RPA運用の失敗にはいくつかのパターンがあります。その多くは「RPAの管理」に問題があることで発生するものです。今回はRPA導入後の運用に焦点を当てて、失敗あるあるを紹介していきます。
その1:RPAの修正に時間が取られる
企業側担当者:
RPAの運用をスタートさせたけど、動作フローの変更・修正に時間が取られる・・・。
RPAベンダー担当者:
よくある失敗パターンの1つですね。
RPAの修正を頻繁に行うということは、自動化させる業務のフローが定期的に(あるいは頻繁に)変更される業務ということです。
RPAの自動化に適した業務は「処理ルールが決まっている業務」ですので、もう一度、自動化対象業務の選定を行う必要があるでしょう。
企業側担当者:
え~…。また最初から…?
RPAベンダー担当者:
そうですね…。
でも、「最初の選定の時点で変更が多く入らない作業という風に判定していた」ことによる失敗ではあるので、この基準がすごく大切だということはお分かりいただけた感じですよね。
企業側担当者:
そっか、そうですよね。もう一回RPAに合っている作業か考え直してみます!
その2:「業務時間削減」を目標にしてしまった
企業側担当者:
うーん。思ったように業務時間が削減できないなー。
自動化対象業務は拡大できているんだけどなー。
RPAベンダー担当者:
RPA運用の目標を「業務時間削減」だけにしてしまうと、本来は「成功」であるはずの取り組みが「失敗」に見えてしまうことがあります。
RPAを導入すれば、結果的に業務時間削減という形で成果があらわれますが、本来の目的は「業務改善」にあるべきです。
RPAによる自動化の前に「自動化対象業務の選定」を行いますが、その際に業務フローの可視化を行うことで「業務のムダ」を予め取り除く機会となります。
この行為自体が業務改善の1つであり、定性的な成果として期待されるべきなのです。
企業側担当者:
ん~。言われれば確かに、空いた時間で別の作業をすることが出来るようにはなってるんですよね。それで時間が新たに取られているというのはあるかもしれないです。
RPAベンダー担当者:
もし、新しく取り組むことが出来るようになった作業がルールが決まっている作業ならそれもRPA化することが出来るかもしれないので、検討してみてください。
企業側担当者:
ありがとうございます! 極限までRPA化してみてそれでも業務時間の削減が出来ないとなれば、もうそれはマンパワー足りてないっていう理由かもしれないですしね…苦笑
その3:どこでどんなロボットが稼働しているか分からなくなった
企業側担当者:
よし、これで37台目のロボットを作ったぞー!
ん?ところでどんなロボット作ってたっけ・・・?
RPAベンダー担当者:
RPAで稼働するロボットは、記憶した1つの動作を繰り返し再現するロボットです。
したがって、自動化させたい業務が増えれば増えるほど、ロボットも作成せざるを得なくなります。
もちろん自動化に必要なロボットは増やす必要がありますが、「本当に自動化するべき作業なのか」と問い直してみることも重要です。
企業側担当者:
簡単に作れちゃうから、ついつい…。ただ作ればいいっていうことでも無いんですね。
RPAベンダー担当者:
簡単に作れるからこそ、RPA化についてお願いしたい部分ではありますね。
立ち止まって考えることで、業務のムダに気付いたり、そもそも必要のないフローだったりすることもあります。
ロボットを増やしすぎて、管理しきれなくなったロボットが勝手に処理を続けてしまわないように、適切に管理する意識が重要となってきます。
企業側担当者:
一回作ったロボットも、もう一回見直してみることにしてみます!
その4:自動化したい業務にRPAが対応していない
企業側担当者:
せっかく自動化できると思ったのにー。
全然自動化できないじゃん!
RPAベンダー担当者:
RPAツールをよく検討せずに選んでしまった際に起こりやすい失敗例ですね。
ベンダーが提供しているRPAツールにはそれぞれ「得意とする処理」があります。
なぜなら、多くの利用者がツールを活用することを考えて、使いやすいUIを設定しているからです。
- ・○○の業務には××ロボット
- ・△△の業務には▢▢ロボット
といったように、利用者がすぐに効果が得られるような工夫が凝らされています。
RPAツールの中には、様々な自動化に対応できる「汎用型」もあるため、自動化対象業務の変更が予想される場合は汎用型RPAを導入しましょう。
企業側担当者:
あー。RPA選ぶ時点で失敗しちゃったってこと…?? んー。ちょっと相談に乗ってもらえません?
RPAベンダー担当者:
私でよければ喜んで!
まずは、どんな作業をRPA化したいか?という部分からお聞かせください!!
その5:RPAが動作エラーを起こし、実質的な業務停止となった
企業側担当者:
なんてこった。稼働しているロボットが停止して、業務の復旧に丸1日かかってしまった・・・。
RPAベンダー担当者:
これもよくある失敗例の1つです。
RPAは動作環境が変化すると、自動処理を停止してしまうことがあります。
「きっと停止しないだろう」と考えるのではなく、「停止した時はどのように復旧すれば良いだろうか」といったように、社内の復旧体制を構築しておくことが重要となります。
また、ロボットの停止が実質的な業務停止とならないように、自動処理させている業務のノウハウを保存しておく必要があります。
「ロボットはいつか停止するもの」と認識しておくことで、不測の事態にも備えられるのです。
企業側担当者:
そうなんですね。社内の復旧体制がうまく作れいなかったし、「どこかで大丈夫だろう」って思っている自分がいて…。
RPAベンダー担当者:
基本、そんなに簡単に停止するものではないんですが、本当に停まってしまった場合という最悪のリスクを考えて、リスクヘッジは考えておいたほうがよかったですね。
まとめ
RPAの失敗パターンはある程度決まっています。
自動化対象業務の選定に時間をかけなかったり、RPAの管理体制を構築していなかったりすると問題が発生しやすくなります。
RPA運用では不測の事態に備えて、人とロボットの統合管理を行いましょう。