新卒・中途採用における面接の日程調整は、採用担当者にとって重要な業務です。会社の将来を担う人材を獲得する場だからです。他社に優秀な人材を獲得されないよう、スムーズな日程調整が求められます。
ですが、採用担当者と応募者の双方が忙しく、思うように日程が決まらないことも珍しくありません。日程調整が上手くいかないと応募者からの選考辞退が相次ぎ、採用活動が長期化します。
日程調整ツールを導入すれば調整業務を自動化でき、作業効率向上とミスの削減を両立可能です。今回は、日程調整ツールを導入するメリットやおすすめのツールなどについて解説します。
面接の日程調整が重要である理由
面接の日程調整が重要である理由は、次の3点が挙げられます。
- ・求職者からの辞退防止のため
- ・採用担当者の業務負担軽減のため
- ・優秀な人材を採用できる確率向上のため
日程調整が難航すると、選考辞退や優秀な人材の他社流出を招く可能性が高くなります。採用活動も長期化し、担当者の業務負担も軽減できません。
求職者からの辞退防止のため
面接日を決めるために何度もやり取りが必要な場合、本命企業で無ければ他社の選考を優先する確率が高くなります。一社に多くの手間を掛けたくないからです。新卒の場合は数十社にエントリーしつつ、連絡が来た企業から順に面接を受けていきます。
応募者は早く内定を獲得したいと思っているため、選考が進んでいる企業を優先する傾向にあります。面接の日程調整に時間が掛かると応募へのモチベーションが著しく低下し、選考辞退につながるケースも少なくありません。
選考辞退を防ぐためには、スピード感のある対応が重要です。最初の段階で複数の候補日を提示する他、日程の勘違いが起きないようリマインドメールを送るといった配慮が必要です。
採用担当者の業務負担軽減のため
応募人数が増えると調整作業も多くなり、採用担当者の業務負担が増します。応募者によって選考の進捗度合いが異なるからです。一次面接を受ける方もいれば、二次面接の日程調整中の方もいるため、個々に応じた対応が求められます。
通常業務への影響を防ぐためにも、業務の効率化を意識しなければなりません。文章のテンプレート作成や日程調整ツール導入による自動化など、工数を減らす工夫が求められます。
優秀な人材を採用できる確率向上のため
面接までの時間が空いてしまうと、優秀な人材が他社に流出する可能性が高くなります。他社での面接を先に組まれてしまうからです。優秀な人材は企業からのニーズも高いため、他社に遅れを取らないようスピーディーな対応が求められます。
特に、中途採用の場合は現職の合間を縫って転職活動を行っているため、使える時間が限定されています。自社に合う人材と判断した場合はすぐに相手と連絡を取ってください。
採用担当者が面接の日程調整で抱えている悩み
日程調整で直面している課題は、主に次の4点です。
- ・応募者との日程のすり合わせが困難
- ・応募人数が増える程調整作業が難航
- ・日程に余裕が無く選考が長期化
- ・日程調整中に他の候補者の採用が決定
応募人数が増えるほど日程調整のすり合わせが難しくなり、余裕の無い採用スケジュールとなります。本当に欲しい人材とすぐに面接を組めず他社への流出を許してしまい、採用が長期化します。
応募者との日程のすり合わせが困難
応募者と採用担当者が共に忙しく、思うように面接の日程を組めません。応募者は複数の企業を並行しながら就職活動を進める一方、採用担当者はこなさなければならない仕事が多いため、空いている日時が噛み合わないからです。
スケジュールが何度も合わないと応募者の意欲も下がり、他社の選考を優先する確率が高くなります。また、中途採用の場合は応募者の都合を優先した日程を組まなければなりません。
仕事をこなしながら転職活動を行っているため日中での面接実施は難しく、仕事終わりや土日を利用して面接を行う機会が増えます。採用担当者は残業時間や休日出勤の増加でプライベートな時間を確保できず、仕事へのモチベーション低下につながります。
応募人数が増える程調整作業が難航
特定の日時に応募が集中するほか、応募者一人ひとりと個別調整を行わなければならず、日程調整の手間が増えます。
特に新卒の場合は応募者も多く、限られた日数での調整作業を強いられるため、日程が決まるまで多くの時間を費やさなければなりません。
日程に余裕が無く選考が長期化
一次面接で優秀なスキルの持ち主や企業理念に合致した人材と出会った場合でも、すぐに次の面接の予定を提示できません。翌日や明後日に面接を組もうとしても、近々の日程は既に他の応募者との面接で埋まっているからです。
日程調整を進めていると、途中から面接日程を組むことへの優先順位が高くなりがちです。タイトな選考スケジュールを組んだ場合は優秀な人材とすぐに面接を組めず、他社の選考を予定される確率が高まります。
結果として採用したいと思える人材に巡り合うまで時間が掛かり、採用期間が長期化します。
日程調整中に他の候補者の採用が決定
候補者との最終面接の日程調整中に、先に面接を受けた方に内定が出るケースがあります。採用担当者として非常に難しい判断を迫られます。候補者へすぐに事情を説明すれば、企業として誠実な印象を与えることができ、トラブルのリスクを最小限に抑えることが可能です。
ただし、先に内定を得た候補者が快諾する保証はありません。辞退した場合は日程調整をしていた候補者と最終面接を行います。ですが、候補者の入社に懸けるモチベーションが下がっているほか、既に他の企業に目を向けている可能性もあります。
日程調整ツールを導入するメリット
日程調整ツールとは、採用面接や社内会議、顧客との商談など、社内外で行う会議の日程を自動調整するツールです。カレンダーと連携しており、最新の情報を反映した上で相手に日程選択を依頼できる点が特徴です。
また、ビデオ会議やチャット、営業支援ツールなど、多くのアプリと連携しており、さまざまな場面で活用できます。日程調整ツールを導入するメリットは、次の3点です。
- ・応募者との連絡頻度を最小化できる
- ・リアルタイムの情報を反映できる
- ・自動化によって日程調整の手間を削減できる
応募者との連絡頻度を最小化できる
採用担当者が応募者一人ひとりに事情を伺い、日程調整を行う必要がなくなります。日程調整ツールが複数の候補日を算出し、候補日を記載したメールを応募者へ一斉に送信できるからです。
オンライン面接の場合は会議用URLを自動発行するため、採用担当者が別途メールを送る必要はありません。日程調整に関するやり取りの頻度を最小限に抑えられ、他の業務を行う時間を確保できます。
リアルタイムの情報を反映できる
カレンダーに記載されたリアルタイムの情報を反映し、空いている日時のみを応募者に提示するツールを選ぶと、日程調整に関する工数を大幅に削減できます。
応募者が自身の都合に合わせて面接日時を選択するため、採用担当者が調整する必要はなくなるからです。キャンセルや日程変更があった場合でも、一覧表メンバーから操作を行えば日程の組み直しができるため、柔軟な対応を実現できます。
自動化によって日程調整の手間を削減できる
日程調整ツールに大部分の作業を任せられるため、他の業務に割ける時間を確保できます。
人的リソースに制限がある中小企業では、給与計算や労務管理、契約書作成など、多方面の業務を一人でこなしている人事担当者もいます。
日程調整ツールの導入で業務負担を軽減し、通常業務の作業効率向上とミスの削減を両立できます。
日程調整ツールの選び方のポイント
では、日程調整ツールを見極めるポイントを解説しましょう。主に次の4点を判断基準とすると良いでしょう。
- ・予約受付型or候補提案型
- ・カレンダーとの連携
- ・費用
- ・操作性
カレンダーとの連携や操作性は特に重要です。前者は自社が利用しているカレンダーと導入したシステムが連携していない場合、導入する意義が失われます。
一方、後者は応募者が利用しにくいと感じると選考へのモチベーション低下につながるため注意してください。
予約受付型or候補提案型
予約受付型と候補提案型は、それぞれメリットが異なります。
予約受付型はカレンダーから空いている日時を日程調整ツールが自動抽出し、候補者に提示するパターンです。候補者側に作業を一任できるため、採用担当者が調整を行う必要はありません。メールを一斉送信すればスケジュールは埋まっていくため、応募者が増えても問題ありません。
一方、候補提案型は採用担当者が都合の良い日時を複数選び、提示された日時を応募者が選ぶパターンです。仕事の予定に合わせて日程を組める点がメリットです。社内会議や支社への出張など、外せない用事が事前に決まっている場合、事前に候補日から外せます。
ただし、応募者側の都合が付かない場合は再調整を余儀なくされるため、予約受付型より面接日の日程調整が難航する可能性があります。
カレンダーとの連携
カレンダーとの連携は、最も重要なチェックポイントです。面接日程調整ツールはカレンダーと連携していないと、導入意義が薄れてしまうからです。
GoogleやOutlook、iCloudカレンダーなど、自社で利用しているカレンダーに対応しているツールを選んでください。また、グループウェアと連携しているツールを選ぶと、採用面接以外にも社内会議や研修日の日程調整など、幅広い場面で利用できます。
費用
使用頻度の高さと料金バランスの見極めが重要です。プランによって利用できる機能に制限があるからです。採用面接に加え、社内での打ち合わせや会議が多い場合は多くの機能を利用できる有料プランを推奨します。
会議室の自動予約や複数人でのスケジュール管理、入力フォームのカスタマイズなど、業務での利便性向上に役立つ機能が搭載されています。
一方、用途を限定している場合は、無料プランから利用を始めてください。費用を掛けずに使い勝手を確かめられるほか、合わなかった場合は他社のシステムに移行できます。
操作性
採用担当者に加え、応募者が使いやすいシステムを選択することが重要です。すぐに操作方法がわからない場合、利便性低下につながる可能性が大きいからです。
たとえば、予約受付型のシステムを選択したとしましょう。日程調整のURLを送った後、応募者に面接日時を選んでもらう形になりますが、操作方法がわかりづらいと相手に不信感を与えてしまいます。
直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)に優れたツールを選んでください。また、機能性を確かめるために無料プランを選択することも一つの選択肢です。
主な日程調整ツール
最後に、応募者との面接日程調整に使えるツールを6種類紹介します。
調整アポ
調整アポは、株式会社RECEPTIONISTが提供する日程調整ツールです。「ITreview Grid AWARD 2022 Winter」のLeaderに輝きました。ITreviewは、クラウドサービスのレビュープラットフォームを運営しています。
調整アポの特徴は、UIの高さと機能の充実性です。前者は導入したユーザーから「使いやすい」「お客様からの評価も高い」など、シンプルなデザインでわかりやすいとの声が多く聞かれています。
一方、機能面では予約受付型と候補提案型どちらも備えており、状況に応じた選択が可能です。バッファ予定を盛り込んでおけば多少面接時間が長引いたとしても、次の面接に支障は生まれません。
さらに、リマインドメールやQRコードの発行によって、日時間違いに伴うトラブルのリスクを最小限に抑えられます。無料トライアルも用意されており、コストを掛けずに使い勝手を確認できます。
内容 | 期待される効果 | |
---|---|---|
スケジュール調整機能 | ・空き日程の自動抽出 ・候補提案型スケジュール調整 ・バッファ予定作成 ・代理調整 ・グループウェア連携 | ・日程調整業務の負担軽減 ・作業効率向上 ・トラブルのリスク最小化 ・営業活動にも活用可能 |
フォローアップ機能 | ・日時確定後のチャットやリマインドメール ・Web会議用URL自動発行 ・会議室の同時予約 ・QRコードの自動発行 ・Salesforceの自動更新 |
waaq Link(ワークリンク)
waaq Linkは、waaq株式会社が提供するベンチャー企業から大企業まで導入可能な日程調整ツールです。予約受付型と投票形式の2種類で日程を調整でき、仕事の状況に合わせて使い分けが可能です。
さらに、ダブルブッキング回避機能が搭載されており、複数人での日程調整も手軽に行えます。一度やり取りを行ったユーザーとはワンクリックで日程調整を進められるため、応募者と採用担当者双方の負担を軽減できます。
また、オンライン面接を行う場合は、ZoomやGoogle Meet、MicrosoftTeamsの会議用URLが自動発行されるため、別途でメールを送る必要はありません。
主な機能
- ・予約受付型と投票形式での日程調整
- ・ダブルブッキング防止
- ・自動リマインドメール
- ・カレンダーへの自動連係
- ・Web会議自動登録
スケコン
スケコンは、株式会社タイムマシーンが提供する、約3,000社のSaaS(Software as a Service)から優れたサービスを表彰する「BOXIL SaaS AWARD 2022」で、コラボレーション部門賞に輝いた日程調整ツールです。
日本コンシューマ社が行った調査でも採用担当者が選ぶ「機能性」、「コストパフォーマンス」、「自社に導入したい」の3部門でグランプリに輝きました。
スケコンは低コストで高品質な機能を搭載している点が魅力です。最も高いビジネスプランでも月額1,188円(年払い:990円)で利用でき、使い勝手を確かめるためにフリープランも用意されています。
一方、機能面では空き時間の抽出・回答状況の更新・カレンダーへの入力など、AIの活用によってさまざまな作業を自動化しています。複数人の日程調整を行った場合でも、ダブルブッキングの心配はいりません。
さらに、操作画面は100名以上のユーザーアンケートを基に構成されたUIに優れたシンプルなデザインで、初めて利用する方も戸惑うことなく操作できます。
フリープラン:無料 | ベーシック:750円/ライセンス(月払い:900円) | プレミアム:1250円/ライセンス(月払い:1500円) | |
---|---|---|---|
カレンダー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
日程調整回数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
Web会議ツール連携 (Zoom / Microsoft Teams / Google Meet) | 〇 | 〇 | 〇 |
日程候補の開始・終了日設定 | 〇 | 〇 | 〇 |
チーム・ユーザー管理 | × | 〇 | 〇 |
複数人のスケジュールを考慮した日程調整 | × | 〇 | 〇 |
日程確定時の会議室自動予約 | × | 〇 | 〇 |
日程調整時の設問項目カスタマイズ | × | × | 〇 |
日程調整完了時のAPI連携(Webhook) | × | × | 〇 |
日程調整済み予定のCSV出力 | × | × | 〇 |
TimeRex
TimeRexは、ミクステンド株式会社が開発した日程調整ツールです。
TimeRexの特徴は、使いやすさです。煩わしいメールのやり取りはなく、初期設定はわずか1分で完了します。GoogleやOutlookのカレンダーと連携しており、応募者にリアルタイムの情報を自動反映した候補日程を提示できます。
日時決定後は担当者のカレンダーに自動反映されるため、転記ミスに伴うトラブルの心配もありません。また、ZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsと連携しており、状況に応じてオンライン面接の併用も可能です。
日程調整と同時に会議用URLを相手のメールアドレスに自動送信するため、最小限の手間で面接の準備を終えられます。
Jicoo(ジク―)
JicooはJICOO株式会社が提供しており、イークラウド・AnyWhere・ユニコーンファーム社などベンチャー企業を中心に導入されている日程調整ツールです。
幅広く機能が搭載されていることが特徴であり、日時や参加メンバー、バッファ時間など、さまざまな条件を盛り込んだ予約ページを自動で作成できます。
予約可能な日時以外は画面に表示されないため、ダブルブッキングの心配はいりません。さらに、カレンダーとの連携やWeb会議のURL発行、リマインド通知はすべて自動で行われます。
SalesforceやStripeとも連携しており採用だけでなく、営業活動・マーケティング・店舗運営にも役立てられます。
内容 | 利用想定シーン | |
---|---|---|
スケジュール調整機能 | ・日時の自動抽出 ・予約ページの自動作成 ・ダブルブッキング防止 ・Web会議用URLを自動発行 ・リマインド通知 ・Googleカレンダー都の自動連携 | ・採用面接 ・社内ミーティング ・クライアントとの商談 ・オンライン授業 ・セミナー |
アプリ連携 | ・Zoom ・Google Meet ・Microsoft Teams ・Outlook ・Salesforce ・Stripe ・Slack |
eeasy
eeasyは、株式会社E4が提供するベンチャー企業から東証一部上場企業まで、2万社以上の企業が導入している日程調整ツールです。
eeasyの特徴は利便性と安全性を兼備した機能性の高さです。日程調整は相手にURLを送るだけで完了し、会議室・カレンダー登録・参加者の割り当ては自動で行われるため、複数人との日程調整もスムーズに行えます。
同じ候補日を依頼した場合でも常に最新のカレンダー情報を反映しており、ダブルブッキングの心配もいりません。日程を変えたい場合は同じURLから操作できるため、操作時のストレスを最小限に抑えられます。
一方、セキュリティ面は通信状況と保存データの暗号化によって、情報漏洩のリスクを最小限に抑えられます。さらに、毎日バックアップデータの取得を行っており、災害やサイバー攻撃に見舞われても最短での復旧が可能です。
eeasyの特徴
- ・日程調整はURL送付で完了
- ・同じURLで何度も日程調整が可能
- ・常に最新のカレンダー情報を反映
- ・会議室や参加者の割り当てを自動調整
- ・充実したセキュリティ対策
まとめ
日程調整ツールの導入により、応募者とのスムーズなやりとりを実現し、面接辞退や優秀な人材の他社流出を防げます。同時に応募者とのやり取りを最小化し、採用担当者の業務負担を軽減できます。
ただし、自社の課題・導入目的・予算などが曖昧な状態で選定を進めると、ミスマッチが起きる可能性が高くなるため注意が必要です。日程調整ツールは操作性や費用面、機能性に応じて、多様な選択肢があるからです。
今回紹介したツールを参考に比較検討を行い、導入するツールを選定してください。
ディップ株式会社では、日本を支える中小企業の皆様に向けて、ワンストップのDXサービスを提供しています。
DXの実践においては、人材確保や教育の壁、DXを前提とした組織改革の壁、そして予算の壁と、さまざまな課題が立ちはだかります。ディップが提案する「one-stop DX.」は、これらの問題を専属のカスタマーサクセスが並走しながら導入と運用をサポートいたします。DXに伴う現場の混乱やシステムの複雑化を回避可能です。
また、ディップではソリューションの提供にあたって、すべて自社のスタッフが顧客対応を行うダイレクトセールスを採用しています。営業とカスタマーサクセス、開発チームが密に連携を取っている営業スタッフが、顧客の潜在ニーズまでを丁寧に把握し、満足度の高いサービスの提供に努めます。
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