テレワークの「コミュニケーション不足」の原因は?取りたい対策│コボットLAB

テレワークの「コミュニケーション不足」の原因は?取りたい対策

テレワークのコミュニケーション不足

テレワークを導入する企業はここ数年増加傾向にあります。厚生労働省が発行した参考資料「テレワークを巡る現状について」によると、令和2年度(2020年度)は緊急事態宣言の発令に伴い、例年以上にテレワーク人口が増加していることが報告されており、今後もテレワークの推進に力を入れていくことが予想されます。

テレワークは通勤時間や無駄な会議、業務プロセスの見直し等が図れるメリットがあります。その一方で、課題となっているのが「コミュニケーション不足」です。

先ほどの資料の中でも、「労働者調査では、社内でのコミュニケーションが不足するということがデメリット」と明記されており、テレワークを導入している多くの企業が課題と認識しています。

この記事では、テレワーク中のコミュニケーション不足になりやすい原因と、その解決すべき理由・対策について解説します。テレワーク中のコミュニケーション不足の対策方法を、簡単なものから実際の企業が行った事例なども紹介し、コミュニケーション不足対策に適したツールもお伝えします。

テレワークでコミュニケーション不足になりやすい原因

テレワーク中のコミュニケーション不足を解決するためには、まずその原因を知ることが必要不可欠です。面と向かって会話をすることと、ネットのテキストや音声・映像を通して会話をすることは、一見同じように見えて異なる部分が数多くあり、それらがコミュニケーション不足を招きます。

ここでは、テレワークが招くコミュニケーションについて、具体的にみていきましょう。

テキスト情報だけでは伝わらないことが多い

テレワークではビジネスチャットを活用する企業が多く、主なコミュニケーション手段として利用されています。しかし、テキスト情報だけでやり取りをしていると、相手の表情や雰囲気を感じ取れないため、細かなニュアンスが伝わらない可能性があります。

ニュアンスの齟齬がお互いの認識の違いを生み、コミュニケーションへの積極性が減退してしまいます。コミュニケーションが不足した人同士は、より一層お互いが考えていることが伝わりづらくなります。

雑談の場が失われる

雑談はチームの雰囲気を良くし、リラックス効果を生み出すなど生産性の上昇に欠かせないものです。しかし、テレワークだとどうしても雑談の場が減ってしまいます。

ビジネスツールを通したコミュニケーションでは、常に自分の発言が他の人に見られているように感じ、情報が残ってしまうため気軽な発言ができず、そもそも雑談のきっかけが失われる傾向があります。

チャット・ビデオ通話のそれぞれの利点が活かせない

テレワークでの主なコミュニケーション手段は、チャットかビデオ通話の二択です。両者の利点は異なりますが、その違いを把握せずに利用していると、結果的にコミュニケーションがうまくいかない可能性があります。

チャットは情報が明確に残るため正確な業務連絡に向いています。しかし、細かいニュアンスを伝える難しさや連絡のタイムラグが大きさなどから、スピード感が必要となる業務には向いていません。

一方のビデオ通話は、リアルタイムにやり取りができ相手の表情が見えるため、伝わる情報量もチャットと比べて格段に多いです。ただ、環境構築や利用中にトラブルが発生した際の対応がチャットよりも難しいため、使用者それぞれに高いITリテラシーが求められます。

つまり、チャット・ビデオ通話はそれぞれ利点が異なり、業務内容によって使う場面をはっきりと分ける必要があります。これをないがしろにすると、コミュニケーションがうまくいかなくなるのです。

なお、LINE(ライン)をビジネスツール代わりに使用する企業もありますが、あまりおすすめできません。その理由は、LINEがファイルの送受信にあまり向いていないことや、電話番号依存のアカウントであるため、汎用性が低いことなどが挙げられます。ビジネスでは、専用のコミュニケーションツールを用いましょう。


テレワーク中のコミュニケーション不足を解決すべき理由

ここまで、テレワーク中のコミュニケーション不足の原因についてお伝えしました。しかし、原因をただ理解するだけでは、「結局なぜ解決する必要があるのか?」とピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

確かに、課題として顕在化するまで、事の重大性を実感するのは難しいかもしれません。そこで、続いてはコミュニケーション不足がもたらす不都合を知ることで、コミュニケーション不足を解決すべき理由を確認していきます。

人間関係や企業の色が失われるから

ビジネスに限らず、コミュニケーション不足によって人間関係は希薄になります。人間関係が希薄になることで、チームの能力や性格の把握が難しくなり、適切な仕事配分が難しくなります。その結果として、自信喪失や不信感につながり、さまざまなデメリットが生じます。

さらに、企業内でのイベントやレクリエーションがなくなるため、企業の文化や伝統などといった色が失われます。企業の色は、企業の根幹に関わることですので、同業他社との差別化に大切な要素です。したがって、コミュニケーション不足は企業力の低下につながる重要な問題であり、早急に解決すべき問題なのです。

仕事のクオリティが低下するから

オフィスよりも集中できるため、テレワークによって生産性が上がる人は少なくありません。こういった人たちは、自宅が作業に快適な環境であるため、仕事能率が上昇します。

反対に、テレワークで仕事のクオリティが低下する人もいますが、決して自宅の環境が悪いだけが原因ではありません。その背景には、テレワークでのコミュニケーション不足も考えられます。

一般的に、テレワークでは個人の空間で作業するため、孤独感やストレスにより、作業に集中できなくなることがあります。今までと異なる環境に、将来の不安を感じてしまう人も少なくありません。

特に、雑談や飲み会で細かくストレスを発散するタイプの人は、テレワークによるコミュニケーション不足がストレスになり、仕事のクオリティが下がってしまいます。

評価基準がテレワーク前と大きく変わるから

テレワークの導入直後は問題がなくても、時間が経ってから顕在化する問題として「評価基準の不明瞭化」があります。

「テレワークを巡る現状について」の中でも、「上司から公平・公正に評価してもらえるか不安」「成長できる仕事を割り振ってもらえるか不安」という回答があります。つまり、テレワークによる職務環境の変化が、昇進や成長に与える影響を心配している人が数多くいるのです。

「上司と気軽に会話・質問がしづらくなり、自分が評価されているのかどうかわからなくなった」という声も多く、問題の根底にコミュニケーション不足が根底にあることがわかります。こういった傾向は特に若手社員に多く見られ、メンタルヘルスの悪化につながります。


テレワーク中のコミュニケーション不足対策

テレワークのコミュニケーション不足が、さまざまな不都合をもたらすことが理解できたかと思います。それでは次に、具体的な解決策について紹介していきます。

なお、ここで紹介するのは「すぐにできる対策法」ということに重点を置いています。気軽に取り入れることができるものを重点的に紹介しますので、テレワーク中のコミュニケーション不足にお悩みの方は試してみてください。

情報共有の回数を増やす

最も簡単かつ効果的な方法は、情報共有の回数を増やすことです。テレワークを実施するうえで、最もやっかいな敵が「情報発信の心理的ハードル」です。

チャットやビデオ通話などの物理的に分断された状況では、オフィス業務と比べて発言へのプレッシャーが増えます。情報共有の回数を増やすと全体の情報を把握しやすくなるうえに、チームメンバーが自分の状況を発信することへの心理的ハードルが下がり、結果的に円滑なコミュニケーションにつながります。

管理職の方々は、「数時間に1回報告」といったように、メンバーの情報共有をある程度義務化しても良いでしょう。単純な方法だと感じるかもしれませんが、大きな効果を発揮することもあります。

気楽なコミュニケーションの場をつくる

業務に関係のない気軽な雑談の場を設けることも、テレワークによるコミュニケーション不足の解決策として効果的です。雑談がコミュニケーション不足の解消に需要であることはすでにお伝えしましたが、オンライン会議で気軽にコミュニケーションを取ることに気が引ける人は少なくありません。

チャットツールで雑談専用の部屋を用意したり、ビジネスの話一切禁止のWeb会議をあえて設けたりといった対策が有効なケースもあります。

1対1の面談を実施する

情報発信の回数を増やしたり雑談の場を設けたりしても、全員がすべてをさらけ出すわけではないため、未解決の問題が残ってしまうこともあります。その解決策として、個々人が抱く課題を吸いあげるために、1対1の面談を実施すると良いでしょう。

また、面談の内容も重要です。漠然とした内容よりも、「テレワークそのものに抱いている不満や不安」「テレワークが原因でコミュニケーション不足を感じる時」を洗い出すことを優先した方が、問題解決につながりやすいです。

アプリやウェブサービスを導入する

やや手間とコストのかかる対策ですが、新たにアプリやウェブサービスを導入するという手段もあります。

世間でよく知られているツールでテレワークを進めていると、業種によってはツールによる問題が出てくることがあります。社員のカラーや業態に合ったコミュニケーションツールを選ぶことで、コミュニケーションの活性化が望めます。


厚生労働省の事例から学ぶコミュニケーション不足対策

厚生労働省のテレワークにおけるガイドライン

厚生労働省はテレワーク促進事業を数年前から行っており、テレワークに関する情報をまとめた「テレワーク総合ポータルサイト」を運営しています。テレワーク中の課題解決へのガイドラインや実例も数多く紹介されており、コミュニケーション不足対策についての有用な情報が数多く掲載されています。

ここでは、これらの資料を参考に、コミュニケーション不足対策を具体的に紹介していきます。

厚生労働省のガイドライン

数ある資料の中でも、次の3点は特に参考になります。

  • ・「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」
  • ・「テレワーク活用の好事例集」平成28年度版
  • ・「輝くテレワーク賞事例集」令和2年度版

「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」は、テレワークにおける労務管理の基本的な情報が掲載されています。特に、労働基準法に準拠したノウハウが掲載されているため、テレワークをこれから始める企業は、真っ先に確認すべき資料です。

「テレワーク活用の好事例集」および「輝くテレワーク賞事例集」は、厚生労働省が毎年発行する資料です(「テレワーク活用の好事例集」は平成26~28年度、「輝くテレワーク賞事例集」は平成27~令和2年度)。

日本の企業が行っているテレワーク事業の好事例がまとめられています。テレワーク環境改善の具体的事例として、参考になる情報が数多く掲載されています。

次の項目からは、厚生労働省が発行する資料の中で、コミュニケーション不足の対策として実際に掲載されているものを紹介します。

ツールの積極的な活用

テレワークを推進している企業の共通点として、ツールを積極的に導入している点が挙げられます。こういったツールの導入は、ハード・ソフトの両面において充実しています。

社員全員にタブレット・スマートフォンやネットワーク環境を配布し、常にテレビ通話をしながら業務が行える環境の構築や、出退勤や日報管理専用のソフトウェアの利用によって社員の状況を把握しています。

また、これらのツールを用いて、テレワークの不安解消を目的とした「テレワークセミナー」を実施している企業もあります。ツールを最大限に活用することで、テレワークのコミュニケーション不足の解消につなげていることがわかります。

サテライトオフィスの活用

好事例として紹介されている企業の多くが「サテライトオフィス」を導入し、成果につなげています。サテライトオフィスとは、本社からは物理的に離れた位置にある小規模のオフィスのことです。サテライトオフィスの設置により、オフィスに近い環境でありながら、テレワークを行うことができます。

したがって、自宅での作業に問題を抱える社員に快適な業務環境を提供できます。少人数体制を取ることができるため、完全な孤独から逃れることができ、コミュニケーション不足において効果があります。


コミュニケーション不足対策に活用したいWebサービス・アプリ

テレワークにおけるコミュニケーション不足対策には、Webサービスやアプリをしっかり活用することが不可欠です。コミュニケーションを円滑で進めるために有用なWebサービス・アプリを紹介します。

Web会議システム

Webex

Webex

Webex世界中のWeb会議に使用されており、画面共有や資料共有、録音などの機能が充実しています。特にセキュリティの頑健性の評価は高く、機密性の高いビジネスを行う上では欠かせないツールです。

Zoom

Zoom

Zoomも、Webexに並ぶWeb会議システムアプリです。機能的な面においてはWebexと遜色なく、IT機器に詳しくない人でも使いやすい設計です。

ただし、セキュリティ面においては課題が多く、ビジネスで使用する際には注意が必要です。

テレビ会議システム

テレビ会議システムはWeb会議と混同されがちですが、専用の機器を用いて高品質な映像と音声で通信できる点が異なります。そのため、Web会議よりも導入コストがかかることがありますが、複数人対複数人の会議ではテレビ会議の方が有用です。

V-CUBE Box

V-CUBE Box

V-CUBE Boxは数あるテレビ会議システムの中でも安価で拡張性が高いことが特徴です。Web会議との互換性もあるため、円滑なコミュニケーションのテレワーク推進に活用できるツールです。

ビジネスチャットサービス

チャットワーク

チャットワーク

チャットワークは日本発のビジネスチャットツールで、ITに明るくない人にも使いやすく設計されていることが特徴です。初見でも直感的に使いやすいツールです。

仮想オフィス

Web会議システムをさらにオフィス環境に近づけたものに「仮想オフィス」があります。

Remotty

Remotty

Remottyは日本発の仮想オフィスシステムです。そもそもの開発の発端が「何気ないコミュニケーションの活性化」にあり、テレワークで陥りがちなコミュニケーション不足対策に重きを置いています。

業務管理システム

MiTERAS

MiTERAS

MiTERASは、テレワークの増加で注目され始めた業務管理システムです。社員一人ひとりの業務を「可視化」することができ、勤務実態の把握や、「働きすぎ・働かなさすぎ」などといった実労働時間との乖離を把握できる機能が特徴的です。

サービス残業や休日残業に対してアラートをかけられるため、社員全体の状況の透明性が格段に上昇します。


まとめ

テレワークによるコミュニケーション不足の原因と対策について紹介しました。テレワークのコミュニケーション不足がもたらす問題は深刻であり、すぐに改善に取り組む必要があります。

こちらの記事を参考にし、ぜひ対策に組み込んでみてください。

ディップ株式会社では、日本を支える中小企業の皆様に向けて、ワンストップのDXサービスを提供しています。

DXの実践においては、人材確保や教育の壁、DXを前提とした組織改革の壁、そして予算の壁と、さまざまな課題が立ちはだかります。ディップが提案する「one-stop DX.」は、これらの問題を専属のカスタマーサクセスが並走しながら導入と運用をサポートいたします。DXに伴う現場の混乱やシステムの複雑化を回避可能です。

また、ディップではソリューションの提供にあたって、すべて自社のスタッフが顧客対応を行うダイレクトセールスを採用しています。営業とカスタマーサクセス、開発チームが密に連携を取っている営業スタッフが、顧客の潜在ニーズまでを丁寧に把握し、満足度の高いサービスの提供に努めます。

提供するDXソリューションは、バックオフィスとセールスの双方に適用可能です。DX推進を検討の際には、お気軽にご相談ください。

>DX推進にお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。

DX推進にお悩みをお持ちの方はお気軽にご相談ください。

ディップ株式会社は自社で培った営業ノウハウと、多様なデジタルツールを組み合わせ、お客様の収益向上に関わるあらゆることを専門担当制でのサポートを提案します。
人材の確保やデジタルツールの選定・導入、その他企業収益向上に関してお悩みをお持ちの方は、お気軽にディップ株式会社へお問い合わせください。