクリエイティブな業務へとシフトしていくことになります。企業はDXの取り組みを推進しながら、捻出したリソースを「いかにDXの動きに巻き込んでいくか」を考えていくことが重要です。
DX実現は人間とテクノロジーの共存
DX推進にあたって、社内には様々なデジタルテクノロジーが導入されていきます。企業によっては、長年使用してきた既存システムの刷新を迫られたり、アナログ業務に携わっていた人材から不安の声を聞いたりすることもあるでしょう。
ぜひ覚えておいていただきたいのは、DX推進の取り組みはあくまで「人間とテクノロジーの共存関係を構築するために実施されるもの」であり、「企業活動の未来を守るために今取り組まなければいけないもの」ということです。単純作業で疲弊している社員をデジタルテクノロジーの力で解放し、複数のデジタルテクノロジーを業務に活用する管理者へと育成していくことも、DXの取り組みが描く未来の企業の形でもあります。
まずは現場の担当者が「どのような業務に日々の時間を費やしているのか」を調べ、デジタルテクノロジーの導入によって「どのくらいの業務量削減が実現できるのか」を可視化しましょう。DXの取り組みはこうしたプロセスを通じて、社員の業務環境を改善していくものでもあると認識することが大切です
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